(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国情報サービス業の業況は、経済産業省「特定サービス産業動態統計」によると、2021年4月以降の前年同月比の月別売上高は、前年の新型コロナウイルス感染症による影響の反動で増加または前年同月並みとなっていましたが、3月は減少に転じました。当社事業分野では、移動体通信事業者向けのサービス系の開発が大幅に減少し、官公庁向けの開発やインターネット分野の民間企業向けの開発が増加するなど、需要構造の変化が継続しております。
こうした傾向の中、当社は、重点テーマであります「先端技術を窮め、オープン・イノベーションで事業成長を目指す」を実践し、増収増益となりました。
ビジネスフィールド(以下、ビジネスフィールドをBFと省略)別には、モバイルネットワークBFは、移動体通信事業者向けのサービス系の開発が大幅に減少し、売上高は641百万円(前年同期比34.5%減)となりました。インターネットBFは、民間企業向けの開発が増加し、売上高は1,232百万円(同18.2%増)となりました。社会基盤システムBFは、官公庁向けの開発が引き続き堅調で、売上高は2,218百万円(同11.6%増)となりました。宇宙先端システムBFは、車両自動走行の研究開発案件は堅調でしたが、通信事業者向けのサービスロボットの大型案件や宇宙天文分野の大型案件の開発が前期に終了したことにより、売上高は2,467百万円(同1.9%減)となりました。
この結果、全社売上高に占める割合では、社会基盤システムBF、インターネットBFが上昇し、モバイルネットワークBF、宇宙先端システムBFが減少しております。
以上の結果、当事業年度の業績は、売上高6,560百万円(前年同期比0.5%増)、営業利益1,062百万円(同5.1%増)、経常利益1,107百万円(同5.0%増)、当期純利益780百万円(同7.2%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ380百万円増加して、期末残高は3,234百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は642百万円となりました。これは主に、税引前当期純利益1,107百万円による増加、売上債権の増加92百万円による減少、法人税等の支払額289百万円による減少の結果であります。前年同期は52百万円の支出でした。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果得られた資金は28百万円となりました。これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入100百万円、敷金及び保証金の差入による支出56百万円によるものであります。前年同期は40百万円の支出でした。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果支出した資金は290百万円となりました。これは主に、配当金支払いによる支出290百万円によるものであります。前年同期と比較して132百万円の支出減となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社は単一セグメントであるため、ビジネスフィールド別に記載しております。
(a) 生産実績
当事業年度の生産実績をビジネスフィールド別に示すと、次のとおりであります。
ビジネスフィールド |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
モバイルネットワーク |
641,952 |
65.5 |
インターネット |
1,162,099 |
120.1 |
社会基盤システム |
2,186,581 |
111.9 |
宇宙先端システム |
2,447,661 |
97.8 |
合計 |
6,438,295 |
100.5 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.リアルタイムソリューションの製品ビジネスは、サービスの性格上生産実績を定義することが困難であるため、金額に含まれておりません。
(b) 受注実績
当事業年度の受注実績をビジネスフィールド別に示すと、次のとおりであります。
ビジネスフィールド |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
モバイルネットワーク |
728,343 |
86.7 |
246,015 |
154.1 |
インターネット |
1,156,090 |
103.6 |
290,980 |
79.2 |
社会基盤システム |
2,766,137 |
121.2 |
2,004,066 |
137.6 |
宇宙先端システム |
2,543,375 |
101.5 |
656,782 |
113.0 |
合計 |
7,193,947 |
106.7 |
3,197,844 |
124.7 |
(c) 販売実績
当事業年度の販売実績をビジネスフィールド別に示すと、次のとおりであります。
ビジネスフィールド |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
モバイルネットワーク |
641,952 |
65.5 |
インターネット |
1,232,605 |
118.2 |
社会基盤システム |
2,218,031 |
111.6 |
宇宙先端システム |
2,467,669 |
98.1 |
合計 |
6,560,259 |
100.5 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
|
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
|
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社NTTドコモ |
941,578 |
14.4 |
- |
- |
(注)当事業年度の株式会社NTTドコモに対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析
a.当事業年度の経営成績の分析
(a) 売上高
売上高は、移動体通信事業者向けのサービス系の開発が大幅に減少したモバイルネットワークBFと、通信事業者向けのサービスロボットの大型案件や宇宙天文分野の大型案件の開発が前期に終了した宇宙先端システムBFが減少したものの、民間企業向けの開発が増加したインターネットBFと、官公庁向けの開発が堅調な社会基盤システムBFが増加したため、前事業年度と比較して34百万円増加し、6,560百万円となりました。詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(b) 営業利益
売上原価は、外注費の減少などにより、前事業年度と比較して91百万円減少し、4,585百万円となりました。売上総利益は、前事業年度と比較して125百万円増加し、1,974百万円となりました。売上総利益率は30.1%となり、前事業年度と比較して1.8ポイント改善いたしました。
販売費及び一般管理費は、新入社員の増加と、それに伴う教育体制の強化などにより労務費が増加し、また、研究開発費も増加したため、前事業年度と比較して74百万円増加し、912百万円となりました。
以上の結果、営業利益は、前事業年度と比較して51百万円増加し、1,062百万円となりました。
当社では、会社理念の方針のひとつである「質重視経営」の成果は売上高営業利益率に表れると考えてその向上に努力しております。当事業年度は15.7%で計画いたしましたが、計画を0.5ポイント上回って16.2%となり、前事業年度と比較して0.7ポイント改善いたしました。
(c) 経常利益
営業外収益は、受取出向料の増加などにより前事業年度と比較して1百万円増加し、46百万円となりました。
営業外費用は、前事業年度発生した自己株式取得に伴う支払手数料が発生しなかったため、前事業年度と比較して0百万円減少し、1百万円となりました。
以上の結果、経常利益は前事業年度と比較して52百万円増加し、1,107百万円となりました。
(d) 当期純利益
特別利益、特別損失は発生しませんでした。
法人税・住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた法人税等の合計は、人材確保等促進税制の適用により法人税等負担率が減少したため、前事業年度と比較して5百万円減少し、326百万円となりました。
以上の結果、当期純利益は前事業年度と比較して52百万円増加し、780百万円となりました。
b.当事業年度の財政状態の分析
(a) 資産の状況
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ489百万円増加し、8,425百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加380百万円、売上債権(受取手形、売掛金及び契約資産)の増加99百万円、投資有価証券の減少84百万円によるものであります。
(b) 負債の状況
負債は、前事業年度末に比べ25百万円減少し、1,334百万円となりました。これは主に、買掛金の減少38百万円、未払法人税等の増加34百万円、未払消費税等の減少29百万円によるものであります。
(c) 純資産の状況
純資産は、当期純利益による増加、配当金支払いによる減少などの結果、前事業年度末に比べ515百万円増加し、7,090百万円となりました。自己資本比率は前事業年度末の82.9%から84.2%となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.当事業年度のキャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ380百万円増加して、期末残高は3,234百万円となりました。詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.資金需要の主な内容
当社の資金需要は、主に生産活動に必要となる労務費、外注費となります。これらについて、現在手元資金でまかなえる状況でありますが、手元資金の変動を平準化し、突発的な資金需要に備えるため、賞与資金の一部について短期借入を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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