(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、「with entertainment」を存在意義として掲げており、人々の期待を超えるサービスを生み続けていくことを目指しております。また、今までになかった価値を創造し、ユーザーを魅了する体験を届けていくことに努めております。中期的には、IPを軸に、多様なデジタル・エンターテインメント・コンテンツをグローバルに提供する総合エンターテインメント企業となっていくことを掲げており、持続的成長及び企業価値向上を目指しております。
主力のゲーム事業においては、ゲームの開発・運営が主要事業となっており、他社IPゲーム及びゲームプラットフォーム並びにオリジナルゲームの開発・運営を行っております。また、メディア事業においては、次世代の主力事業創出を目的とした事業開発を行っており、当社の有するインターネットサービスの知見を活かした新規サービスを試験的に立ち上げ、事業化に向けた試行を重ねております。
当連結会計年度における業績は、売上高10,528,500千円(前期比11.1%減)、営業利益1,591,111千円(前期比22.5%減)、経常利益1,541,772千円(前期比23.6%減)となりました。なお、当期中にリリースした2タイトルで減損処理を行ったこと等で特別損失381,399千円が発生し、親会社株主に帰属する当期純利益は807,301千円(前期比50.3%減)となりました。
各セグメントの業績は以下の通りです。
ゲーム事業
当期においては、7周年を迎えた当社主力タイトルの1本である他社IPゲームタイトルが年間を通じて好調に推移し、収益に貢献いたしました。また、新規タイトル3本のリリースを行った他、収益性向上を目的として、不採算タイトルのクローズや運用コストの効率化に努めました。
売上高につきましては、運用中タイトルは、競合タイトルとの厳しい戦いを強いられる中でも堅調な推移を維持いたしました。また、当期にリリースした新規タイトルによる貢献がありましたが、複数タイトルのクローズによる影響を補うに至らなかったこと等により前期比で減少いたしました。
利益につきましては、不採算タイトルのクローズによる利益改善がありましたが、新規タイトルリリースに伴う広告宣伝費、運用費の増加により、前期比で減少いたしました。
以上の結果、セグメント売上高は10,358,674千円(前期比11.9%減)、セグメント利益は1,871,529千円(前期比22.6%減)となりました。主力事業である当セグメントにおいては、引き続き運用中タイトルの安定的な収益の維持に努めるほか、開発中の複数の新規タイトルのヒットによる売上、利益の増大を目指して参ります。
メディア事業
当期においては、Twitterを活用したファンコミュニティ促進サービス『Rooot』が順調に事業規模を拡大し、収益に貢献いたしました。また、IPプロデュース力の強化を目的とし、IPの開発・獲得、育成、収益化チャンネルの多様化に注力するため、出版・映像事業、Web3事業というゲーム以外のエンターテインメント領域での新規事業立ち上げを行いました。
売上高につきましては、『Rooot』が順調にサービスを拡大しており、前期比で増加いたしました。
利益につきましては、業績拡大への大きなチャンスと捉え積極的に新規事業領域への投資を行っており費用先行が継続しておりますが、増収効果で損失額は前期比で減少いたしました。
以上の結果、セグメント売上高は169,825千円(前期比99.7%増)、セグメント損失は280,418千円(前期はセグメント損失364,451千円)となりました。当セグメントにおいては、中長期的な事業成長を目指し、今後も積極的な研究開発投資を促進して参ります。
今後につきましては、主力のゲーム事業において一層の採算性向上に取り組むほか、新規タイトルのリリースによる売上成長を目指してまいります。また、積極的な投資を行い、ゲーム以外のエンターテインメント領域での事業開発に注力し、IPを軸とした総合エンターテインメント企業への成長を目指してまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ550,907千円減少し、4,732,985千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは1,602,824千円の収入となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上額1,164,568千円、減価償却費の計上額536,543千円、減損損失の計上額285,108千円、売上債権の減少額356,622千円であり、主な減少要因は未払消費税等の減少額163,115千円、未収消費税等の増加額151,174千円、法人税等の支払額635,967千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1,765,956千円の支出となりました。主な要因は無形固定資産の取得による支出1,704,144千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは387,775千円の支出となりました。主な増加要因は長期借入れによる収入449,000千円であり、主な減少要因は長期借入金の返済による支出697,000千円、自己株式の取得による支出149,948千円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社では生産業務は行っておりませんので、該当事項はありません。
b. 仕入実績
当社では仕入業務は行っておりませんので、該当事項はありません。
c. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|||
受注高 |
前年同期比(%) |
受注残高 |
前年同期比(%) |
|
ゲーム事業(千円) |
10,359,170 |
△11.9 |
495 |
- |
メディア事業(千円) |
183,525 |
105.4 |
18,500 |
285.4 |
合計(千円) |
10,542,696 |
△11.0 |
18,995 |
295.7 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部売上高を除いた数値によっております。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
ゲーム事業(千円) |
10,358,674 |
△11.9 |
メディア事業(千円) |
169,825 |
100.9 |
合計(千円) |
10,528,500 |
△11.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社バンダイナムコエンターテインメント |
3,624,547 |
30.6 |
3,409,932 |
32.3 |
株式会社バンダイナムコネクサス |
2,639,924 |
22.3 |
2,048,344 |
19.4 |
Apple,Inc. |
1,950,152 |
16.5 |
1,628,897 |
15.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、下記の通りとなります。
a. 当連結会計年度の経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、運用中ゲームタイトルが堅調な推移を維持いたしましたが、複数タイトルのクローズによる影響を補うに至らなかったこと等により、前期比で1,312,238千円減少し、10,528,500千円(前期比11.1%減)となりました。各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、両セグメントとも100.0%となっております。
(売上総利益)
当連結会計年度においては、主に、運用費の最適化やサービスのクローズ等の不採算タイトルの採算性向上を目指した取組みが奏功したことから、売上原価が前期比で1,111,846千円減少し、6,731,898千円(前期比1.4%減)となりましたが、減収影響により売上総利益は前期比で200,392千円減少し、3,796,602千円(前期比5.0%減)となりました。また、売上総利益率は、前期に比べ2.3%増加し、36.1%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度においては、全社的なコスト最適化に取り組んだものの、新作リリースに伴う広告宣伝費の増加や、新規事業開発の進展に伴う研究開発費の増加により、販売費及び一般管理費は、前期比で261,362千円増加し、2,205,491千円(前期比13.4%増)となりました。前述の売上総利益の減少と併せ、当連結会計年度の営業利益は前期比で461,754千円減少し、1,591,111千円(前期比22.5%減)となりました。
(経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前期比で36,692千円減少し、1,020千円(前期比97.3%減)となりました。営業外費用につきましては、前期比で20,988千円減少し、50,359千円(前期比29.4%減)となりました。以上の結果、経常利益は、前期比で477,458千円減少し、1,541,772千円(前期比23.6%減)となりました。
また、当期中にリリースした2タイトルで減損処理を行ったこと等により、特別損失381,399千円を計上いたしました。前述の経常利益の減少と併せ、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比で817,381千円減少し、807,301千円(前期比50.3%減)となりました。
b. 当連結会計年度の財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は6,766,009千円となり、前連結会計年度末に比べ903,136千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が550,907千円、売掛金が356,622千円減少したことによるものであります。固定資産は2,887,461千円となり、前連結会計年度末に比べ946,184千円増加いたしました。これは主にソフトウエア仮勘定が862,307千円増加したことによるものであります。この結果、総資産は9,653,470千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は5,079,395千円となり、前連結会計年度末に比べ675,711千円減少いたしました。これは主に未払法人税等が256,376千円、銀行借入が202,000千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は4,574,075千円となり、前連結会計年度末に比べ718,758千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益807,301千円を計上したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は46.9%(前連結会計年度末は39.5%)となりました。
c. 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりとなります。
e. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、下記のとおりとなります。
ⅰ) 資本の財源
当社グループは現在、運転資金および設備投資資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。
ⅱ) キャッシュ・フロー計算書に基づく資金の流動性についての分析
当連結会計年度における状況につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの概況」に記載のとおりであります。
f. 経営戦略の現状と見通し
今後につきましては、引き続きスマートフォンの普及が拡大し、スマートフォン向けコンテンツ市場における競争の激化が予想されます。そうした環境下、当社グループは市場の急速な変化に対応し、多様化するユーザニーズを捉えたアプリおよびサービスの開発に努めるとともに、積極的な投資を行い、ゲーム以外のエンターテインメント領域での事業開発に注力し、IPを軸とした総合エンターテインメント企業への成長を目指してまいります。
g. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2022年1月27日公表の2022年3月期の連結業績予想の達成状況は以下のとおりとなります。売上高は計画比371百万円減(3.4%減)となりました。これは主に、運用ゲームの売上高が計画比で下回ったことによるものです。経常利益は計画比158百万円減(9.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比192百万円減(19.2%減)となっており、いずれも主に当期にリリースした2タイトルの減損損失及び将来不可避的に発生する一時費用によるものです。
指標(当初計画) |
2022年3月期 (計画) |
2022年3月期 (実績) |
2022年3月期 (計画比) |
売上高 |
10,900百万円 |
10,528百万円 |
△371百万円 |
経常利益 |
1,700百万円 |
1,541百万円 |
△158百万円 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
1,000百万円 |
807百万円 |
△192百万円 |
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