業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限等が解除され、経済の持ち直しの動きが見られる一方、ロシアのウクライナ侵攻の影響等による世界的なインフレ懸念及び急激な円安の進行等により、先行きの不透明な状況が続いております。

 当社グループの主要な事業領域である情報サービス業界においては、企業の生産性向上や業務効率化を目的としたデジタルトランスフォーメーションによる新たな需要が継続的に活性化している一方で、業界全体の人材不足は顕在化した大きな課題となっております。

 このような環境の中、当社グループは、事業規模の拡大による企業価値向上に向け、以下の主要施策に取り組んでまいりました。

 

(収益が悪化している事業の見直し)

 BPO・サービス事業分野におけるサービス強化として、金融機関、商工会議所、クレジットカード会社等との連携による事業展開を進めてまいりました。

(積極的な事業投資)

 事業拡大や競争力強化を目的として経営企画および営業の体制強化を行いました。また、収益管理システムの改善による採算性の厳格管理等を進めました。今後も、競争環境に迅速に対応できる人材の確保、商品およびサービスの開発、管理システムの強化等、継続的かつ積極的に事業投資を行ってまいります。

(ITソリューション分野における提携関係の強化)

 ITソリューションベンダー等との業務提携を通じて、営業から生産、運用、保守といったバリューチェーン全体にわたり最適なITソリューションを構築し、顧客の課題解決を包括的に進めております。今後、ITソリューションベンダー等との業務提携の拡大により、営業活動の効率化を図り、安定的な案件獲得へ向け、着実に推進してまいります。

(事業推進管理の強化による営業黒字の継続、拡大)

 上流工程の厳格化による原価低減、システム設計開発手法の改善による生産性の向上、開発スキルや協力会社の選択等を含めた開発体制の適正化等を通じて、事業推進管理の強化による採算性の向上を進めております。

(継続的な事業拡大に向けたビジネスモデルの整備)

 多種多様化するニーズに合わせ、お客様のご要望に応じた企画から設計・開発・運用・保守までの一貫サービスを行っております。また、システム設計・構築における上流工程を重要視し、実績・ノウハウを蓄積して顧客満足度の向上に努めてまいりました。

さらにデジタルトランスフォーメーションを促進・強化するためのITソリューションを市場に投入することにより、案件規模を拡大、新規顧客開拓を加速し、安定的な案件獲得へ向け着実に推進しております。

 また、IT分野への集中と事業拡大を目指し、メディカル&アンチエイジング事業(医療モールの運営管理)につきましては、運営会社である株式会社マーベラントの全株式譲渡により事業から撤退いたしました。

(成長加速のための資金調達およびM&Aを含めた他社との提携)

 事業の成長を加速する施策としまして、資金調達およびM&Aを含めた他社との提携の創出に取り組んでおります。他社との提携につきましては、2021年12月に3PLATZ株式会社との間で業務提携契約を締結しフィンテック領域での新サービスの開発に取り組んでおります。

 また、これら施策の実施に加えて、お客様への継続的かつ安定的なサービスの提供に努め、IT ソリューション分野では大型システムの納入の他、ITソリューションベンダー等との連携による新規システムへの着手等を行い、また、業務プロセス面でのQCD向上の取り組みを実施してきた結果、サービス品質が安定したほか、生産性の向上等により、固定費の水準が低下しました。一方、BPO・サービス分野では、重点顧客の深耕に努めましたが、新型コロナウイルス感染症の行動制限の影響を強く受けました。

 

このような取り組みの結果、売上高は928,825千円(前年比35.6%増)となりました。また、利益面におきましては、売上総利益は160,110千円(前年比9.4%増)となりましたが、販管費の増加等により、営業利益は5,655千円(前年比59.2%減)、経常利益は9,501千円(前年比56.3%減)となりました。また、関係会社株式売却益38,032千円、訴訟関連費用21,103千円の発生等及び法人税等により、親会社株主に帰属する当期純利益は6,423千円(前年比95.6%減)となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。売上高は外部顧客への売上高を表示しており、また、利益は売上総利益を表示しています。

 

〔ITソリューション〕企業システムのコンサルティング及び設計、開発につきましては、当連結会計年度前半に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う営業活動が停滞したものの、既存取引先との運用及び保守の業務受託等については影響を最小限に止められました。また当連結会計期間においては、商品販売を含む大型案件を計画通りにシステム納入しました。また、売上原価についても、プロジェクト管理の見直し等による売上原価の圧縮が効を奏した結果、売上高は818,332千円(前年比55.0%増)、セグメント利益は150,053千円(前年比14.6%増)となりました。

 

〔BPO・サービス〕BPO(業務アウトソーシング)及び決済代行等各種サービスにつきましては、当連結会計年度の後半には、新型コロナウイルス感染症の「第5波」の収束による小売店や飲食店の業績回復に伴い売上高が増加しましたが、年間を通じて、厳しい状況が続きました。その結果、売上高は67,809千円(前年比13.1%減)、セグメント利益は5,748千円(前年比 68.8%減)となりました。

 

〔その他〕メディカル&アンチエイジング事業(医療モールの運営管理)につきましては、株式会社マーベラントにて事業を運営しておりましたが、その全株式を2021年9月28日付けで譲渡しました。その結果、当連結会計年度の売上高は第2四半期連結累計期間の実績となります。売上高は42,682千円(前年比45.9%減)、セグメント利益は4,308千円(前年比23.9%減)となりました。

 

※ 報告セグメントの変更に関する詳細は「第5経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 (注記事項)(セグメント情報等)」に記載しております。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動により189,040千円増加、投資活動により5,526千円減少いたしました。財務活動による増減はありません。その結果、当連結会計年度末の資金の残高は前連結会計年度末から183,514千円増加し、504,972千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動により、資金は189,040千円増加(前連結会計年度は219,450千円減少)しました。これは主に、税金等調整前当期純利益21,699千円による資金の増加、前連結会計年度に受注した大型案件に起因する売上債権の減少191,305千円による資金の増加によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動により、資金は5,526千円減少(前連結会計年度は137,085千円増加)しました。これは主に、子会社株式の売却による収入18,180千円、有形固定資産の取得による支出5,843千円、無形固定資産の取得による支出14,982千円、保険積立金の積立による支出2,487千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の増減はありません(前連結会計年度は120,000千円の増加)。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

当社グループの事業は、提供するサービスの性質上生産・受注実績の記載に馴染まない為、記載を省略しております。

a.売上実績

 当連結会計年度における売上の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業区分

第46期

(2021年3月期)

第47期

(2022年3月期)

(当連結会計年度)

前連結会計年度比

金額

構成比

金額

構成比

金額

増減率

 

ITソリューション

千円

528,091

%

77.1

千円

818,332

%

88.1

千円

290,241

%

55.0

BPO・サービス

78,026

11.4

67,809

7.3

△10,216

△13.1

その他

78,836

11.5

42,682

4.6

△36,153

△45.9

 合  計

684,954

100.0

928,825

100.0

243,870

35.6

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上の実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は

次のとおりであります。なお、当該割合が100分の10未満の記載は省略しております。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三菱UFJニコス株式会社

80,756

11.79

381,602

41.08

株式会社バーズ情報科学研究所

139,427

20.36

145,908

15.71

b.セグメント利益実績

当連結会計年度におけるセグメント利益の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業区分

第46期

(2021年3月期)

第47期

(2022年3月期)

(当連結会計年度)

前連結会計年度比

金額

構成比

金額

構成比

金額

増減率

 

ITソリューション

千円

130,884

%

84.4

千円

150,053

%

93.7

千円

19,169

%

14.6

BPO・サービス

18,414

11.9

5,748

3.6

△12,666

△68.8

その他

5,663

3.7

4,308

2.7

△1,355

△23.9

 合  計

154,963

100.0

160,110

100.0

5,148

3.3

(注)   セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討事項は次のとおりであります。

 なお、文中における将来事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(1) 経営成績の分析

(売上高)

新型コロナウイルス感染症の行動制限の影響を受けながらも、お客様への継続的かつ安定的なサービスの提供に努め、ITソリューション分野で大型システムの納入の他、ITソリューションベンダー等との連携による 新規システムへの着手等を行い、売上高は928,825千円(前年比35.6%増)となりました。

 

(売上原価及び売上総利益)

契約等の見直しによる原価改善に努めたものの、売上原価は768,714千円(売上原価率は82.8%)となり、売上総利益は160,110千円(前年比9.4%増)となり改善余地を残しております。

 

(販売費及び一般管理費及び営業利益)

サービス品質の安定と生産性の向上に努めたものの、販売費及び一般管理費は154,455千円(前年比16.6%増)と高水準で、営業利益は5,655千円(前年比59.2%減)となり、一層の収益力の強化が課題と考えております。

 

(営業外損益及び経常利益)

営業外損益は大きな増減なく、経常利益は9,501千円(前年比56.3% 減)となりました。

 

(特別損益及び税金等調整前当期純利益)

関係会社株式売却益38,032千円の特別利益、及び訴訟関連費用21,103千円の特別損失を計上し、税金等調整前当期純利益21,699千円を計上いたしました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

法人税、住民税及び事業税16,002千円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は6,423千円(前年比95.6%減)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は660,064千円となり、前連結会計年度末に比べ10,512千円減少いたし ました。これは主に、現金及び預金183,514千円の増加、受取手形及び売掛金の減少30,301千円に加え、流動資産そ の他に含まれる前払金161,102千円の減少によります。

 固定資産の残高は107,455千円となり、前連結会計年度末に比べ21,716千円減少いたしました。これは主に、投資 有価証券の評価により22,447千円減少したことによります。

 これにより総資産の残高は767,520千円となり前連結会計年度末に比べ32,230千円減少いたしました。

 

(負債)

 流動負債の残高は154,496千円となり、前連結会計年度末に比べ33,898千円増加いたしました。これは主に、買掛 金の減少18,281千円、未払法人税等の増加14,569千円、流動負債その他に含まれる1年以内返済長期借入金の増加 33,336千円によります。

 固定負債の残高は275,489千円となり、前連結会計年度末に比べ56,786千円減少いたしました。これは主に、長期 借入金のうち1年以内に返済期限が到来する分33,336千円の減少、株式マーベラントの連結除外に伴う固定資産その 他に含まれる預り敷金保証金25,890千円の減少等によります。

 これにより負債の残高は429,986千円となり、前連結会計年度末に比べ22,887千円減少いたしました。

 

(純資産)

 純資産の残高は337,534千円となり、前連結会計年度末に比べ9,342千円減少いたしました。これは主に、利益剰余 金の増加6,424千円、その他有価証券評価差額金の減少15,766千円によります。

 この結果、自己資本比率は44.0%(前連結会計年度末43.4%)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動により189,040千円増加、投資活動により5,526千円減少いたしました。財務活動による増減はありません。その結果、当連結会計年度末の資金の残高は前連結会計年度末から183,514千円増加し、504,972千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動により、資金は189,040千円増加(前連結会計年度は219,450千円減少)しました。 これは主に、税金等調整前当期純利益21,699千円による資金の増加、前連結会計年度に受注した大型案件に起因する 売上債権の減少191,305千円による資金の増加によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動により、資金は5,526千円減少(前連結会計年度は137,085千円増加)しました。こ れは主に、子会社株式の売却による収入18,180千円、有形固定資産の取得による支出5,843千円、無形固定資産の取 得による支出14,982千円、保険積立金の積立による支出2,487千円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の増減はありません(前連結会計年度は120,000千円の増加)。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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