文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
①経営の基本方針
当社グループは、株式会社SRAとして創業以来掲げている「自らの職業的実践を通じ、コンピュータサイエンスの諸分野を発展させ、それによって人類の未来に貢献する」という経営理念のもと、ITでユーザーの満足度を最大化することを経営の基本としてまいりました。今後もこの基本理念に沿い、急速に変化する市場環境の中で情報サービス産業への期待に応えるべく努力し、収益性と成長性の追求により企業価値と株主利益の向上を目指してまいります。
②経営環境に対する認識
社会や経済のグローバル化の一層の進展、技術の進化及び労働環境向上ニーズの継続等を背景にIT投資需要は今後も増加するものと考えております。
一方で、国内人口の減少を背景として国内需要増加に限界があると考えられるほか、労働人口減少により人材確保が難しくなる等、当社グループの持続的成長を実現していくにあたっての課題も多いと認識しております。
また、当社グループが属する情報サービス産業では、技術の急速な進化・根本的な変革や同業間での厳しい競争が今後も予想されます。
このような状況を踏まえ、たゆまぬ技術革新への取組み、成長する分野・地域での事業拡大、及びそれらを可能とする優秀な人材の確保が極めて重要であると認識しております。
③当社グループ経営方針
1)2023年3月期経営方針
~環境の変化に即応した成長の実現~
〇既存事業の持続的成長と生産性向上による事業基盤安定化
〇高収益の新しいビジネスモデルの創出
〇グループ内連携強化によるシナジー発揮
〇労働力の提供から価値の提供への移行
〇受託型ビジネスから提案型ビジネスへのシフト
〇コンサルティングビジネスを核として価値の提供を行う提案型ビジネスへのシフト
2)成長戦略
〇既存顧客の深耕
・グループシナジーを強化して当社グループの製品・サービスを提供
〇ビジネスモデルの変革
・クラウドインフラビジネス(自動化、DevOps(*1)、セキュリティ等)への展開
・Low-Code/No-Code開発(*2)(OutSystems、ServiceNow等)の推進
・製品提案型の業務コンサルティングにより、「開発」「運用構築」「販売」のより上流から参画することでビジネスチャンスを拡大(Oracle Cloud ERP、SalesForce、AWS、BlackRock等)
〇自社IP製品・グローバルビジネスの推進
・自社IPの商品力向上と販売力強化(P-CON、Proxim、Cavirin、Univision、DB-Spiral等)
・オープンソースやクラウド対応によるセキュリティ、健康管理、データ分析、AI成長分野における新自社IP製品の開発(FIDO(*3)対応セキュリティ製品、ウェアラブルアプリ)
・マルチクラウドやハイブリッドクラウドへの対応サービスの充実
・東南アジア、特にベトナムを中心とした市場の開拓
*1 DevOps:従来分離していたソフトウェアの開発と運用のチームやプロセスを互いに連携させることで 、 より速くより高品質
なサービスを提供するための考え方
*2 Low-Code/No-Code開発:できる限りソースコードを書かずにシステムを開発する手法。ビジネスの変化にシステムを素早く
追従させることができる。
*3 FIDO:標準規格団体である 「 FIDO Alliance 」 が定めた新しい認証方式 。 従来の固定パスワードに代わる安全性とUI/UXを両
立した認証手段の標準規格
3)株主還元方針
〇株主還元の更なる充実を目指す
・配当性向50%を目途に、安定的な高配当を目指す
・株主資本の効率的活用の指標であるROEは、安定的かつ継続的に10%以上確保を目指す
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染収束の見通しは不透明であるものの、状況に応じた対策を進めていくことにより営業活動は正常化へ向かうものと考えております。
一方で、地政学的リスクの顕在化によりエネルギー・食料・電子部品等の需給不均衡が発生しインフレが進行、米国を始め世界的な経済停滞の懸念が高まっております。
当社グループでは「環境の変化に即応した成長の実現」を経営方針として掲げており、高まるリスクに適切に対応しつつ社会の変化を捉えた事業の拡大を実現してまいります。
そのために「グループシナジーを強化し顧客ニーズの発掘と的確な対応を行うことによる既存顧客の深耕」、「クラウドインフラビジネス展開、Low-Code/No-Code開発推進、業務コンサルティング拡大によるビジネスモデルの変革」及び「提供するサービスやマーケット拡大につながる自社IP製品・グローバルビジネスの推進」を主な成長戦略として掲げております。
このような方針・戦略において、当社グループの事業の持続的成長に欠かせない人材確保は今後益々重要度が高まる課題であると考えております。海外を含めたビジネスパートナー・提携会社との関係拡充を通し優秀な人材を安定して確保していくとともに、当社グループ社員に対し成長機会を提供することにより人材底上げを図ってまいります。
また、今後も海外を含めた事業投融資は継続していく方針であり、当社グループの収益力・財務体力を踏まえた適切な判断を行い厳格な管理を行っていくと共に、投融資資産の価値変動の可能性があることを前提として安定性のある財務体質を維持するよう努めてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2023年3月期経営方針として「環境の変化に即応した成長の実現」を掲げております。
上記の方針を踏まえ経営成績に関する計数目標を以下のとおりとしております。
(単位:百万円)
|
2023年3月期 目標 |
売上高 |
42,500 |
売上総利益 |
10,500 |
売上総利益率 |
24.7% |
販売費及び一般管理費 |
5,300 |
営業利益 |
5,200 |
経常利益 |
5,200 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
3,300 |
1株当たり当期純利益(円) |
267.50 |
また、株主還元方針として「配当性向50%を目途に安定的な高配当」及び「ROEは安定的かつ継続的に10%以上確保」を目指すこととしております。
(4)開示時点における経営方針・経営戦略
新型コロナウイルス感染対策の効果が表れてきてはおりますが、世界の経済活動が正常化するまでの道筋は見えておらず、引き続き活動制限のある中で工夫をこらした事業運営が求められております。
当社グループの成長戦略のひとつとして掲げている「クラウドインフラビジネスへの展開」はそのような環境下において、より一層注力すべき分野であると認識しております。
当社グループの事業の中でリモート運用・管理等の需要拡大を背景に運用・構築事業が堅調であり、2021年4月に株式会社SRAにおいてクラウドビジネスを推進するアドバンストクラウドエンジニアリング事業部(“ACE”)を立ち上げた他、クラウドビジネス人材を育成する制度の強化を図り、更なるビジネス拡大を目指しております。
また、2022年4月にはプロダクトサービス事業部(“PS”)を設立いたしました。
PSは旧ビジネスイノベーション事業部を発展させた組織であり、自社IP製品開拓にとどまらずクラウド関連ビジネス等の注力分野において業務コンサルティングを含めた提案型ビジネスを実践していくことを企図しております。
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