当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下の通りであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の概況
中期経営計画「BE GLOBAL 2023」の主要定量目標と進捗
当社グループは2018年9月に「世界に通用するソフトウエア企業となる」ことを目標とする2023年6月期までの5ヶ年の新中期経営計画「BE GLOBAL 2023」を策定し、その中で「売上」「ストック売上比率」「営業利益」「売上成長率+営業利益率(GPP)」「ROE」「配当」の6項目について目標を公表しております。
それぞれの項目の目標及び当連結会計年度における進捗状況は以下の通りです。
なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、前連結会計年度との比較においては、適用前の数値と比較しております。
用前の売上高は18,804百万円となり、前連結会計年度比15.8%増を実現しており、中期計画目標に向かって順調に進捗していると認識しております。
スフォーメーション推進事業を中心にストック型ではない売上が好調であった影響もあり、総額としては、前連結会計年度比10.7%増となっております。
高と同様に中期計画目標に向かって順調に進捗していると認識しております。
では32.0ポイントとなりました。前連結会計年度より11.9ポイントの上昇、収益認識会計基準等の適用前と比較して11.3ポイントの上昇となりましたが、目標値から乖離がある状況は改善されていません。さらなる売上成長の加速化または収益性の向上に向けて取り組む必要があるものと認識しております。
用を抑制するなどの努力を行った結果であり、順調に推移していると認識しております。
当中期計画期間内で増配幅を若干大きくせねば目標が達成できない水準ではあるものの、現時点で目標を下方修正せねばならないような状況にはないものと認識しております。
組織再編と次期中期経営戦略について
2023年6月期は中期経営計画「BE GLOBAL 2023」の最終年度にあたりますが、「BE GLOBAL 2023」で目指した三つの基軸(①グループ総合力でさらなる売上成長を追求、②成長加速のためのM&A、③ビジネスモデルの転換)のうちビジネスモデルの転換については大きな成果を得られておらず、その進捗指標として設定していたストック売上比率は2022年6月期においても34.6%にとどまり、目標である70%に達することは困難と考えられます。
このため、2021年後半より次期中期経営計画の策定に着手し、グループ経営戦略執行チームと共にビジョンの実現のためにグループが何をすべきか、ということについて議論し、これをアバントグループのマテリアリティ「企業価値の向上に役立つソフトウエア会社になる」としてまとめました。このマテリアリティを実現するための具体策について、グループ経営戦略執行陣における議論や取締役会における議論を経て、既存事業の成長加速と新しい成長事業の創出を別組織に再編成して実施することが有効という結論に至りました。
組織再編の第1段階として2022年7月15日、当社の連結子会社である株式会社ディーバが連結決算支援システム(主な製品ブランド「DivaSystem LCA」および「DivaSystem FBX」)の開発事業について株式会社フィエルテに吸収分割の方法で承継させることと、株式会社ジールが株式会社ディーバに対して、企業パフォーマンス管理ユニット管轄事業について吸収分割の方法で承継させることを内容とする吸収分割契約をそれぞれ締結しております。今後、9月27日に開催予定の各社の株主総会において吸収合併が承認されますと、10月1日に吸収合併の効力が発生し、株式会社ディーバは商号を株式会社アバントへ、株式会社フィエルテは株式会社ディーバへ、そしてグループ戦略の執行を監督する持株会社、株式会社アバントは株式会社アバントグループへ、それぞれ変更し、アバントグループは新しい体制で事業を推進することになります。
2023年6月期を通じて、各社は新体制下でさらに明確になった方向性に向けて次期中期経営計画をスタートさせるための準備を進めます。具体的には既存事業において低収益製品・プロジェクトの整理等、クラウド化を加速するための環境整備を進めます。また新中期経営計画期間で推進すべく、将来の中核的アプリケーションとなる製品開発や実装型コンサルティング事業の強化に向けた積極採用を進めていきます。
各社を取り巻く市場環境は非常に良好であり、新組織の下、既存製品の強化、新製品の開発、新ソリューションの提供を通じ、既存のお客様当たりの売上増、新たなお客様の開拓を実現し、収益性を改善させていきます。この結果、次期中期経営計画期間(2023年6月期~2028年6月期)においては、売上高の年率成長率(CAGR)は20%以上を、中期経営計画の後半においては、EBITDAマージンとの合計(Growth and Profit Point、以下GPP)で40ポイント以上を目指します。またROEは平均20%以上を維持し、株主還元としてはDOEを現行の5%台から8%へ徐々に引き上げることを目標としております。次期中期経営計画における戦略の詳細、各事業会社の戦略、特に重要なKPIについては2023年6月期を通じて組織を軌道に乗せながら議論を進め、然るべき時期に開示する予定です。
なお、経営成績等の状況に関する詳細な分析は以下の通りです。
(2) 経営成績の状況
当連結会計年度における連結業績は以下の通りです。
なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これに伴い、当連結会計年度における表中の対前連結会計年度比は記載しておりません。
(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、2022年6月期に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、対前連結会計年度比は記載しておりません。
現在の我が国を取り巻く社会環境・経済環境は「データに基づいた経営・意思決定」の必要性を喚起しており、当社グループの製品・サービスへのニーズはより高度なものへと変容しながら拡大しております。その結果、従来のセグメント名称では事業の内容を適正に表示することができなくなってまいりました。このため、当連結会計年度より、従来の「連結会計関連事業」を「グループ・ガバナンス事業」に、「ビジネス・インテリジェンス事業」を「デジタルトランスフォーメーション推進事業」に、報告セグメントの名称を変更しております。この変更はセグメント名称のみの変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。
当連結会計年度の連結売上高は 18,703百万円 となりました。 当連結会計年度 より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しており、他の当事者によって商品等が提供されるための手配と認められるような取引について、従来は売上額を総額で売上高として計上するとともに、仕入分を費用計上していたものを、売上高と仕入高の差額を手数料として純額で売上計上する形へと変更しました。この変更の影響で従来の基準よりも売上高が397百万円減少しております。また、従来はプロジェクトが完了し、お客様から検収をいただいた時点で売上計上していたサービスの大部分について、プロジェクトの完了を待たずして、その進捗度に応じて売上を計上するよう変更しました。この変更の影響で売上高が296百万円増加しております。
すなわち、収益認識会計基準等の適用前の売上高は18,804百万円と前連結会計年度比15.8%の増収となり、そこに会計基準変更の影響で100百万円減少となった形となります。デジタルトランスフォーメーション推進事業及びアウトソーシング事業を中心に全ての事業で売上成長を実現したことが増収の要因となっております。
中期経営計画において、経営目標の一つとして掲げているストック売上(例えばソフトウエアの保守料など、継続的に発生する売上)比率の向上については、デジタルトランスフォーメーション推進事業で収益認識会計基準等の適用の影響で減少した影響もあり、34.6%と前連結会計年度よりも1.4ポイント減少しました。総額としては前連結会計年度比10.7%増となっております。
利益に関しては、営業利益3,247百万円、経常利益2,988百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,045百万円となりました。収益認識会計基準等の適用の影響により営業利益が208百万円増加しているため、従来の会計基準で算定した場合の営業利益は3,038百万円となり、会計基準の差異を除外すると前連結会計年度比で8.7%の増益となります。
グループ・ガバナンス事業において、将来の成長及び収益性向上に向けたソフトウエア開発を推進するための開発体制の大幅な強化のための費用が先行していること、及び全社費用としてグループのシナジーを追求するための部門を設立し、このための体制強化を行ったことなどから費用が増加しておりますが、その一方でデジタルトランスフォーメーション推進事業が収益性の向上を伴いながら売上が伸長したことにより、大きく利益を伸ばし、これが増益の大きな要因となりました。
なお、当社の持分法適用会社であるMetapraxis社の英国・米国における業績は新型コロナウイルスが蔓延して以降、なかなか回復するに至らず、当社が投資した時点での想定を大幅に下回るものとなっており、財政状態についても一定の水準を下回っていることから、同社株式について減損処理を行いました。この影響で経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が減少しておりますが、当社がMetapraxis社との資本・業務提携に至った最大の目的である同社製品の日本語化による、日本市場での販売・導入は既に実施しており、当該事業については順調に立ち上がりつつあります。
各報告セグメントの状況は以下の通りです。
(注)上記a、bの表において、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、2022年6月期に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、対前連結会計年度比は記載しておりません。
グループ・ガバナンス事業については、売上高9,372百万円となりました。収益認識会計基準等の適用の影響で262百万円増加しているため、従来の会計基準によった場合の前連結会計年度比は11.6%増加となります。国内企業では競争力強化のための事業再編を行う動きが加速しており、これに関連した受注が増加したことが主な要因となっております。一方で、将来の成長及び収益性向上に向けたソフトウエア開発を推進するための開発体制の大幅な強化を行っているため、費用については増加しており、その結果、営業利益は2,060百万円(会計基準変更の影響で144百万円増加、従来の会計基準による前連結会計年度比1.0%減)となりました。
デジタルトランスフォーメーション推進事業については、経営や事業推進にかかる意思決定にデータを活用するニーズは加速しており、受注する案件も従来の「ビジネス・インテリジェンスに関連した開発」から「クラウド・データ・プラットフォームの提供」を中心としたものへと変革し、大型化の傾向にあります。その結果、売上高は7,015百万円(会計基準変更の影響で355百万円減少、従来の会計基準による前連結会計年度比17.9%増)と増収となりました。受注する案件の質の変化は収益性の向上にもつながっており、営業利益も1,244百万円(会計基準変更の影響で69百万円増加、従来の会計基準による前連結会計年度比44.8%増)と、前連結会計年度を大きく上回りました。
アウトソーシング事業についても、新型コロナウイルス感染症の影響による不透明性から、最終的な意思決定にあたって慎重な姿勢であった企業も動き出す傾向が見られ、新規顧客からの受注が増加しております。その結果、売上高3,044百万円(会計基準変更の影響で8百万円減少、従来の会計基準による前連結会計年度比23.1%増)、営業利益661百万円(会計基準変更の影響で6百万円減少、従来の会計基準による前連結会計年度比27.5%増)と増収増益を実現しました。
該当事項はありません。
当連結会計年度の受注実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。
(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用した影響で、グループ・ガバナンス事業の受注残高は262百万円減少しております。デジタルトランスフォーメーション推進事業の受注高及び受注残高はそれぞれ397百万円、42百万円減少しております。また、アウトソーシング事業の受注残高は8百万円増加しております。なお、当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、対前年同期比は記載しておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の主要な相手先がいないため記載しておりません。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、対前年同期比は記載しておりません。
(3) 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、 16,617百万円 (前連結会計年度末比 2,660百万円増 )となりました。これは主に、現金及び預金の 増加2,205百万円 、受取手形、売掛金及び契約資産の増加437百万円、繰延税金資産の増加 186百万円 、関係会社株式の減少 267百万円 などによるものです。
一方、負債合計は6,019百万円(前連結会計年度末比849百万円増)となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加202百万円、未払法人税等の増加181百万円、賞与引当金の増加273百万円などによるものです。
また、純資産合計は親会社株主に帰属する当期純利益2,045百万円の計上、収益認識会計基準等の適用に伴う繰越利益剰余金71百万円の増加、剰余金の配当413百万円の支払いにより、10,597百万円(前連結会計年度末比1,810百万円増)となりました。この結果、自己資本比率は63.8%(前連結会計年度末は63.0%)と、前連結会計年度に比べ0.8ポイント向上し、有利子負債も少なく安定性の高い財務バランスを保っていると考えております。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,216百万円増加し、10,002百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、3,026百万円となりました。(前連結会計年度は2,561百万円の獲得)
増加要因の主な内訳は、税金等調整前当期純利益2,988百万円、減価償却費349百万円、賞与引当金の増減額273百万円、持分法による投資損益269百万円、仕入債務の増減額202百万円などであり、減少要因の主な内訳は、売上債権及び契約資産の増減額258百万円、法人税等の支払額925百万円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、398百万円となりました。(前連結会計年度は789百万円の使用)
支出の主な内訳は、オフィスの増床やネットワーク整備などによる有形固定資産の取得による支出89百万円、ITインフラ環境の整備などによる無形固定資産の取得による支出317百万円、オフィス移転に伴う敷金及び保証金の差入による支出181百万円などであり、収入の主な内訳は、敷金及び保証金の回収による収入216百万円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、433百万円となりました。(前連結会計年度は359百万円の使用)
支出の主な内訳は、配当金の支払額413百万円であります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループでは、持続的な企業価値の向上とそれを通じた株主還元の向上を実現するために、資本効率を向上させつつ、財務の健全性・柔軟性も確保された最適な資本構成を維持・追求することを基本方針としております。
当社グループの主な所要資金は、オフィス及びIT関連の設備投資や、経常の運転資金であり、これら所要資金については、適宜、自己資金及び銀行からの借入により調達しております。
なお、当連結会計年度末において借入金の残高はありません。また、現金及び預金9,444百万円を保有しており、必要な資金は確保されていると認識しております。
資金の流動性については、グループ間の資金管理契約によりグループ各社における余剰資金の有効活用に努め、更に金融機関との間にコミットメントライン契約を締結していることにより、急な資金需要や不測の事態にも備えております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他のさまざまな要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載の通りであります。特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
①繰延税金資産
当社グループでは、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性の判断をしております。将来の課税所得に関する予測は、過去の実績や一定の仮定のもとに行っているため、経営環境等の変化により、課税所得の見積りの変更が必要となった場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
②賞与引当金
賞与引当金は、従業員に対する翌連結会計年度賞与支給見込額のうち当期間対応額を計上しておりますが、実際の支給額は支給時点における外部環境及び当社グループの状況を勘案のうえ決定されるため、実際の支給額が見積りと異なる場合には追加の費用計上が必要となる可能性があります。
③受注損失引当金
当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、翌連結会計年度以降の損失発生見込額を計上しております。実際の発生原価が見積りと異なる場合、追加の引当金計上が必要となる可能性があります。
お知らせ