(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大による段階的なまん延防止等重点措置の適用など、感染再拡大への警戒も燻る中、ウクライナ情勢を受けた資源価格の上昇、インフレ圧力、金融政策・為替相場の動向など、注視が必要な状況が継続しており、経済全体での先行きは依然として厳しい状況にあります。
この環境下、中期経営計画の初年度となる当連結会計年度は、持続的な成長の実現に向け、新しいサービス・価値を提供し続けるため、「新規ビジネス:DXへの挑戦」「既存ビジネス:リカーリングビジネスの推進」「コストの最適化(戦略的投資)」「企業力強化」の4つの重点施策を推進し、戦略製品の市場への訴求による既存ビジネスの深耕に加え、営業本部の再編による営業活動の強化、製品のサブスクリプションでの提供の強化、SaaS接続オプションの提供等を実施してまいりました。これにより、サブスクリプション売上高は、2021年3月期実績の約1.8倍(2022年3月単月の売上高は、2021年3月単月の売上高の101.1%増)まで伸張いたしました。また、Web-API機能強化や戦略製品であるACMS ApexにRACCOONのフル機能版を標準搭載したアドバンストエディションを新たにリリースするなど、製品の機能強化・改善・バージョンアップ等を積極的に行うとともに、NP開発室(旧技術探求室)を中心とした新技術・新サービスの模索等を実施してまいりました。加えて、IT・人材に対する投資を行うとともに、株式会社テクノスジャパンと業務提携を行うなど、更なる事業の拡大を目指してまいります。今後もこの流れを継続し、需要拡大が見込まれる新しいWeb-EDI製品の開発・販売、新規事業・新サービスの創出、他社との提携やM&Aなど、積極的に推進してまいります。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ257百万円増加し4,884百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ92百万円増加し1,045百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ165百万円増加し3,838百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、サブスクリプション売上の推進を主要因とし、売上高は2,301百万円(前年同期比13.7%増)となりました。利益面では、売上総利益は1,628百万円(前年同期比8.2%増)、売上総利益率は70.7%となっております。売上高の増加に連動した利益増に加え、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う営業活動の制限により、広告宣伝費や旅費交通費等の減少などが要因となり、営業利益は442百万円(前年同期比113.6%増)、経常利益は458百万円(前年同期比109.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は322百万円(前年同期比94.0%増)となりました。
当社グループは、ソフトウェア関連事業の単一セグメントであり、売上区分別の経営成績は、次のとおりであります。
リカーリング
当連結会計年度におきましては、売上高総額は、1,639百万円(前年同期比24.1%増)となりました。
これは、サブスクリプション売上が堅調に推移したことが主な要因であります。
ソフトウェア
売上高総額は、642百万円(前年同期比 4.7%減)となりました。
これは、売り切り型からサブスクリプション型の販売形態へ戦略的に移行させていることが主な要因であります。
サービスその他
売上高総額は、19百万円(前年同期比33.8%減)となりました。 これは、ソフトウェア製品販売に付随するサービスの提供や通信機器の販売等が減少したことが要因であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末から250百万円増加し、3,711百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は403百万円(前連結会計年度の得られた資金は621百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益458百万円、減価償却費23百万円、売上債権の増加30百万円、前受金の減少21百万円、法人税等の支払額55百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は15百万円(前連結会計年度の得られた資金は23百万円)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出15百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は136百万円(前連結会計年度の使用した資金は134百万円)となりました。これは、配当金の支払額131百万円、リース債務の返済による支出5百万円があったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの事業内容は、主にソフトウェア製品の開発、販売及び保守の提供であることから、生産実績は記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、主にソフトウェア製品の開発、販売及び保守の事業を行っており、また、販売に付帯する受託開発の割合も少ないため、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を売上区分別に示すと、次のとおりであります。
区分の名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
リカーリング |
1,639,200 |
24.1 |
ソフトウェア |
642,630 |
△4.7 |
サービスその他 |
19,589 |
△33.8 |
合計 |
2,301,419 |
13.7 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
富士通株式会社 |
315,179 |
15.6 |
358,913 |
15.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす会計上の見積りはありません。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産残高は、前連結会計年度末から257百万円増加し4,884百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加250百万円、売掛金の増加30百万円によるものです。
(負債の部)
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ92百万円増加して1,045百万円となりました。これは主に、未払金の増加11百万円、前受金の減少21百万円、未払法人税等の増加95百万円、その他流動負債の増加10百万円によるものです。
(純資産の部)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ165百万円増加して3,838百万円となりました。これは、利益剰余金の増加191百万円、その他有価証券評価差額金の減少75百万円、資本剰余金の増加24百万円、自己株式の減少23百万円によるものです。なお、自己資本比率は78.6%となりました。
b.経営成績等の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
リカーリングについては、サブスクリプション売上が順調に増加したため、トータルで増加いたしました。ソフトウェア売上は、当社の戦略であるサブスクリプション売上への移行を実施したことに伴い減少したものの、減少幅を縮小することができたことから、当連結会計年度における売上高は2,301百万円(前年同期比13.7%増)となりました。
各製品の販売状況は、次のとおりであります。
戦略製品と位置付けている『ACMS Apex』『RACCOON』『ACMS WebFramer』は、前期の大型案件の影響もあり、全体で347百万円(前年同期比12.3%減)の結果となり、拡販に大きな課題を残す結果となりました。EDI製品を中心とした主力製品につきましては、既存市場の深耕という事業戦略で拡販を実行した結果、EDI系製品446百万円(前年同期比40.7%増)、EAI統合製品50百万円(前年同期比10.2%減)、Any系製品89百万円(前年同期比2.6%増)となりました。
各製品の成熟化が進んだことによる製品維持コストの増加に加え、リカーリングビジネスを推進するために「利便性の向上」、「品質の向上」、「安定性の向上」に重きを置いた開発方針への移行を進めた結果、売上原価は673百万円(前年同期比29.6%増)となりました。一方、増加した開発原価を売上高の伸長によって吸収し、売上総利益率は70.7%(前年同期比8.2%増)に改善いたしました。販売費及び一般管理費につきましては、開発方針の転換に伴う研究開発費の減少や、オンライン会議システムの活用による営業活動の効率化等により、1,186百万円(前年同期比8.6%減)となりました。
以上の結果、営業利益は442百万円(前年同期比113.6%増)、経常利益は458百万円(前年同期比109.4%増)、税金等調整後の親会社株主に帰属する当期純利益は322百万円(前年同期比94.0%増)となりました。
今後の課題といたしましては、『ACMS Apex』及び『RACCOON』の拡販によりデータ連携市場へ進出し、更なる事業領域の拡大を目指すとともに、既存マーケットであるEDIマーケットを深耕していくという事業戦略を推進していくことであると認識しております。
c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ250百万円の増加(前年同期比7.2%増)となり、当連結会計年度末には3,711百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、売上原価に係るもののほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。運転資金は自己資金を基本としておりますが、一部の取引においてファイナンス・リースを利用した資金調達を行っております。なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債残高は31百万円となっております。
d.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、人件費等の固定費水準が高く、変動費比率が低いことが挙げられます。そのため、売上高が増加した場合の増益額が他の事業形態に比べ大きい一方、売上高が減少した場合の減益額も他の事業形態に比して大きく、利益の変動額が大きい傾向にあります。また、システムインテグレーター等のパートナー(販売代理店等)との間接販売であることより、販売計画立案時に行政機関等からの秘匿性の高い案件を事前に察知することが困難な場合があり、開示している業績予想との乖離が発生する可能性があります。
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