文中の将来に関する事項は、当連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、再び、緊急事態宣言が出される等、経済活動の制約が継続していることもあり、先行きが見通せない状態となっています。
このような状況であるからこそ、当社がミッションとしている、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進がますます重要視されており、当社は、引き続き、DXを推進する事業を展開してまいります。
当社グループの事業は、技術の特徴で大きく分けると、デジタル家電組込みソフトウェア事業、映像AI解析・IoTソフトウェア事業、セキュリティ&プライバシー事業の3つに分けられます。
(デジタル家電組込みソフトウェア事業)・・・当社が主体
Blu-ray™再生ソフトウェアや高解像度(4K/8K)画像処理技術を基盤とした事業になります。当事業は、ロイヤリティ収入を主体としているため、Blu-ray™などを再生するデジタル家電機器(TV、Blu-ray™レコーダー、PCなど)の出荷台数に影響を受けます。
(映像AI解析・IoTソフトウェア事業)・・・当社が主体
映像解析・分析AIエンジンとIoT技術を組み合わせたエンドツーエンドのBtoB向けのソリューションを提供している事業になります。
当社は、建設現場における課題を解決するソリューション提供に特化して、事業を推進しております。
(セキュリティ&プライバシー事業)・・・タオソフトウエア㈱が主体
Android™のセキュリティ脆弱性診断やアプリ・サーバー構築に関する開発収入、データ移行・バックアップアプリ(JSバックアップ)に関するロイヤリティ収入(月額課金サービス収入を含む)を中心とした事業であります。
① 売上の分析
当社グループの売上高は、ロイヤリティ収入と受託開発収入が中心となっております。
(ロイヤリティ収入)
当社ソフトウェアが搭載されている顧客の製品種類は増えておりますが、世界的な半導体の供給不足が長引いており、生産・出荷数の落ち込んだ顧客製品があったこと等で、前期比88百万円の減収となりました。
(受託開発収入)
当連結会計年度の受託開発案件は、前連結会計年度の案件に比べ、開発規模が小さくなった案件があったこと等で、受託開発収入は前期比104百万円の減収となりました。
この結果、当社グループ全体としては、売上高は722百万円(前期比20.9%減)となりました。
売上形態別の売上高は、下表のとおりであります。
(単位:百万円未満切捨て)
② 売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益の分析
原材料評価減の戻入41百万円(売上原価のマイナス)を計上したこと等で、当連結会計年度における売上原価は前期比29.0%減の317百万円となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は398百万円(前期比8.3%減)、営業利益は6百万円(同79.6%減)となりました。
③ 営業外損益、経常利益の分析
当連結会計年度における営業外収益は、為替差益3百万円を計上したこと等で、6百万円(前期比84.2%増)となりました。他方、営業外費用は、為替差損がなくなったことで、0百万円(同100.0%減)となりました。その結果、経常利益は12百万円(前期比57.8%減)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純損益の分析
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1百万円(前期比89.2%減)となりました。
(単位:百万円未満切捨て)
中長期的な事業拡大と企業価値向上のため、当社グループが重要と考える経営指標は営業利益であり、当連結会計年度の営業利益は6百万円となりました。前々期までの3期連続で営業損失を計上しておりましたが、前連結会計年度に引き続き、2期連続で営業利益を計上できました。
また、当社グループが重要と考える、顧客別、製品別の売上および出荷台数は、ロイヤリティ収入の回復に向けて取り組んできた、高解像度(4K/8K)画像処理に関連する製品の拡充が寄与していると考えておりますが、半導体不足の影響を補うことはできず、ロイヤリティ収入は減収となりました。
(2)資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益1百万円を計上したことなどで、前連結会計年度末に比べ、22百万円増加し、1,133百万円になりました。
当社グループは、現預金を570百万円保有しており、流動負債106百万円を差し引いても、463百万円相当の手元流動性があります。
現預金が、前連結会計年度末に比べ、235百万円減少した要因は、ロイヤリティ費用を274百万円前払いしたことによるものであります。当該前払いにより、翌連結会計年度のキャッシュ・フローにはプラスの影響が出てくるため、その点でも、当社グループの手元流動性には支障はないと考えております。
また、当社グループの売上高は、ここ数年、販売先上位3社合計で6割程度を占めておりますが、いずれも販売代金回収に懸念するべき点はなく、その点においても、手元流動性には大きな懸念はないと考えております。
当社グループの投資は、主として、人材に対するものとなり、有形固定資産の取得に多額の支出をする予定はありませんが、企業価値向上に資すると考えるM&Aなどへの投資は必要に応じ適宜実施する意向であります。また、その際に必要となる資金には、保有する現預金を活用し、機動的に対応することを基本としますが、場合によっては、金融機関からの借入や新株発行を実施することも検討いたします。
当連結会計年度末におけるのれん残高は1百万円となっております。のれんは、将来において一時に費用計上される可能性を含んでいる資産になりますが、一部ののれんについては、当連結会計年度末までに減損損失を計上しており、また、定期償却が進んでいるため、のれん残高が当社グループの財政状態の健全性に与える影響は小さいと考えております。
(単位:百万円未満切捨て)
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが248百万円のマイナス(支出超過)となり、投資活動によるキャッシュ・フローの1百万円のマイナス(支出超過)、財務活動によるキャッシュ・フローの2百万円のプラス(収入超過)と合わせて、前連結会計年度末に比べ235百万円減少し、当連結会計年度末には570百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度のプラス(収入超過)から、248百万円のマイナス(支出超過)となりました。主な要因は、当連結会計年度でロイヤリティ費用を274百万円前払いしたことによります。当該前払いは一時的なものであり、この影響を除きますと、営業キャッシュ・フローは、26百万円のプラス(収入超過)であり、実質的に、前連結会計年度に引き続き、プラスを継続できていると考えております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ減少し、1百万円のマイナス(支出超過)となりました。ソフトウェアの取得や4K/8Kブラウザ開発のための機器購入が減少していることが反映されております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ増加し、2百万円のプラス(収入超過)となりました。内容は、新株予約権の行使による収入になります。
当連結会計年度の受託開発に係る生産実績は、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の受託開発に係る受注状況は、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績を販売形態別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.当連結会計年度のTVS REGZA株式会社(令和3年3月1日に東芝映像ソリューション株式会社より商号変更)に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。当該見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる各種の要因に関して仮定設定、情報収集を行い、見積金額を算出しておりますが、実際の結果は見積り自体に不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。
新型コロナウイルス感染症は、令和4年4-6月期以降に落ち着き、経済活動も正常化すると仮定し、半導体不足は、令和4年後半には不足感が緩和されていくと想定しております。当社グループに与える影響は軽微であると考えております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2) 財政状態の分析
① 流動資産
当連結会計年度末の流動資産は1,189百万円であり、前連結会計年度末と比べ17百万円増加しました。これは、ロイヤリティ費用の前払い等により現預金が235百万円減少した一方、原材料が263百万円増加したことによります。
なお、現預金残高570百万円の水準は、当社グループの運転資金としては十分な水準であり、当社グループの資産の流動性は十分な水準にあると考えております。
② 固定資産
当連結会計年度末の固定資産は、60百万円であり、前連結会計年度末と比べ28百万円減少しました。主な要因は、定期償却によりのれんが16百万円減少したことによります。
③ 流動負債
当連結会計年度末の流動負債は、106百万円であり、前連結会計年度末と比べ34百万円減少しました。これは、主に未払消費税等および未払法人税等が、それぞれ19百万円、12百万円減少したことによります。
④ 固定負債
当連結会計年度末の固定負債は、9百万円であり、前連結会計年度末からほぼ増減はありません。
⑤ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、1,133百万円であり、前連結会計年度末と比べ22百万円増加しました。これは、主に為替換算調整勘定が12百万円増加したことや親会社株主に帰属する当期純利益1百万円を計上したことなどによります。
(3) 経営成績の分析
① 売上高の分析
「(業績等の概要)(1)業績」をご参照下さい。
② 売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益の分析
原材料評価減の戻入41百万円(売上原価のマイナス)を計上したこと等で、当連結会計年度における売上原価は前期比29.0%減の317百万円となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は398百万円(前期比8.3%減)、営業利益は6百万円(同79.6%減)となりました。
③ 営業外損益、経常利益の分析
当連結会計年度における営業外収益は、為替差益3百万円を計上したこと等で、6百万円(前期比84.2%増)となりました。他方、営業外費用は、為替差損がなくなったことで、0百万円(同100.0%減)となりました。その結果、経常利益は12百万円(前期比57.8%減)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益の分析
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益を1百万円(前期比89.2%減)となりました。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループは、主にマルチメディアとワイヤレスコネクティビティの要素技術を駆使した分野でスマートデバイス向けのソフトウエア製品を提供することにより、事業規模を拡大させてまいりました。従いまして、中期的な成長を実現させるためには、当該市場における技術的な優位性の確保と市場ニーズに迅速に適応した付加価値の高い製品をタイムリーに市場に投入する必要があることに加え、新たな事業領域への進出が必要になります。
経済のデジタル化が進み、モノからコトへと経済価値の源泉が移りつつあると言われておりますので、当社グループも、従来の受託開発収入、ライセンス収入また保守サポート収入以外に、サブスクリプションモデルやサービスモデルの収入を伸ばしていく必要性があると考えております。
一方、新型コロナウイルス感染症の影響により、在宅勤務でのPC需要といった形で、デジタルデバイスの存在や価値が改めて認識されている状況にあります。
当社グループでは、これらの市場環境の変化に迅速に対応し技術的な優位性を維持しつつ、かつ市場ニーズに適応した付加価値の高い競争力のある製品を投入することおよび変化した市場ニーズに応じた収益モデルの構築が重要であることを認識し、事業運営を行っておりますが、これらの市場の変化、事業環境の変化に当社グループが迅速かつ柔軟に対応できなければ、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
その他の経営成績に重要な影響をあたえるリスクに関しては、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
(5) キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(経営成績等の状況の概要)(3)キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
(6) 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しにつきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(7)経営者の問題意識と今後の方針
当社グループは、前々期までの赤字から脱却し、2期連続で黒字を計上しましたが、赤字が続いていた期間の累計赤字は340百万円に達しておりました。当連結会計年度末の自己資本比率は90.7%と健全な水準を保っており、翌連結会計年度(令和4年12月期)の親会社株主に帰属する当期純純利益の黒字額は1百万円と少ない見込みであります。
当社グループが重要な指標と考えている営業利益は、当連結会計年度では6百万円を計上しました。この営業利益の水準では、予期していない事態やリスクが顕在化した場合に、その影響を吸収するには心許ないと考えており、営業利益の水準を上げる必要があると考えております。翌連結会計年度(令和4年12月期)の営業利益は、20百万円を予想しております。
少数の顧客に対する売上高が、売上高全体に占める割合が依然高く、建設DX事業の売上を伸ばして、全体の売上増加を目指しつつ、少数の顧客に対する依存度は低下させる必要があると考えております。
ロイヤリティ収入の底上げ、原価低減や経費節減の効果が現れ、赤字体質からは脱却できている状況で、新製品・新サービスを通じて、新規顧客の開拓を推進することに加え、既存製品の横展開による少数の顧客以外への販売の底上げを図り、少数の顧客への売上高の集中度合を減らすと同時に営業利益水準の向上を目指してまいります。
今後も、現在の保有技術、事業環境および入手可能な各種情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう努めてまいります。
詳しくは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
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