文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表の作成においては、連結財務諸表の計上額に影響を及ぼす一定の見積り及び仮定を行う必要があり、これには困難かつ複雑、並びに主観的な判断を伴います。その性質上、判断には本質的に不確実性が含まれます。判断は、必要に応じて、過去の経験、現在の契約の条件、関係業界の動向の観察、取引先から提供される情報及びその他外部の利用可能な情報に基づいて行われます。当社の見積り及び判断は、見積り及び判断が行われた状況下では合理的であると考えていますが、これらの判断が、結果的に正しい、あるいは、将来の期間における実際の報告結果が、会計処理に反映された当初予想と異ならないことを保証するものではありません。売上収益を含むこれらの詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。
売上収益
コミュニケーション-LINEスタンプ、クリエイターズスタンプ及び絵文字
当社グループは、LINEスタンプ、クリエイターズスタンプ及び絵文字の販売に起因する収益を、使用やユーザーの行動に係る過去のデータを考慮し、ユーザーがLINEスタンプ、クリエイターズスタンプ及び絵文字を使用すると見込まれる期間にわたり、定額法で認識しています。
コンテンツ-LINE GAME及びアプリケーション
外部コンテンツプロバイダが開発したゲーム
当社グループは、外部コンテンツプロバイダが開発したゲームに係る収益を、ユーザーへの販売額から外部コンテンツプロバイダ及び決済処理サービスプロバイダへの支払額を控除した後の純額で、主として、ユーザーがゲーム内電子アイテムを購入したときに認識しています。
内部開発したゲーム及びアプリケーション
当社グループは、当社グループが開発したゲーム内又はアプリ内電子アイテムの販売に係る収益を、ユーザーへの販売額をもとに、購買パターンやログイン情報、ユーザーの電子アイテムの削除状況などの過去のデータを考慮し、ユーザーが便益を消費すると見込まれる期間にわたり、認識しています。特に永久性アイテムについては、(イ)アイテムの見積使用期間にわたる定額法、又は、(ロ)アイテムの使用期間を見積もることができない場合には、ゲームボード若しくはアプリから削除されたアイテム分を調整したうえで、課金ユーザーの見積平均プレイ期間にわたる定額法、のいずれかの方法で認識しています。当社グループがユーザーの使用状況を分析するための十分なデータを有していない場合で、かつ、ゲーム寿命を合理的に見積もるための類似のゲーム又はアプリを参照できない場合、当社グループは、過去データが十分になるまで販売額の全額を繰り延べています。
LINE広告及びポータル広告
当社グループは、LINE公式アカウント、LINEスポンサードスタンプは、当該広告契約期間にわたり定額法で売上収益を認識しています。LINEポイントサービスについては、LINEポイント広告を通じてユーザーにLINEポイントが付与された時点で売上収益を認識しています。ウェブポータル広告については、当該広告契約期間にわたり定額法で、又は契約上の特定の要件を達成した時点で売上収益を認識しています。
その他
物品の販売に係る収益は、主として、物品の所有に伴う重要なリスク及び経済価値が買手に移転したときに認識しています。通常、それは物品の引渡し時点であります。物品の販売による売上収益は、返品や値引を加味した、受領又は受領可能な対価の公正価値により測定しています。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績
主要なサービスからの収益
(単位:百万円)
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2018年度 |
|
2019年度 |
コア事業 |
|
|
|
広告 |
|
|
|
ディスプレイ広告 (1) |
36,221 |
|
49,655 |
アカウント広告 (2) |
56,714 |
|
62,654 |
その他の広告 (3) |
15,302 |
|
12,533 |
小計 |
108,237 |
|
124,842 |
コミュニケーション・コンテンツ・その他 |
|
|
|
コミュニケーション (4) |
28,527 |
|
28,319 |
コンテンツ (5) |
38,237 |
|
38,344 |
その他 |
3,397 |
|
5,206 |
小計 |
70,161 |
|
71,869 |
コア事業合計 |
178,398 |
|
196,711 |
|
|
|
|
戦略事業 |
|
|
|
Friends(6) |
19,579 |
|
19,189 |
その他(7) |
9,205 |
|
11,585 |
戦略事業合計 |
28,784 |
|
30,774 |
総合計 |
207,182 |
|
227,485 |
(1) ディスプレイ広告からの売上収益は主にタイムライン面、スマートチャネル面、LINE News面等に掲載される広告から構成されます。
(2) アカウント広告からの売上収益は主にLINE公式アカウント、LINEスポンサードスタンプ、LINEポイント等から構成されます。
(3) その他の広告 からの売上収益は主にlivedoor、NAVERまとめ、LINE バイトでの広告から構成されます。
(4) コミュニケーションからの売上収益は、主にLINEスタンプ及びクリエイターズスタンプの提供から構成されます。
(5) コンテンツからの売上収益は、主にLINE GAMEの仮想アイテムの販売に係る収益から構成されます。
(6) Friendsは主にキャラクター商品の販売から構成されます。
(7) その他は主にEコマースに係るサービスに係る収益から構成されます。
2019年度における売上収益は 227,485 百万円(2018年度比 9.8 %増)となりました。売上収益が増加した主な要因は、広告の売上増加によるものです。
2019年度における営業損失は
38,997
百万円(2018年度は
16,110
百万円の利益)となりました。
売上収益が増加した一方、営業損失となった要因は、主に、以下のとおりです。
その他の営業収益
前期はLINE モバイル株式会社及びLINE Games Corporationが持分法適用関連会社へ変更したことに伴う支配喪失による利益 24,794百万円がありましたが、当期は発生しなかったことにより、その他の営業収益が24,888百万円減少しております。
決済手数料及びライセンス料
前述の売上収益の増加に伴い、決済手数料及びライセンス料が5,051百万円増加しております。
従業員報酬費用
主に人員数増加に伴い、従業員報酬費用が12,772百万円増加しております。
マーケティング費用
主にFintechをはじめとした各種プロモーション実施に伴い、マーケティング費用が12,711百万円増加しております。
外注費及びその他のサービス費用
主にFintechの開発費用や広告のコンテンツ手数料増加により、外注費及びその他のサービス費用が10,067百万円増加しております。
減価償却費及び償却費
主にIFRS第16号「リース」の適用による建物などの使用権資産の償却費の計上により、減価償却費及び償却費が11,602百万円増加しております。
その他の営業費用
商品原価の増加、子会社の増資に伴う租税公課の発生、LINEポイント広告に関連する費用が増加する一方、IFRS第16号「リース」の適用により支払賃借料等が減少したことなどにより、その他の営業費用は2,054百万円減少しております。
2019年度における継続事業に係る税引前損失は 51,616 百万円(2018年度は 3,354 百万円の利益)となりました。継続事業に係る税引前損失となった要因は、主に、前述の営業損失となった要因に加え、金融資産の評価益が増加した一方、持分法による投資損失が増加したことによるものです。
2019年度における当期純損失は 51,416 百万円(2018年度は 5,792 百万円の損失)となりました。当期純損失が増加した要因は、主に前述の継続事業に係る税引前損失が増加した要因と同様です。
以上より、2019年度における当社の株主に帰属する当期純損失は 46,888 百万円(2018年度は 3,718 百万円の損失)となり、売上収益を除き前期実績との大幅な差異が生じました。
セグメント別損益
当社グループはコア事業及び戦略事業の報告セグメントを有しております。各セグメント別損益の状況は以下のとおりです。
コア事業
コア事業の売上収益は196,711百万円(2018年度比10.3%増)となり、セグメント営業利益は31,584百万円(2018年度比18.9%増)となりました。
コア事業の増収及び増益の主な要因は、アカウント広告やディスプレイ広告が好調だったことによる広告売上の増収がコア事業の増収及び増益に貢献したことによるものです。
戦略事業
戦略事業の売上収益は30,774百万円(2018年度比6.9%増)となり、セグメント営業損失は66,557百万円となりました(2018年度は34,931百万円の損失)。
戦略事業の売上収益の主な増収要因は、FintechやEコマースに関連する売上収益が増加したことによるものです。戦略事業の損失の主な増加要因は、Fintechに関連する開発やマーケティング費用の増大によるものです。
セグメント別損益の詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5. セグメント情報」に記載しています。
② キャッシュ・フローの状況
2019年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、2018年度末に比べ39,633百万円減少し、残高は217,345百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは2018年度が9,122百万円の収入であったのに対し、2019年度は3,105百万円の支出となりました。主な資金の減少要因は、継続事業に係る税引前損失を計上したことによるものです。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに区分されていた賃借料等の支払い9,167百万円が、IFRS第16号の適用により、リース負債の元本の返済による支出として財務活動によるキャッシュ・フローに区分されています。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは2018年度比9,751百万円の支出の減少となり、43,133百万円の支出となりました。主な支出の減少要因は、資本性及び負債性投資の取得による支出が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは2018年度比172,289百万円の収入の減少となり、6,112百万円の収入となりました。主な収入の減少要因は、2018年度は社債の発行による収入がありましたが、2019年度はなかったことによるものです。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに区分されていた賃借料等の支払い9,167百万円が、IFRS第16号の適用により、リース負債の元本の返済による支出として財務活動によるキャッシュ・フローに区分されています。
③ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因といたしましては、外部要因として、①スマートフォンアプリケーション市場の環境、②競争の激化、③技術革新、④法的規制、⑤海外の政治・経済的状況、⑥風評、⑦為替等の影響等が挙げられます。また、内部要因としては、①サービスリリースやコンテンツ開発の時期、②内部管理体制、③システム障害等が挙げられます。そのため、人材の確保・育成、内部管理体制の強化等により組織体制の整備を行い、有力企業との提携やM&A、新規事業の積極的な開拓等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散及び抑制し、適切に対応していく所存です。
[調整後EBITDA及び調整後当期純利益]
また、当社グループでは、財務及び事業の意思決定目的のため、以下に示す各連結会計年度の調整後EBITDA及び調整後当期純利益を非IFRS財務指標として活用しています。
(単位:百万円)
|
|
2018年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) |
|
2019年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
調整後EBITDA |
|
29,773 |
|
△12,011 |
調整後当期純利益(△は損失) |
|
△3,759 |
|
△47,783 |
各連結会計年度に係る調整後EBITDA及び調整後当期純利益は、調整前の数値によって歪められる可能性のある当社グループの事業の根底にある傾向を識別するのに役立つと考えています。
したがって、当社グループの財務及び経営成績に関する意思決定においては、各連結会計年度に係る調整後EBITDA及び調整後当期純利益を当社グループの過去の実績と今後の展望の全体的な理解を判断する際の有益な指標として活用しています。
他方、当社グループの財務動向や業績動向を表す指標として有益である損益計算書の各数値やキャッシュ・フロー計算書の各数値に対し、各連結会計年度に係る調整後EBITDA及び調整後当期純利益は、それに置き換わるほどの有益な指標としてまでは解釈されるべきではありません。また、他社では、各連結会計年度に係る調整後EBITDA及び調整後当期純利益に関して、同様の名称を用いて当社とは異なる基準で算出する可能性があることから、比較する指標としてもその有用性が制限され、又は比較不能であることに留意が必要となります。
調整後EBITDAは、営業活動から発生する利益又は損失(財務収益、財務費用、持分法による投資損益、為替差損益、その他の営業外収益及び費用、法人所得税 を含まない利益又は 損失 )から 株式報酬費用、減価償却費及び償却費の影響を除外した利益又は損失を示しています。
また、調整後当期純利益は、 当期純利益から株式報酬に関連する損益、非継続事業に係る純損益による影響を除外した利益を示しています。なお、MixRadioに関連する損益は非継続事業に係る純損益として調整しています。
調整後EBITDAに関して、営業利益 (△は損失) からの調整過程は以下のとおりです。
(単位:百万円)
|
|
2018年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) |
|
2019年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
営業利益(△は損失) |
|
16,110 |
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△38,997 |
調整:株式報酬費用 |
|
2,528 |
|
4,249 |
調整:減価償却費及び償却費 |
|
11,135 |
|
22,737 |
調整後EBITDA |
|
29,773 |
|
△12,011 |
また、調整後当期純利益に関して、当期純損失からの調整過程は以下のとおりです。
(単位:百万円)
|
|
2018年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) |
|
2019年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
当期純損失 |
|
△5,792 |
|
△51,416 |
調整:株式報酬費用(税金考慮後) |
|
2,409 |
|
4,217 |
調整:非継続事業に係る税引後純利益 |
|
△376 |
|
△584 |
調整後当期純利益(△は損失) |
|
△3,759 |
|
△47,783 |
|
|
|
|
|
株式報酬費用 |
|
2,528 |
|
4,249 |
株式報酬費用に係る税金 |
|
△119 |
|
△32 |
株式報酬費用(税金考慮後) |
|
2,409 |
|
4,217 |
[経営上の重要な非財務指標]
当社グループでは、経営上の重要な非財務指標として、以下に記載の日現在の又は以下に記載の期間における各種指標を活用しています。
(単位:百万人)
|
2018年 |
|
2019年 |
||||||||||||
|
3月 |
|
6月 |
|
9月 |
|
12月 |
|
3月 |
|
6月 |
|
9月 |
|
12月 |
MAUs合計(注1) |
194 |
|
192 |
|
191 |
|
188 |
|
187 |
|
186 |
|
185 |
|
185 |
日本 |
75 |
|
76 |
|
78 |
|
79 |
|
80 |
|
81 |
|
82 |
|
83 |
台湾、タイ、インドネシア |
90 |
|
88 |
|
87 |
|
85 |
|
84 |
|
83 |
|
82 |
|
82 |
(注)1. 月間アクティブユーザー数
MAUの変動はLINEプラットフォーム上で行われる取引の数、当社グループの顧客である広告主の数及び広告単価、そしてこれらに関連して当社グループで発生する費用に影響を及ぼします。2019年度においては、日本のMAUは昨年に引き続き増加傾向であります。また台湾及びタイのMAUの合計は増加傾向でありますが、一方でインドネシアのMAUの合計は減少傾向であります。主に各国におけるメッセンジャー・アプリ間の競争が激しくなった影響があります。インドネシアにつきましては、ロイヤリティの高いコアユーザーをターゲットとし、コンテンツ事業とFintech事業にリソースを集中させることで収益化を図ります。
今後も引き続き当社グループは、継続的なイノベーションを通じてユーザーの生活に必要不可欠なサービスを提供し続けます。その結果、企業価値及び株主価値の最大化へ繋がると考えております。同時にアクティブユーザーを維持・拡大させる努力を続けるとともに、重要な市場においてMAUの成長をこれからも追及します。その一環として、プロモーションを通してユーザーがより多くのメッセージを交換し、友だちを増やすことを促すと同時に、当社グループのゲームやコンテンツを使って友だち同士で相互に作用する手段を拡充していきます。
④ 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
(のれんの償却に関する事項)
日本基準について、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却することとしておりますが、国際会計基準では償却しておりません。この影響により国際会計基準では日本基準に比べて、2019年度におきましては、のれん償却額(営業費用)が2,184百万円減少しております。
(支配の喪失に関する事項)
親会社が子会社に対する支配を喪失した場合、国際会計基準では旧子会社に対して保持している投資を支配喪失日の公正価値で認識しますが、日本基準では公正価値では認識しません。なお、2019年度におきましては、該当事項はありません。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資本の財源は営業活動によるキャッシュ・フロー、2016年7月の上場による有償増資、2018年9月の社債発行及び銀行からの借入で構成されています。当社グループは継続的に予想キャッシュ・フローを管理し、運転資金及びその他の資金需要を充足できるよう、流動性リスクを管理しています。また、資金の効率的な管理のために金融機関と契約し、借入枠を確保することにより流動性リスクを低減することを図っています。当社グループは営業活動によるキャッシュ・フロー、現在と将来の資金調達契約(転換社債をはじめとする社債の発行及び長短期借入契約)及び手元の現金及び現金同等物は向こう12カ月の資金需要を充足していると見積もっています。しかし、当社グループは将来に投資、買収若しくは戦略的提携の機会があった場合、追加的な財源が必要になる可能性があります。仮に当社グループが資金の需要が利用可能な資金を超えていると判断した場合、当社グループは追加の資金調達をする可能性があります。
⑥ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績及び商品仕入実績
2019年度における生産実績及び商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称 |
2019年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
コア事業 |
147 |
2,474.5% |
|
戦略事業 |
15,216 |
164.1% |
|
合計 |
15,363 |
165.5% |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2.当社グループは主に「LINE」のIPを利用したキャラクター商品を販売しており、自社生産設備を持たず、委託生産及び商品仕入を行っています。なお、上表の金額は外部委託による仕入価格を基準に記載しています。
b. 受注実績
当社グループは受注生産を行っていないため、受注実績は記載していません。
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