業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりである。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により依然として厳しい状況が続いたが、感染拡大の防止策が講じられ社会経済活動が正常化に向かう中で、各種政策効果や海外経済の改善もあって、設備投資や企業収益を中心に持ち直しの動きがみられるようになった。その一方で、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降は、わが国をはじめ世界経済の先行きに一気に不透明感が増してきた。
 このような経済環境の中で、板紙業界においては、景気の持ち直しの動きに支えられ、生産量は前年を上回った。
 段ボール業界においては、加工食品や電気・機械器具向けが堅調に推移したほか、通販・宅配など幅広い分野で需要が好調を維持したことにより、生産量は前年を上回った。
 紙器業界においては、個人向けの加工食品や薬品などは伸長したが、業務用食品、オフィス関連需要などの減少とともに他素材へのシフトも相まって、生産量は前年を下回った。
 軟包装業界においては、脱プラスチックの動きはあるものの、食品関係を中心とする堅調な需要に支えられ、生産量は前年を上回った。
 重包装業界においては、食品関連向けは低調に推移したが、石油化学関連の需要回復を受けて、生産量は前年を上回った。

以上のような状況のもとで、当社グループは、あらゆる産業の全ての包装ニーズをイノベーションする「ゼネラル・パッケージング・インダストリー」=GPIレンゴーとして、営業力の強化、積極的な設備投資やM&A等を通じ、業容拡大と収益力向上に鋭意取り組んできた。

また、世界的な原燃料価格の高騰、補助材料や物流経費の大幅な上昇に対し、徹底したコストダウンにより価格の維持に努めてきたが、自社努力だけでは抗し難い状況となったため、2021年9月出荷分からのセロファン、2022年2月出荷分からの段ボール原紙をはじめとする板紙製品ならびに段ボール製品の価格改定を推し進めるとともに、ポリプロピレンフィルム、軟包装製品についても同様に取り組んできた。

2021年8月、2018年3月末に閉鎖した淀川工場の跡地(大阪市福島区)に、段ボール原紙の新たな物流拠点として淀川流通センターを開設し、倉庫管理システムやトラック誘導システムにITを導入するとともに、無人運転のクランプリフトを採用する等により、物流現場の業務改革の推進を図った。あわせて、同センター内に中央研究所を移転、共創をコンセプトに施設を一新することにより研究開発体制を強化した。

9月には、事業再生支援を進めていた大興製紙株式会社(静岡県富士市)を子会社化し、クラフトパルプ、クラフト紙の製造・販売事業に進出した。

また、2022年1月には関東地区において、ホワイト物流の推進を図るべく、段ボール原紙の新たな物流拠点として八潮第二流通センターを開設した。

 

2月、ヒロパックス株式会社(群馬県高崎市)を子会社化したほか、3月には大津製函株式会社(滋賀県大津市)を子会社化し、関東および京滋地区における段ボール事業を強化した。同じく3月には、製紙機械の設計・開発分野に事業展開する永井鉄工株式会社(兵庫県尼崎市)を子会社化するとともに、軟包装の一貫生産メーカーである株式会社タキガワ・コーポレーション・ジャパン(千葉県船橋市)を含むグループ会社6社を子会社化し国内外において軟包装事業の製造・販売拠点および製品ラインアップを大幅に拡充した。

海外においては、2021年8月、タイ・コンテナーズ・グループ社が、同社の子会社を通じてインドネシアの段ボールメーカーの株式を取得し、同国における段ボール事業の拡充を図った。さらに9月には、ベトナムにおいて、ビナクラフトペーパー社が、同国の旺盛な段ボール需要に対応するため、新たな段ボール原紙生産拠点の建設を決定した。

ESG経営における環境への取組みは、“Less is more.”をキーワードに掲げる当社グループとして最も優先すべき課題であり、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、2021年4月に2030年度を達成年度とする環境目標「エコチャレンジ2030」を策定し、さらに8月にはCO2排出量削減目標を「2013年度比46%削減」に引き上げた。
 この結果、当連結会計年度の売上高は、746,926百万円(前期比109.7%)、営業利益は33,279百万円(同83.3%)、経常利益は36,641百万円(同84.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は28,188百万円(同98.6%)となった。主な内容は次のとおりである。

売上高については、加工食品や電気・機械器具向けが堅調に推移したほか、通販・宅配など幅広い分野で需要が好調を維持したことにより増収となった。
 営業利益および経常利益については、原燃料価格の上昇や固定費の増加等により減益となり、親会社株主に帰属する当期純利益についても、特別利益に固定資産売却益を計上したことで特別損益の改善はあったものの減益となった。

当連結会計年度の売上高経常利益率については、4.9%と目標を1.1ポイント下回った。これは主に原燃料価格の上昇等によるものであるが、現在、当該コストアップを回収できる適正な水準を維持するべく、製品価格の改定に取り組んでおり、収益拡大を図っている。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。

 

[板紙・紙加工関連事業]
 板紙・紙加工関連事業については、販売量の増加により増収となったが、原燃料価格の上昇や固定費の増加により減益となった。
 この結果、当セグメントの売上高は448,838百万円(同103.7%)、営業利益は22,657百万円(同79.8%)となった。
 
 主要製品の生産量は、次のとおりである。
 (板紙製品)
 板紙製品については、景気の持ち直しの動きに支えられ、生産量は2,586千t(同107.2%)となった。
 (段ボール製品)
 段ボール製品については、食品や通販・宅配向けなどの底堅い需要に加えて、工業製品、電気・機械器具向けが堅調に推移したことにより、生産量は段ボール4,356百万㎡(同102.9%)、段ボール箱3,591百万㎡(同102.9%)となった

 

[軟包装関連事業]
 軟包装関連事業については、連結子会社の増加により増収となったが、原料価格の上昇により減益となった。
 この結果、当セグメントの売上高は93,979百万円(同112.8%)、営業利益は2,064百万円(同51.9%)となった。
 

[重包装関連事業]
 重包装関連事業については、業務用食品関連の需要減および原料価格の上昇等により減収減益となった。
 この結果、当セグメントの売上高は42,380百万円(同97.9%)、営業利益は1,621百万円(同77.7%)となった。
 

[海外関連事業]
 海外関連事業については、新型コロナウイルス感染症拡大によって落ち込んだ需要の回復を受けて増収増益となった。

  この結果、当セグメントの売上高は126,518百万円(同144.0%)、営業利益は4,880百万円(同146.6%)となった。

 

[その他の事業]
 その他の事業については、貨物量の回復および紙器機械等の需要が持ち直したことにより増収となったが、原燃料価格の上昇等により減益となった
  この結果、当セグメントの売上高は35,210百万円(同104.9%)、営業利益は1,943百万円(同96.1%)となった。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりである。

 

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

セグメントの名称

生産高

前期比(%)

板紙・紙加工関連事業

 

 

板紙(千t)

2,586

107.2

段ボール(百万㎡)

4,356

102.9

段ボール箱(百万㎡)

3,591

102.9

海外関連事業

 

 

段ボール(百万㎡)

304

109.1

段ボール箱(百万㎡)

280

109.1

 

 

 

② 受注実績

当社グループにおいては、紙器機械等一部の事業で受注生産を行っているが、その重要性が乏しいため記載を省略している。
 その他の製品については、見込み生産を行っているか、受注生産であっても生産と販売の関連において製品の回転が極めて速く、月末(または期末)における受注残高が少ないため、記載を省略している。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

板紙・紙加工関連事業

448,838

103.7

軟包装関連事業

93,979

112.8

重包装関連事業

42,380

97.9

海外関連事業

126,518

144.0

その他の事業

35,210

104.9

合計

746,926

109.7

 

(注) 当連結会計年度において、海外関連事業の販売実績が著しく増加している。これは、トライウォールグループの業績が寄与したことによるものである。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、主に受取手形及び売掛金の増加や有形固定資産の増加により934,345百万円となり、前連結会計年度末に比べ64,353百万円増加した。
 負債は、主に支払手形及び買掛金の増加や長短借入金の増加により580,056百万円となり、前連結会計年度末に比べ34,527百万円増加した。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加や、為替レート変動に伴う為替換算調整勘定の増加等により354,289百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,826百万円増加した。
 この結果、自己資本比率は36.6%となり、前連結会計年度末に比べ0.6ポイント上昇した。また、1株当たり純資産額は1,380円74銭となった。

また、D/Eレシオについては1.0倍となり、目標の1.5倍以下を達成している。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は57,835百万円となり、前連結会計年度末の残高と比べ7,736百万円増加した。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりである。
  営業活動による資金の増加額は57,893百万円(前連結会計年度に比べ8,107百万円の収入の減少)となった。主な内訳は、税金等調整前当期純利益41,437百万円、減価償却費41,723百万円、法人税等の支払額13,859百万円である。
  投資活動による資金の減少額は54,680百万円(前連結会計年度に比べ8,673百万円の支出の増加)となった。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出46,216百万円、関係会社株式の取得による支出12,741百万円である。

財務活動による資金の増加額は1,860百万円(前連結会計年度に比べ9,153百万円の収入の増加)となった。主な内訳は、社債の発行による収入20,000百万円、社債の償還による支出10,302百万円、配当金の支払額5,965百万円である。

資本の財源および資金の流動性について、当社グループは、資金調達については銀行借入および社債発行により行っている。また、キャッシュマネジメントサービスを国内子会社に導入しており、グループ全体における効率的な資金活用による有利子負債の削減と金融収支の改善を図っている。

 

(4) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いているが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは第5「経理の状況」 1「連結財務諸表等」「注記事項」 (重要な会計上の見積り)、(追加情報)に記載している。

 

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