業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

  (1) 経営成績

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、様々な経済活動の制限、個人消費の低迷が続きました。ワクチン接種率の上昇や緊急事態宣言解除による段階的な経済活動の再開に伴い、景気の持ち直しが期待されるものの、為替相場の動向やウクライナ情勢の緊迫化、原油価格・原材料価格等の高騰といった国内経済の下振れリスクへの懸念もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております

当社グループを取り巻く経営環境につきましては、コロナ禍における生活様式の変化により、ECサイト向けの宅配資材需要が拡大したものの、百貨店を始めとした来店型事業における包装資材需要は、コロナ前の水準までの回復には至っておらず、原材料・物流コストの高騰、急速な円安進行といった外部要因による影響もあり、非常に厳しい状況で推移いたしました

また、プラスチック製レジ袋の有料化から1年以上が経過し、当社グループの主力製品であるレジ袋の販売規模縮小に底打ち感が見えてまいりました。今後は、環境に配慮した素材やプラスチック製包材の紙化提案といった販促活動を推進し、ESGやSDGsといった環境対策に取り組むお客様とともに、循環型経済社会の実現を目指します。

このような環境のもと、2021年6月30日に当社グループの中期経営計画『次世代パッケージ企業への転換』を公表いたしました。『環境対応と成長基盤確立のための3ヵ年~本気の変革~』を基本方針とした事業構造改革の初年度として、「コスト削減」、「不採算事業の改善」、「新規事業の発掘」、「業務フローの効率化」、「組織・人員の見直し」などに取り組み、引き続き環境戦略の強化、構造改革の徹底及び事業の見極めに努めてまいりました。当期においては、レジ袋を生産するグループ会社の操業停止とそれに伴う固定資産の売却及び人員の調整を行いました。また、国内複数拠点の閉鎖に加え希望退職者の募集を行い、経営資源の効率的な活用を図るとともに、今後の収益性の改善に向けた取り組みを加速してまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は25,134百万円(前年同期比4.3%減)、営業損失496百万円(前年同期は営業損失137百万円)、経常損失503百万円(前年同期は経常損失150百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失642百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失383百万円)となりました

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

なお、各セグメントのセグメント損益(営業損益)は、「セグメント情報等」に記載のとおり、各セグメントに配分していない全社費用607百万円を配分する前の金額であります。

 「紙製品事業」

紙製品事業につきましては、人流の増加に伴い紙製包装資材の需要に一定の回復が見られたことなどから、主力の角底袋、手提袋及び紙器の販売数量・金額が増加し、売上高は前年同期に比べ977百万円増加して11,062百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は生産数量増加により生産利益が増加、仕入品の粗利益額も増加したことから、前年同期に比べ240百万円増加して392百万円となりました

 

 「化成品事業」

化成品事業につきましては、レジ袋有料化やプラスチック製包装資材の紙化といった環境対応の影響により得意先の需要が大きく減少し、またグループ会社の操業を停止したことなどから、主力のレジ袋、ポリ手提袋及びポリ宅配袋の販売数量・金額が減少し、売上高は前年同期に比べ2,170百万円減少して7,461百万円となりました。セグメント損益(営業損益)は売上高減少に加えて円安による輸入価格の上昇や原材料・海上輸送費の高騰などにより粗利益額が減少し、販売管理費が減少したものの、前年同期に比べ715百万円減少して394百万円の損失となりました。

 「その他事業」

その他事業につきましては、S・V・S(スーパーバッグ・ベンダー・システム)を主たる事業として展開しておりますが、得意先の需要が営業再開により回復したことなどから、売上高は前年同期に比べ73百万円増加して6,610百万円となりました。品目ごとの販売構成では、包装用品、清掃用品、ファーストフード資材及びSVS商品が増加する一方で、事務用品、ギフト用品が減少しております。セグメント利益(営業利益)は粗利益額は微増となり、販売管理費が減少したことから、前年同期に比べ26百万円増加して112百万円となりました。

 

 

②生産、受注及び販売の実績
 イ 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

紙製品事業

7,921

+18.6

化成品事業

1,526

△35.0

合計

9,447

+4.7

 

 

(注) 1.金額は販売価格により算出しております。

2.当連結会計年度において、化成品事業の受注実績に著しい変動がありました。これは、レジ袋有料化やプラスチック製包装資材の紙化といった環境対応の影響により得意先の需要が大きく減少し、またグループ会社の操業を停止したことなどによるものであります。

 

 ロ 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

紙製品事業

11,178

+14.1

928

+14.2

化成品事業

7,338

△21.0

522

△19.0

その他事業

6,626

+0.4

506

+3.3

合計

25,143

△2.1

1,957

+0.5

 

 

(注) 当連結会計年度において、化成品事業の受注実績に著しい変動がありました。これは、レジ袋有料化やプラスチック製包装資材の紙化といった環境対応の影響により得意先の需要が大きく減少し、またグループ会社の操業を停止したことなどによるものであります。

 

 ハ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

紙製品事業

11,062

+9.7

化成品事業

7,461

△22.5

その他事業

6,610

+1.1

合計

25,134

△4.3

 

 

(注) 当連結会計年度において、化成品事業の受注実績に著しい変動がありました。これは、レジ袋有料化やプラスチック製包装資材の紙化といった環境対応の影響により得意先の需要が大きく減少し、またグループ会社の操業を停止したことなどによるものであります。

 

(2) 財政状態

総資産は、前連結会計年度末に比べ772百万円減少して13,779百万円となりました。流動資産は、現金及び預金が760百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が507百万円減少、棚卸資産が109百万円減少、未収入金が61百万円減少、前渡金が57百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ15百万円減少の9,367百万円となりました。固定資産は、設備投資等により132百万円増加した一方、固定資産の売却及び除却で464百万円減少、減価償却で327百万円減少、減損損失の計上で159百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ757百万円減少の4,411百万円となりました。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ173百万円減少して11,325百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が185百万円増加、電子記録債務及び設備電子記録債務が258百万円増加した一方、短期借入金及び長期借入金が366百万円減少、リース債務が96百万円減少、役員退職慰労引当金が83百万円減少、退職給付に係る負債が85百万円減少したことなどによるものであります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ599百万円減少して2,453百万円となりました。これは、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純損失計上により642百万円減少したことなどによるものであります。この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ304.16円減少し1,597.38円に、自己資本比率は、前連結会計年度末の20.0%から17.7%になりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,301百万円となり、前連結会計年度末に比べ755百万円増加しております。その内訳は次のとおりであります

「営業活動によるキャッシュ・フロー」

当連結会計年度末における営業活動による資金の増加は、500百万円(前年同期は118百万円の減少)となりました。

これは、税金等調整前当期純損失678百万円、事業構造改革による支出413百万円等資金が減少したものの、減価償却費327百万円、売上債権の減少534百万円、仕入債務の増加507百万円、棚卸資産の減少109百万円等資金が増加したことなどによるものであります。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」

当連結会計年度における投資活動による資金の増加は、705百万円(前年同期は19百万円の増加)となりました。

これは、投資有価証券及び固定資産の取得による支出176百万円等資金が減少したものの、固定資産の売却による収入887百万円等資金が増加したことなどによるものであります。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、575百万円(前年同期は147百万円の減少)となりました。

これは、借入金が純額で378百万円減少、リース債務の返済による支出96百万円、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得支出83百万円等資金が減少したことなどによるものであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を常にめざし、安定的な営業キャッシュ・フローの創出や資金調達手段の確保に努めております。設備投資などの長期資金需要につきましては、自己資金及び主に金融機関からの長期借入など、金利コストの最小化を図れるような調達方法を検討し対応しております。また運転資金需要につきましては、自己資金、営業活動から得られるキャッシュ・フローに加え、金融機関からの当座貸越枠を利用した短期借入金により対応しております。

 

 

(4) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2021年度からの3カ年を『環境対応と成長基盤確立のための3ヵ年~本気の変革~』と位置づけて策定した中期経営計画のなかで、売上高、営業利益、営業利益率などについて目標値を設け業績の回復に努めてまいりました。中期経営計画の初年度にあたる当連結会計年度は、売上高25,134百万円、営業損失496百万円、営業利益率△2.0%となりました。また、収益性指標につきましては、自己資本比率とROE(自己資本利益率)を重要指標と位置付け、財務体質強化及び株主の持分に対する投資収益率の向上に努めてまいりましたが、自己資本比率は17.7%、ROEについては△24.0%と総じて低調な結果となりました。

2022年度は中期経営計画の2年目にあたり、当社グループは上記を踏まえ、早期の業績回復、財務体質強化及び株主の持分に対する投資収益率の向上を目指し、企業体質の変革に引き続き取り組むことを目標としております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、同(重要な会計上の見積り)に記載しております。当該感染症の影響については不確実性が大きく、将来事業計画等の見込に反映させることが難しい事象ではありますが、当連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上し、回収が不確実と判断した部分に対して評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、見積り額が減少した場合には、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、見積り額が減少した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

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