(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が日本国内でも浸透し始め、緊急事態宣言が解除されたことを受けて徐々に経済活動の制限が緩和されようとしている状況から、急拡大した変異株による第6波へ突入し、あらためて先行きが不透明な市場環境下になってまいりました。
一方で、当社の事業が関連するBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、2020年は19.3兆円(前年比0.4%減)とほぼ横ばいになりましたが、物販系分野においては12.2兆円(前年比21.7%増)と大幅に拡大し、また同分野におけるEC化率は8.1%(前年比1.3ポイント増)になっています(出典:経済産業省、令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書)。
また、2021年8月度のネットショッピングを利用した世帯(2人以上の世帯)の割合は51.5%(前年比1.5ポイント増)と増加しており、引き続き、電子商取引の更なる拡大が見込まれております(出典:総務省、家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について(二人以上の世帯)-2021年(令和3年)8月分結果-)。
このような状況の中、当社は「AI(人工知能)クラウド型サービスで、あらゆるタッチポイントにおけるリアルタイム・パーソナライゼーションの実現」をミッションに掲げ、ECサイト運営企業、ウェブサービス企業向けに、AIを用いたマーケティング支援ツールである「リアルタイム・レコメンド・サービス」を提供してまいりました。
営業活動につきましては、主力商品である「アイジェント・レコメンダー」及び「レコガゾウ」では、特に既存顧客に対する売上について、上半期は堅調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症による全国的な緊急事態宣言解除(解除日2021年9月30日)の影響を受けた結果、営業収益が1,209,172千円(前年同期比1.9%減)となりました。業界別では、ホビー・エンターテイメント業界向け115,769千円(同17.6%増)及び総合通販業界向け127,573千円(同22.6%増)と、好調がみられました。一方、前期において新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言による巣ごもり需要で大きく売上を伸ばしていた業界であるアパレル業界及び人材業界については、当連結会計年度はコロナ禍からの回復基調が不安定かつ不透明であり、年度後半は減少に転じるなど、当社顧客が属している業界の市場環境の影響を受けることとなりました。
また、レコメンド広告サービス「ホットビュー」については、ユーザー行動に係る追跡機能等の国際的な規制強化を見据え営業活動を抑制していることから、同サービスの営業収益は6,533千円(同62.6%減)となりました。
なお、当期においては、パートナー連携の強化を図り、これまで連携できていなかったECプラットフォーム各社との連携が可能となりました。今後、公式アプリ化を進め、新規受注につなげていく予定です。さらに、2021年6月30日に新しいAIパーソナライゼーション・プラットフォームである「アイジェント・エックス」をローンチし、第3四半期連結会計期間より販売を開始し、事業の拡大に努めております。今後、この新プラットフォームを技術基盤とし、レコメンドによるWeb上の顧客体験の向上から、行動データを活用したパーソナライゼーションのための多様なソリューション提供へのシフトを加速してまいります。AI技術をベースとしたデジタルマーケティングサービスにおいて、レコメンドツール業界での当社の優位性を最大限に活かしながら、EC領域や公共機関のプロジェクト支援など幅広い分野での積極的な販路拡大に挑戦していきます。
この結果、当連結会計年度の営業収益につきましては1,209,172千円(同1.9%減)、営業利益は217,611千円(同0.8%減)、経常利益は209,440千円(同4.1%減)となりました。営業費用のうち、人件費においては、将来的な成長を行うために必要な採用として当初計画に盛り込まれておりました人員増強計画を着実に実行いたしました。一方で、人材獲得の競争激化により、当初の採用計画の実行は年度後半に集中した形となりました。その他の営業費用では、通信費の圧縮や外部コンサルティング業者への支払費用の見直しなどコスト圧縮に努めました。また、来期以降も続くと思われる新型コロナウイルス感染症への順応を視野に、更なる販売強化に向けた施策の実行や従業員の働き方改革を検討し、リモートワークの推進やワクチン接種に伴う特別有給休暇の導入を始め、様々な制度構築や柔軟な対応を行い、円滑な業務体制に取り組んでおり、今後も動向を注視しながら進めていく所存です。また、親会社株主に帰属する当期純利益は202,703千円(同102.4%増)となりました。これは主に、過年度に減損損失を計上しておりました当社及び当社子会社保有の投資有価証券について、資産の効率化及び財務体質の強化を図るため、当該投資有価証券を売却し、特別利益として53,191千円を計上したことによるものであります。
なお、当社グループは、レコメンデーションサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ53,020千円増加し、939,546千円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は、13,500千円(前年同期に得られた資金は202,953千円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額262,297千円、投資有価証券売却益の計上額53,191千円、賞与引当金の減少額21,346千円、法人税等の支払額139,652千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、得られた資金は31,285千円(前年同期に支出した資金は41,239千円)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入53,191千円、無形固定資産の取得による支出21,905千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、増減に影響するものはありませんでした。(前年同期に得られた資金は1,312千円)
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
レコメンデーションサービス事業(千円) |
1,209,172 |
98.1 |
合計(千円) |
1,209,172 |
98.1 |
(注)1.当社グループの事業セグメントは、レコメンデーションサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をいたしておりません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主要な販売先については、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合がいずれも100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
(イ)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ47,934千円増加し、1,284,329千円となりました。主な内訳は、現金及び預金の増加(53,020千円)、未収還付法人税等の増加(6,545千円)であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ163,061千円減少し、70,513千円となりました。主な内訳は、未払金の支払による減少(13,857千円)、未払費用の支払による減少(3,333千円)及び未払法人税等の支払による減少(91,777千円)、賞与引当金の支払による減少(21,346千円)であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ210,995千円増加し、1,213,815千円となりました。主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益202,703千円によるものであり、自己資本比率は94.5%となりました。
(ロ)経営成績
(営業収益)
当連結会計年度の営業収益は、主力の「アイジェント・レコメンダー」「レコガゾウ」は上半期を堅調に推移するも、新型コロナウイルス感染症拡大の全国的な緊急事態宣言解除による特定業界の市場環境の変化を受けた結果、1,209,172千円(前年同期比1.9%減)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業費用のうち、人件費においては、将来的な成長を行うために必要な採用として当初計画に盛り込まれておりました人員増強計画を着実に実行いたしました。一方で、通信費の圧縮や外部コンサルティング業者への支払費用の見直しなどコスト圧縮に努めた結果、費用抑制効果等の影響により991,560千円(前年同期比2.1%減)となりました。
この結果、営業利益は217,611千円(同0.8%減)となり、売上高営業利益率は18.0%(前連結会計年度17.8%)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は受取利息8千円(前年同期比18.4%増)及び貸倒引当金戻入額512千円(前連結会計年度は発生なし)により521千円(同936.9%増)、営業外費用は為替差損により8,692千円(前年同期比671.4%増)となりました。
この結果、経常利益は209,440千円(前年同期比4.1%減)となり、売上高経常利益率は17.3%(前連結会計年度17.7%)となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は53,191千円(前連結会計年度は発生なし)となり、投資有価証券売却益によるものです。なお、特別損失は334千円(前年同期比98.7%減)となり、固定資産除却損によるものです。また、法人税等合計(法人税等調整額を含む)は59,593千円(同36.0%減)となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は202,703千円(同102.4%増)となり、売上高当期純利益率は16.8%(同8.6%増)となりました。
(ハ)キャッシュ・フローの状況の分析
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループは、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、健全で安定した財務体質の形成に努めております。
必要な運転資金及び設備投資資金を全額自己資金で賄っており、自己資金の範囲内で安全かつ安定的な資金運用が可能と認識しております。
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