当連結会計年度(令和2年11月1日から令和3年10月31日)におけるわが国の経済は、東京オリンピック競技大会の開催があったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大長期化により、社会活動が一部制約を受けるなど厳しい状況で推移いたしました。各種政策の効果により企業収益は持ち直しつつある一方で、度重なる緊急事態宣言の発令及び延長に伴う外出自粛による経済停滞や世界的な半導体不足の懸念もあり、先行きは依然として不透明な状態が続いております。
美容サロン向けICT事業では、Googleとの予約連携サービス(「Google で予約」)や楽天ポイント連携などの課金型Webコンテンツが支持され当初予想利益を上回る要因の一つになっております。これらのWebコンテンツの提供をサロンにおけるDXの一環として、美容業界のSDGs推進を積極的に提案しております。また、顧客である美容サロンにおいては、コロナ禍にあっても美容サービスの需要は底堅く、感染者数の収束傾向もあり、サロン来店者数は徐々に回復傾向にあります(当社調べ)。
中小企業向けビジネスサービス事業では、既存顧客、特に飲食業やサービス業等においては、コロナ禍の影響による収益悪化が深刻さを増しております。しかし 、 コア事業の会計サービスにおいては、行政の各種支援策を活用した経営支援等の提供により既存顧客との信頼関係をより強固にし、堅実な収益を確保しております。
介護サービス事業では、 地域医療機関や自治体と連携し、徹底した感染防止対策を行っております。これにより、有料老人ホームは高い入居率を維持しておりますが、一部地域の感染拡大に伴い在宅支援事業のお客様の利用控えなどの影響が出ております。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高2,483,636千円(前連結会計年度比0.9%の増加)、営業利益180,887千円(同39.8%の増加)、経常利益180,779千円(同37.8%の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は120,934千円(同68.7%の増加)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う助成金等の収入39,872千円を特別利益に計上し、営業時間短縮の実施に起因する費用(人件費)51,770千円を特別損失に計上しております。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
a 美容サロン向けICT事業
美容サロン向けICT事業では、収益の柱をシステム販売(物販)から保守、コンテンツ、新たな課金型サービスへ着々と移行しております。
システム販売(物販)において、売上は前期実績を上回ったものの、外出自粛による対面販売が影響を受け、当初見通しを下回る結果となりました。 しかし、受注は前期実績を大幅に超え、回復傾向にあります。
1月よりGoogleの予約サービス提供事業者として「Google で予約(Reserve with Google)」での美容サロン向けネット予約サービスの提供を開始しました。 サロンへの新規来店客数を増やし売上に貢献できるサービスとして、当初見通しを上回る300店舗超のサロンに導入され、順調に件数を伸ばしております。
また、 予約システムや、保守契約の拡大、楽天スーパーポイント連携店舗数も300店舗超の美容サロンに導入され、課金型収入は着々と増加しております。
スマホアプリ(Salon Appli)の連携稼働店舗数も1,300店舗超となり、エンドユーザーのダウンロード数も150万超を達成しました。エンドユーザーと美容サロンをつなぐコミュニケーションツールとして美容サロンの集客に貢献し、DX推進の一助となっております。
今後も新たなコンテンツサービスを開発し、課金型ストックビジネスを さらに成 長させてまいります。
コスト面においては、Webを活用したサポートや商談の実施、イベントの自粛等による経費削減に努め、利益を確保してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,395,916千円(前連結会計年度比3.0%の増加)、セグメント利益(営業利益)は90,216千円(同141.3%の増加)となりました。
b 中小企業向けビジネスサービス事業
中小企業向けビジネスサービス事業では、新型コロナウイルス感染防止対応により地方の景気は悪化し、中小企業の収益に大きな影響を及ぼしています。
こうした中、コア事業である会計サービスは、既存客への安定した会計サービスの提供に加え、コロナ禍対策による中小企業向け各種支援ニーズに対応したサービス提供に努めてまいりました。また、倒産防止や事業継続、資金繰り支援など経営改善サポートのソリューションに注力した結果、増収増益となりました。
一方、外国人技能実習生受入団体への支援ビジネスは、コロナ禍による海外からの入国制限措置の影響を受け、当初見通しを下回る結果となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は315,640千円(前連結会計年度比1.7%の減少)、セグメント利益(営業利益)は10,629千円(同3.6%の減少)となりました。
c 介護サービス事業
介護サービス事業では、介護付き有料老人ホームを3施設(栃木県佐野市、群馬県館林市、長野県小諸市)及び在宅支援事業(通所介護・短期入所生活介護・居宅介護支援・健康促進事業)を1施設(長野県小諸市)運営しております。
介護付き有料老人ホームでは、新型コロナウイルスの集団感染防止のため、入居者や社員の体調管理や衛生消毒を徹底し、9割を超える高い入居稼働率を継続しております。
一方、在宅事業においては、地域の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、介護保険対象外の予防サービス(健康推進事業)の一時休止や、通所介護(デイサービス)のお客様自身の利用控えにより、一部損益に影響がありました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は753,084千円(前連結会計年度比1.6%の減少)、セグメント利益(営業利益)は66,943千円(同0.5%の減少)となりました。
② 財政状態の状況
a 流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は1,984,645千円(前連結会計年度末比42,305千円の増加)となりました。これは主として、現金及び預金の増加(同152,215千円の増加)、売掛金の減少(同50,627千円の減少)、仕掛品の減少(同47,700千円の減少)によるものであります。
b 固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は1,729,876千円(前連結会計年度末比15,170千円の増加)となりました。これは主として、ソフトウエア仮勘定の増加(同79,441千円の増加)、ソフトウエアの減少(同33,547千円の減少)、土地の減少(同23,488千円の減少)によるものであります。
c 流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は692,661千円(前連結会計年度末比18,546千円の増加)となりました。これは主として、未払法人税等の増加(同27,725千円の増加)、受注損失引当金の減少(同11,354千円の減少)によるものであります。
d 固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は705,075千円(前連結会計年度末比83,897千円の減少)となりました。これは主として、長期借入金の減少(同85,680千円の減少)によるものであります。
e 純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は2,316,784千円(前連結会計年度末比122,826千円の増加)となりました。これは主として、資本剰余金の増加(同61,180千円の増加)、利益剰余金の増加(同92,037千円の増加)、自己株式の増加(同27,053千円の増加)によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の総資産は3,714,521千円(前連結会計年度末比57,475千円の増加)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ152,215千円増加し1,726,985千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は346,659千円となりました(前連結会計年度は70,005千円の獲得)。これは主に、税金等調整前当期純利益176,289千円、減価償却費98,775千円、売上債権の減少額50,627千円、たな卸資産の減少額31,757千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は113,393千円となりました(前連結会計年度は134,279千円の使用)。これは主に、無形固定資産の取得による支出97,491千円、有形固定資産の取得による支出13,228千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は81,049千円となりました(前連結会計年度は146,211千円の獲得)。これは主に自己株式の売却による収入148,307千円、一方で自己株式の取得による支出114,180千円、長期借入金の返済による支出83,680千円、配当金の支払額28,924千円によるものであります。
当連結会計年度における生産金額をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
当社グループの販売品目は、受注生産形態をとらないため、該当事項はありません。
当社グループの経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(固定資産の減損)
当社グループでは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたって、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能性まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたって、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループでは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
(のれんの評価)
のれんの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
② 経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績は、売上高につきましては2,483,636千円、売上総利益1,017,314千円、営業利益180,887千円、経常利益180,779千円、親会社株主に帰属する当期純利益は120,934千円となりました。
a 売上高
当連結会計年度の売上高は、2,483,636千円(前連結会計年度比0.9%の増加)となりました。
売上高の分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照ください。
b 売上原価
当連結会計年度の売上原価は、1,466,321千円(前連結会計年度比0.7%の増加)となりました。
c 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、836,426千円(前連結会計年度比4.6%の減少)となりました。
d 営業外損益
当連結会計年度の営業外収益は、4,100千円(前連結会計年度比27.1%の減少)となりました。
営業外費用は、4,209千円(同9.1%の増加)となりました。
e 特別損益
当連結会計年度の特別利益は47,513千円(前連結会計年度比62.6%の増加)となりました。これは主として、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う助成金の収入39,872千円によるものであります。
特別損失は、52,003千円(前連結会計年度比36.0%の増加)となりました。これは主として、新型コロナウイルス関連損失51,770千円によるものであります。
③ 財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。
④ キャッシュ・フローの分析
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ソフト開発に伴う製造費用の他、販売及び一般管理費等の営業費用であります。必要な資金については、自己資金及び借入金による資金調達を基本としております。
資金の流動性については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑥ 経営上の目標の達成状況
当社の収益目標である自己資本利益率(ROE)10%に対して、当連結会計年度における自己資本利益率(ROE)は5.4%となりました。引き続き、厳しい市場環境に屈することなく、企業価値を高め、持続的な成長を図ってまいります。
⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、業界環境、事業内容、法的規制等様々なリスク要因があると認識しております。
⑧ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが今後、持続的な成長を果たすためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。これらの課題に対し常に最大限入手可能な情報に基づき、現在及び将来の事業環境を認識し最適且つ迅速な対応に努めていく方針であります。
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