業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当社グループは画像認識ソフトウェア開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は550,296千円(前連結会計年度末比42,035千円増)となりました。これは主に、法人税等の還付等によりその他が9,464千円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により現金及び預金が18,727千円増加したこと及び受注の回復により売掛金及び契約資産が22,297千円増加したことによるものであります。

 また、固定資産は49,163千円(同12,899千円増)となりました。これは主に、減価償却費により有形固定資産が5,405千円減少したものの、繰延税金資産が5,095千円増加したこと及び譲渡制限付株式の発行に伴い長期前払費用が12,590千円増加したことによるものであります。

 以上の結果、資産合計は599,459千円(同54,934千円増)となりました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は30,966千円(前連結会計年度末比6,877千円減)となりました。これは主に、未払法人税等が5,872千円及び未払消費税等が15,319千円増加したものの、前受収益が24,166千円減少したことによるものであります。

 以上の結果、負債合計は30,966千円(同6,877千円減)となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は568,493千円(前連結会計年度末比61,812千円増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が29,023千円増加したこと及び譲渡制限付株式の発行に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ13,151千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当社グループは、「Make Things Intelligent」をミッションに掲げ、画像認識ソフトウェアの開発を行っております。

 当社グループが属する画像認識ソフトウェア業界におきましては、あおり運転や高齢運転者による交通事故が社会課題となる中、自動車向け先進運転支援システム(ADAS)、ドライバー監視システム(DMS)の普及や自動運転技術の実用化に向けて、自動車関連企業各社がこれらの取り組みを強化しております。また、社会的なデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が加速しており、少子高齢化や人口減少といった労働力の課題をAIにより解決する取り組みも様々な分野で多数行われております。

 こうした環境の中で、当社グループは、量産案件を中心とした新規案件の獲得及びディープラーニングをはじめとした画像認識技術の研究開発を積極的に進め、当社ライセンス製品の量産台数は累計で160万台を突破しました。また、主力事業であるモビリティ事業に加え、スマートインフラ事業、DX(AI-OCR)事業へとサービス分野を広げ、事業の拡大を図ってまいりました。

 これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高382,688千円(前連結会計年度比47.0%増)、営業利益25,677千円(前連結会計年度は営業損失64,442千円)、経常利益26,753千円(前連結会計年度は経常損失62,549千円)、親会社株主に帰属する当期純利益29,023千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失62,150千円)となりました。

 売上高の収入形態別の内訳は、次のとおりであります。

 

前連結会計年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前期実績比

増減率

売上高

260,356千円

382,688千円

47.0%

 うち、受託開発収入

114,990千円

197,221千円

71.5%

 うち、ライセンス収入

145,366千円

185,466千円

27.6%

 

 受託開発収入に関しては、前連結会計年度は新型コロナウイルスの影響で、顧客の先行開発予算が縮小されておりましたが、当連結会計年度は、足元の受注が回復傾向に転じて、197,221千円(前連結会計年度比71.5%増)となりました。また、ライセンス収入に関しては、前期に引き続き顧客メーカーのドライブレコーダーの販売が好調に推移していることと、新車向け車載カメラ案件の量産が開始されたことから、185,466千円(同27.6%増)となりました。

 なお、当社グループは画像認識ソフトウェア開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ18,727千円増加し、470,602千円となりました。なお、当該増加には、現金及び現金同等物に係る為替変動による影響3,370千円が含まれております。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。


(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は16,359千円(前連結会計年度は6,238千円の支出)となりました。これは主に、売上債権の増加22,297千円及び前受収益の減少24,166千円による資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益の計上26,753千円、減価償却費の計上7,947千円、未払消費税等の増加15,319千円及び消費税等の還付額5,556千円による資金の増加があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は4,607千円(前連結会計年度比21.0%減)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出2,269千円及び無形固定資産の取得による支出2,338千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は3,606千円(前連結会計年度比91.6%減)となりました。これは、新株予約権(ストックオプション)の行使に伴う株式の発行による収入3,606千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

画像認識ソフトウェア開発事業

382,688

147.0%

合計

382,688

147.0%

 

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社JVCケンウッド

120,285

46.2

76,733

20.1

株式会社ネクスティエレクトロニクス

68,785

18.0

加賀FEI株式会社

58,221

15.2

BIPROGY株式会社

38,748

14.9

42,190

11.0

惠州市德西威汽车电子股份有限公司

31,957

12.3

2.日本ユニシス株式会社は、2022年4月1日にBIPROGY株式会社に社名変更しております。

3.惠州市德西威汽车电子股份有限公司の当連結会計年度は当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。また、株式会社ネクスティエレクトロニクス及び加賀FEI株式会社は当連結会計年度から10%を超えたため記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 売上高

 当連結会計年度の売上高は、382,688千円(前連結会計年度比47.0%増)となりました。受託開発収入の増加に関しては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が一巡したことにより、当社グループの主要顧客である自動車メーカー及び自動車関連企業からの受注が回復傾向に転じたことによるものであります。また、ライセンス収入の増加に関しては、前期に引き続きドライブレコーダー向けライセンスが好調に推移したことや、新車向け車載カメラ案件の量産が開始されたこと等によるものであります。

 

b. 売上原価、売上総利益

 当連結会計年度の売上原価は、109,644千円(前連結会計年度比41.2%増)となりました。これは主に、受託開発案件の増加により売上高が増加したことによるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は、273,043千円(同49.5%増)となりました。

 

c. 販売費及び一般管理費、営業損益

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、247,366千円(前連結会計年度比0.1%増)となりました。これは主に、監査工数の増加に伴い監査費用が増加したこと等によるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、25,677千円(前連結会計年度は営業損失64,442千円)となりました。

d. 営業外損益、経常損益

 当連結会計年度の営業外収益は、1,993千円(前連結会計年度比5.3%増)となりました。これは主に、為替差益の発生によるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、26,753千円(前連結会計年度は経常損失62,549千円)となりました。

 

e. 特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益

 当連結会計年度において、特別利益及び特別損失は発生しておりません。

 以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、26,753千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失62,549千円)となり、法人税、住民税及び事業税を2,825千円計上及び法人税等調整額を5,095千円計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、29,023千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失62,150千円)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの分析

 各キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の財源を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や自社サーバー購入等を目的とした資金需要は、自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて多様な調達手段を検討してまいります。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は470,602千円であります。

 

⑥ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、重要な経営指標として売上高、営業利益及びROEを掲げております。

 当連結会計年度を含む、直近2連結会計年度の各指標の推移は、次のとおりであります。

 

2021年6月期

2022年6月期

売上高(千円)

260,356

382,688

営業利益又は営業損失(△)(千円)

△64,442

25,677

ROE(%)

△12.1

5.4

 

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