当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、当連結会計年度においては連結の範囲に含めた子会社の業績は含まれておりません。なお、当社グループは、当連結会計年度が連結初年度であり、前期は連結財務諸表を作成していないため、前期との比較は行っておりません。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化および経済レベルの持ち直しが期待されましたが、ウクライナ情勢の長期化や、中国における経済活動の抑制の影響などが懸念される中での原材料価格の上昇や供給面での制約に加え、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要があり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
一方で、当社グループがSaaS型クラウドサービス等を提供する不動産業務支援の市場においては、2022年5月より本格的にスタートした不動産契約の完全電子化(脱ハンコ)をはじめとした不動産業界全体のDX化促進の機運が高まっております。また、感染拡大防止のためのテレワークの推進や、生産性向上に向けたIT関連設備投資の需要も高まっており、当社グループにとっては引き続き追い風の状況が続いております。
このような事業環境の下、当社グループは不動産領域に対して最適なプラットフォームの構築および、成長計画を示した3カ年計画の実現に向けて各種成長戦略を推進してまいりました。
※3カ年計画とは、当社グループの2022年6月期 ~ 2024年6月期の3カ年の業績、成長計画について記載したものであり、詳細は当社IRサイトにて公開している「2022年6月期 通期 決算説明資料」にてご確認いただけます。
3カ年計画の基本戦略としては、無償サービスである業者間物件流通サービス「不動産BB」や「電子入居申込サービス」の導入提案によって日本全国にある不動産事業者との接点を増やし、その後、さらなる付加価値提供として有償のサービスを販売する戦略を取っております。当社グループの特徴である不動産業務の全体を網羅した一気通貫のサービスラインナップは、サービスを組み合わせて利用することによってその導入効果がより一層高まるようになっており、多くのサービスが顧客の成長に合わせた課金体系となっていることから、新規顧客への提案のみならず、既存顧客へのアップセル・クロスセルも積極的に提案しております。
3カ年計画の重要施策である営業人員(カスタマーコンサルタント)の増員に関しては、2022年6月期の計画60名増員に対して、55名増員という結果となり、概ね順調に推移いたしました。計画に対して若干の未達ではありますが、過去の採用人数と比較しますと倍以上の採用に成功しており、この経験を活かし来期以降の採用も積極的に進めてまいります。一方で、入社した人員についての教育に一部課題が残りましたが、教育、支援については引き続き教育専門の部署を中心に徹底した支援を継続しており、来期以降の業績貢献に向けて教育ツールの強化と共に早期戦力化に向けて活動を行っております。
成長戦略のさらなる加速に向けては、2022年4月に株式会社リアルネットプロとの経営統合を発表し、6月には同社の完全子会社化が完了しております。同社はこれまで当社の無償サービスである業者間物件流通サービス「不動産BB」の競合サービスである「リアプロ」を日本全国で展開しており、業績および顧客数を順調に拡大してまいりました。今回の経営統合により、当社グループの顧客基盤は大きく拡大し、これまで基本戦略としていた業者間物件流通サービス「不動産BB」顧客へのクロスセルによって業績を拡大する点においても、今後は「リアプロ」の利用顧客に対しても当社の有償プロダクトのクロスセルを実施していく予定であり、連結決算による業績拡大のみならず、シナジーの最大化実現に向けても順次計画を進めております。また、株式会社リアルネットプロの完全子会社化に伴い、「3カ年計画」についても情報のアップデートを実施しております。詳細は当社IRサイトにて公開している「2022年6月期 通期 決算説明資料」にてご確認いただけます。
中期ビジョンとして掲げるプラットフォーム創造については、引き続き様々な企業との提携が進んでおります。無償サービスである業者間物件流通サービス「不動産BB」においては、付加価値向上に向けて保険会社や家賃保証会社とのデータ連携が進んでおります。これらの業務提携により当社プラットフォームの領域が拡大し、パートナー企業と共に今後より一層業界のDX化に貢献してまいる所存であります。
なお、新型コロナウイルス感染症の当社グループ事業への影響に関しては限定的であり、大きく影響は出ておりません。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、5,035,610千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、1,895,287千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、3,140,323千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は3,053,753千円(前事業年度比16.7%増)、営業利益は500,963千円(前事業年度比差14.5%減)、経常利益は538,181千円(前事業年度比16.2%減)、当期純利益は283,406千円(前事業年度比31.7%減)となりました。
なお、当社グループは不動産業務支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、サービス分類別の売上高の状況は、次のとおりであります。
イニシャル:販売時に一括で売上計上するソフトウエアの導入費用・導入ライセンス
ランニング:保守・利用期間に渡って売上計上する、ライセンス料金・サービスの利用料
(仲介ソリューション)
仲介ソリューションにおいては、仲介業務における自社ホームページ集客やWEB広告運用、不動産ポータルサイト集客における課題解決となるサービスの提案を積極的に行ってまいりました。また、フリーミアム戦略(注)として現在無償で提供している業者間物件流通サービス「不動産BB」を導入済の顧客に対して、データの二次活用としてのサービス提案を積極的に行い、無償から有償への切り替えも積極的に促進してまいりました。
その結果、アップセルも功を奏し、仲介ソリューションの売上高は929,701千円(前年比9.3%増)となりました。
(注)フリーミアム戦略とは基本となるサービスや製品を無償で提供し、さらに高度な機能やサービスを利用する際には料金を課金する仕組みのビジネスモデルであります。
(管理ソリューション)
管理ソリューションにおいては、新規顧客への販売、既存顧客へのバージョンアップ、オプション追加等、再販活動が順調に推移し、IT導入補助金による拡販や、賃貸革命におけるクラウド版への移行需要が高まるなど、月額利用料も堅調に積み上がりました。その結果、管理ソリューションの売上高は 2,086,855千円(前年比19.7%増)となりました。
※仲介ソリューション、管理ソリューションの合計売上高3,016,557千円の他に、その他売上高37,196千円があります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,189,695千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、341,721千円となりました。
これは、主に税引前当期純利益518,032千円、契約負債の増加61,456千円、法人税等の支払額247,428千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、1,503,204千円となりました。
これは、無形固定資産の取得による支出281,576千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、466,205千円となりました。
これは、自己株式の取得による支出399,930千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社グループは不動産業務支援事業の単一セグメントであります。
2.当社グループは、当連結会計年度が連結初年度であるため、前期との比較は行っておりません。
3.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の
10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在(2022年6月30日)において当社が判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」をご参照ください。
2)経営成績
(売上高)
売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」をご参照ください。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は、792,720千円となりました。その主な内訳は、クラウド関連の経費が81,047千円増加したことによるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度と比べて450,281千円増加し、1,760,069千円(同34.4%増)となりました。その主な内訳は、給与手当が109,135千円増加したことによるものであります。
以上の結果、損益につきましては、営業利益は500,963千円(同14.5%減)、経常利益は538,181千円(同16.2%減)となりました。また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額含む)は、前事業年度と比べて7,178千円増加し、234,626千円(同3.2%増)となり、当期純利益は283,406千円(同31.7%減)となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度における営業外収益は、前事業年度と比べて31,288千円減少し、40,486千円(同43.6%減)となりました。その主な内訳は、保険返戻金が18,330千円減少したことによるものであります。営業外費用は、前事業年度と比べて11,893千円減少し、3,268千円(同78.4%減)となりました。その主な内訳は、株式公開費用が14,519千円減少したことによるものであります。
b.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
売上高の対前年増加額および経常利益の対前年増加額を重要指標としており、当連結会計年度の売上高は3,053,753千円となり、前事業年度比16.7%増となりました。それはランニング積み上げによるものであります。また、当連結会計年度の経常利益は538,181千円となり、前事業年度比16.2%減となりました。
c.セグメントごとの財務状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの報告セグメントは、不動産業務支援事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源および資金の流動性について、当社グループは、短期運転資金については自己資金を基本としております。また、設備投資資金等についても自己資金を基本としつつ、必要に応じて金融機関から調達を実施する方針であります。
a.資金需要の主な内容
当社グループの運転資金需要の主なものは、製造・開発活動に係る人件費および外注費、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金であります。これらの資金につきましては、営業活動によって得られる資金でまかなうことを基本として、必要に応じて金融機関から調達を実施する方針であります。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,189,695千円であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債および収益・費用の報告数値について影響を与える見積りは、過去の実績や状況に応じて、可能な限り合理的と考えられる根拠や要因等に基づき実施しております。しかし、これらの見積りについては不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定が重要と考えております。
なお、当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、後記「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
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