業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比べ51,604千円増加し、1,499,646千円となりました。主な要因は、売上の増加により売掛金及び契約資産が109,701千円増加したことや、自社利用ソフトウエアの開発等により無形固定資産が207,919千円増加したこと、並びに現金及び預金が310,510千円減少したこと等によるものであります。

(負債)

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比べ3,869千円減少し、491,258千円となりました。主な要因は、未払法人税等が支払により53,597千円減少したことや借り入れにより短期借入金が50,000千円増加したこと等によるものであります。

(純資産)

当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比べ55,473千円増加し、1,008,388千円となりました。主な要因は、収益認識基準に関する会計基準等の適用に伴い繰越利益剰余金が34,060千円増加したこと、当期純利益20,105千円を計上したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は67.2%(前事業年度末は65.8%)となりました。

 

②経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、景気の持ち直しの動きが継続しているものの、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大やウクライナ情勢の長期化などが懸念される中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要があります。

 このような状況の中、当社が関わる国内電子商取引市場では政府によるキャッシュレス化の推進とともに、感染症対策に伴う生活様式の変化から在宅での消費需要が高まっており、各産業においてEC化率が引き続き伸長すると見られております。これに伴って、各ECサービスにおいては、一層の機能の充実や利便性の拡充、セキュリティ面での安全性強化が求められております。

 当社は多くのお客様に「ebisumart」をより便利により安心して利用頂くために、品質向上および機能の改善・強化に注力し、流通総額が大きいハイエンド層向けの新しいクラウドコマースプラットフォームの開発も進めております。また、「ebisumart」の経験とノウハウを生かし、EC構築市場における幅広いターゲット層に向けた新たなサービス「ebisumart zero」の提供も開始いたしました。さらに、今後の拡大が見込まれる越境EC市場に対応するため、越境EC支援事業者と資本提携を行い、EC事業様の国内外におけるEC運営を包括的に支援する取り組みを開始いたしました。一方で、従来のクラウドシステムからより汎用性の高いクラウドシステムへの移行に伴う原価が想定以上に発生したこと、また、新規受注案件の大型化に伴いリードタイムが長期化したことにより受注金額や開発部門の稼働時間が当初計画を下回りました。これらの結果、売上高2,283,193千円(前年同期比5.2%増)、営業利益は36,420千円(前年同期比82.5%減)、経常利益は34,349千円(前年同期比82.3%減)、当期純利益は20,105千円(前年同期比84.7%減)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しております。このため、前年同期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳

細については、「第5.経理の状況 1.財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 また、当社はクラウドコマースプラットフォーム構築事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ310,510千円減少し、376,041千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは85,112千円の支出となりました。これは主に法人税等の支払額78,710千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは276,706千円の支出となりました。これは主にサービス充実を目的とした無形固定資産(自社利用ソフトウエア)の取得による支出254,384千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは51,308千円の収入となりました。これは主に短期借入金の増加額50,000千円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当事業年度における生産実績は、次のとおりであります。

売上の計上区分

当事業年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

システム受託開発

469,417

107.0

 (注)1.システム運用保守及びその他に関しましては、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

2.金額は製造原価によっております。

 

b.受注実績

 当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。

売上の計上区分

当事業年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

システム受託開発

999,830

107.2

279,410

105.9

 (注)1.システム運用保守及びその他に関しましては、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

2.受注高の増加理由は開発人員の増加により受注可能額が増加したためであります。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績を売上の計上区分別に示すと、次のとおりであります。

売上の計上区分

当事業年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

システム受託開発

システム運用保守

その他

871,899

1,355,931

55,362

94.9

112.7

116.2

合計

2,283,193

105.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 a.繰延税金資産について

 当社は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得に関する予測は、過去の実績等に基づいており、経営環境の変化や税制の変更等によって、課税所得の見積りの変更が必要となる場合には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。

 b.ソフトウエアの会計処理について

 当社は、将来の収益獲得または費用削減の効果につながるソフトウエアを開発する場合に、その開発にかかるコストをソフトウエアとして無形固定資産に計上する場合があります。

 その場合、見込収益獲得期間または費用削減期間に基づく定額法(5年)により減価償却を実施しております。ただし、当該ソフトウエアの陳腐化や有効性の低下等により、見込んでいた効果が得られないことが明らかになった場合には、費用または損失を計上する可能性があります。

 c.受注損失引当金について

当社は、システム受託開発案件のソフトウエアに関して、開発原価総額が受注契約金額を超える可能性が高く、かつその金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額のうち、当該開発案件に関して既に計上された損益の金額を控除した残額を、損失が見込まれた期の損失として計上し、受注損失引当金を計上しております。

 d.履行義務の充足に係る進捗度の見積りによる収益認識

当社は、システム受託開発売上について、開発期間がごく短いものを除き、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。なお、履行義務の進捗度の見積りの方法は、社内で実施したカスタマイズ作業については、見積総工数に対する実際工数の割合、またアウトソースパートナーへ委託したカスタマイズ作業については、開発を委託した機能のうち、完成した機能の割合により算出しています。

システム受託開発の履行義務の充足に係る進捗度の見積りについては、当初予見ができなかった事象の発生等により、当初見積りに変動が生じる場合があることから、翌事業年度の財務諸表において認識する収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

②経営成績の分析

 a.売上高

当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ112,873千円増加し、2,283,193千円(前年同期比5.2%増)となりました。これは主に電子商取引の需要増に伴う取引増加により、システム保守売上が1,355,931千円(前年同期比12.7%増)となったことによるものであります。

 b.売上原価、売上総利益

当事業年度における売上原価は事業規模拡大に伴い、前事業年度に比べ214,525千円増加し、1,476,945千円(前年同期比17.0%増)となりました。これは主に従来のクラウドシステムからより汎用性の高いクラウドシステムへの移行に伴う人件費が増加したこと及び売上規模拡大によるサーバー費用の増加等によるものであります。この結果、売上総利益は前年同期比に比べ101,651千円減少し、806,247千円(前年同期比11.2%減)となりました。

 c.販売費及び一般管理費、営業利益

当事業年度における販売費及び一般管理費は、従業員数増加に伴う人件費、マーケティング活動強化に伴う広告宣伝費、採用強化による採用費の増加等により前事業年度に比べ70,478千円増加し、769,826千円(前年同期比10.1%増)となりました。

この結果、営業利益は前事業年度に比べ172,129千円減少し、36,420千円(前年同期比82.5%減)となりました。

 d.営業外損益、経常利益

当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べ3,891千円減少し、605千円(前年同期比86.5%減)となりました。

当事業年度における営業外費用は、前事業年度に比べ16,644千円減少し、2,676千円(前年同期比86.1%減)となりました。

この結果、営業外損益は2,071千円の損失となり、経常利益は34,349千円(前年同期比82.3%減)となりました。

 e.特別損益、当期純利益

当事業年度において特別利益の計上はなく、特別損失として会員権評価損4,000千円を計上しました。この結果、税引前当期純利益は30,349千円(前年同期比84.3%減)となりました。また、法人税等10,244千円を計上した結果、当期純利益は20,105千円(前年同期比84.7%減)となりました。

 

③財政状態の分析

財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①財政状態の状況」をご参照ください。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金需要のうち主なものには、人件費、支払手数料、広告宣伝費等があります。運転資金は、主として内部資金及び借入により調達しております。

当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は376,041千円であり、当社の事業を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。

 

⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、システム受託開発の受注金額及びシステム運用保守のARPU(顧客単価)を重要な経営指標と位置付けております。システム受託開発の受注金額の多寡は、後のシステム運用保守につながる重要な要素であり、システム運用保守のARPU(顧客単価)は「ebisumart」の顧客規模を計る重要な指標として認識しております。当事業年度においては、受注金額が999,830千円、月間平均ARPUが292千円と継続して増加した結果、売上高も堅調に推移いたしました。また、クラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」の価値を計る指標としてGMV(流通総額)を参考としており、当事業年度末で137,030,875千円と増加しております。当該目標の達成状況に関して一定の評価をしておりますが、今後も株主価値向上のための経営施策を実施してまいります。

区分

システム受託開発の

受注金額

システム運用保守の

月間平均ARPU(千円)

GMV(千円)

(1店舗あたりGMV)

2018年5月期

647,610

204

61,427,584

(215,535)

2019年5月期

545,936

222

86,429,496

(265,121)

2020年5月期

739,800

250

110,180,238

(305,631)

2021年5月期

932,483

261

127,700,886

(332,554)

2022年5月期

999,830

292

137,030,875

(354,084)

(注)1.1店舗当たりGMVは、各期のGMV÷期中平均店舗数で算出しております。

2.月間平均ARPUは、システム運用保守売上高÷期中平均店舗数÷12で算出しております。

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