業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当社の事業が関連するソフトウェア国内市場において、2021年度の市場規模見込は1兆7,185億円となっております。外部サービスとの柔軟な連携性に加え、時間や場所にとらわれず利用が可能であり、自社でシステム運用する必要がないSaaS(※)の導入が進んでおり、2025年度においてはソフトウェアの国内市場2兆3,190億円のうち、SaaSは1兆4,607億円、比率は全体の63%となることが予測されております。(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2021年版」)

 当事業年度においては、新型コロナウイルスの感染症拡大に対して、ワクチンの接種、ニューノーマルと呼ばれる生活習慣や事業活動の変化をとおして、一時的に経済活動が持ち直した局面があったものの、変異株の流行に伴う感染の拡大により、先行きの不透明な状況であります。

 当社が提供する「安否確認サービス」は、災害時に従業員等の安否確認を自動で行うクラウドサービスであります。地震をはじめ、津波や特別警報などにも連動して自動で安否確認を送信します。利用者が回答した最新の情報を、管理者権限を持つユーザーが、いつでもリアルタイムで確認することができます。全社で利用できる掲示板だけでなく、限定されたメンバーのみが利用できる、グループメッセージ機能を備えています。これにより、災害対策本部をオンライン上に設置し、運営することが可能となっております。パンデミックをはじめとした非常時の連絡手段としても有用であり、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、情報共有ツールとしての認知が拡大いたしました。

 当社が提供する「kintone連携サービス」は、サイボウズ株式会社の提供する「kintone」と連携することで、より便利にkintoneを利用するためのクラウドサービスであります。外部とも連携した帳票の作成やWebフォームの作成など、用途に応じた6つの製品を提供しております。新型コロナウイルスの感染拡大の影響のもと、各企業においてリモート勤務をはじめとする多様な働き方が普及してきたことや地方自治体などにおいてもデジタルトランスフォーメーションによる需要が高まったことなどから、kintone連携サービスが利用される機会が拡大しております。

 当社が提供する「トヨクモ スケジューラー」は、2021年11月にリリースした新規サービスであります。従来のグループスケジューラーがもつ社内の日程調整に加えて、社外の人との日程調整もできる新しいコンセプトのスケジューラーであります。予定を作成する際、サイボウズ株式会社の提供する「kintone」、「cybozu.com」と連携することで手入力の手間を省いたり、WebミーティングのURLをワンクリックで発行したりすることが可能であります。当サービスは日程調整を目的としたサービスのため、業種や規模を問わずご利用いただけるものであり、競合他社は多いものの市場規模は大きいと考えております。

 なお、各サービスにおいては、便利に使えるだけでなく、誰でも簡単に操作できることを第一に、機能追加及びメンテナンスを継続しております。

 これらの結果、当事業年度における売上高は1,576,514千円(前期比43.9%増)、営業利益は418,518千円(同70.1%増)、経常利益は421,531千円(同79.5%増)、当期純利益は286,805千円(同90.9%増)となりました。

 なお、当社は法人向けクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。

※ SaaS:Software as a Service(利用者がインターネット等を利用し、事業者のサーバーに接続して利用する形態)のこと

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における総資産は前事業年度末に比べ481,627千円増加し、2,205,167千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加281,374千円、敷金の増加82,557千円によるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債は前事業年度末に比べ194,352千円増加し、746,914千円となりました。これは主に、当社サービスのご利用時に、当社に前払いでお支払いいただく金額が増加したことによる前受収益の増加121,737千円によるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は前事業年度末に比べ287,274千円増加し、1,458,252千円となりました。これは主に、繰越利益剰余金の増加286,805千円によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ281,374千円増加し、1,901,353千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は443,366千円(前事業年度は378,225千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上421,531千円、当社サービスのご利用時に、当社に前払いでお支払いいただく金額が増加したことによる前受収益の増加額121,737千円、法人税等の支払額116,804千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は162,461千円(前事業年度は2,772千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出76,042千円、敷金及び保証金の差入による支出111,453千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は469千円(前事業年度は633,087千円の獲得)となりました。これは、自己株式の取得による支出130千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入600千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社の事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は、次のとおりです。なお、当社は法人向けクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載は省略しております。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

法人向けクラウドサービス事業

1,576,514

143.9

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2事業年度にかかる主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たり、決算日における財政状態及び会計期間における経営成績に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、この見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 当社はRX Japan株式会社主催の「オフィス防災EXPO」、サイボウズ株式会社主催の「Cybozu Days」「Cybozu Circus」等、安否確認サービス及びkintone連携サービスに関連するイベントへの参加による顧客へのアプローチに加え、当事業年度においては引き続きテレビCM、交通広告等のマス広告も利用し、安否確認サービスの知名度向上に努めてまいりました。

 以上の結果、安否確認サービスの有償契約数は2,697件(前事業年度末比32.5%増)、kintone連携サービスの有償契約数は6,244件(同46.8%増)となり、各サービスにおける有償契約数の増加により、当事業年度における売上高は1,576,514千円(前年同期比43.9%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

 売上高の増加に応じて、各クラウドサービスに係るサーバー費用及びサイボウズ株式会社からのライセンス仕入高等が増加いたしました。

 以上の結果、当事業年度における売上総利益は1,402,527千円(同47.9%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当社の販売費及び一般管理費は、主に人件費、広告宣伝費及びその他の経費で構成されております。事業拡大に応じて正社員を7名増員し昇給も行ったことから、人件費が増加しました。また、広告活動の強化により、広告宣伝費は96,202千円増加しました。

 以上の結果、当事業年度における営業利益は418,518千円(同70.1%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

 主な営業外収益として助成金収入3,000千円が発生いたしました。その他は特に大きな変動はありません。

 以上の結果、当事業年度における経常利益は421,531千円(同79.5%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失及び当期純利益)

 特別損益は発生しておりません。法人税等に関しては134,726千円となりました。

 以上の結果、当期純利益は286,805千円(同90.9%増)となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社の資金需要のうち主なものは、既存サービスの向上及び新規サービス開発に伴う人材採用費及び人件費、サービス知名度向上のための広告宣伝費であります。通常の運転資金については自己資金により賄い、事業拡大のための人材採用費、人件費及び広告宣伝費につきましては、上場による調達資金を活用しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。当社は経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減するため、常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、人材の確保及び育成等に努めてまいります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

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