課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
 

(1) 経営方針

① 経営の基本方針

当社は、「私たちは、人と地球環境を大切にし、革新的な技術で、豊かな社会の発展に貢献します」という企業理念の実現のために、「共有すべき行動精神」として「誠実」「和」「積極性」及び「イビテクノの進化」を掲げ、全役職員の行動の柱としております。この方針に基づき、社会に有用な技術・製品の開発・提供を行うとともに、全てのステークホルダーから信頼・評価される企業経営に努めております。

② 中期経営計画と活動の柱

当社グループでは、収益基盤をいっそう強固なものとし、新たな成長に向けて2018年度より、持続的な成長と安定的な収益の実現を目指し、2022年度を最終年度とする中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」を策定し、取り組んでおります。

この中期経営計画では、「既存事業の競争力強化」「新規事業の拡大」「人財育成」「ESG経営の推進」を活動の柱としています。

〔既存事業の競争力強化〕

電子事業においては、主力のICパッケージ基板市場において、既存のパソコン向けに加えて、データセンター、更には画像処理や仮想空間、車載分野といった新たな市場の伸びが見込まれます。当社においては、既存の国内工場ならびにフィリピン、マレーシアの各海外拠点における安定量産継続に加え、河間事業場における最先端ICパッケージ基板向け工場の建設を計画通り遂行すると共に、2021年9月に取得を発表しました岐阜県大野町における新たな工業用地も活用することで、従来から当社が強みを持つ最先端ICパッケージ基板市場におけるシェアを拡大してまいります。

セラミック事業においては、主力の自動車関連事業において、先進国を中心としたディーゼル乗用車市場は、電動化や脱ディーゼルの流れを受け、中・長期的に縮小が見込まれます。当社に於いては、環境規制の強化に伴い伸長が見込まれる中国・新興国の大型車・産業用車両市場での拡販を図ることで、中長期的な事業継続と安定的な収益確保を実現してまいります。

その他事業においては、国内グループ各社における独自の競争力を持った製品群による事業拡大と安定した電力事業により、電子事業・セラミック事業に続く「第3の収益の柱」としての位置づけを確かなものにしてまいります。
 〔新規事業の拡大〕

当社においては、新製品の開発領域を主力事業との関連性も踏まえ、狙う領域を大きく3つに絞り、2022年度より技術開発本部における開発組織の再編を実施しております。具体的には、①電子事業においては、次世代ICパッケージ基板の開発を中心としたエレクトロニクス領域、②セラミック事業においては、内燃機関を取り巻く環境が大きく変化している中、電動車を含むNEV(新エネルギー車)領域、③関連会社事業を含む新規事業として、バイオ関連事業や脱炭素技術の開発などのグリーントランスフォーメーション(GX)関連を含む新領域に開発領域を定め、研究開発リソースを集中することで開発サイクルを早め、事業化への道筋を確かなものにしてまいります。
 〔人財育成〕

企業成長を支えるのは人財であるとの考え方に基づき、ワークライフバランスを実現する働き方改革として、「①生産性改善 ②人事教育制度の充実 ③労働時間管理の徹底 ④多様な社員が活躍できる環境整備 ⑤IT技術の活用」の5つの施策を進めてまいります。
 〔ESG経営の推進〕

当社ではESG経営を安定的・永続的な成長を実現するための基盤として位置付けております。今後も、全てのステークホルダーの皆さまより信頼される企業を目指し、企業理念である「私たちは、人と地球環境を大切にし、革新的な技術で、豊かな社会の発展に貢献します」の実現に向けた取り組みを継続してまいります。

 

 

 

(2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題

今後の世界経済の見通しにつきましては、COVID-19に対するワクチン追加接種の拡大など、感染対策が進む中で、先進国を中心に経済活動の正常化が期待されるものの、感染再拡大の可能性が否定できない中、ウクライナ情勢の動向やエネルギー価格の高騰など、不確実性と不透明感が継続するものと思われます。当社グループにおきましては、市場の変化に対し、グローバルで生産体制を機動的かつ柔軟に運営するとともに、最新のデジタル技術の導入・展開により、歩留り・生産性改善を進め、保有している生産能力を最大限に活用することで、事業への影響を最小限に留めてまいります。

①電子事業
 2021年度の当社電子事業の市場におきましては、テレワーク及びオンライン教育の普及拡大に伴うパソコン需要は一巡するものの、引き続きDXの進展によるデータセンター市場の拡大、更にはメタバースやAR/VR、自動車のCASEなど新たな分野も含め、サーバー用の高機能なICパッケージ基板の需要増加が予測されます。当社におきましては、河間事業場における最先端ICパッケージ基板向け工場の建設を計画通り遂行することにより、従来から当社が強みを持つ最先端分野におけるシェアを拡大してまいります。また、事業環境変化への柔軟な対応と経営資源の有効活用の視点で、生産体制・生産品目の選択と集中を引き続き進めてまいります。

②セラミック事業
 セラミック事業におきましては、主力のディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)事業は、乗用車市場において脱ディーゼル・電動化の流れが加速することが想定されますが、世界的な半導体不足による影響からの回復に加え、中国・新興国を中心とした排ガス規制強化を背景に需要拡大が見込まれる大型商用車向け製品の需要を確実に取り込むことで、中・長期で安定的に収益を確保できる体制を構築してまいります。また、触媒担体保持・シール材(AFP)事業は、揖斐電精密陶瓷(蘇州)有限公司において安定量産を継続するとともに、成長市場である中国の大型商用車を中心とした需要を確実に取り込むことで、セラミック事業全体の安定的な成長軌道を維持してまいります。

③その他事業
 その他事業におきましては、国内グループ各社の独自競争力を持った製品群による事業拡大と安定した電力事業により、当社グループの電子事業・セラミック事業に次ぐ「第3の収益の柱」としての位置付けを確かなものにしてまいります。

 

(3) 新たな環境変化への挑戦

 2022年度は、2018年度より始動した5ヵ年の中期経営計画「To The Next Stage 110Plan」の最終年度となります。事業拡大に向け、伸びる市場に対し、積極果敢に経営資源を投入するとともに、新製品開発におきましては、狙う領域にリソースを集中することで開発サイクルを早め、事業化への道筋を確かなものにしてまいります。また、全てのステークホルダーの皆様より信頼される会社に向け、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営を積極的に推進する中で、気候変動問題を重要な経営課題の一つと位置付け、(1)2030年度に売上高排出量原単位の半減(2017年度比)・排出総量の30%削減(2017年度比)及び(2)2040年代のできる限り早い段階で温室効果ガス排出実質ゼロの実現に向け、事業成長と気候変動対応(GX)の両立を目指してまいります。また、事業環境変化への迅速・果敢な経営判断を支える土台としてのコーポレート・ガバナンス体制につきましても、機関設計変更・役員体制のスリム化に続き、執行部門への権限委譲と稟議プロセスの効率化を主眼とした社内意思決定プロセスの改革を実施し、2022年度より施行しております。
 当社グループといたしましては、これらの経営課題・リスクに着実に対処することで、収益基盤を一層強固なものとし、この不確実性の時代を乗り越え、中期経営計画の目標達成とともに、次期中期経営計画、更にその先の永続的・安定的な成長を実現するための取組みを継続してまいる所存でございます。

 

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