業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

   当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績、財政状態及びキャッ

  シュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

  ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の業績は、売上高は、前期に比べ38.6%(5,775億2千2百万円)増加し、2兆744億2千8百万円となりました。営業利益は、前期に比べ72.4%(2,841億9百万円)増加し、6,763億2千2百万円となり、経常利益は、前期に比べ71.4%(2,893億3千3百万円)増加し、6,944億3千4百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ70.3%(2,063億8千5百万円)増加し、5,001億1千7百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績の概要及びその分析等は、次のとおりです。

 

生活環境基盤材料事業

塩化ビニル、苛性ソーダともに、需要は堅調に推移し、今年に入って生じた原料事情を踏まえて、製品値上げに取り組みました。工場の定期修理期間を除き、米国シンテック社を始めとする全拠点でフル操業を継続しました。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ76.4%(3,713億2千2百万円)増加し、8,571億8千9百万円となり、営業利益は、前期に比べ219.1%(2,181億9千1百万円)増加し、3,177億9千2百万円となりました。

 

電子材料事業

半導体デバイスの世界的な供給不足は依然解消していません。顧客からの強い需要に応えるべく、当社はシリコンウエハー、フォトレジスト、マスクブランクス等の半導体材料を最大限出荷しました。希土類磁石は、アジアの生産拠点で感染対策と自然災害による操業制限がありましたが、自動車、産業機器、ハードディスク等すべての分野での旺盛な需要に応えるべく、できうる限りの操業を実行しました。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ19.0%(1,133億3百万円)増加し、7,089億7千9百万円となり、営業利益は、前期に比べ18.8%(386億9千3百万円)増加し、2,447億7千8百万円となりました。

 

機能材料事業

世界的に物流混乱が続く中で最大限の出荷に尽力し、原料高に対応した価格修正に取り組みました。同時に、特徴のある製品を数多く上市して、販売増を図りました。セルロース製品についても値上げを開始しました。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ25.9%(813億5千4百万円)増加し、3,956億2千6百万円となり、営業利益は、前期に比べ34.0%(240億6千3百万円)増加し、947億7千4百万円となりました。

 

加工・商事・技術サービス事業

半導体ウエハー関連容器の出荷は発送・納入用、工程内用ともに好調で、自動車用入力デバイスの販売も好調でした。食品包装用塩ビラッピングフィルムは事業買収により、売上が増加しました。シリコーン関連製品、塩ビ関連製品などで値上げを実施しました。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ11.4%(115億4千2百万円)増加し、1,126億3千2百万円となり、営業利益は、前期に比べ28.1%(45億9千万円)増加し、209億1千万円となりました。

 

 

 当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比

べて6,727億9千7百万円増加し、4兆534億1千2百万円となりました。主に、現金及び預金、営業債権、並びに

有形固定資産の増加によるものです。

 当期末負債合計額は、前期末に比べ1,302億1千4百万円増加し、6,242億4百万円となりました。

 当期末純資産は、剰余金の配当1,204億8千1百万円などにより減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益

が5,001億1千7百万円となった結果、3兆4,292億8百万円となりました。

 この結果、自己資本比率は83.2%から1.1ポイント減少し、82.1%となり、1株当たり純資産額は、前期に比べ

1,237円52銭増加し、8,007円24銭となりました。

 投下資本利益率(ROIC)は17.2%から10.0ポイント増加し、27.2%となり、自己資本利益率(ROE)は、

10.7%から5.6ポイント増加し、16.3%となりました。年間配当金につきましては、前期に比べ150円増配し、1株

当たり400円としました。

 

 

  ②キャッシュ・フローの状況

 当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に対して25.9%(2,073億2千9百万円)増加し、1兆89億2千5百万円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は5,535億2千8百万円(前期比1,523億5千2百万円増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益6,961億3千7百万円、減価償却費1,687億8千8百万円などにより資金が増加した一方、法人税等の支払額1,474億4千8百万円などで資金が減少したことによるものです。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は2,537億2千3百万円(前期比30億4百万円増加)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出1,957億7千5百万円、定期預金の純増額407億8千3百万円などにより資金が減少したことによるものです。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は1,225億4百万円(前期比313億8千1百万円増加)となりました。これは、配当金の支払額1,204億8千1百万円、自己株式の取得による支出59億5千4百万円などによるものです。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

生活環境基盤材料事業

858,050

81.4

電子材料事業

725,192

23.8

機能材料事業

410,884

32.9

加工・商事・技術サービス事業

78,631

25.1

合計

2,072,759

44.8

(注)生産金額は期中販売価格により算出したものです。

 

 b.受注実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込み生産を行っているため、受注実績を記載していません。

 

 c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

生活環境基盤材料事業

857,189

76.4

電子材料事業

708,979

19.0

機能材料事業

395,626

25.9

加工・商事・技術サービス事業

112,632

11.4

合計

2,074,428

38.6

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文

中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度において、世界の経済は、5%強という経済成長率(GDPの伸び率)が示すように、堅調に伸長しました。その一方で、主要な経済圏が引続きパンデミック、供給混乱と物価圧力ほかの諸課題に取り組むさなか、2月にロシアによるウクライナ侵攻が勃発しました。世界を大きく揺るがす事態が現在も続いています。当社は、今後とも、予断をもって当たることなく、情勢の変化に俊敏に対処していきます。かつこれまで通り、従業員の健康と安全を最優先に、高操業の維持と安定供給の確保、債権保全などの事業要件に注力し、顧客との意思疎通を保ち、顧客にとって価値ある製品の開発を推進し、揺るぎない品質の製品を安定的に供給していきます。

 

 セグメントごとの経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 当社の連結会計年度末の現・預金及び譲渡性預金を含む有価証券(流動資産)の合計額は1兆4,360億8千1百万円(期間が3カ月を超える分を含む)と流動性を十分に確保しています。また、「1.主要な経営指標等の推移(1)連結経営指標等」に記載のとおり、安定的に「営業活動によるキャッシュ・フロー」を獲得していることから、当面の間は運転資金や設備投資への対応も自己資金で賄える水準にあります。

 

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5.経理の状況 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

 

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