業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、国や地域による違いはあるものの、総じてコロナ禍による落ち込みから回復を続けております。一方で部品・原材料不足の深刻化、資源価格の上昇、中国での電力供給問題、ロシアによるウクライナへの侵攻等を背景とし、その回復は減速傾向となりました。

 当社グループを取り巻く事業環境においては、半導体向けや、テレワーク拡大に伴うPC、通信関連向け需要が引き続き好調に推移し、機能化学品や電子素材などの電子・機能製品は増販となりました。また、国内・海外での自動車や自動二輪車の出荷が堅調に推移したことにより、フィルム・シート製品も増販となりましたが、年度後半から半導体不足による自動車生産台数の減少による影響で減速して推移しました。

 このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は47,003百万円と前連結会計年度比4,772百万円(11.3%増)の増収、営業利益は3,192百万円と前連結会計年度比804百万円(33.7%増)の増益、経常利益は、為替差益の計上などにより、4,055百万円と前連結会計年度比1,203百万円(42.2%増)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失の計上などにより、1,930百万円と前連結会計年度比475百万円(19.8%減)の減益となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

(電子・機能製品)

 当該事業の主な取扱製品は、ファインケミカル製品や医薬品原薬・中間体などの機能化学品、粘・接着剤などの機能樹脂、半導体用金型クリーニング材やセラミック基板などの電子素材であります。

 機能化学品は、半導体市場の好況に伴う電子部材向け表面処理剤などの出荷が堅調に推移し、前連結会計年度比増収増益となりました。機能樹脂は、光学関連分野向け粘・接着剤の出荷が堅調に推移したものの、原材料価格の上昇などにより、前連結会計年度比増収減益となりました。電子素材は、カーエレクトロニクス用途、電子デバイス関連向けの需要回復によりセラミック基板の出荷が好調に推移、また、半導体用金型クリーニング材の販売も半導体市場の好況に伴い好調に推移し、前連結会計年度比増収増益となりました。

 以上により、当セグメントの売上高は20,473百万円と前連結会計年度比2,821百万円(16.0%増)の増収となり、セグメント利益は2,860百万円と前連結会計年度比919百万円(47.4%増)の増益となりました。

 

(フィルム・シート製品)

 当該事業の主な取扱製品は、フィルム、ステッカー、再帰反射シートなどであります。

 フィルムは、自動車向けの出荷が堅調に推移し、前連結会計年度比増収増益となりましたが、年度後半からは半導体不足による自動車生産台数の減少による影響で減速して推移しました。ステッカーは、東南アジア、ブラジルの自動二輪車市場の回復により、前連結会計年度比増収増益となりました。再帰反射シートは、欧州でのナンバープレート向け出荷が好調に推移しましたが、原材料価格の上昇などにより前連結会計年度比増収減益となりました。

 以上により、当セグメントの売上高は16,172百万円と前連結会計年度比2,346百万円(17.0%増)の増収、セグメント利益は285百万円と前連結会計年度比274百万円の増益となりました。

 

(建材関連)

 当該事業の主な取扱製品は、ビル・住宅用アルミ建材や内装建材用プラスチック押出製品などでありますが、主力のビル用アルミ建材や戸建て住宅用アルミ建材の販売が低調だったことなどもあり、当セグメントの売上高は7,507百万円と前連結会計年度比889百万円(10.6%減)の減収、セグメント利益はアルミ地金価格の高騰による影響などもあり279百万円と前連結会計年度比235百万円(45.7%減)の減益となりました。

 

(エンジニアリング)

 当該事業の主な内容は、鉄鋼・化学・環境分野の産業プラントの設計・施工などでありますが、国内向け工事案件の完工が増加し、当セグメントの売上高は4,257百万円と前連結会計年度比222百万円(5.5%増)の増収となり、セグメント利益は82百万円と前連結会計年度比6百万円(8.3%増)の増益となりました。

 

 また、当連結会計年度末における財政状態は次のとおりであります。

 

(資産の部)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比639百万円増加し、64,546百万円となりました。

 このうち、流動資産は、現金及び預金の減少はあったものの、売上債権や棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末比557百万円増加し、36,588百万円となりました。固定資産は、設備投資による有形固定資産の取得は増加したものの、減損損失の計上や投資有価証券の売却などにより、前連結会計年度末比81百万円の増加に止まり、27,957百万円となりました。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比2,909百万円減少し、32,496百万円となりました。

 このうち、流動負債は、支払手形及び買掛金の増加はあったものの、短期借入金の返済などにより、前連結会計年度末比2,293百万円減少し、18,591百万円となりました。固定負債は、土地の減損損失計上に伴う再評価に係る繰延税金負債の取崩などにより、前連結会計年度末比615百万円減少し、13,905百万円となりました。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末比3,548百万円増加し、32,049百万円となりました。

 このうち、株主資本は、剰余金の配当による減少はあったものの、新株予約権の行使に伴う新株の発行による資本金及び資本剰余金の増加や親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末比2,498百万円増加し、23,546百万円となりました。その他の包括利益累計額は、円安に伴う為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末比874百万円増加し、6,772百万円となりました。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の42.2%から4.8ポイント改善し、47.0%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは4,297百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは2,360百万円の支出となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動と投資活動による各キャッシュ・フローの合計)は1,937百万円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは4,210百万円の支出となりました。また、現金及び現金同等物の当期末残高は前連結会計年度比1,563百万円減少して10,838百万円となりました。

 なお、各キャッシュ・フローの主な増減内容は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 運転収支の改善などにより、前連結会計年度比506百万円収入が増加しました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資有価証券の売却による収入の減少などにより、前連結会計年度比1,312百万円支出が増加しました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 短期借入金の返済が増加したことなどにより、4,210百万円の支出(前連結会計年度は1,034百万円の収入)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

20,100

24.7

フィルム・シート製品

14,860

15.9

建材関連

2,834

2.2

エンジニアリング

合計

37,795

19.2

(注) 生産金額は、平均販売価格により算出したものであります。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

7,111

24.7

703

△15,4

フィルム・シート製品

建材関連

エンジニアリング

5,596

52.9

3,647

61.7

合計

12,708

35.7

4,351

40.9

(注) 一部の子会社を除き、受注生産は行っておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

20,473

16.0

フィルム・シート製品

16,172

17.0

建材関連

7,507

△10.6

エンジニアリング

4,257

5.5

調整額

△1,407

合計

47,003

11.3

(注) 調整額の内容については、「注記事項 セグメント情報」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産の部)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度比639百万円増加し、64,546百万円となりました。

 このうち、流動資産は、現金及び預金の減少はあったものの、売上債権や棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末比557百万円増加し、36,588万円となりました。固定資産は、設備投資による有形固定資産の取得は増加したものの、減損損失の計上や投資有価証券の売却などにより、前連結会計年度末比81百万円の増加に止まり、27,957百万円となりました。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度比2,909百万円減少し、32,496百万円となりました。

 このうち、流動負債は、支払手形及び買掛金の増加はあったものの、短期借入金の返済などにより、前連結会計年度末比2,293百万円減少し、18,591百万円となりました。固定負債は、土地の減損損失計上に伴う再評価に係る繰延税金負債の取崩などにより、前連結会計年度末比615百万円減少し、13,905百万円となりました。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産は、前期末比3,548百万円増加し、32,049百万円となりました。

 このうち、株主資本は、剰余金の配当による減少はあったものの、新株予約権の行使に伴う新株の発行による資本金及び資本剰余金の増加や親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末比2,498百万円増加し、23,546百万円となりました。その他の包括利益累計額は、円安に伴う為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末比874百万円増加し、6,772百万円となりました。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の42.2%から4.8ポイント改善し、47.0%となりました。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 売上高は、半導体向けや、テレワーク拡大に伴うPC、通信関連向け需要が引き続き好調に推移し、電子・機能製品は増販し、国内・海外での自動車や二輪車の出荷も堅調に推移したことによりフイルム・シート製品も増販となり47,003百万円と前連結会計年度比4,772百万円(11.3%増)の増収となりました。

 

(営業利益)

 売上原価は、フィルム・シート製品、建材関連製品を中心とした、原材料価格の上昇などにより、32,859百万円と前連結会計年度比3,743百万円(12.9%増)の増加となりました。

 また、販売費及び一般管理費は、世界的なコンテナ不足による運賃の高騰や売上高の増加に伴う支払運賃の増加となどにより、10,951百万円と前連結会計年度比224百万円(2.1%増)の増加となりました。

 この結果、営業利益は、3,192百万円と前連結会計年度比804百万円(33.7%増)の増益となりましたが、営業利益率は6.8%と前連結会計年度(5.7%)から上昇しました。

(経常利益)

 当連結会計年度は営業外収益に為替差益681百万円を計上したことなどにより、経常利益は、4,055百万円と前連結会計年度比1,203百万円(42.2%増)の増益となり、経常利益率も8.6%と前連結会計年度(6.8%)から上昇しました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 減損損失などを計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,930百万円と前連結会計年度比475百万円(19.8%減)の減益となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増減額が、前連結会計年度448百万円の減少から、当連結会計年度1,146百万円の増加に転じたことなどに伴う運転収支の改善などにより、前連結会計年度比506百万円収入が増加しました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券等の売却による収入が前連結会計年度比999百万円減少したことにより前連結会計年度比1,312百万円支出が増加しました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済が増加したことなどにより、4,210百万円の支出(前連結会計年度は1,034百万円の収入)となりました。

 なお、配当金の支払額は、前連結会計年度328百万円(1株当たり40円)、当連結会計年度580百万円(1株当たり55円)であります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要のうち主なものは、設備の更新や合理化などを目的とした設備投資であり、その資金については、自己資金及び金融機関からの借入れにより調達しております。

 また、資金運用の柔軟性を保つため、一定の手元資金を確保するとともに、メインバンクとコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金調達を実現しております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 また、会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

 「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

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