当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前年同期比(%)は記載せずに説明しております。
当連結会計年度における我が国の経済は、世界的に感染拡大が継続し収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症の影響が引き続き大きく、不透明な状況が続いております。
当社グループの属する情報サービス産業におきましては、そのような状況の中、労働力の減少に対応する経営効率化や生産性向上の推進を含めた将来の成長・競争力強化に向けた企業のデジタル・トランスフォーメーション(以下「DX」という。)推進基調の継続に加え、コロナ対策としてのリモートワーク推進のトレンドも重なり、IT投資の需要が引き続き堅調に推移するものと予想されます 。
このような状況の中、当社グループは「新たな価値を創造し、常識を変え、文化を進化させる」という企業理念のもと、グローバルで活用できる最新のローコード開発ツールと独自の開発方法論を活用し、エンジニアの開発生産性を高めることで「日本企業の国際的競争力を向上させる」ことをミッションとするDX事業を展開しております。
当社グループの事業は、ローコード技術とアジャイル手法を最大限に活かせる当社グループ独自の開発方法論である「AGILE-DX」を活用した受託開発サービス及び技術者向けトレーニングを提供する「プロフェッショナルサービス」とローコード開発ツール等のソフトウェアを販売する「ソフトウェアライセンス販売」から構成されております。「プロフェッショナルサービス」においては、受託開発サービスにおけるローコード開発ツール「OutSystems®」を活用したシステム受託開発及びコンサルティングの提供が順調に拡大いたしました。「ソフトウェアライセンス販売」においては、「プロフェッショナルサービス」の提供に伴って「OutSystems®」を中心とする当社グループ取扱製品の販売が堅調に推移いたしました。また、顧客のシステム化ニーズの多様化に合わせ、インターネット・クラウド上での業務プロセスの自動化や効率化を実現する「Workato®」等の新たな製品取り扱いを開始し、その販売拡大及び「OutSystems®」と組み合わせての新たなプロフェッショナルサービス提供機会創出に努めてまいりました 。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は1,929,747千円、営業利益は363,925千円、経常利益は348,649千円、親会社株主に帰属する当期純利益は253,222千円となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、従来の基準と比較して当連結会計年度の売上高は733,570千円減少しております。
収益認識会計基準の適用によって、主に当社グループ事業における「ソフトウェアライセンス販売」のうち、他社からの仕入が発生するソフトウェアライセンスの売上高に影響が生じております。当該取引においては、従来の売上高及び売上原価を総額で計上する方式から、売上高から売上原価であるライセンス使用料を差し引いた純額を売上高として計上する方式に変更しております。計上時期についても、従来のライセンス契約期間に応じて分割計上する方式から、契約開始時に一括で計上する方式へ変更しております。
また、セグメントの業績につきましては、当社グループは、DX事業の単一セグメントのため、記載を省略しております。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,754,867千円となり、前連結会計年度末に比べ1,574,947千円増加いたしました。これは主に上場に伴う新株式の発行等により現金及び預金が増加した一方で、収益認識会計基準の適用により前払費用が減少したことによるものであります。固定資産は201,767千円となり、前連結会計年度末に比べ4,505千円減少いたしました。これは主に減価償却により減少したことによるものであります。
この結果、総資産は2,956,635千円となり、前連結会計年度末に比べ1,570,441千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は564,319千円となり、前連結会計年度末に比べ168,742千円減少いたしました。これは主に前受収益が収益認識会計基準の適用により減少したことによるものであります。固定負債は37,493千円となり、前連結会計年度末に比べ91,844千円減少いたしました。これは主に長期借入金の返済により減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は601,812千円となり、前連結会計年度末に比べ260,586千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は2,354,823千円となり、前連結会計年度末に比べ1,831,028千円増加いたしました。これは主に上場に伴う新株式の発行等によるものであります。
この結果、自己資本比率は79.6%(前連結会計年度末は37.8%)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,710,720千円増加し、2,356,210千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、338,364千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益348,649千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、9,579千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出8,124千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、1,381,935千円となりました。これは主に、株式の発行による収入1,492,037千円があったことによるものであります。
当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
第15期連結会計年度及び第16期連結会計年度の受注実績は、次の通りであります。
(注)収益認識会計基準を当連結会計年度の期首から適用しており、前連結会計年度末受注残高については、当該会計基準等を適用した後の受注残高としております。この結果、従来の基準と比較して、当連結会計年度の受注高は805,094千円、受注残高は1,028,093千円それぞれ減少しております。また、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、前期比(%)は記載しておりません。
c.販売実績
第15期連結会計年度及び第16期連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
なお、当社グループの事業はDX事業の単一セグメントであります。
(注)1.収益認識基準を当連結会計年度の期首から適用しており、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、前期比(%)は記載しておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
a.貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるために、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案して回収不能見込額を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
b.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
c.受注損失引当金
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当該連結会計年度末における受注契約に係る損失見込額を計上しております。受注契約時の予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
d.固定資産の減損損失
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は1,929,747千円となりました。これは、当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用したことにより、従来の基準と比較して売上高は733,570千円減少したことが主因となります。適用前の基準に合わせた売上高は左記金額を加えた2,663,317千円となり、これは主にDX事業におけるローコード開発プラットフォームOutSystems®のソフトウェアライセンス販売が既存顧客の更新ならびにアップグレードにより堅調であったこと、およびプロフェッショナルサービスにおけるOutSystems®等ソフトウェアを活用し、当社アジャイル手法を組み合わせた受託開発サービスの提供増大に伴うものとなります。
収益認識会計基準等を適用した売上高の内訳は、ソフトウェアライセンス販売が263,408千円、プロフェッショナルサービスが1,666,338千円となりました。また、プロフェッショナルサービスの大半を占める受託開発サービスの売上高は1,591,115千円となりました。なお、収益認識基準等の適用に伴い、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、上記経営成績の分析において増減率(%)は記載しておりません。
(売上原価,売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は885,476千円となりました。これは主に、収益認識会計基準等を適用に伴いDX事業において、ソフトウェアライセンス販売に応ずる仕入費用の大半が売上原価として計上されなくなったことに伴う減少に伴うものとなります。なお、収益認識基準等の適用に伴い、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、上記経営成績の分析において増減率(%)は記載しておりません。この結果、売上総利益は1,044,270千円となりました。
(販売費及び一般管理費,営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は680,345千円(前期比31.9%増)となりました。これは主に、技術部門を中心とする当社従業員の増員に伴う給与等人件費及びこれに付随する採用教育費等が増加したことによります。この結果、営業利益は363,925千円(前期比107.7%増)となりました。
(営業外収益,営業外費用,経常利益)
当連結会計年度における雑収入等の営業外収益355千円、上場時関連費用、支払利息等の営業外費用15,631千円が発生し、この結果、経常利益は348,649千円(前期比99.9%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税等95,427千円が発生し、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は253,222千円となりました。
財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものには、DX事業におけるプロフェッショナルサービス提供のための外注費及び労務費のほか、営業部門及び管理部門の人件費、サービス開発に伴うソフトウェア利用料、研究開発費等があります。運転資金は、主として内部資金及び借入により調達しております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。
「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループでは経営上の目標の達成状況を客観的に判断するため、「売上高」、「期中取引顧客数」ならびに「従業員数、従業員技術者数及びサービスパートナー技術者数」を経営指標と位置付けております。当該指標においては、当連結会計年度終了時点で、売上高は1,929,747千円、期中取引顧客数165社、従業員数91名、サービスパートナー技術者数75名となっております。各指標について目標数値の達成に向け堅調に推移しているものと認識しておりますが、取引顧客数の拡大に伴う売上高の増大と、これを実現するために必要不可欠となるプロフェッショナルサービス提供技術者の確保と育成に注力してまいります。
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