当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
経営成績の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、半導体に代表される部品供給不安、エネルギー価格等の高騰など不透明な状況が続きました。一方で、ポストコロナを見据えた経済活動が各所で行われていることから、今後の経済活動の活性化が期待されております。
当社グループのITソリューション事業及びビジネスプロダクト事業が属するITサービス市場においては、新型コロナウイルス感染症の影響下でも景気は回復局面にあります。特に中小企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れが指摘されていますが、当社グループとしては、これらの需要に対応していくことでビジネスチャンスが創出できる状況にあります。ゲームコンテンツ事業は、海外企業による日本市場の切り崩しが徐々に見られており、業界内の競争がさらに厳しさを増しております。
このような状況のもと、ITソリューション事業においては、受託開発と「ITソリューションのサブスクリプションモデル」と銘打つ「テンダラボ」(非常駐型準委任契約による開発)の契約推進を実施いたしました。ビジネスプロダクト事業においては、行動制限の緩和を機に展示会等への参加や製品認知度向上のための広告宣伝を行う一方で、既存製品の付加価値向上のためのバージョンアップや新サービスのための研究開発活動を実施いたしました。ゲームコンテンツ事業においては主力タイトルの運営強化に加えて原価を中心としたコスト管理に注力いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は3,509百万円(前連結会計年度比17.5%増)、営業利益は373百万円(前連結会計年度比9.1%増)、経常利益は359百万円(前連結会計年度比6.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は240百万円(前連結会計年度比7.3%増)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は8百万円増加し、営業利益及び経常利益はそれぞれ6百万円増加しております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(ITソリューション事業)
ITソリューション事業においては、企業のDX化等に向けた投資等が活性化されつつある状況もあり受託開発においては案件数、案件単価ともに順調に推移しております。また上記の「テンダラボ」も想定を上回る受注があったことや原価管理を徹底したことから、売上高は2,501百万円(前連結会計年度比34.1%増)となり、セグメント利益は778百万円(前連結会計年度比38.2%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は3百万円増加し、セグメント利益は1百万円増加しております。
(ビジネスプロダクト事業)
ビジネスプロダクト事業においては、主力製品である「Dojo」が堅調に推移しております。加えて新サービスの開発を進め2021年11月末に「Dojoウェブマニュアル」をリリースいたしました。費用面では広告宣伝費及び研究開発費等の投資を行いました。その結果、売上高は575百万円(前連結会計年度比7.8%増)となり、セグメント利益は114百万円(前連結会計年度比31.7%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は4百万円増加し、セグメント利益は4百万円増加しております。
(ゲームコンテンツ事業)
ゲームコンテンツ事業においては、主力プラットフォームにおける競合ゲームの活況を受け、自社タイトル「ヴァンパイア†ブラッド」等の業績に影響が出たため追加の集客施策などのイベントを実施しつつも、不採算ゲームタイトルのサービスをやむを得ず終了し、運営体制の見直しを図り、原価を中心としたコスト削減に注力いたしました。しかしながら、売上高は431百万円(前連結会計年度比26.2%減)、セグメント利益は28百万円(前連結会計年度比70.0%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用による売上高及びセグメント利益への影響はありません。
事業毎売上高
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
財政状態につきましては次のとおりであります。
ⅰ 資産の部
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,128百万円増加し、3,004百万円となりました。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,085百万円増加し、2,700百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加が848百万円あったこと、電子記録債権、売掛金及び契約資産の増加が231百万円あったこと等によります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末に比べ43百万円増加し、303百万円となりました。これは主にソフトウエアの増加が13百万円あったこと、敷金及び保証金の増加が25百万円あったこと等によります。
ⅱ 負債の部
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ52百万円増加し、925百万円となりました。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ126百万円増加し、722百万円となりました。これは主に買掛金が71百万円、未払法人税等が28百万円及びその他が28百万円増加したこと等によります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末に比べ74百万円減少し、202百万円となりました。これは主に長期借入金の減少が76百万円あったこと等によります。
ⅲ 純資産の部
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,075百万円増加し、2,078百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益240百万円を計上したこと、株式上場による新株発行及び自己株式の処分等により資本金及び資本剰余金の増加が734百万円あったこと、自己株式の減少が144百万円あったこと、剰余金の配当を44百万円行ったこと等によります。
収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の期首残高が3百万円減少したことにより純資産が減少しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ848百万円増加し2,119百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ53百万円減少し211百万円となりました。資金の増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益360百万円、仕入債務の増加71百万円、減価償却費58百万円となっております。資金の減少の主な要因は、売上債権及び契約資産の増加226百万円、法人税等の支払額101百万円となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ43百万円増加し92百万円となりました。資金の減少の主な要因は、無形固定資産の取得による支出53百万円、敷金及び保証金の差入による支出34百万円となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、725百万円となりました。前連結会計年度においては148百万円の使用であります。資金の増加の主な要因は、株式の発行による収入410百万円及び自己株式の処分による収入469百万円であり、資金の減少の主な要因は、長期借入金の返済による支出146百万円及び配当金の支払額44百万円となっております。
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.ITソリューション事業におきましては、受注から売上までに一定の期間が必要な受託開発分野のみ受注残高を記載しております。ビジネスプロダクト事業におきましては、受注から納品まで期間が2か月以内が殆どのため受注残高の管理をしておりません。また、ゲームコンテンツ事業におきましては、ゲーム自体を無償で提供、お客様がゲーム内でコンテンツ等の入手時に課金し、これが当社の収入となるため、通常は受注残高はございません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来生じる実際の結果と異なる可能性がありますのでご留意ください。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、当連結会計年度における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a. 受注制作ソフトウエアの請負契約のうち一定の期間にわたり履行義務を充足し認識する収益
当社グループでは、一定の期間にわたり履行義務を充足し認識する収益について、履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生したプロジェクト原価が、予想されるプロジェクト原価の総額に占める割合に基づいて行っております。
受注制作のソフトウエア開発は、仕様や作業内容が顧客の要求に基づいて定められており、契約ごとの個別性が強く、契約時に予見できなかった仕様変更や不具合の発生等による作業工程の遅れ等による原価の変動など、プロジェクト原価総額が変動することがあります。
また、会計上の見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
b. 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断に当たって、将来の課税所得等を合理的に見積もっております。将来の課税所得等の見積りに当たっては、業績予測等を前提としておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等により業績予測が変動する場合があります。この結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において計上する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
c. 受注損失引当金の算定
受注業務に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末の受注契約のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることができる業務については損失見込額を計上することとしております。損失見込額が多額となる場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、会計上の見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、連結財務諸表の作成のための基本となる重要な会計基準等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度において新型コロナウイルス感染症の影響で顧客が発注見合わせていた大規模受託開発案件の成約が進んだこと、「テンダラボ」(非常駐型準委任契約による開発)の成約が進んだこと、製品販売のための展示会の開催が再開され製品販売が上伸したことなどから、3,509百万円(前連結会計年度比17.5%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、主力事業であるITソリューション事業における、大型案件の成約によるパートナー企業への委託の増加などにより、2,061百万円(前連結会計年度比20.5%増)となりました。
その結果、売上総利益は1,447百万円(前連結会計年度比13.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、展示会の再開などによる広告宣伝及び販促活動の活発化と新製品の研究開発投資などにより、1,074百万円(前連結会計年度比15.3%増)となりました。
その結果、営業利益は373百万円(前連結会計年度比9.1%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益については、助成金収入が減少したことなどにより、3百万円(前連結会計年度比32.0%減)となりました。
当連結会計年度の営業外費用については、株式公開費用などにより、17百万円(前連結会計年度比52.8%増)となりました。
その結果、経常利益は359百万円(前連結会計年度比6.9%増)となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、投資有価証券の売却による売却益であります。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は240百万円(前連結会計年度比7.3%増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものとして、案件を推進するための外注費、人件費の支払、製品開発、販売費及び一般管理費があります。これらの資金需要は売上代金の回収にて獲得した自己資金で充当しておりますが、必要に応じて、金融機関からの借入による資金調達で対応できるものと考えております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境の変化をはじめ、様々なリスク要因が当社グループの成長及び経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは、常に市場動向等に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保及び育成に努め、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因の低減を図ってまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の対応について
当社グループは、更なる成長と強固な経営基盤を確立するため、以下の事項を今後の事業展開における対処すべき課題として認識し、重点的に取り組んでまいります。
a. 優秀な人材の確保と育成
継続的な成長の原資である人材は当社グループにとって最も重要な経営資源と認識しております。当社グループビジョンと共鳴し、主体的に課題解決ができる優秀な人材の確保と成長を支える人材育成を重要課題として、採用体制の強化、採用ルートの拡大、教育・育成、研修制度及び人事評価制度の充実等、各種施策を進めてまいります。
b. 主要事業の拡大
強い経営体制の会社として持続的に成長し社会貢献を行うために、既存事業の拡大及び新サービスの創出により、収益の拡大を目指してまいります。
ITソリューション事業においては、より上流のコンサルティング領域の獲得、顧客満足の最大化につながるサービスメニューのラインアップ強化、ソリューションとのシナジー強化を進めてまいります。
ビジネスプロダクト事業においては、既存商品はさらにお客様の課題解決に役立つ機能を搭載し、バージョンアップさせていくことで拡販を目指してまいります。同時に、技術シーズの発掘や市場ニーズを的確に捉え、製品の研究・開発を進めてまいります。
ゲームコンテンツ事業においては、提供するゲームのクオリティ向上等を目的に既存メンバーの育成に重点をおき、企画・開発・運営等、すべての面で底上げによる体制強化を図ってまいります。
c. 経営管理体制及び内部管理体制の強化
経営の健全性・適切性の確保に向け経営管理体制を有効に機能させると同時に、適時開示体制やコンプライアンス体制、リスク管理体制などの内部管理体制の充実に努めてまいります。
d. ビジネスパートナー企業との協業強化と拡大
当社グループは、お客様のご要望に機動的に対応するためにビジネスパートナーとの協業強化が不可欠と認識しております。近年の技術者不足を踏まえ、ビジネスパートナーとの連携をより強固なものに発展させると同時に、新たなビジネスパートナーの発掘を積極的に行い、開発体制を強化してまいります。
⑥ 目標とする経営指標(連結売上高、営業利益)に対する今後の方針と対策
当社グループは、事業規模の拡大と収益性の向上を重要な課題と認識しております。そのため、今後の目標とする指標を連結売上高では、前期比10%以上の成長、営業利益では、前期比20%以上の成長としております。この目標を実現することにより利益率の向上を図ります。
事業の拡大につきましては、新型コロナウイルス感染症の発生により今後さらに企業におけるワークスタイル変革は加速すると考えており、時代に合ったワークスタイル変革ソリューションを企業に提供し続け、変革の推進と加速を支援していくことにより事業を拡大してまいります。
具体的には、働き方の改善を主目的としてIT活用を行うソリューション・サービス・製品を「ワークスタイル変革ソリューション」と定義し、働き方の改善に向けコンサルティング提案し、企画・設計、システム開発、保守・運用に至るまでトータル的にサポートを行いお客様の課題解決に貢献してまいります。
また、コンサルティング提案の中でお客様の状況に応じて、より良いプロダクトを提供できるように、当社グループのプロダクト群の機能アップを体系的に図り、より付加価値の高いサービスを提供し続けてまいります。
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