業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及び

キャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 

 

①財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,948百万円減少し、135,606百万円となった。

流動資産は、79,540百万円(前連結会計年度末は81,966百万円)となり、2,426百万円減少した。減少の主なものは、受取手形及び売掛金(前期比3,926百万円減)である。

固定資産は、56,066百万円(前連結会計年度末は56,588百万円)となり、521百万円減少した。減少の主なものは、投資有価証券(前期比1,996百万円減)である。

 

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,625百万円減少し、27,218百万円となった。

流動負債は、23,139百万円(前連結会計年度末は25,060百万円)となり、1,920百万円減少した。減少の主なものは、支払手形及び買掛金(前期比5,920百万円減)である。

固定負債は、4,079百万円(前連結会計年度末は4,783百万円)となり、704百万円減少した。減少の主なものは、退職給付に係る負債(前期比579百万円減)である。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ323百万円減少し、108,387百万円となった。減少の主なものは、その他有価証券評価差額金(前期比1,445百万円減)である。

 

②経営成績

当連結会計年度の連結業績は、売上高は65,903百万円(前期比1.8%増)、営業利益は10,883百万円(前期比2.0%増)、経常利益は11,397百万円(前期比1.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は7,662百万円(前期比1.5%増)となった。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりである。

 

<公共分野>

交通・景観関連事業:防音壁材は、昨年に集中した高規格道路や新幹線向けの物件が一巡した影響を受け、前期を下回る成績となった。交通安全製品は、高規格道路向けの眩光防止板や車線分離標「ポールコーン」の新設物件減少により低調に推移するとともに、路面標示材についても、前期の自転車道整備物件反動減の影響を受け、売上減となった。また、防護柵製品は、歩行者用防護柵が河川などの転落防止用途として設置が進み業績に寄与したものの、交差点や通学路の安全対策用途の車両用防護柵等が物件の工期遅延の影響を受け、低調裡に推移した。一方、高欄は、投物防止機能を備えた製品が橋梁の新設物件に加えて国土強靭化対策として増加する橋梁修繕向けに設置が進むなど、好調な成績を収めた。また、景観に配慮したデザインの人工木材が、歩行空間へのベンチ設置や公園改修用途に採用されるなど、売上を伸ばした。

スポーツ施設関連事業:グラウンド用人工芝は、コロナ禍による新規の大型物件減少に対して保守・メンテナンス物件に注力したが、前期を大きく下回る成績となった。テニスコート用人工芝も、植物由来ポリエチレンを使用した環境配慮型人工芝が採用されたものの、新規物件の減少により大幅な売上減となった。

 

<民間分野>

住建材関連事業:メッシュフェンスは、商業施設等の建築着工低減の影響を受けたものの、集合住宅等への提案強化により、前期を上回る成績となった。めかくし塀も、通学路の安全対策を目的としたブロック塀改修や物流施設向けの受注を増やすとともに、防音機能を備えた製品が沿道の車両騒音対策用途や居住地域における工場・保育施設等に採用され、堅調に推移した。装飾建材は、商業施設やレジャー施設向けの需要低迷の影響を受けたものの、高層建築向けの製品提案に注力した結果、前期並みの成績を収めた。

総物・アグリ関連事業:梱包結束用バンドは、環境問題に対する意識の高まりを背景に3R(リデュース・リユース・リサイクル)に対応した製品の提案を強化し、売上は大幅な伸長となったが、想定を上回る原材料価格高騰により利益面で課題を残した。ストレッチフィルム包装機は、物流現場の人手不足による省人化ニーズに対応した全自動タイプの導入が進み、堅調に推移した。安全柵についても、搬送機周辺や工場設備周りに採用されるなど、売上に寄与した。アグリ関連製品は、園芸資材が巣ごもり需要増加に伴い売上を拡大するとともに、農業資材が国内生産品としての品質や安全性が評価され、順調な成績となった。

 

<関連グループ会社事業>

高速道路等のリニューアル工事の増加を背景に、橋梁などのコンクリート構造物の劣化や老朽化による剥落を防ぐコンクリート片剥落防止システムが、好調に推移した。また、高い視認性を備えた溶融型高機能標示材が高速道路の大規模修繕工事に伴う車線運用変更用途などに採用され、大幅に売上を伸ばした。一方、欧州における交通安全製品は、新製品「凍結防止ハイドロミラー」が好評を博したものの、車線分離標「ポールコーン」が前期の自転車道物件の反動を受け、売上減となった。アルミ樹脂積層複合板は、建材用途の製品が好調に推移するとともに、仮設防音パネルが軽量化による施工性を評価され新規領域となるインフラ改修物件に採用されるなど、大きく売上を伸ばした。組立パイプシステム製品は、自動車、電機等の主要ユーザー向けの受注が回復したことに加えて、食品分野など新規領域での製品提案や感染防止対策の間仕切りがワクチン接種会場で採用されたことなどが奏功し、堅調に推移した。デジタルピッキングシステム製品は、海外での受注は増加したものの、前期の物流センター向け大口物件反動の影響を受け、売上減を余儀なくされた。

 

この結果、公共分野の売上高は32,507百万円(前期比2.7%減)、営業利益は5,802百万円(前期比   1.3%減)、民間分野の売上高は33,395百万円(前期比6.6%増)、営業利益は5,671百万円(前期比  4.7%増)となった。

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ254百万円減少(前期比0.5%減)し、47,031百万円となった。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益11,347百万円に加え、売上債権の減少による資金増加の一方、仕入債務の減少や棚卸資産の増加による資金の減少、法人税の支払等を行ったことにより8,792百万円の収入となった(前期は9,286百万円の収入)。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得や長期性預金の預入等により2,322百万円の支出となった(前期は538百万円の支出)。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

自己株式の取得や配当金の支払等を行ったことにより6,870百万円の支出となった(前期は3,377百万円の支出)。

 

 

④生産、受注及び販売の実績

 

a.生産実績

  当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

公共分野

32,614

△2.7

民間分野

32,525

5.9

合計

65,139

1.4

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっている。

 

b.受注実績

 当社及び連結子会社は主として見込み生産を行っており、受注生産は殆ど行っていない。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

公共分野

32,507

△2.7

民間分野

33,395

6.6

合計

65,903

1.8

 (注)主な販売先について、総販売実績に対する相手先別の販売実績の割合が100分の10未満につき、記載を省略している。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び②経営成績」に記載のとおりである。

  当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、ワクチン接種の進行などにより経済活動の回復が期待されたものの、オミクロン株による感染急拡大に加えて想定を上回る原材料価格高騰、急激な円安の進行や半導体不足、さらには、ウクライナ情勢の緊迫化による影響が拡大するなど、経営環境は依然として予断を許さない状況が継続した。

  このような経営環境下において、当社グループは、長引くコロナ禍による環境変化に対応するために公共分野へ経営資源を重点配分するとともに、基盤事業の拡大、未来に向けた新たな基盤づくりや環境対策を基本戦略とする「中期経営計画 2024」を策定し、「持続可能な社会の実現に向けて、世界の人々の安全・安心と快適な暮らしを支えることを基軸に、価値ある製品の創造とサービスを通じて世界中の人々に信頼され、感動を提供し続ける企業グループを目指します。」という新たなビジョンのもと、事業活動を推進している。

  当連結会計年度は、自然災害に対する防災・減災対策、国土強靭化による安心して暮らせるまちづくりや生活道路・通学路における歩行者の交通安全対策への提案を推し進めるとともに、環境・社会への貢献度が高い製品を「サステナビリティ貢献製品」と位置づけ販売拡大に取り組むなど、社会の課題解決に向けた付加価値の高い製品の総合提案に注力した。

  一方、原材料高騰に対応した製品価格改定や戦略購買、あらゆるコスト削減に注力するとともに、輸送費高騰対策としての配送効率化や、製品における品種統廃合による生産性向上に取り組むなど、収益性を最重要視した事業経営を推進した。また、社内の新型コロナウイルス感染予防対策についても引き続き徹底を図るとともに、Webを活用した商談・会議、在宅勤務などのテレワークやデジタル化による業務効率化にも積極的に取り組んだ。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。

資金需要

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、メーカーとして「複合技術を活かした安全・安心、環境保全に貢献するモノづくり」のための材料費、研究開発費、営業活動費、一般管理費等がある。また、設備資金需要として、製品開発や生産性向上への有形固定資産投資等があり、さらに欧州、アジア・オセアニアにおける更なる海外事業拡大および国内事業強化領域の進化を、スピードをもって実行するためのM&A投資資金需要等がある。

 

財政政策

当社グループは、現在、運転資金、設備投資およびM&A投資等の資金需要については主に内部資金より充当し、必要な資金を将来に亘り安定的に確保するため、金融機関からの短期借入により資金調達を行っている。なお、本報告書提出時点において格付投資情報センターにて「A-」の格付を取得している。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されている。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もあるが、期末時点において入手可能な情報を基に検証等を行っている。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、企業として本来の事業活動の成果を示す「営業利益」を重要な経営指標と位置付けて、その向上を目指すとともに、ROEを重視し資本効率の改善に努めてきた。また、年間配当は、安定的な配当の維持を基本に連結配当性向35%以上を目指している。

なお、当連結会計年度における営業利益は、5期連続で100億円を上回る108億8千3百万円、営業利益率は16.5%となり、ROEは7.2%となった。また、年間配当金については、13期連続で増配し連結配当性向は33.7%となった。

引き続きこれらの指標の改善・向上に取り組む。

 

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得