業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(1)経営成績の状況

①  売上高

当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)の連結業績は、販路の拡大による売上増加はありましたが、世界的な半導体供給不足と、新型コロナウイルス感染症の影響による東南アジア地域からの自動車部品調達支障等により顧客各社の生産台数が減少したことに加え、会計基準変更による影響等で、売上高は前連結会計年度と比べ 33,565 百万円( 22.3 %)減少の 116,669 百万円となりました。

②  売上原価、営業損益

当連結会計年度の営業損益は、生産工程の効率化、投資の抑制や見直しなど、あらゆる経費の削減とコスト改善活動の実施に努めてまいりましたが、減産影響や急激な生産変動に伴う稼働ロス等に加え、米国新工場の操業準備費用の影響もあり 2,632 百万円の損失(前連結会計年度は 4,456 百万円の営業利益)となりました。

③  営業外損益、経常損益

当連結会計年度の経常損失は、 985 百万円(前連結会計年度は 5,386 百万円の経常利益)となりました。

④  特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、 2,085 百万円(前連結会計年度は 2,536 百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

(2)財政状態の状況

①  資産

当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べ 3,132 百万円( 2.0 %)減少し、 156,162 百万円となりました。主な要因は、有形固定資産が増加した一方で、現金及び預金が減少したことによるものであります。

②  負債

負債は、前連結会計年度に比べ 161 百万円( 0.2 %)減少し、 79,243 百万円となりました。主な要因は、長期借入金が増加した一方で、未払金並びに支払手形及び買掛金が減少したことによるものであります。

③  純資産

純資産は、前連結会計年度に比べ 2,971 百万円( 3.7 %)減少し、 76,918 百万円となりました。主な要因は、為替換算調整勘定が増加した一方、利益剰余金が減少したことによるものであります。

この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度に比べ44円15銭減少の 1,045円26銭 に、自己資本比率は、前連結会計年度の 48.5 %から1.0ポイント低下の 47.5 %となりました。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して 12,099 百万円( 36.7 %)減少し、 20,867 百万円となりました。

①  営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、 3,705 百万円の収入(前連結会計年度は 16,788 百万円の収入)となりました。主な要因は、減価償却費10,798百万円の計上によるものであります。

②  投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、 20,107 百万円の支出(前連結会計年度は 17,567 百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出18,486百万円であります。

③  財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、 3,579 百万円の収入(前連結会計年度は 8,565 百万円の収入)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入7,611百万円であります。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

当社は取引先の生産順序どおりに生産納入する方式を採用しており、確定受注は主に納期直前であることから、生産実績及び受注実績は、販売実績と重要な相違はないため記載は省略しております。

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日   本

87,211

△23.3

中国・韓国

5,789

7.6

ア セ ア ン

9,066

10.3

中米・北米

14,602

△36.1

合   計

116,669

△22.3

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

マツダ株式会社

82,989

55.2

62,735

53.8

Mazda Motor Manufacturing de Mexico, S.A. de C.V.

21,977

14.6

18,465

15.8

ダイハツ工業株式会社

18,741

12.5

11,898

10.2

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)の自動車業界を取り巻く環境は、カーボンニュートラルやSDGsをはじめとする持続可能な社会の実現に向けた取り組みや次世代の自動車開発がより一層加速する一方、世界で長期化している新型コロナウイルス感染症の影響により、海外でのロックダウンや国内での緊急事態宣言の発出に加え、世界的な半導体供給不足等により自動車メーカー各社での販売減や生産停止等による経済活動の停滞を招き、当社の事業活動にも大きな影響を及ぼすこととなりました。
 このような環境の中、当社はCSR経営の強化を前面に、事業活動を通じた社会貢献活動を利益創出と双璧をなすものとして推進し、2023年度を最終年度とする中期経営計画に掲げる経営指標達成に向けた諸施策を実施してまいりました。
 具体的な取り組みとしまして、研究開発領域においては外装部品での新規の樹脂化開発や内装部品での樹脂発泡成形技術を活用した軽量化によるCO2削減に向けた技術開発、内装部品における自動車内の快適性向上、熱マネージメント技術の開発、樹脂と電装デバイスの融合による先進的な操作デバイスの開発等を推進してまいりました。
 ものづくり領域においては、2019年に稼働を開始した本社工場の機能を活用した全自動化ラインの実現や廃棄ゼロを目指したものづくりへの挑戦、CO2排出量の少ない塗装ラインのフル稼働等、環境面、効率面でより一段と進化した生産プロセスの導入を順次進めてまいりました。また、海外において、米国アラバマ州の新工場が生産を開始し、国内各拠点で培った生産プロセスを織り込み生産性向上と黒字化に向けた取り組みを推進しております。
 経営基盤領域においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策の一環として、テレワーク勤務やWEB会議のためのインフラ環境、制度を整備し積極的な活用を推進しました。更に、サステナビリティに関する活動を推進していくための社内体制や仕組み、制度の見直しについての活動を強化し、今後、活動を体系化し日常業務化していくとともにこの活動を通じた働き方改革へ繋げてまいります。

 

当連結会計年度の連結業績は、販路の拡大による売上増加はありましたが、世界的な半導体供給不足と、新型コロナウイルス感染症の影響による東南アジア地域からの自動車部品調達支障等により顧客各社の生産台数が減少したことに加え、会計基準変更による影響等で、売上高は前連結会計年度と比べ33,565百万円(22.3%)減少の116,669百万円となりました。営業損益は、生産工程の効率化、投資の抑制や見直しなど、あらゆる経費の削減とコスト改善活動の実施に努めてまいりましたが、減産影響や急激な生産変動に伴う稼働ロス等に加え、米国新工場の操業準備費用の影響もあり、2,632百万円の損失(前連結会計年度は4,456百万円の営業利益)となりました。経常損失は985百万円(前連結会計年度は5,386百万円の経常利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は2,085百万円(前連結会計年度は2,536百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等が強制適用されたことを機に、顧客から支給を受けている部品を含む売上高について、売上高から当該部品を除いたこと等により、従来の基準と比較して売上高は29,795百万円減少しております。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

(日本)

日本では、販路の拡大による売上増加はありましたが、世界的な半導体供給不足と、新型コロナウイルス感染症の影響による東南アジア地域からの自動車部品調達支障等によって顧客各社の生産台数が減少したことに加え、会計基準変更による影響等で、売上高は前連結会計年度と比べ 24,841 百万円( 21.4 %)減少の 91,147 百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、減産影響や急激な生産変動に伴う稼働ロス、また開発費を増加した事等により、前連結会計年度と比べ 1,369 百万円( 63.0 %)減少の 806 百万円となりました。なお、顧客から支給を受けている部品を含む売上高について、売上高から当該部品を除いたことにより、従来の基準と比較して売上高は23,831百万円減少しております。

 

(中国・韓国)

中国・韓国では、顧客各社の生産台数は減少しましたが邦貨換算影響により、売上高は前連結会計年度と比べ 458 百万円( 6.4 %)増加の 7,666 百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、中国における原価低減の効果等もありましたが、減産影響により、前連結会計年度と比べ 101 百万円( 26.4 %)減少の 283 百万円となりました。

 

(アセアン)

アセアンでは、タイにおける金型売上の減少により、売上高は前連結会計年度と比べ 596 百万円( 6.0 %)減少の 9,284 百万円となりました。セグメント利益(営業利益)はタイにおける原価低減の効果等はありましたが、金型売上の減少による減益等により、前連結会計年度と比べ 220 百万円( 55.4 %)減少の 177 百万円となりました。なお、顧客から支給を受けている部品を含む売上高について売上高から当該部品を除いたことにより、従来の基準と比較して売上高は260百万円減少しております。

 

(中米・北米)

中米・北米では、顧客各社の生産台数の減少により、売上高は前連結会計年度と比べ 8,239 百万円( 36.0 %)減少の 14,622 百万円となりました。セグメント損益は、メキシコにおける原価低減の効果はありましたが、米国新工場の操業準備費用の影響により 2,871 百万円の損失(前連結会計年度は 1,382 百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。なお、顧客から支給を受けている部品を含む売上高について売上高から当該部品を除いたことにより大きく変動し、従来の基準と比較して売上高は5,773百万円減少しております。

 

(2) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金により賄っておりますが、一部の設備投資についてはリースにより調達しております。今後の重要な資本的支出の予定及びその調達源については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度と比較して12,099百万円(36.7%)減少し、20,867百万円となりました。これは当社グループの支払債務及び投資活動を勘案しつつ、適正な流動性を確保するために資金の調達・運用を行ったものであります。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(4) 経営者の問題意識と今後の方針

当社グループは、対処すべき課題に記載する経営課題に対処すべく、「中期経営計画」において、顧客戦略、商品戦略、もの造り戦略、拠点戦略、経営基盤戦略の5つを柱とする経営戦略を掲げ諸施策を推進しております。

なお、今後の見通しにつきましては、世界の景気は、新型コロナウイルス感染症の収束の目途が立たない状況に加え、ウクライナ紛争による世界経済の下振れが懸念され、先行きは依然として不透明な状況が続くものと予測いたします。
 当社グループを取り巻く自動車市場におきましても、新型コロナウイルス感染症の再拡大による海外でのロックダウンや半導体等をはじめとする部品供給不足により、自動車メーカー各社の急激な生産台数減少による休業等に伴い、当社においても断続的な休業を実施しており、先行きの見通しは不透明な状況であります。
  このような状況の中、当社では世界4地域に展開した事業拠点での安定した事業の展開による成長、市場ニーズを先取りした独創的、革新的な樹脂製品や技術開発への積極的なチャレンジ、もの造りのあるべき姿の追求、働き方改革の実現等、企業の継続的発展のための取り組みを推進してまいります。

 

 

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