課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中に記載した将来に関する事項は、本書提出日現在において入手可能な情報に基づいて当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営方針
 当社は、「インターネットを通じて、心のつながりを提供する」というミッションのもと、インターネットとテクノロジーを駆使して、経済活動における「売り手」と「買い手」、そしてその関係をつなぐ「取引」において一人ひとりに、最適な顧客体験を構築する仕組みを提供し、事業者の経済成長を支えることを通じて企業価値の最大化を図ります。

 

 ミッションを実現するために、当社は、行動指針(Value)として、以下の「目的でつながる」「データでつながる」「スピードでつながる」の三つを挙げております。

 

■ 目的でつながる

 サインドは、クライアント・パートナー、サインドに関わるすべての皆さまを一つのチームと捉え、目的を共有し、常に当事者意識を持って行動します。

■ データでつながる

 データは単なる数字ではなく、クライアントニーズでありチームの評価である。だからこそデータを信じ、データに基づいて戦略や行動を決定します。

■ スピードでつながる

 目的から逆算した最短距離を常に考え、失敗を恐れず、自ら考え行動します。そこから得た学びや経験、課題をチームに共有し、チーム全体で成長し続けます。

 

 上記の行動指針で示しているとおり、当社は、インターネットやテクノロジーを駆使して、個ではなくチームの力で、最適な顧客体験価値を提供していきます。

 この指針が当社の「サービス」「ビジネスモデル」「組織」に反映されております。

 

(2)経営戦略及び目標とする経営指標
 当社は、顧客への提供価値、すなわち売上高の最大化が企業価値向上につながると考えております。当社ではサブスクリプション(月額課金)モデルの事業を中心とした事業展開を行っていることから、「ARR」の拡大を経営上の目標としております。この経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、「契約店舗数」、「ARPU」及び「カスタマーチャーンレート」を重要な経営指標と位置付けております。この経営上の目標を達成するために、継続的な顧客の獲得に加え、当社の顧客による解約率の減少や、サービスの機能拡張のために必要な投資を積極的に行なっていくことを経営戦略としております。

 なお、経営指標の推移に関しましては、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (1)サービスの特徴」に記載のとおりであります。

 

(3)経営環境

 当社は、理美容店舗に対して、予約管理システム「BeautyMerit(ビューティーメリット)」に関する企画・運営等のサービスの提供を主な事業としております。したがって、理美容サービスにおけるネット予約の普及が当社の業績に大きく影響します。経済産業省が2021年7月に発表した「令和2年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業」によると、理美容サービスにおけるネット予約市場は、2015年は2,420億円でしたが、その後3,261億円(2016年)、4,188億円(2017年)、4,928億円(2018年)、6,212億円(2019年)、6,229億円(2020年)となっており、2015年と2020年を比較すると、157.4%増と高い伸びを示しております。なお、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で、実際に理美容サービスを利用する機会が減少しましたが、ネット予約市場はこれまで市場規模が拡大基調であったため、利用回数の微減と相殺された結果、0.3%の微増となったと推定されております。

 拡大の背景には、ネット予約に対応した理美容店舗の急拡大があるものと想定されます。多くの理美容店舗は小規模の人数で運営されるため、施術中の予約電話への対応が難しい状況があります。また、理美容サービスは1回あたりの施術時間がある程度特定できるため、予約時間の枠管理が比較的容易なことから、理美容サービスはネット予約との親和性が高いカテゴリーと考えられ、消費者への認知の拡大が対応店舗数のさらなる拡大につながるスパイラルによって、市場規模が拡大中であります。

 対面サービス業であり、人的な労働力を不可欠とする理美容業界では、店舗間の競争激化とともに慢性的な人材不足も深刻化しています。規模の大小に関わらず店舗経営の情報システム化は加速しており、24時間予約システムの導入が促進されるなど、サービス提供業者の参入も活性化しています。

 政府が取り組みを進める「働き方改革」の推進や、あらゆる業界で「人材不足」が業務課題として挙げられる中、理美容業界では、顧客のアフターフォロー、販促、リピーターを増やすためのサポートなどを一括管理してくれるシステムの導入は不可欠であると考えられます。

 こうした環境を踏まえると、当社の「BeautyMerit(ビューティーメリット)」の需要は拡大していくものと考えております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①サービス機能の拡充

 当社が競合優位性を確保しながら継続的に成長するためには、顧客満足度の向上に加えて、サービスの提供する価値を高め、低い解約率を確保することが重要であると認識しております。当社は、価値向上のため、データを活用した新たな提供サービスの開発・展開を推進し、「BeautyMerit(ビューティーメリット)」の価値向上に努めるとともに、サブスクリプションモデルによる収益基盤の強化を図ってまいります。

 

②システムの安定稼働と強化

 当社は、インターネット技術を活用して事業を運営していることから、事業運営上、システムの安定稼働が極めて重要であると認識しております。このため、当社は顧客の増加、取扱データ容量の拡大に応じたサーバーの増強を含め、システムの安定化のため継続的にシステム強化に取り組んでまいります。

 

③情報管理体制の強化

 当社は、多くの個人情報を扱っており、情報管理体制を継続的に強化していくことが重要であると考えております。現在も社内規程の厳格な運用、定期的かつ継続的な社内研修の実施、セキュリティシステムの整備等により、情報管理体制の強化徹底を図っておりますが、今後も社内体制や管理方法の強化・整備を行ってまいります。

 

④組織体制の強化

 当社は、顧客基盤の拡大、サービスの利便性向上及び新規サービスの開発等により継続的に成長していくため、多岐にわたるバックグラウンドを有する優秀な人材を採用し、組織体制の強化を整備していくことが重要であると考えております。当社の理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくためには、積極的な採用活動を行っていくとともに、従業員が働きやすい環境の整備、人事制度の構築に努めてまいります。

 

⑤内部管理体制の強化

 当社は成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。従来より当社は監査役会の設置、社外取締役の選任、内部監査の強化などを通じて、コンプライアンス強化に努めておりますが、今後も内部統制の実効性を高め、当社のコーポレート・ガバナンス体制をより一層整備してまいります。

 

 当社は、サブスクリプションモデルの安定的な利益の積み上げを実現していることや、保有固定資産が少額であり、重大な評価損の発生リスクが小さいこと等から、財務基盤が健全であると考えております。

 また、現時点において、新型コロナウイルス感染症による財務上の大きな影響はないと考えておりますが、依然として感染拡大の収束が見通せない状況であります。 当社においても、理美容店舗の企業活動が停滞した場合、当社の財務状態に影響を及ぼす可能性があり、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う理美容店舗への影響は、当社のリスク管理施策により抑制できるものではありませんが、経営指標のモニタリングなど情報収集を徹底し、可能な限り抑制に取り組んでいきたいと考えております。

 

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