業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況については次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営成績等の状況の概要

 ① 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大が長期化し、首都圏をはじめ感染拡大が顕著な地域に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発令されるなど、経済活動が著しく停滞する極めて厳しい環境で推移しました。また、国民のワクチン摂取の普及を背景に10月以降は新規感染者数が抑制されたものの、新たな変異株の出現により年度末にかけて急速に再拡大するなど、国内外の感染症拡大は収束の兆しすら見えない不透明な状況が続き、経済活動の本格的な復旧には、まだ時間を要する見通しとなっております。

このような状況のもと、当社グループでは、コロナ禍における新しい生活様式の中でも「安心・安全に働く環境」を創出するため、最先端のAI(画像認識)技術とセキュリティ専門企業としての長年の実績・ノウハウを駆使し、最適なソリューションの提供に努めて参りました。

「SECURE AC(入退室管理システム)」では、リモートワークの浸透によりオフィスを縮小する企業の中で、非接触で本人認証が可能な顔認証システムへの需要は拡大するとともに、オフィス以外にもフィットネスジムやマンションなどの新たな市場の開拓にも取組み、また、2020年9月より取扱開始したクラウド型入退室管理システム「SECURE AI Office Base」の機能拡充を行ったことにより、着実に導入企業数を増やしてまいりました。

「SECURE VS(監視カメラシステム)」では、新型コロナウイルスまん延の影響による遠隔監視ニーズの創出や、巣ごもり需要増加による物流施設の拡充に伴うセキュリティニーズの拡大を的確にとらえ、システム導入件数は堅調に推移いたしました。

「SECURE Analytics(画像解析)」では、8月に大手コーヒーチェーン店にて、店内の混雑状況を計測し来店しようとする顧客に混雑状況を可視化できる当社のサービス「混雑カウント」が採用され、店舗におけるコロナ対策と顧客の来店時間の平準化による業務効率化が図れる店舗DXソリューションを提供いたしました。

このような取組みに加え、内部管理体制の充実・強化を促進し、2021年12月27日に、東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たしました。

以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高は3,378,576千円(前連結会計年度比21.1%増)、営業利益は155,416千円(同336.7%増)、経常利益は148,041千円(同435.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は131,476千円(同298.0%増)となりました。なお、当社グループは「セキュリティソリューション事業」の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりません。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産は1,981,467千円となり、前連結会計年度末に比べ513,173千円増加しました。これは主に、現預金の増加303,822千円、受取手形及び売掛金の増加118,216千円によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は998,380千円となり、前連結会計年度末に比べ14,677千円減少しました。これは主に、買掛金の増加64,569千円及び未払費用の増加23,863千円があったものの、長期借入金の減少110,960千円があったことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は983,086千円となり、前連結会計年度末に比べ527,850千円増加しました。これは主に、新規上場時の公募増資に伴う資本金及び資本剰余金の増加392,426千円並びに親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加131,476千円によるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、675,933千円となり、前連結会計年度末に比べ303,822千円増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は122,231千円(前連結会計年度は132,113千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を148,041千円及び減価償却費を55,897千円計上し、売上債権の増加118,216千円があったものの、仕入債務の増加64,569千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、支出した資金は70,779千円(前連結会計年度は83,268千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出9,822千円及び無形固定資産の取得による支出60,957千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、得られた資金は252,140千円(前連結会計年度は90,585千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出131,020千円があったものの、株式の発行による収入392,426千円があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社グループが営む事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社グループが営む事業は、受注から納品までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。

 

c 販売実績

当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはセキュリティソリューション事業の単一セグメントであるため、当社が提供するサービス区分別に記載しております。

サービス区分

販売高(千円)

前期比(%)

SECURE AC 

入退室管理システム

938,883

111.1

SECURE VS

監視カメラシステム

2,343,958

124.3

SECURE Analytics

画像解析サービス/その他

95,734

161.9

合計

3,378,576

121.1

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

 至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

  至 2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

綜合警備保障株式会社

559,293

20.0

780,070

23.1

CBC株式会社

350,197

12.6

573,332

17.0

株式会社JVCケンウッド・公共産業システム

437,293

15.7

564,747

16.7

 

   2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えうるような見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、判断時には予期しえなかった事象等の発生により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

② 経営成績等の分析

(売上高)

売上高は、前連結会計年度に比べ588,395千円増加の3,378,576千円となりました。うち、入退室管理システムについては、コロナ禍における新しいオフィス環境の提案やフィットネス業界からの需要等により前連結会計年度に比べ11.1%増加となる938,883千円を計上しました。また、監視カメラシステムについては、コロナ禍において活況を呈した物流業界や小売業界からの需要が堅調に推移し、前連結会計年度に比べ24.3%増加となる2,343,958千円を計上しました。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、入退室管理システム及び監視カメラシステムの増収を反映し、前連結会計年度に比べ369,264千円増加の2,058,145千円となりました。

一方、顔認証機能等のAI技術を活用した付加価値の高い商品提案による販売単価の向上に努めた結果、売上総利益は、前連結会計年度に比べ219,130千円増加の1,320,430千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ99,305千円増加の1,165,014千円となりました。これは主に社員の増加や人材採用による人件費関連費用の増加に加え、上場関連費用の増加等によるものです。

その結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ119,824千円増加の155,416千円となりました。

 

(営業外損益・経常利益)

営業外収益は309千円となりました。これは主に雑収入によるものであります。

営業外費用は7,684千円となりました。これは主に借入利息の支払いによるものであります。

その結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ120,403千円増加の148,041千円となりました。

 

(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度においては、特別利益及び特別損失は発生しておりません。

その結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ122,837千円増加の148,041千円となりました。

法人税、住民税及び事業税は24,353千円、法人税等調整額は△7,789千円を計上し、その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ98,444千円増加の131,476千円となりました。

 

③ 財政状態の分析及びキャッシュ・フローの状況の分析

財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要②財政状態の状況及び③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの事業活動における運転資金需要のうち主なものは、販売用商品の仕入、開発活動に係る人件費及び研究開発費、販売費及び一般管理費における営業関連費用であります。これらの資金につきましては、営業活動によって得られる資金でまかなうことを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの調達を実施する方針であります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容

「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社グループは経営目標の達成状況を判断するための経営上の指標として、システム単位での導入件数(※)を活用しています。当社グループの主たる収益源は、入退室管理システムと監視カメラシステムのシステム案件に係る売上であり、システム単位での導入件数を増加させることで将来の収益拡大が見込まれます。

当該指標については、入退室管理システムが、2018年12月期は577件、2019年12月期は721件、2020年12月期は907件、2021年12月期は966件、監視カメラシステムが、2018年12月期は721件、2019年12月期は896件、2020年12月期は2,035件、2021年12月期は2,296件となっております。

2021年12月期においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う遠隔監視ニーズの創出や、巣ごもり需要増加による物流施設の拡充に伴うセキュリティニーズの拡大を的確にとらえ、監視カメラシステムを中心に導入件数が大幅に増加しました。今後も、AI実装サービスの拡充や、パートナー企業との新サービスの共同開発等を通して、システム導入件数を増大させることで収益拡大に取組んでまいります。

※導入件数とは、入退室管理システムは販売単価が20万円以上、監視カメラシステムは販売単価が10万円以上のシステム案件としており、不具合対応やOEM等のプロジェクトは対象外としております。

 

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