業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績に関する分析

(当期の経営成績)

 国内における2021年のスマートフォン個人保有率は74.3%まで伸長し、とりわけ20〜40代においては9割以上の高水準で普及し、量的拡大が進行しております。それとともに保有者一人一人の利用目的についても、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用率の高まりに伴って多様化しており、質的にも顕著な変化がうかがわれます(出所:総務省「令和3年版通信利用動向調査」)。このようにスマートフォンがインターネット利用デバイスの主流となる中で、各種サービス・アプリケーション市場においては、動画、音楽、電子書籍を始めとするコンテンツへの拡大が加速しているほか、ソーシャルメディアの活用方法もコミュニケーションのみに留まらず、決済や購買などの領域にも広がり、その影響力をより一層強めていることから、それぞれのメディア特性やデータ、AIを活用したマーケティング支援の需要は一段と高まっております。また、2021年の日本の広告市場においてインターネット広告費は2兆7,052億円(前年比121.4%)に達し、マスコミ四媒体広告費(2兆4,538億円、前年比108.9%)を初めて上回りました(出所:株式会社電通「2021年日本の広告費」)。このように、コロナ禍を契機にあらゆる産業界においてデジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)の大きな波が生まれ、広告業界においてもデジタルマーケティングの需要がより一層高まっております。

 このような環境のもと、主力のデジタルマーケティング事業では、企業におけるDXの需要増を捉えたことによるオーガニック成長と、電通グループとの資本業務提携の深化による協業の推進と新規連結効果によって、大幅な増収増益となりました。メディアプラットフォーム事業では、新たな事業セグメントへの拡張のための投資を継続しながらも、マンガコンテンツ事業のけん引により増収、赤字幅が縮小いたしました。新たな事業セグメントへの拡張については、HRテクノロジー領域、スポーツ領域への事業展開が進捗いたしました。

 これらの結果、収益は28,819百万円(前期比34.8%増)、Non-GAAP営業利益は5,855百万円(前期比54.2%増)、営業利益は5,440百万円(前期比49.0%増)、税引前当期利益は8,241百万円(前期比110.7%増)、当期利益は5,751百万円(前期比120.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は5,734百万円(前期比120.2%増)となりました。

 

 当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下、Non-GAAP指標)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しております。Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益から、買収行為に関連する損益及び一時的要因を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標であります。経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来の見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しております。なお、買収行為に関連する損益とは、買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用であり、一時的要因とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する株式報酬費用、減損損失、固定資産の売却損益等の一過性の利益や損失のことであります。

 

 営業利益からNon-GAAP営業利益への調整は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

前期

(前連結会計年度)

当期

(当連結会計年度)

増減額

増減率

営業利益

3,650

5,440

1,790

49.0%

調整額(買収により生じた無形資産の償却費)

31

31

 

調整額(株式報酬費用)

236

145

△91

 

調整額(子会社売却益)

△371

371

 

調整額(その他)

280

240

△40

 

Non-GAAP営業利益

3,796

5,855

2,059

54.2%

 

 報告セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

①デジタルマーケティング事業

 デジタルマーケティングを中心として、企業のDXにおける総合的な支援を行う事業セグメントによって構成されております。

 当期においては、企業におけるDXの需要増を捉えたことによるオーガニック成長と、電通グループとの資本業務提携の深化による協業の推進と新規連結効果によって、大幅な増収増益となりました。

 これらの結果、収益は25,862百万円(前期比37.1%増)、Non-GAAP営業利益は9,211百万円(前期比31.8%増)となりました。

 

②メディアプラットフォーム事業

 マンガコンテンツ事業「GANMA!」、採用プラットフォーム事業「ViViViT」、社会貢献プラットフォーム事業「gooddo」、育児プラットフォーム事業「ベビフル」等の事業セグメントから構成されております。

 当期においては、新たな事業セグメントへの拡張のための投資を継続しながらも、マンガコンテンツ事業のけん引により増収、赤字幅が縮小いたしました。

 これらの結果、収益は3,297百万円(前期比14.3%増)、Non-GAAP営業損失は844百万円(前期は1,110百万円のNon-GAAP営業損失)となりました。

 

(2)財政状態に関する分析

 当期末の資産は、前連結会計年度に比べて、46,720百万円増加し、88,731百万円となりました。これは主に、持分法で会計処理されている投資が32,345百万円、のれんが4,693百万円、現金及び現金同等物が4,440百万円及び営業債権が2,200百万円増加したことによるものであります。

 当期末の負債は、前連結会計年度に比べて、2,411百万円増加し、25,977百万円となりました。これは主に、営業債務が2,848百万円増加したことによるものであります。

 当期末の資本は、前連結会計年度に比べて、44,309百万円増加し、62,754百万円となりました。これは主に、第三者割当増資等により資本金が16,303百万円及び資本剰余金が21,408百万円増加したこと、並びに当期利益を5,751百万円計上したことによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当期における「現金及び現金同等物」は前連結会計年度に比べて4,440百万円増加し、21,340百万円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況と主な内容は、次のとおりであります。

 

①営業活動によるキャッシュ・フロー

 当期における営業活動の結果、3,650百万円の資金流入(前連結会計年度は4,619百万円の資金流入)となりました。これは主に、法人所得税の支払額2,481百万円の発生があった一方で、税引前当期利益8,241百万円を計上したことによるものであります。

 

②投資活動によるキャッシュ・フロー

 当期における投資活動の結果、30,553百万円の資金流出(前連結会計年度は91百万円の資金流入)となりました。これは主に、持分法で会計処理されている投資の取得による支出31,313百万円が発生したことによるものであります。

 

③財務活動によるキャッシュ・フロー

 当期における財務活動の結果、31,229百万円の資金流入(前連結会計年度は1,914百万円の資金流出)となりました。これは主に、株式の発行による収入32,402百万円が発生したことによるものであります。

 

 

(4)仕入及び販売の実績

①仕入実績

 仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。

 

②販売実績

 当連結会計年度におけるセグメントの販売実績(売上高)は次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比増減率(%)

デジタルマーケティング事業

129,021

35.0

メディアプラットフォーム事業

3,297

14.3

調整額

△883

 

131,434

34.7

(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 売上高は当社グループが顧客に対して行った請求額および顧客に対する請求可能額の総額(割引を除く)であり、IFRSに準拠した開示ではありません。

3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年10月1日

至 2021年9月30日)

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社電通

8,988

9.2

19,142

14.6

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

 「2 事業等のリスク」に、経営成績に重要な影響を与える要因に相当する内容を記載しております。

 

(6)経営者の課題認識と今後の方針について

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、経営者の課題認識と今後の方針に相当する内容を記載しております。

 

(7)資金の財源及び資金の流動性について

 当社グループは、事業の競争力を維持・強化することによる持続的な成長を実現するため、また、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるために、新サービスないし新規事業に取り組んでいく考えであります。これらの資金需要は、手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。

 流動性リスクとその管理方法については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に関する注記 28. 金融商品」に記載しております。

 

(8)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に関する注記 2.作成の基礎」及び「3.重要な会計方針」に記載しております。

 

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