当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、2021年6月30日に行われた株式会社リサーチ・アンド・イノベーションとの企業結合について前連結会計年度に暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
当連結会計年度(2021年7月1日から2022年6月30日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の波が断続的に訪れ、経済活動はいまだに一部制限がなされているものの、ワクチン接種の促進や政府の各種施策の効果もあり、景気の持ち直しの動きがみられました。ただし、ウクライナ情勢の長期化の影響などが懸念される中での原材料価格の上昇や供給面での制約に加え、急速な円安進行や貿易収支の悪化など、わが国経済を取り巻く環境は激しく変化しております。
アジア地域についても、新型コロナウイルス感染症に伴う経済活動の抑制の影響について、国や地域によりばらつきがみられ、また、原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱に加え、米国金融政策の引き締め方向への転換等により、アジア経済の先行きはますます不透明な状況となっております。
当社グループでは、従業員のリモートワークへの移行やオフライン系業務のオンライン化を実施することで、ビジネスを安定的に継続させてまいりました。特にリモートワークについては、そのメリットを活かした新しい働き方が定着しつつあり、生産性向上に寄与しました。
このような状況の中、当社グループは、第13次中期経営計画の2年目となる当連結会計年度において、グループ基本方針である「ビジネスのデザインを変えよう!!– お客様と生活者の「変わる」とともに–Reframe , Connect ,Create 」のもと成長戦略の積極投資を実行しております。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業においては、2021年5月に子会社化した株式会社リサーチ・アンド・イノベーションが運営するCODE(買い物情報や商品評価情報が登録できるスマホアプリ)を用いたリサーチなどは順調に推移しており、CXマーケティングプラットフォームの確立に向けた準備を進めております。また、資本業務提携を行った株式会社スイッチメディアとはテレビCM出稿の最適化を支援するソリューションの共同開発を推進しております。
マーケティング支援(ヘルスケア)事業においては、医療消費者に関するデータやサービスの重要性の高まりを成長への好機と捉え、株式会社Welbyなどのパートナーによるデータ収集の強化や生活者(消費+健康)の領域拡大を図っております。また、医療消費者・医療従事者から収集した膨大なデータを価値のある情報に変換し、提供する力の強化に向けてデータサイエンス系人材育成(投資)を加速化させてまいります。
ビジネスインテリジェンス事業においては、「お客様のDX推進パートナー」の実現にむけオンラインセミナーなどの販促活動、DX支援のサービス化、インテージグループの総合力を活用した顧客課題解決への提案など積極的な営業活動を展開しております。
また、前中期経営計画より進めております働き方改革についても、新型コロナウイルス感染症によるリモートワーク主体の環境下においても、コミュニケーションの活性化や知見の共有化が促進されております。引き続き、当社グループで働く人たちが自律的・自発的に成長できる機会の提供を追求するなど、個々人のパフォーマンスを最大限に発揮させる新しいワークスタイルの創造と確立を目指してまいります。
こうした取り組みのもと、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高60,232百万円(前期比4.6%増)、営業利益4,649百万円(同5.2%増)、経常利益4,952百万円(同2.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,418百万円(同1.4%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、当連結会計年度の連結損益計算書は、売上高は44,759千円減少し、売上原価は38,933千円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ5,825千円減少しております。
事業分野別の状況は次のとおりであります。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業
マーケティング支援(消費財・サービス)事業の連結業績は、売上高38,503百万円(前期比8.2%増)、営業利益2,300百万円(同20.4%増)の増収増益となりました。
当事業では、主力事業であるパネル調査、カスタムリサーチ事業が堅調に推移しました。また、リモート環境にシフトした営業活動、サービス展開が定着化してきたことにより、全体的に堅調に推移しました。
海外事業については、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復、オンラインシフトが進んだことにより、増収増益となりました。また、オンライン調査を主業務とする株式会社データスプリングは好調に推移しました。
投資活動においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大、半導体不足などの社会的情勢の影響に伴い、期中では進捗に遅れが生じたものの、年間トータルでは計画通りの進捗となりました。2021年5月に子会社化した株式会社リサーチ・アンド・イノベーション、2020年3月に子会社化した株式会社データスプリングは計画通り進捗しました。
利益面については、国内外ともに増販による増益となっております。
マーケティング支援(ヘルスケア)事業
マーケティング支援(ヘルスケア)事業の連結業績は、売上高14,552百万円(前期比1.1%減)、営業利益2,197百万円(同2.9%減)の減収減益となりました。
当事業では、株式会社インテージヘルスケアにおいて、主力事業であるリサーチ事業が投資活動に伴うリソース再配置により前期の水準を下回っております。CRO(医薬品開発業務受託機関)の製造販売後調査につきましては、事業全体の抜本的な改善の取り組みにより、売上は前期水準を下回るも、収益性は改善しております。データサイエンス事業は、臨床開発業務の稼働率が高い水準で推移したこと等により、前期を上回っております。一方、株式会社協和企画においては新型コロナウイルス感染症の影響に伴いプロモーション事業(※1)の苦戦が続いておりますが、エデュケーション事業では、ガイドライン販売、eラーニングのデジタルニーズが順調に推移したことにより、前期を上回っております。
利益面については、リサーチ事業の投資活動に伴うリソース再配置による売上減少の影響を受けております。
ビジネスインテリジェンス事業
ビジネスインテリジェンス事業の連結業績は、売上高7,177百万円(前期比1.3%減)、営業利益151百万円(同38.6%減)の減収減益となりました。
当事業では、株式会社インテージテクノスフィアにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、既存業界向けのソリューションの売上が減少しました。一方で、株式会社ビルドシステムとエヌ・エス・ケイ株式会社は新規案件の獲得に伴い前期を上回る売上高を確保しております。
なお、デジタルシフト/スマートシフトへの環境変化を捉え、お客様のDXニーズに対し総合的に提案ができる営業組織「DX共創センター」を設立し、新規共創分野での拡販を進め、一定の成果をあげております。
利益面については、不採算案件の発生や新型コロナウイルス感染症による売上減少の影響を受けております。
また、収益認識会計基準等の適用により、売上高は44,759千円減少し、営業利益は5,825千円減少しております。
※1 プロモーション事業は、医療に関する広告媒体の取扱い、医薬品販売促進資材の制作、医学・薬学に関する学会の運営などを行う事業をいいます。
財政状態の状況は次のとおりであります。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ417百万円増加し、27,612百万円となりました。これは、仕掛品が147百万円減少したものの、現金及び預金が157百万円、貯蔵品が102百万円増加したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ535百万円減少し、18,020百万円となりました。これは、繰延税金資産が212百万円増加したものの、のれんが135百万円、投資有価証券が335百万円減少したことなどによるものです。
この結果、総資産は117百万円減少し、45,633百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ160百万円減少し、12,535百万円となりました。これは、短期借入金が292百万円、ポイント引当金が216百万円増加したものの、未払法人税等が427百万円、未払消費税等が713百万円減少したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ253百万円減少し、2,274百万円となりました。これは、長期借入金が324百万円減少したことなどによるものです。
この結果、負債合計は414百万円減少し、14,810百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ296百万円増加し、30,823百万円となりました。これは、自己株式が1,197百万円増加したものの、利益剰余金が2,010百万円増加したことなどによるものです。
なお、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の期首残高が5,825千円増加したこと等により純資産が増加しております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費等による収入額が法人税等の支払額等の支出額を上回ったことにより、3,391百万円の純収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出等の支出額が投資有価証券の売却による収入等の収入額を上回ったことにより、634百万円の純支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済による支出、自己株式の取得による支出、配当金の支払額等の支出額が、短期借入れによる収入等の収入額を上回ったことにより、2,854百万円の純支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ145百万円増加し、14,277百万円となりました。
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、売上原価によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
経営成績等の分析については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資本の財源及び資金の流動性に係る情報については、次のとおりであります。
当社グループは、中長期的な成長による持続的かつ安定的な企業価値の向上を目指しており、それを支える財務戦略の基本方針は、最適資本構成の下、純利益から生じるキャッシュ・フローを成長のための投資と株主還元にバランス良く配分していくこととしております。
成長投資については、2021年6月期を初年度とする第13次中期経営計画においても、引き続き積極的な事業投資とM&Aの実行は継続していくものとし、「扱うデータの拡張」「データの価値化」「データ活用の仕組化」によりお客様のデジタルトランスフォーメーションの対応や社会構造の変化への対応を支援するための投資を基本方針として、経営環境を考慮しながら実施してまいります。
株主還元については経営における重要課題の一つと考えており連結配当性向40%、DOE(自己資本配当率)4.5%以上の維持を目標としております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。そのため、当社は取引銀行3行との間に、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。また、当社は将来の緊急事態発生時に備え、2020年5月に相対型コミットメントラインの契約を追加で締結しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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