業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

①  経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による未曽有の脅威の下、ワクチン及び治療薬の実用化による景気回復が期待されるものの、米国や欧州などで感染拡大が続いていることに加え、変異ウイルスの出現等により、依然として経済の不透明感が続いております 。人材サービス業界に関しても、有効求人倍率が1.10倍と前年比0.45ポイント低下、完全失業率は2.9%で0.6ポイント上昇するなど雇用情勢は厳しい状況が続いております。

このような経営環境の中にあって、当社グループでは、事業の継続及び従業員の安全・安心を最優先事項とし、テレワークやフレックスタイム制の活用を推進するとともに、国内外の移動を抑制し、会議のオンライン化を進め、派遣スタッフや求職者に対しても、オンラインによる登録面談やフォローに取り組むことで、事業活動の効率化と経費節減を果たすことができました。

また、当社はコーポレートスローガン「ひとに翼を。」を掲げ、女性の労働参加率の向上、障がい者の雇用支援、海外人材の活用など、あらゆる「ひと」の働き方を支援し、顧客とのパートナーシップにより新たな雇用を創り出すことで、地域社会の課題解決に貢献するとともに収益の拡大に取り組んでおります。なお、ベトナムに設立した「HR ANABUKI VIETNAM CO.,LTD.」(非連結子会社)は、海外渡航禁止の影響により、2020年10月からの活動となりました

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高が6,279,115千円(前期比97.9%)と僅かに減少したものの、売上総利益率の改善と販売費及び一般管理費の節減により、営業利益は158,831千円(同108.7%)、経常利益は196,820千円(同108.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益は118,993千円(同120.1%)といずれも前期比で増益となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

当連結会計年度より、社内組織の見直しに伴って、経費配分を変更しております。以下の前年同期比較については、前年同期の営業利益を変更後の当期と同じ条件で算定した数値で比較しております。

各セグメントの営業利益の合計額は551,498千円でありますが、全社費用等の調整(調整額△392,666千円)により、連結財務諸表の営業利益は158,831千円となっております。

(人材派遣事業)

当事業の売上高は3,429,993千円(前期比98.3%)、営業利益は307,058千円(同105.2%)となりました。

当社グループの主力である当事業では、新型コロナウイルス感染症により、オーダー数が減少し、稼働人数も減少した結果、売上面で前期実績を下回りましたが、 2020年4月からの同一労働同一賃金による派遣労働者の待遇改善に合わせて行った派遣先との交渉による派遣料金の改定により、稼働人数減の影響を吸収することができました。なお、当社単体の売上高は3,408,730千円であります。

(アウトソーシング事業)

当事業の売上高は2,340,864千円(前期比97.6%)、営業利益は57,143千円(同63.4%)となりました。

株式会社クリエ・ロジプラスが営む物流関連アウトソーシング事業では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、主たる取引先からの受注が減少したことや、一部の受託業務において、予定していた外国人労働者の稼働が入国制限により遅れたことなどから、前期実績を下回りました 一方、当社単体のアウトソーシング事業は、現取引先からの追加受注等により堅調に推移し、売上高は734,938千円(前期比108.6%)となりました

なお、株式会社ママスクエアとのフランチャイズ・チェーン加盟契約に基づく、未就学児の母親を対象とした見守りスペース付きオフィス「クリエ×ママスクエア」を、高松、広島に続いて、2020年10月 愛媛県松山市に開設し、事務系業務の請負を開始しております

(人材紹介事業)

当事業の売上高は160,024千円(前期比93.8%)、営業利益は134,510千円(同92.4%)となりました。

収益性の高い当事業では、求職者に対し、営業担当とキャリアコンサルタントが一体となって仕事や働き方を提案することやカウンセリング力を高めることに注力し、雇用機会の創出に努めましたが、新型コロナウイルス感染拡大による先行き不透明感から、求人数が一時的に減少した影響を受け、前期実績を下回りました。

(採用支援事業)

当事業の売上高は321,179千円(前期比103.3%)、営業利益は44,151千円(同179.6%)となりました。

株式会社採用工房を中核企業として首都圏や近畿圏で営んでいる当事業については、売上は概ね堅調に推移し、オンライン面談の実施などによる交通費等の経費節減により、前期実績を上回りました。

(その他)

再就職支援、研修・測定サービスなど、上記セグメントに含まれない事業の売上高は27,054千円(前期比64.8%)、営業利益は8,633千円(同60.2%)となりました。

研修・測定サービスの売上においては、新型コロナウイルス感染拡大により、受託する予定の研修がキャンセル、延期になったことにより、前期実績を下回りました。

なお、障がい者雇用の課題を抱える企業に採用代行・職域提供・定着サポートを行う、サテライトオフィス「ウェル工房」を2020年4月 香川県坂出市に開設し、発芽ニンニクを使った健康食品の製造を通じて、障がい者の雇用支援を行っております

②  財政状態の状況

当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況は、次のとおりであります。

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産の残高は、1,980,104千円(前期末は1,867,617千円)となり、期首から112,487千円増加いたしました。これは、現金及び預金の増加(91,946千円)などによるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産の残高は、273,724千円(前期末は279,007千円)となり、期首から5,282千円減少いたしました。これは、減価償却費の計上などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の減少(6,536千円)などによるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債の残高は、791,001千円(前期末は848,334千円)となり、期首から57,333千円減少いたしました。これは、1年内返済予定の長期借入金の返済(70,000千円)などによるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債の残高は、189,082千円(前期末は123,453千円)となり、期首から65,629千円増加いたしました。これは、長期借入金の借入(70,000千円)などによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産の残高は、1,273,745千円(前期末は1,174,836千円)となり、期首から98,908千円増加いたしました。これは、配当金の支払い及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の変動(751,932千円から847,800千円へ95,868千円増)などによるものであります。

③  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は1,201,596千円となり、前期末に比し91,946千円増加いたしました。

当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は152,373千円(前期は102,996千円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益の計上などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は26,126千円(前期は113,084千円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は34,300千円(前期は29,130千円の使用)となりました。これは、配当金の支払いなどによるものであります。

④  受注実績及び販売(売上)実績

(ア)受注実績

当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

(イ)販売(売上)実績

a.当連結会計年度の販売(売上)実績を、セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

前期比(%)

人材派遣事業(千円)

3,429,993

98.3

アウトソーシング事業(千円)

2,340,864

97.6

人材紹介事業(千円)

160,024

93.8

採用支援事業(千円)

321,179

103.3

報告セグメント計(千円)

6,252,061

98.2

その他(千円)

27,054

64.8

合計(千円)

6,279,115

97.9

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱セシール(注)

1,103,466

17.2

1,019,444

16.2

(注)  ㈱セシールは、主要顧客であった㈱ディノス・セシールからの吸収分割(2021年3月1日実行)の承継会社であります。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b.当連結会計年度の人材派遣事業における新規登録者数及び派遣労働者数は、次のとおりであります。

地域

新規登録者数

派遣労働者数(注)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

前期比

(%)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

前期比

(%)

四国(人)

1,420

82.4

1,084

93.4

中国(人)

207

85.2

131

78.4

その他(人)

18

43.9

19

79.2

合計(人)

1,645

81.9

1,234

91.3

(注)  派遣労働者数は、各月の給与支払者数を平均しております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表  注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項については、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響のように不確実性が大きく、事業計画等への反映が困難な要素もありますが、当連結会計年度末において入手可能な情報をもとに検証等を行っております。

(繰延税金資産)

当社グループは、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存しているため、その前提となる条件や仮定に変更が生じて見積りが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識や測定には慎重を期しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その前提となる条件や仮定に変更が生じて見積りが減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

②  当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(ア)経営成績の分析

a.売上高

当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による求人数の減少や外国人労働者の入国遅延などから、6,279,115千円(前期比97.9%)となり、4期連続の減収に終わりました。

b.売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価(当社グループの売上原価の大部分は、労務費であります。)については、主に同一労働同一賃金による派遣労働者の待遇改善に合わせて行なった派遣料金の改定により主力の人材派遣事業の総利益率が改善したことから、売上高総利益率が20.3%(前期比0.3ポイント増)と向上いたしました。また、販売費及び一般管理費については、国内外の出張抑制や会議のオンライン化などの業務効率化と経費節減を図りましたが、人員強化のための人件費が増加したため、売上高販管費率は17.8%(前期比0.1ポイント増)と前期並みとなりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は158,831千円(前期比108.7%)となり、2期連続の営業増益となりました。

c.営業外損益、特別損益

当連結会計年度は、営業外収益38,799千円、営業外費用809千円、特別損失2,582千円を計上いたしました。なお、営業外収益の大半は企業主導型保育園の運営などに係る助成金収入(36,033千円)、特別損失は岡山支店の事業所に係る減損損失(2,562千円)であります。

(イ)財政状態の分析

当社グループの財政状態につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

(ウ)キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループのキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(エ)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、主力の人材派遣事業における派遣労働者に係る労務費の支払いのほか、営業費用、賞与支給・納税等の季節資金などであります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達は金融機関からの長期借入れを基本としております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は78,000千円、現金及び現金同等物の残高は1,201,596千円となっております。

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

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