(1)経営方針
当社は、社名の由来でもあります「Construction Total Support service」を基本に、土木・建築会社を中心に、DDS事業、SMS事業、SH事業の3事業を主力としてお客様のニーズに対応した商品・サービスをレンタルと販売をもって提供しております。
①当社の経営理念(※)
「全国の建設現場の課題を、デジタルデータサービスと測量計測システムを中心に、身近なサポートで解決する」
②当社の経営基本方針(※)
企業活動の中で関連する四者に対しての経営姿勢を明確に定めています。
お客様に対しては、
・常に最適な提案を、「より確かに、より早く、より安く」提供することを追求する
社員に対しては、
・仕事においては創造力とチャレンジ精神を第一に、「自ら学び、自ら実践し、自ら成果を実感できる」環境を実現する。
・処遇においては公平性を第一に、「能力=成果、評価=報酬」を基本に実践する。
株主様に対しては、
・企業価値の創造を常に念頭に置き、「業績に連動した配当」を実施する。
社会に対しては、
・「企業は公器である」を基本に、企業活動と納税と雇用創出をもって貢献する。
※ 当社は、当連結会計年度より経営理念・経営基本方針の改定をおこなっております。詳細につきましては、下
記に記載のとおりであります。
(経営理念改定の理由)
従来の経営理念におきましては、抽象的な形をとることで環境変化に柔軟に応じながらも変わることのな
い原則を示してまいりました。しかし、ここ数年で外部環境は大きく変わり、ICTの活用が急速に進んで
おります。こうした変化が今後ますます加速し、発展していくものと考えられます。こうした状況におい
て、当社は「建設ICTの専門企業」として、特定の分野においては国内トップの企業を目指して事業に取
り組んでおりますが、その実現にあたっては、社員のより具体的で明確な方針の理解が必要であると考えて
おります。合わせて、その他のステークホルダーの皆様に対しましても、当社の目指す方向性をより明確に
示す意味を込めて、経営理念をより具体的な形に変更することといたしました。
(経営基本方針改定の理由)
経営基本方針につきましても、経営理念の改定に伴い、一部内容の具体化と充足を図りました。
(2)経営環境
①少子高齢化・働き方改革
高齢者層の退職及び若年者層の減少による労働人口減少は、中長期的な日本社会全体の問題であり、当社主要顧客である土木・建築業界においてもすでに技術者の不足や労働単価の上昇といった課題として表れております。それに加えて、働き方改革関連法が2019年4月より施行されておりますが、建設業においては2024年4月から本格適用が予定されており、少子高齢化と相まって今後ますます労働生産性の向上が求められております。こうした状況に、国土交通省では「i-Construction」の推進により、建設現場のICT化を含めた生産性向上に努めており、当社においてもICTを活用した現場業務の省人・省力化を加速する機会ととらえています。
②通信技術の革新
通信技術は日進月歩で進化しており、2020年には5Gの商用活用が始まりました。通信技術の発達により、あらゆるものがインターネットに繋がり、こうした開発は今後も絶えず発展していくものと思われます。また、そうしたツールの利便性向上は仕事の仕方にも影響しております。直近では新型コロナウイルス感染症への対応要請もあり、遠隔での就労が広がっております。こうした状況を、働き方改革も含め、建設現場のICT化を後押しする潮流であり、当社の商品・サービス開発を強力に推進する機会であるととらえております。
③災害対応
近年、豪雨、台風被害など、従来まれにみる規模の自然災害が頻発しており、今後についても楽観できない状況です。このような状況に対し、政府は国土強靭化計画を推進しており、現在も「防災・減災、国土強靭化のための5ヵ年加速化対策」が進行中です。これらの対応において、ソフト面の重要性が高まっている一方で、ハード面の強化・維持も欠かすことができません。被災地域・インフラの復旧はもちろん、既存インフラの強化・維持が求められております。こうした状況において、ICTを活用した現場業務の省人・省力化が求められており、当社が大きく貢献できる機会であるととらえております。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
上記の経営環境を踏まえ、当社は2021年3月期から2023年3月期までの3ヵ年を対象とした中期経営計画を策定しております。その中核方針として、下記の4項目を掲げております。
■どこへ
①地場ゼネコンから広域ゼネコンへターゲット拡大
全国31支店のネットワークを活かし、広域で事業を営んでいる顧客の獲得をより推進し収益の拡大に努めてまいります。
②土木系から建築系へ対象顧客の業種拡大
これまでの土木工事を中心とした顧客への営業活動に加えて、建築工事、電気・管等の設備工事等の新規顧客の開拓を積極的に行い収益の拡大に努めてまいります。
■何を
③DDS・SMS事業を中心とした独自商品・サービスの開発強化及びサポートの充実
少子高齢化、働き方改革等に対応して、建設業における業務の省人・省力化を推進する商品・サービスの開発と、顧客サポートの充実をより一層推進してまいります。また、国土交通省が推進する「i-Construction」(ICT施工)に関しては、内製化を目指すユーザーに対する支援を積極的に展開してまいります。
■どのように
④レンタル業を基本とした営業・サポート体制の構築及び全国展開の推進
測量機器をはじめ、ツールが高度化・システム化・ネットワーク化し、所有による維持・管理が複雑で難しくなってきている状況を踏まえ、商品・サービスの提供をレンタル中心で行っていくことで顧客利便性を高めてまいります。また、リピーター獲得のための営業体制、及びそれらを支える直接・遠隔でのサポート体制の構築と営業ネットワークの全国展開を推進してまいります。
なお、当該中期経営計画において達成すべき目標については一部修正を加え、下記のとおりとしております。
項目 |
当初目標値 |
変更目標値 |
主力商品・サービス売上高(※) |
80億円超 (2020年3月期対比50%超) |
75億円超 (2020年3月期対比40%超) |
営業利益率 |
20%超 |
25%超 |
ROE |
20%超 |
変更なし |
※ 主力商品・サービスは、繰り返し利用が多い「レンタル」とその「付随商品・サービス」及び「内製サービ
ス」により構成されています。
当該中期経営計画の最終年度に該当する2023年3月期においては、上記目標値を達成すべく、事業の展開を推進してまいります。
(4)気候変動関連の取り組みについて
気候変動に関連する影響は様々な形で社会・経済活動に影響を与えており、当社に関しても例外ではありません。これらの影響は今後ますます大きくなると考えられ、各ステークホルダーにおいても関心が高い分野となっております。当社におきましては、気候変動関連問題はサステナビリティに影響を与える重要な要素としてとらえており、そのサステナビリティは事業活動の前提であるとの認識から、事業活動の継続・発展に必要な対応をとっております。一方で、気候変動を原因とした影響は様々な形で社会・経済活動に影響を与えており、各ステークホルダーにおいても関心が高い分野となっていることから、気候関連の観点に基づく情報開示が強く求められております。こうした背景から、FSB(金融安定理事会)により設立されたTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同し、同提言に則った開示を行ってまいります。また、今後においては、開示の充実を図るとともに、同提言の理念に寄り添った活動を推進してまいります。
①ガバナンス
気候関連問題の様々な事情が事業活動に与える影響については、経営計画に織り込まれるとともに、その性質によっては、個別に問題提起し、対策を立てて対処しております。こうした取り組みについて、経営幹部を中心に、各機能組織を通じてこれらの推進を図っております。また、取締役会においては、毎月開催される定時取締役会において、経営計画の進捗状況と、重要性の高いものについては個別の気候関連対応についても経営企画部門を通じて報告を受け、適切な監督・助言を行っております。
②戦略
現時点では、認識しているリスク・機会のうち、気候関連問題との関連から特定・抽出を行っておらず、気候関連シナリオに基づく戦略のレジリエンス検証等についても実施しておりません。今後においては、気候関連の観点に基づく情報開示の充実に努めるとともに、気候関連シナリオに基づく検証等に取り組んでまいります。
③リスク管理
気候関連を含むリスク及び機会については、機能組織ごとに事業への影響の有無によって識別し、影響度合の大きさによって評価しております。その中で、主に物理リスクに代表される直接的な影響の大きいものについては、機能組織ごと個別に問題提起するとともに対策を立案し、対処しております。また、移行リスクに代表される影響については、主に事業活動を行う上での外部環境要因としてとらえられ、事業方針・経営計画に織り込まれることで対処されます。これらの認識・評価・対策の活動は各機能組織が責任と権限を有して行われますが、特に重要性が高いと評価されるものについては、経営幹部による検討の上、経営者または取締役会において決定されます。また、これら各機能組織を主体とした取り組みは、経営者によって統括され、状況によって全社の経営的な見地と中期経営計画との整合性の観点から、適切な資源配分と優先順位付けがなされます。
④指標と目標
現時点では、Scope1・Scope2に該当する温室効果ガス排出量の計量等を行っておりません。今後においては、これらの現状把握を行った上で、適切なKPIの定義と目標設定を行い、その進捗管理に努めることで気候に関連する事業活動の改善に取り組んでまいります。
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