業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、長期化している新型コロナウイルス感染症の影響や地政学的リスクの影響を受け、先行き不透明な状況が継続しました。

電子書籍市場は、ユーザーの増加により成長基調が継続している一方で、海賊版サイトの影響が拡大しています。

IT関連市場は、コロナ禍の影響で停滞していた経済活動の緩やかな回復を受け、抑制されていたIT投資に回復の兆しが見られています。

このような経営環境において、当社グループは中期経営計画(2020年4月~2023年3月)の基本方針である[成長の追求]と[成長を支える経営基盤の継続的強化]のもと、電子コミックとヘルスケアを重点事業として継続成長、サービス化の推進、共創の積極的推進(M&A、海外展開)等の施策に取り組みました。

また、新たなワークスタイル変革の推進を背景に取り組んだ本社移転はスケジュールどおりに完了しました。

 

これらの結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高は電子コミックが伸び悩むもITサービスは堅調に推移し64,586百万円(前年同期比5.1%減)となり、営業利益は本社移転のコスト増により10,098百万円(同6.6%減)となりました。経常利益は10,196百万円(同6.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益6,912百万円(同10.1%増)となり過去最高を更新しました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりです。

 

[ネットビジネス・セグメント]

当連結会計年度のネットビジネス・セグメントは、電子コミック配信サービスに おいて、売上高は海賊版サイトの影響で広告効果が下落したため広告を抑制したことや前年度の外出自粛による特需剥落に加え、オリジナルコンテンツの大ヒットに恵まれず 40,530百万円 ( 前年同期比7.9%減 )となりました。 営業利益は減収の影響を受けましたが広告出稿抑制によるコスト減により 7,760百万円 ( 同1.9%減 )となりました。

「めちゃコミック」ではオリジナルコミックの制作を強化するとともに、作品のドラマ化など事業領域の拡大施策を推進しました。また、国内向けの施策に加えて、米国向けのサービス開始に向けて準備を進めました。

「めちゃコミック」を運営する連結子会社の㈱アムタスは、コンテンツの獲得、事業領域の拡大、市場の拡大に取り組むとともに、ユーザビリティーの更なる向上を図るため、㈱Link-Uと共同で電子コミック配信サービスのシステム等に関する企画・開発等を行う㈱アムリンクを設立し、システム基盤の強化に取り組みました。

 

[ITサービス・セグメント]

新型コロナの影響を受けつつも堅調に推移し、 売上高は24,055百万円(前年同期比0.1%増)となりました。また、前述のワークスタイル変革の推進による生産性の向上も寄与し営業利益率が向上した一方で、本社移転費用850百万円を計上したことにより営業利益は2,329百万円(同19.5%減)となりました。

ヘルスケア事業では、病院向けの放射線部門システムや就業管理システムの販売が堅調に推移しました。海外向けでは、東南アジアでの当社製品の販売拡大を目的に医師向けSNSプラットフォームを提供するDocquity社と業務提携しました。

企業向けでは、統合業務ソフトウェアパッケージ「GRANDIT」のクラウドサービス「GRANDIT miraimil」を提供開始しました。

加えて、ヘルスケア事業の売上規模拡大に加えサービス品質の向上等を目的に㈱メディカルクリエイトを子会社化した他、事業のサービス化推進とクラウドサービス等の開発技術力向上を目的に㈱オルターブースを子会社化しました。

 

当連結会計年度の財政状態の概要は次のとおりです。

 

当連結会計年度末の資産は、投資有価証券の時価評価に伴う減少があった一方で、現金及び預金の増加、連結子会社化した㈱メディカルクリエイト及び㈱オルターブースの株式取得に伴うのれんの発生等により前連結会計年度末と比較して1,095百万円増加し、57,531百万円となりました。

負債は、「収益認識に関する会計基準」等の適用により契約負債が発生する一方で、支払債務及び未払法人税等の減少により前連結会計年度末と比較して1,644百万円減少し、12,951百万円となりました。

また、純資産は、利益剰余金が「収益認識に関する会計基準」等の適用による期首利益剰余金の減少及び配当の支払等により減少する一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により前連結会計年度末と比較して2,740百万円増加し、44,579百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は31,700百万円となり、前連結会計年度末より1,744百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主たる増減要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られた資金は7,148百万円(前年同期は9,871百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益10,050百万円(同9,721百万円)、非資金項目である減価償却費1,333百万円(同1,142百万円)、売上債権及び契約資産の減少1,789百万円(同1,045百万円の増加)等の調整により増加し、法人税等の支払4,661百万円(同2,370百万円)等により減少したものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は3,225百万円(前年同期は1,643百万円)となりました。これは主に本社移転等に伴う有形固定資産の取得による支出735百万円(同244百万円)、ソフトウェア等無形固定資産の取得による支出989百万円(同767百万円)及び連結子会社化した㈱メディカルクリエイト及び㈱オルターブースの株式の取得による支出1,055百万円(前年同期はなし)等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に使用した資金は2,217百万円(前年同期は1,761百万円)となりました。これは主に配当金の支払2,190百万円(同1,697百万円)によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

金額(百万円)

ネットビジネス

5,397

96.4

ITサービス

8,964

97.3

合計

14,362

96.9

 

(注) 金額は製造原価によっています。

 

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

金額(百万円)

ネットビジネス

15,281

95.3

ITサービス

3,445

100.9

合計

18,726

96.3

 

(注) 金額は実際仕入価額によっています。

 

c.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ネットビジネス

ITサービス

24,522

101.0

14,875

103.2

合計

24,522

101.0

14,875

103.2

 

(注) ネットビジネス事業については把握が困難なため、受注高及び受注残高を記載していません。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

金額(百万円)

ネットビジネス

40,530

92.1

ITサービス

24,055

100.1

合計

64,586

94.9

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱NTTドコモ

12,018

17.7

KDDI㈱

9,086

13.4

SBペイメントサービス㈱

7,362

10.8

 

2.上記の金額には、決済代行事業者としてユーザーからの代金回収を代行した金額を含んでいます。

3.当連結会計年度において、販売実績に対する割合が10%を超える相手先はありません。これは「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用したことに伴い、販売先を一般ユーザーと捉えて主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合を算定したことによるものであり、販売実績の状況に著しい変動があるものではありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
a.「当連結会計年度の経営成績等」及び「セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容」

「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

② キャッシュ・フローの分析
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、安定した財務基盤の確保を前提とし、重点事業への投資を優先した上で、適切な株主還元を行うことを財務戦略の基本方針としています。

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、各事業の販売拡大やネットビジネス・セグメントにおける電子コミック配信サービスに関する広告宣伝費、ITサービス・セグメントにおけるシステム開発・保守人員確保に伴う運転資本の増加、及び新規サービスの探索やAIやIoT等の新技術の研究開発費等があります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、製品開発・既存ソフトウェアへの新機能追加があります。

加えて、M&Aの推進等の成長投資があり、2022年度を最終年度とする中期経営計画においては300億円の戦略投資枠を設定しています。

これらの資金需要に対応すべく、短期資金については、営業活動で獲得した高水準の現預金に加え、各金融機関との間で締結した特殊当座勘定貸越契約に基づいた借入等により資金の流動性を確保しており、長期資金については、金融機関からの借入、転換社債の発行及び公募増資等の多様な選択肢の中から時勢を十分に考慮した上で最適な調達手法を採用することとしています。

なお、当社グループの配当政策は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表作成に当たり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、当連結会計年度の経営方針に則った通期業績予想について、業績動向等を踏まえ、期初に公表した各経営指標の予想値を修正し2021年10月27日に公表しました。また、同修正予想値を2022年1月27日に再度修正し改めて公表しました。

当社が定める経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等、及び各々の指標等に関する業績予想の達成状況は下表のとおりです。

 

 

業績予想(百万円)

実績(百万円)

予想比(%)

売上高

66,000

64,586

97.9

営業利益

10,500

10,098

96.2

(営業利益率 %)

(15.9)

(15.6)

 

EBITDA

12,080

11,457

94.8

経常利益

10,500

10,196

97.1

親会社株主に帰属する
当期純利益

7,000

6,912

98.8

1株当たり
当期純利益(円)

127.80

126.20

98.7

ROE(%)

16.1

16.1

100.2

 

 

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