(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末比27億10百万円増の215億35百万円となりました。
負債合計は前連結会計年度末比11億83百万円増の72億50百万円となりました。
純資産は前連結会計年度末比15億26百万円増の142億84百万円となりました。
ロ.経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、緊急事態宣言が解除されるなど回復基調となったものの、感染力の強い変異株による世界的な感染拡大、原油高に伴うエネルギー価格や原材料費の上昇など、先行き不透明な状況で推移しました。
当社グループの化成品事業に関連する半導体業界は、パソコン、スマートフォン、データサーバー、5G高速通信、車載用などの半導体需要の増加により、引き続き堅調に推移いたしました。
フラットパネルディスプレイ業界は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり需要は落ち着いたものの、液晶・有機ELディスプレイともに需要は堅調に推移いたしました。
写真業界では、新型コロナウイルス感染症に対する規制緩和に伴う各種イベント等の再開の影響を受け、インスタント写真の需要が回復いたしました。
印刷業界では、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い減少していたオフィス向け需要は規制緩和に伴い回復基調にあります。しかしながら、インクジェットなどのホームユース向け需要は鈍化いたしました。
医薬品業界では、世界医薬品市場は拡大しており、国内医薬品市場も前年より、増加に転じました。
環境関連事業につきましては、産業廃棄物処理分野では、半導体産業に関連する製造業が好調であったことにより、排出量が増加いたしました。化学品リサイクル分野では、電子部品関連が生産調整の影響により、前年度並みの低調な動きで推移いたしました。しかしながら、リユース、リサイクルへの関心は、引き続き高くなってきております。
このような環境のもとで当社グループは、2020年3月期をスタートとする5ヵ年の中期経営計画を策定し、その目標達成に向けて、各種施策に取り組んでおります。特に、先端の半導体用感光性材料、フラットパネルディスプレイ周辺材料、機能性材料、医薬中間体の新製品開発、廃棄物処理、リサイクルの特殊技術開発などに積極的に取り組みました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比15.3%増の161億34百万円となりました。経常利益は、前連結会計年度比42.2%増の17億51百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比45.0%増の15億83百万円となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
化成品事業
当事業の売上高は、前連結会計年度比16.4%増の145億96百万円となりました。
ⅰ)電子材料
半導体用感光性材料は、主力製品が堅調に推移したことにより、販売数量、売上高ともに増加いたしました。フラットパネルディスプレイ用材料は、主力製品の需要の増加により、販売数量、売上高ともに増加いたしました。
この結果、電子材料の売上高は、前連結会計年度比9.6%増の99億90百万円となりました。
ⅱ)イメージング材料
フィルム用材料は、需要の増加により、販売数量、売上高ともに増加いたしました。写真材料は、新型コロナウイルス感染症に対する規制緩和に伴う需要回復により、販売数量、売上高ともに増加いたしました。また、印刷材料に関しても需要回復傾向であり、販売数量、売上高ともに増加いたしました。
この結果、イメージング材料の売上高は、前連結会計年度比72.2%増の32億59百万円となりました。
ⅲ)医薬中間体
医薬中間体は、主力製品が堅調に推移したものの、アビガン中間体の製造を終えたことにより、販売数量、売上高ともに減少いたしました。
この結果、医薬中間体の売上高は、前連結会計年度比17.8%減の10億28百万円となりました。
ⅳ)その他化成品
その他化成品は、販売数量、売上高ともに増加いたしました。
この結果、その他化成品の売上高は、前連結会計年度比16.3%増の3億18百万円となりました。
環境関連事業
当事業の売上高は、前連結会計年度比5.2%増の15億38百万円となりました。
ⅰ)産業廃棄物処理分野
受託量の増加により、売上高は増加いたしました。
この結果、産業廃棄物処理分野の売上高は、前連結会計年度比4.8%増の10億60百万円となりました。
ⅱ)化学品リサイクル分野
非電子部品関連が好調に推移し、電子部品関連も微増であったことから、出荷量、売上高ともに増加いたしました。
この結果、化学品リサイクル分野の売上高は、前連結会計年度比6.0%増の4億77百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、有形固定資産の取得による支出14億69百万円、長期借入金の返済による支出7億8百万円、棚卸資産の増加6億91百万円、売上債権の増加5億17百万円、法人税等の支払額2億81百万円、社債の償還による支出1億89百万円、配当金の支払額1億50百万円となりましたが、長期借入れによる収入17億円、税金等調整前当期純利益17億51百万円、減価償却費5億97百万円により、前連結会計年度末に比べ1億68百万円増加し、当連結会計年度末には34億23百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果増加した資金は、11億50百万円(前連結会計年度は25億26百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益17億51百万円、減価償却費5億97百万円、棚卸資産の増加6億91百万円、売上債権の増加5億17百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、15億25百万円(前連結会計年度は3億76百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出14億69百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果増加した資金は、5億43百万円(前連結会計年度は2億81百万円の減少)となりました。これは主に長期借入れによる収入17億円、長期借入金の返済による支出7億8百万円、社債の償還による支出1億89百万円、配当金の支払額1億50百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
化成品事業 |
15,045 |
123.8 |
環境関連事業 |
1,600 |
107.1 |
合 計 |
16,646 |
122.0 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
ロ.仕入実績
当連結会計年度の製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
化成品事業 |
444 |
87.6 |
環境関連事業 |
24 |
146.0 |
合 計 |
469 |
89.5 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は仕入価格によっております。
ハ.受注実績
受注生産は行っておりません。
ニ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
化成品事業 |
14,596 |
116.4 |
環境関連事業 |
1,538 |
105.2 |
合 計 |
16,134 |
115.3 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績およびそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
2020年4月~2021年3月 |
2021年4月~2022年3月 |
|||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
三木産業㈱ |
2,458 |
17.6 |
3,280 |
20.3 |
住友化学㈱ |
2,599 |
18.6 |
2,672 |
16.6 |
富士フイルム㈱ |
1,325 |
9.5 |
2,353 |
14.6 |
東京応化工業㈱ |
1,507 |
10.8 |
1,567 |
9.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社グループは、過去の実績や取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積りおよび判断を行い、その結果を資産、負債の帳簿価額および収益、費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しております。なお、新型コロナウイルスの感染拡大は、現時点では当社グループの事業活動に対する影響は軽微であるため、今後の業績についても重要な影響は及ぼさないことと仮定して、期末時点で入手可能な情報をもとに将来見込数値に織り込んでおります。実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態の分析
(総資産)
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末比27億10百万円増の215億35百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末比14億46百万円増の117億85百万円となりました。主な要因は、棚卸資産の増加6億91百万円、売上債権の増加5億17百万円、現金及び預金の増加1億68百万円、未収消費税等の増加81百万円であります。
固定資産は前連結会計年度末比12億63百万円増の97億50百万円となりました。主な要因は、設備投資による有形固定資産の増加11億51百万円、株価上昇による投資有価証券の増加1億11百万円であります。
(負債合計)
負債合計は前連結会計年度末比11億83百万円増の72億50百万円となりました。主な要因は、長期借入金(1年以内返済予定を含む)の増加9億91百万円、支払手形及び買掛金の増加3億19百万円、未払金の増加2億79百万円、社債の減少1億89百万円、未払消費税等の減少1億61百万円であります。
(純資産)
純資産は前連結会計年度末比15億26百万円増の142億84百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加14億33百万円であります。
これにより自己資本比率は66.3%となりました。
ロ.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比15.3%増の161億34百万円となりました。セグメント別の売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 ロ.経営成績」に記載のとおりであります。なお、当連結会計年度においては、化成品事業、環境関連事業ともに新型コロナウイルス感染拡大による重要な影響は受けておりません。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度比17.1%増の29億29百万円となりました。売上総利益率は前連結会計年度比0.3ポイント上昇し、18.2%となりました。これは化成品事業および環境関連事業において、売上高が増加したことによるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比22.2%増の17億63百万円となりました。営業利益率は前連結会計年度比0.6ポイント上昇し、10.9%となりました。販売費および一般管理費は、化成品事業において労務費が増加した影響により、前連結会計年度比10.2%増の11億65百万円となりましたが、販管費比率は0.4ポイント減の7.2%となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度比42.2%増の17億51百万円となりました。経常利益率は前連結会計年度比2.1ポイント上昇し、10.9%となりました。これは主に持分法による投資損失が減少したことによるものであります。
ハ.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高経常利益率を採用しております。これを重要な指標として認識し、目標の達成に努めております。
なお、中期経営計画(2019年4月~2024年3月)の3年目である2021年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。
売上高は計画比16億34百万円増(11.3%増)となりました。これは、化成品事業における電子材料およびイメージング材料の需要の増加によるものです。経常利益は化成品事業および環境関連事業における売上高の増加などにより全体として、計画比9億1百万円増(106.1%増)となりました。
|
2021年度(計画) |
2021年度(実績) |
2021年度(計画比) |
売上高 |
14,500百万円 |
16,134百万円 |
1,634百万円増(11.3%増) |
経常利益 |
850百万円 |
1,751百万円 |
901百万円増( 106.1%増) |
経常利益率 |
5.9% |
10.9% |
5.0ポイント増 |
ニ.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ホ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用、人件費のほか、その他の製造費用、販売費および一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
資本政策と株主配当方針、成長投資の方針については、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
翌連結会計年度において、「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載した当社福井工場における設備投資等を予定しておりますが、自己資金および金融機関からの借入金により賄ってまいります。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は39億89百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は34億23百万円となっております。
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