業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

また、当社はメッセージングソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて、654,438千円増加し2,097,711千円となりました。これは主に親会社グループの運営するCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)契約の解約による預け金の減少(現金及び預金の増加)が760,407千円生じたこと、公募増資等による現金及び預金の増加311,144千円、売掛金の増加64,626千円及び、設備投資による工具、器具及び備品が23,340千円増加したこと等によるものです。

 

(負債)

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて、56,378千円増加し402,562千円となりました。これは主に人件費増に伴う未払費用42,646千円の増加、データセンター用機材取得に伴う未払金41,167千円の増加及び納付による未払消費税等の減少15,086千円等によるものです。

 

(純資産)

当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて598,059千円増加し1,695,148千円となりました。これは当期純利益の計上による利益剰余金の増加286,915千円及び公募増資に伴う資本金155,572千円、資本準備金155,572千円の増加によるものです。

 

② 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続き、ワクチン接種が進められておりますが、変異株などにより、依然として先行きが不透明な状況が続いております。

一方、2021年12月9日に内閣府・財務省が発表した内閣府・財務省の法人企業景気予測調査(2021年10~12月期調査)によれば、今年度における設備投資のスタンスを見ると、大企業の全産業では「情報化への対応」が重要度第2位の47.1%、中堅企業では第3位の43.5%と上位を占め、強く意識されており、当社が属する情報通信業界及び非接触型ビジネスモデルでは、マーケットの拡大や収益機会の増加が続くことを物語っております。

このような状況の中、当社は引き続き「SaaS事業成長」「顧客価値向上」に向け、積極的に取組みを行いました。

当事業年度におきましては、次のような提供サービスの拡充を行っております。

・主力商品「Cuenote FC」:

2021年2月 「フリークエンシー機能」の提供を開始しております。この機能は、画面上で「期間」「通数」を指定するだけで同一顧客(メールアドレス)へのメッセージ送信数を制御する機能で、メッセージ送信数の過多に伴うオプトアウト(購読解除)や退会を低減でき、顧客との良好な関係維持に役立ちます。

2021年11月 マイページ機能をリニューアルし、ノーコードでHTMLの知識がない方でも会員登録フォームが作成できる機能や端末の画面サイズに応じて、表示が最適化される「レスポンシブデザイン」にも対応を行っております。

2021年12月 JAMU株式会社が提供するコンバージョン最適化プラットフォームFanplayrとの連携を開始し、サイト内の行動解析に基づいたメール配信の提供を開始しております。

・「Cuenote Survey」:

2021年12月 WebフォームにHTMLコンテンツを作成し、ランディングページ(LP)一体型フォームを作成できる機能を追加し提供を開始しております。

 

サービス提供種別の売上高の概況は以下のとおりであります。

・ストック型収益:Cuenote SaaSのサブスクリプション(サービス利用)売上並びにソフトウエア保守売上が含まれます。当事業年度は新規受注が好調であった事にあわせ、解約を抑制できたことからストック型収益は1,881,229千円、当事業年度末定期契約額は175,981千円(前期比27.2%増)となりました。

・スポット型収益:Cuenote SaaSの初期売上(初期利用登録、カスタマイズ、セキュリティ証明書などの取得代行)並びにソフトウエアライセンス売上(オンプレミス)が含まれます。当事業年度の売上高はSaaSの新規受注が堅調に推移したことから、48,128千円となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,929,357千円(前期比18.4%増)となりました。

売上原価は、622,568千円(前期比30.6%増)となりました。これは主にSMSの配信数増に伴う通信費や技術者増員による労務費の増加によるものです。

売上総利益は1,306,789千円(前期比13.3%増)となり、販売費及び一般管理費は、892,434千円(前期比7.5%増)となりました。これは主に組織人員の拡大に伴う給与の増加、好調な業績を背景とする決算賞与の増加、各種広告施策に伴う広告宣伝費の増加によるものです。

この結果、営業利益は414,354千円(前期比28.3%増)、経常利益は398,573千円(前期比22.5%増)、当期純利益は286,915千円(前期比28.1%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前事業年度末に比べて1,324,356千円増加し、1,513,197千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は341,542千円(前期比3.2%増)となりました。これは主に減少要因として売上債権の増加64,626千円(前期比52,735千円増加)及び法人税等の支払額125,581千円(前期比38,292千円増加)等があった一方で、増加要因として税引前当期純利益398,573千円(前期比73,278千円増加)、減価償却費70,817千円(前期比4,873千円減少)等により資金が増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果獲得した資金は687,838千円となりました。これは主にデータセンター用機材などの有形固定資産の取得による支出62,994千円により資金が減少した一方、親会社グループの運営するCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)契約の解約に伴う預け金760,764千円の減少等により資金が増加したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は294,975千円となりました。これは主に上場関連費用等による支出16,168千円により資金が減少した一方、株式の発行による311,144千円により資金が増加したことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社の提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社の提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はメッセージングソリューション事業の単一セグメントであるため提供サービス別に記載しております。

 

サービスの名称

当事業年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

(千円)

前年同期比(%)

Cuenoteシリーズ

1,928,161

118.8

その他

1,196

17.3

合  計

1,929,357

118.4

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、

総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

b.経営成績の分析

(売上高)

当事業年度の売上高は前事業年度に比べ299,605千円増加し、1,929,357千円(前期比18.4%増)となりました。これは主にCuenote FCシリーズの受注が引き続き順調に推移したことによるものであります。なお、経営指標として重視しております、Cuenoteシリーズの期末月の定期契約額は前事業年度に比べ37,669千円増加し、175,981千円(前期比27.2%増)となりました。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は前事業年度に比べ145,930千円増加し、622,568千円(前期比30.6%増)となりました。これは主に、配信数増による通信費の89,004千円増加、技術者増員による労務費46,439千円増加及びインターネット費の11,898千円の増加等によるものです。

この結果、売上総利益は前事業年度に比べ153,674千円増加し、1,306,789千円(前期比13.3%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度から62,238千円増加し、892,434千円(前期比7.5%増)となりました。これは主に組織人員の拡大に伴う給与の10,256千円増加、好調な業績を背景とする決算賞与の20,407千円増加及び広告施策に伴う広告宣伝費の19,144千円増加等によるものです。

この結果、営業利益は前事業年度に比べ91,436千円増加し、414,354千円(前期比28.3%増となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当事業年度における営業外収益は3,035千円減少し、387千円(前期比88.7%減)となりました。これは主にCMS解約に伴う受取利息の1,638千円減少及び人材紹介手数料の返金がなかったことによる雑収入の1,416千円減少等によるものであります。

また、前事業年度においては営業外費用は発生しておりませんでしたが、当事業年度は東証マザーズへの上場に伴う上場関連費用の16,168千円が発生しております。

この結果、経常利益は、前事業年度から72,232千円増加し、398,573千円(前期比22.5%増)となりました。

(特別損失、当期純利益)

当事業年度において、固定資産除却損が前事業年度に比べ1,046千円減少したことにより税引前当期純利益は398,573千円(前期比22.5%増)となりました。また、法人税、住民税及び事業税114,345千円、法人税等調整額△2,688千円を計上した結果、当期純利益は、前事業年度から62,902千円増加し、286,915千円(前期比28.1%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資本の財源及び資金の流動性に関する情報

資本の財源及び資金の流動性については、当社の資金需要の主なものは、運転資金、法人税等の支払等であり、その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー等、自己資金により、必要とする資金を調達しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

なお、当社の財務諸表で採用されている重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりです。

また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(繰延税金資産)

当社は、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、営業利益、営業利益率にあわせ期末の定期契約額(月次経常収益)とメールサービスの解約率を重視しております。各指標の推移は以下のとおりであり、持続的な成長と企業価値の向上に向け順調に推移しているものと認識しております。今後も新規契約の獲得や解約抑制により期末定期契約額を積み上げることで売上や営業利益の拡大に努めてまいります。

 

 

前事業年度

当事業年度

売上高

1,629,752千円

1,929,357千円

営業利益

322,918千円

414,354千円

営業利益率

19.8%

21.5%

期末定期契約額(注)1

138,312千円

175,981千円

メールサービス解約率(注)2

0.39%

0.38%

(注)1.期末月の定期契約売上(期間利用を定めた契約に基づく収益:月次経常収益)となります。

2.メールサービス解約率は、メールサービスの金額基準の月次解約率の該当期間の平均値(小数点第3位を四捨五入)となります。

なお、「Cuenote SMS」「Cuenote Survey」「安否確認」は、含めておりません。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針

当社は「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す」という企業理念のもと「SaaS事業の成長」「顧客価値向上」を通じ、事業を拡大してまいりました。
今後も持続的に成長するためには「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対し、事業環境の変化を捉えつつ最善の経営方針を立案することが必要であると認識しております。

 

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