(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の普及や緊急事態宣言の解除等により、景気に持ち直しの動きが見られましたが、新たな変異株による感染が拡大されるにつれて、先行きの不透明感も再び高まってきております。
当社グループを取り巻く事業環境におきましては、株式会社電通発表の『2021年 日本の広告費』(2022年2月24日発表)によると、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和したことで、広告市場は大きく回復し、日本の総広告費は前年比110.4%増の6.8兆円となりました。インターネット広告費は、継続的に高い成長率を維持しており、マスコミ四媒体(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)広告費を上回る2.7兆円を超える市場規模となっております。
このような環境の中で、当社グループはお客様や従業員の健康・安全を確保するため、全社でのリモートワーク実施、商談のオンラインへの切り替え、社内イベントのオンライン化等の施策を講じるとともに、「世界に、熱を。人に、可能性を。」というミッションの下、「ZUU online」等の自社メディアのユーザー層の拡大、及び他有力メディアとの連携も強力に推進いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,785,868千円となり、前連結会計年度末に比べ95,247千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が218,181千円減少し、営業貸付金が124,000千円増加したことによるものであります。固定資産は220,723千円となり、前連結会計年度末に比べ47,238千円増加いたしました。これは主に投資有価証券が50,600千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、2,006,592千円となり、前連結会計年度末に比べ48,009千円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は795,844千円となり、前連結会計年度末に比べ154,149千円増加いたしました。これは主に未払金が97,049千円増加し、匿名組合出資預り金が124,000千円増加した一方で未払法人税等が112,338千円減少したことによるものであります。固定負債は15,201千円となり、前連結会計年度末に比べ120千円減少いたしました。
この結果、負債合計は、811,046千円となり、前連結会計年度末に比べ154,028千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,195,546千円となり、前連結会計年度末に比べ202,038千円減少いたしました。これは主に新株発行等により資本金が23,271千円増加したことおよび親会社株主に帰属する当期純損失230,723千円を計上したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は55.0%(前連結会計年度末は63.9%)となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の業績は、売上高は3,376,755千円(前連結会計年度比21.0%増)、営業損失は244,936千円(前連結会計年度は営業利益14,390千円)、経常損失は242,701千円(前連結会計年度は経常利益8,151千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は230,723千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失300,087千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(フィンテック・プラットフォーム事業)
7月に実装された検索エンジンのアルゴリズム変更の影響により、一時的な落ち込みはありましたが、自社メディアの認知度向上や訪問ユーザー数は順調に推移していることから、送客事業は引き続き堅調に推移いたしました。またMP-Cloud(注1)を中心とするメディアシステム提供・運用支援についても引き続き堅調に推移いたしました。一方でPDCA関連サービス(注2)のタクシーCM等を中心に広告宣伝費等の投資を実施いたしました。その結果、当連結会計年度は、売上高3,313,889千円(前連結会計年度比23.4%増)、営業損失は48,515千円(前連結会計年度は営業利益246,642千円)となりました。
(クラウド・ファンディング事業)
前連結会計年度より、今後の金融サービス直接運営に向けて体制構築を進めております。当連結会計年度は、成立案件数が伸び悩んだことから引き続きコストが先行する状況となり、売上高は77,898千円(前連結会計年度比31.5%減)、営業損失は196,421千円(前連結会計年度は営業損失232,251千円)となりました。
(注1):MP-Cloudは、当社のコンテンツマネジメントシステム(CMS)をクラウド化して顧客向けに提供する商品を意味します。
(注2):当社のPDCAノウハウを活用した組織マネジメントSaaSサービス「PDCA Cloud」およびPDCAノウハウによるコンサルティングサービス「PDCA Engineering」等をSMB中心に提供しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は1,035,443千円となり、前連結会計年度末と比べ218,181千円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は186,419千円(前連結会計年度は231,063千円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純損失264,822千円、未払金の増加94,831千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は88,564千円(前連結会計年度は275千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出80,600千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は56,601千円(前連結会計年度は691,201千円の収入)となりました。これは主に、株式発行による収入46,542千円、非支配株主からの払込みによる収入10,850千円があったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
(2)受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
フィンテック・プラットフォーム事業 |
3,306,734 |
23.3 |
クラウド・ファンディング事業 |
70,020 |
△35.0 |
合計 |
3,376,755 |
21.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の記載については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
a. 経営成績等の状況
フィンテック・プラットフォーム事業においては、「ZUU online」を中心とする自社メディアのユーザー層の拡大及び、その他有力メディアとの連携をとおして、フィンテック・サービスの成長を図っております。この方針のもと、自社メディアの訪問ユーザー数は過去最高を更新し、2022年3月期には自社メディアの月間訪問者数が2,060万人となりました。また、自社メディア構築及び運営で培ったノウハウ、当社のコアバリューである鬼速PDCAをベースとした顧客企業へのソリューション提供も実施しております。この方針のもと、従来の顧客である金融機関、不動産業のみではなくより広範な業界の顧客企業の獲得に推進して参りました。以上の状況から、当連結会計年度において、全体として過去最高の売上高を更新することができました。今後、自社メディア訪問ユーザー数の更なる成長、各種ソリューション提供企業数の更なる深耕に注力し、フィンテック・プラットフォーム事業の更なる成長を図ってまいります。
クラウド・ファンディング事業については前連結会計年度に引き続きクラウド・ファンディングを運営する子会社のPMIを推進してまいりました。しかしながら成立案件が伸び悩んだことから引き続きコストが先行する形となりました。引き続きPMIを推進するとともに魅力ある案件を組成していくことで今後の成長を図ってまいります。
なお、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析等は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
資本政策は、財務の健全性や資本効率など、当社グループにとって最適な資本構成を考慮しつつ、会社の中長期的観点での成長のため内部留保の充実を図ることを基本と考えております。加えて、将来的には、内部留保との最適なバランスを考え、株主への利益還元を実施して参ります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,035,443千円(前連結会計年度末残高 1,253,624千円)、有利子負債残高は19,170千円(前連結会計年度末残高 19,170千円)となりました。また流動比率(流動資産/流動負債)は224.4%と十分な流動性を確保しております。
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