業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社は、不動産投資運用会社(REIT、ファンド)、多数の不動産を所有する一般事業会社等(金融、電鉄、電力、デベロッパー、グローバル企業、総合ビル管理会社等)不動産に関わる様々な業種や業態に厚い顧客基盤を有する当社クラウドサービスの事業規模は着実に拡大しております。

 当事業年度においては、当社初の子会社となるプロパティデータサイエンス株式会社を、ゲンダイエージェンシー株式会社、株式会社山岸工務店と共同出資により設立いたしました。子会社化により、データサイエンス事業の更なる拡大と成長を加速させております。2022年1月には、株式会社フジテクノス(現:プロパティデータテクノス株式会社)の発行済全株式を取得するための株式譲渡契約を締結いたしました。同社は、不動産関連文書のデジタル化に関する豊富な経験と高い技術を有しております。これらの子会社化により、顧客の事業を根幹から支える「不動産DXプラットフォーム」の一層の推進に貢献することが期待できると考えております。

 また、今後さらなる事業拡大が見込まれることから、本社移転および大阪ワークプレイス開設を決定いたしました。本社移転により、同一フロアで機能集約し、生産性のさらなる向上を図ります。また、大阪ワークプレイス開設により、近年の西日本エリアでの大型案件受注の増加に積極的に対応し、顧客対応力の更なる強化を目指します。

 この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当事業年度末における資産合計は3,192,362千円(前事業年度末比 464,633千円増)となりました。

 当事業年度末における負債合計は694,849千円(前事業年度末比 75,783千円増)となりました。

 当事業年度末における純資産合計は2,497,513千円(前事業年度末比 388,849千円増)となりました。

b.経営成績

 売上高は2,249,603千円(前事業年度比 83,714千円増、3.9%増)、営業利益は649,120千円(前事業年度比 144,954千円増、28.8%増)、経常利益は652,291千円(前事業年度比 132,531千円増、25.5%増)、当期純利益は448,883千円(前事業年度比 98,100千円増、28.0%増)と、前事業年度に比べ増収増益となり、創業来最高益を達成いたしました。

 なお、当社は「@プロパティ」を国内中心に事業展開する単一セグメントであるため、売上高の概要をサービス別に記載しております。

(クラウドサービス)

 ストック型売上であるクラウドサービスの売上高は1,406,238千円(前事業年度比 143,035千円増、11.3%増)となりました。

(ソリューションサービス)

 フロー型売上であるソリューションサービスの売上高は843,364千円(前事業年度比 59,321千円減、6.6%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動により411,533千円の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)が増加しました。また、投資活動により352,786千円の資金が減少し、財務活動により82,956千円の資金が減少しました。

 この結果、当事業年度末における資金の残高は、前事業年度末に比べ24,209千円減少し1,388,070千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加385,772千円などにより減少する一方、税引前当期純利益652,291千円、減価償却費261,205千円などにより411,533千円増加(前事業年度は1,025,792千円の増加)しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出246,452千円、敷金及び保証金の差入による支出75,439千円などにより352,786千円減少(前事業年度は386,777千円の減少)しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額69,400千円、リース債務の返済による支出13,727千円などにより82,956千円減少(前事業年度は161,041千円の減少)しました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、サービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社で行う事業は、サービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は「@プロパティ」を国内中心に事業展開する単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

サービス別

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

クラウドサービス

1,406,238

111.3

ソリューションサービス

843,364

93.4

合計

2,249,603

103.9

 (注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三井不動産レジデンシャル株式会社

218,715

10.1

59,662

2.7

ダイビル株式会社

25,540

1.2

262,971

11.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針及び重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」及び「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

 1)財政状態

(資産の部)

 当事業年度末における流動資産は2,047,039千円(前事業年度末比 333,541千円増)となりました。これは主に仕掛品が24,950千円、現金及び預金が24,209千円減少する一方、売掛金及び契約資産が385,772千円増加したことによるものです。

 当事業年度末における固定資産は1,145,323千円(前事業年度末比 131,091千円増)となりました。これは主に敷金及び保証金が73,308千円、関係会社株式が28,000千円、建物が24,161千円増加したことによるものです。

 この結果、当事業年度末における資産合計は3,192,362千円(前事業年度末比 464,633千円増)となりました。

(負債の部)

 当事業年度末における流動負債は495,106千円(前事業年度末比 83,756千円増)となりました。これは主に未払金が57,453千円、未払法人税等が24,465千円増加したことによるものです。

 当事業年度末における固定負債は199,742千円(前事業年度末比 7,972千円減)となりました。これは主に役員退職慰労引当金が3,508千円増加する一方、リース債務が11,995千円減少したことによるものです。

 この結果、当事業年度末における負債合計は694,849千円(前事業年度末比 75,783千円増)となりました。

(純資産の部)

 当事業年度末における純資産合計は2,497,513千円(前事業年度末比 388,849千円増)となりました。これは主に利益剰余金が379,482千円増加したことによるものです。利益剰余金の増加は配当の実施に伴い69,400千円減少する一方、当期純利益の計上により448,883千円増加したことによるものです。

 

 2)経営成績

(売上高)

 当事業年度の売上高は、2,249,603千円(前事業年度比 83,714千円の増加)となりました。新型コロナウイルス感染症の影響で顧客のIT投資意欲が減少したことによりソリューションサービス売上高は前事業年度比で59,321千円減少したものの、新規顧客増加及び既存顧客の利用拡大によりクラウドサービス売上高が前事業年度比 143,035千円増加した結果によるものです。

 

(売上原価)

 当事業年度における売上原価は、975,056千円(前事業年度比 122,578千円の減少)となりました。これは主に残業削減により労務費が減少したこと、開発委託先のコストコントロールが適切にできたことにより外注加工費が減少したこと等によるものです。

 

(売上総利益)

 上記により、当事業年度における売上総利益は、1,274,547千円(前事業年度比 206,292千円の増加)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度における販売費及び一般管理費は、625,426千円(前事業年度比 61,337千円の増加)となりました。これは主に人件費、地代家賃、広告宣伝費の増加によるものです。この結果、営業利益は、649,120千円(前事業年度比 144,954千円の増加)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当事業年度における営業外収益が5,869千円(前事業年度比 12,636千円の減少)、営業外費用が2,697千円(前事業年度比 213千円の減少)となりました。営業外収益の減少は主に補助金収入が減少したによるもの、営業外費用の減少は主に自己株式取得に掛かる支払手数料が発生しなかったことによるものです。この結果、経常利益は652,291千円(前事業年度比 132,531千円の増加)となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度において特別利益、特別損失は発生しておりません。法人税等合計が203,408千円(前事業年度比 60,386千円の増加)となり、この結果、当期純利益は448,883千円(前事業年度比 98,100千円の増加)となりました。

 

 3)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、取引先の信用状況は良好であり、新型コロナウイルス感染症拡大による売掛債権の回収懸念等の資金繰り悪化要因は生じておりません。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は、ストック型売上であるクラウドサービスとフロー型売上であるソリューションサービスを両輪に盤石な収益基盤を確立しております。

 クラウドサービスは、登録されたデータ量に応じた月額課金により、創業以来売上高を増加させております。当事業年度におけるクラウドサービスの売上高は、全社売上高の62.5%を占めております。

 ソリューションサービスは、顧客ニーズにきめ細かく対応するための初期コンサルティングやカスタマイズ開発により、売上が発生いたします。また、新規顧客を獲得する上で重要な役割を果たしており、クラウドサービスの売上高を増加させるために必要不可欠なものです。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社の主な資金需要は、運転資金(人件費及び外注加工費等)及び「@プロパティ」の開発のための資金です。

 資本の財源及び流動性については、事業活動に必要な現金を安定的に確保することを基本としております。

 資金調達につきましては、自己資金を基本としております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社の事業は、不動産クラウドサービスの利用料等によるストック型売上(クラウドサービス売上)と不動産クラウドサービスの利用にあたっての導入コンサル・カスタマイズ等によるフロー型売上(ソリューションサービス売上)の両輪で構成されています。

 顧客の利用状況に応じて料金を徴収する当社のクラウドサービスは、売上高の伸張速度は緩やかとなるものの、売上・収益基盤の安定的かつ永続的な拡大を可能とします。

 一方、システム開発及び販売を中心とする事業(フロー型売上)では、顧客毎の個別案件に依拠する比重が高く、収益化が早いものの収益基盤が比較的不安定になりがちです。

 当社の事業は、ストック型売上、フロー型売上のデメリットといわれる部分をクラウドサービス、ソリューションサービスの双方で補い合い、盤石な収益基盤を確立しております。

 このことから当社では、安定した収益の確保はステークホルダーの利益にも合致すると考え「営業利益率」を重要な指標として位置付けております。

 当事業年度の営業利益率は28.9%(前事業年度は23.3%)となりました。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、引続き、当社のミッションである「新しい知識社会の創造」に基づき、単なるデータの処理・管理といったビジネスの領域を超え、当社サービスを知識社会における最も優れたサービスとして進化させるべく取り組む方針です。

 

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