業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けており、一部に回復の動きは見られたものの、感染拡大や度重なる緊急事態宣言の発出により、先行き不透明な状況が続いております。一方で、当社を取り巻く環境としましては、企業の競争力強化や人材不足への対応から、DX(デジタルトランスフォーメーション)への急速な注目の高まりや、国内企業のIT投資の拡大局面が続いていることなどが当社にとって追い風となっております。

 そのような環境の中で、当社は従来のDX活用/AI導入の支援などの労働集約的なビジネスに加えて、自社AIソリューションを中心とした非労働集約的な収益の獲得も目指しており、AIソリューション開発プロジェクト獲得や研究開発、先行投資的な積極的な人材採用に注力いたしました。

 これらの結果、当事業年度における当社の経営成績は以下のとおりとなりました。

 売上高については、大型案件の継続及び新規獲得、並びにソリューションの本格導入や前期から引続きソリューション開発のための積極的な新規営業活動を行った結果、1,413,332千円(前期比29.7%増)と前期から順調な成長を実現しております。

 売上総利益については、案件の増加等により817,805千円(前期比40.4%増)と売上高と同様に増加しました。

 販売費及び一般管理費について、人材関連費用に関して人材採用を積極的に実施したことにより給料手当は109,711千円増加し、採用費は39,549千円増加いたしました。またソリューション開発をさらに推進したため研究開発費が97,539千円増加したことを主要因として、販売費及び一般管理費は872,770千円(前期比60.6%増)となりました。

 上記のとおり、先行投資や人材への投資等を引続き積極的に行った結果、営業損失は54,964千円(前期は38,935千円の営業利益)、経常損失は79,439千円(前期は27,825千円の経常利益)、当期純損失は82,931千円(前期は当期純利益27,719千円)となりました。

 なお当社は、AIソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産合計は3,729,464千円となり、前事業年度末に比べ541,075千円増加いたしました。これは主に、流動資産については、新規上場時の公募増資等により現金及び預金が338,217千円増加したこと、事業規模拡大に伴い売掛金及び契約資産が78,189千円増加したことによるものであります。固定資産については、2023年6月期に開設を予定しております新オフィスの敷金、及び事業提携先であるD Capital株式会社が組成したファンドへの投資実行により投資その他の資産が108,246千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債合計は141,711千円となり、前事業年度末に比べ5,204千円増加いたしました。これは主に、事業拡大に伴う業務委託の増加や積極的な人材採用に伴い未払金が23,248千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は3,587,752千円となり、前事業年度末に比べ535,871千円増加いたしました。これは主に、新規上場時の公募増資により資本金及び資本剰余金が618,240千円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ338,217千円増加し、3,353,873千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動により支出した資金は147,100千円となりました。これは主に、税引前当期純損失を79,177千円計上、売上債権が78,189千円増加した一方で、未払金が23,248千円増加したこと及び上場関連費用を15,656千円、減価償却費を14,712千円計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動により支出した資金は129,613千円となりました。これは主に、敷金の差入による支出が67,091千円、事業提携先であるD Capital株式会社が組成したファンドへの投資実行に伴う投資有価証券の取得による支出が48,179千円、有形固定資産の取得による支出が14,575千円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動により得られた資金は614,931千円となりました。これは主に、株式の発行による収入が614,018千円あったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスには生産に該当する事項がないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社が提供するサービスは、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

AIソリューション事業(千円)

1,413,332

129.7

 (注)1.当社は、AIソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

当事業年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

学校法人駿河台学園

324,500

29.8

395,499

28.0

ダイキン工業株式会社

144,000

13.2

90,907

6.4

イオントップバリュ株式会社

117,500

10.8

105,240

7.4

DCM株式会社

26,714

2.5

166,000

11.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表を作成するにあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 売上高については、大型案件の継続及び新規獲得、並びにソリューションの本格導入や前期から引続きソリューション開発の為の積極的な新規営業活動を行った結果、1,413,332千円(前期比29.7%増)と前期を上回りました。新規営業活動については、金融機関や当社顧問である東京大学の教授経由の紹介等を通じて、各産業の大手企業へのアプローチを増加させております。

 売上原価については、顧客から収益を獲得するプロジェクトに従事する人員の人件費が売上原価の大部分を占めており、プロジェクトの増加により595,527千円(同17.5%増)と売上高と同様に前期を上回りました。その結果、売上総利益についても同様の傾向で推移しており、817,805千円(同40.4%増)と増加しました。

 販売費及び一般管理費について、人材関連費用に関して人材採用を積極的に実施したことにより給料手当は109,711千円増加し、採用費は39,549千円増加いたしました。またソリューション開発をさらに推進したため研究開発費が97,539千円増加したことを主要因として、販売費及び一般管理費は872,770千円(前期比60.6%増)となりました。その結果、営業損失は54,964千円(前事業年度は38,935千円の営業利益)となりました。

 営業外損益については、主なものとして2021年12月の東京証券取引所マザーズ市場上場に伴う公募増資に係る株式交付費4,221千円、及び上場関連費用15,656千円といった一過性の営業外費用を計上した結果、経常損失は79,439千円(前事業年度は27,825千円の経常利益)となりました。

 その結果、研究開発や人材に関する積極的な投資、及び新規上場に伴う上場関連費用等の負担により当期純損失は82,931千円(前事業年度は27,719千円の当期純利益)となりました。

 なお当社は、AIソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の主な資金需要は、労務費(製造活動に関与するものに係る人件費)及び人件費(労務費以外の人件費)といった人材に関するもの及び経費等の販売費及び一般管理費等となっております。これらについては、現時点では自己資金で賄っており、基本的には今後も自己資金または営業活動によるキャッシュ・フローを充当する方針であります。なお、今後事業拡大に向けて急激な資金需要が生じる場合に備え、一部の金融機関と当座貸越の契約をしております。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、共同研究開発や初期導入フェーズにおける課題特定や全社戦略策定の支援、PoCの実施、AIアルゴリズムの構築及びシステム実装等の準委任型の役務提供を通じたフロー型(非継続)の収益と、AIソリューション導入後のフェーズにおける運用保守料やサービス利用料、ライセンス利用料、コンソーシアム会費等のストック型(継続)の収益を得ております。そのため、売上高、売上総利益、営業利益、売上高総利益率及び売上高営業利益率といった基礎的な指標に加えて、幅広い産業への事業展開や売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、AIプロダクト別の収益構成や継続顧客による売上比率を重要な指標としております。

 当社の特徴的な比率である継続顧客からの売上比率については78%(前事業年度は73%)となりました。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

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