当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りです。なお、当社は、2020年6月5日開催の臨時株主総会により、決算期を11月末から3月末に変更しております。従って、第7期は2019年12月1日から2021年3月31日までの16ヶ月間となっております。そのため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、「金融を'サービス'として再発明する」をミッションに掲げております。このミッションのもと、金融サービス事業者向けの次世代クラウド基幹システムの提供等を通じて、パートナー企業とともに人々にとって遠い存在である金融サービスを暮らしに寄り添ったものにすることを目指しております。
今般、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、わが国経済において景気の先行き不透明感が広がっているものの、金融サービスにおけるデジタルトランスフォーメーションが急速に後押しし、当社グループが提供するサービスのニーズもより一層高まっていると認識しております。
このような事業環境のもと、当連結会計年度においては、継続的な事業成長を実現するため、引き続き人材採用や機能拡充に積極的に取り組んでまいりました。
この結果、前連結会計年度末以降、金融インフラストラクチャ事業のパートナー数が増加、ビッグデータ解析事業のデータライセンス契約件数が増加したことにより、フロー収益及びストック収益が拡大し、当連結会計年度における売上高2,724,097千円、営業損失542,605千円、経常損失588,919千円、親会社株主に帰属する当期純損失669,944千円となりました。
セグメント別の業績は以下の通りです。
金融インフラストラクチャ事業では、金融サービスを運営するのに必要となる複雑な基幹システムを、クラウド上でSaaS型のシステムとして顧客に提供するものであります。
証券インフラストラクチャビジネスでは、当連結会計年度においては、新規パートナーの獲得に向けた「BaaS」の機能及び金融商品の拡充と、合意済みのパートナーとのサービスローンチに向けた初期開発に注力いたしました。「BaaS」の機能及び金融商品の拡充については、米国株式や合同金銭信託の取り扱いを開始したほか、独自性のある投資一任サービスを迅速かつ容易に構築できるプラットフォーム「Digital Wealth Manager」を開発いたしました。サービスの初期開発については、IFAの株式会社Japan Asset Managementによる独自の資産運用サービス「JAM WRAP」並びにニッセイアセットマネジメント株式会社による個人向けファンドラップサービス「Goal Navi」の2件をローンチしました。この結果、「BaaS」上での稼働サービス数は5サービス(前連結会計年度末時点:3サービス)となっております。
保険インフラストラクチャビジネスでは、当連結会計年度においては、新規パートナーの獲得に向けた「Inspire」の機能拡充として、保険金自動送金機能をはじめ複数の機能追加を行ったほか、合意済みのパートナーへの「Inspire」の初期導入支援に注力し、株式会社エポス少額短期保険ならびに日本生命保険相互会社の子会社であるニッセイプラス少額短期保険株式会社へ「Inspire」を導入いたしました。その結果、「Inspire」の導入企業数は4社(前連結会計年度末時点:2社)となっております。
コスト面については、証券インフラストラクチャビジネス及び保険インフラストラクチャともに、将来のビジネス拡大を見据え、引き続き人材採用、機能拡充の先行投資を行ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の金融インフラストラクチャ事業の売上高は1,127,366千円、セグメント損失は784,286千円を計上しました。
フィンテックソリューション事業では、金融機関向けにデジタルトランスフォーメーション及びデジタルマーケティングの支援を行っております。
ソリューションビジネスでは、株式会社三菱UFJ銀行に当社のソリューションが採用され、同社の「Money Canvas」のシステム構築支援プロジェクトを納品いたしました。
以上の結果、新プロジェクトからのフロー収益が拡大し、当連結会計年度のフィンテックソリューション事業の売上高は832,736千円、セグメント利益は112,748千円となりました。
ビッグデータ解析事業は、ビッグデータを保有する企業のデータ利活用の促進を支援しており、企業の持つビッグデータを機関投資家や官公庁に提供するデータライセンスビジネスや、企業のデータ利活用を支援するデータ解析支援ビジネスを行っております。
データライセンスビジネスでは、機関投資家向けにオルタナティブデータを提供する「Alterna Data」において、顧客層拡大のためレポートサービス及びウェブポータルサービスの拡充に注力いたしました。
以上の結果、「Alterna Data」の契約件数が伸長し、当連結会計年度のビッグデータ解析事業の売上高は763,994千円、セグメント利益は144,775千円となりました。
(資産)
当連結会計期間末における総資産合計は15,854,286千円となり、前連結会計年度末に比べて3,199,190千円増加いたしました。
流動資産は15,620,047千円となり、前連結会計年度末と比較して3,193,595千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が1,474,289千円、証券インフラストラクチャビジネスの規模拡大に伴って証券業における預託金、信用取引資産、並びに短期差入保証金が1,340,108千円増加したこと等によるものであります。
固定資産は234,239千円となり、前連結会計年度末と比較して5,595千円増加いたしました。これは主に長期差入保証金が22,101千円増加した一方で、ソフトウエア仮勘定が16,008千円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計期間末における負債合計は6,665,159千円となり、前連結会計年度末と比較して496,014千円増加いたしました。
流動負債は6,578,737千円となり、前連結会計年度末に比べて581,260千円増加いたしました。これは主に、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債が150,000千円減少した一方で、証券インフラストラクチャビジネスの規模拡大に伴って証券業における預り金、信用取引負債、受入保証金が502,016千円、ビックデータ解析事業のパートナー数の増加に伴い契約負債が110,064千円、未払法人税等が56,665千円増加したこと等によるものであります。
固定負債及び特別法上の準備金は86,422千円となり、前連結会計年度末に比べて85,246千円減少いたしました。これは主に、長期借入金から1年内返済予定の長期借入金への振替により100,500千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計期間末における純資産合計は9,189,127千円となり、前連結会計年度末に比べて2,703,176千円増加いたしました。これは主に、新株発行による増資、および無担保転換社債型新株予約権付社債の新株への転換に伴い、資本金が1,747,112千円、資本剰余金が1,747,112千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失により利益剰余金が669,944千円、非支配株主持分が125,445千円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが1,528,379千円の資金減、投資活動によるキャッシュ・フローが279,399千円の資金減、財務活動によるキャッシュ・フローが3,266,100千円の資金増となりました。
また、現金及び現金同等物に係る換算差額15,968千円の資金増を含めた結果、当期連結会計年度の資金残高は、前連結会計年度末に比べ1,474,289千円増加し、5,792,996千円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は1,528,379千円となりました。この主な減少要因として、税金等調整前当期純損失732,614千円、証券業における信用取引資産および信用取引負債の減少838,019千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は279,399千円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出254,244千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は3,266,100千円となりました。この主な減少要因として、長期借入金の返済による支出75,000千円があった一方で、増加要因として、新株発行による収入3,341,100千円によるものであります。
当社グループが営む事業は、金融サービスの構築・運営を可能にする次世代クラウド基幹システムを提供する金融インフラストラクチャ事業、金融機関のデジタルトランスフォーメーションのニーズに対応したソリューションの提供を行うフィンテックソリューション事業、及びオルタナティブデータを提供するビッグデータ解析事業であり、提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
当社グループでは、受注販売を行っておりますが、受注から売上高計上までの期間が短期であるため、受注実績は記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.決算期変更に伴い、前連結会計年度は16ヶ月の変則決算となっておりますので、前年同期比については記載しておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
4.決算期変更に伴い、上記記載の販売高は、前連結会計年度は16ヶ月間、当連結会計年度は12ヶ月間となっております。
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内に合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、判断時には予期し得なかった事象等の発生により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
1.経営成績の分析・評価
前連結会計年度は、決算期変更に伴い、16ヶ月の変則決算となっておりますので、前年同期比については記載しておりません。
(売上高)
当連結会計年度において、売上高は2,724,097千円となりました。金融インフラストラクチャ事業における、ニッセイアセットマネジメント株式会社による個人向けファンドラップサービス「Goal Navi」のローンチ、フィンテックソリューション事業における、株式会社三菱UFJ銀行の「Money Canvas」システム構築支援プロジェクトの納品、ビッグデータ解析事業における、「Alterna Data」契約件数の大幅な伸長が当連結会計年度の売上高に特に大きく貢献しました。
(営業損失)
当連結会計年度において、売上原価は1,057,532千円、販売費及び一般管理費は2,209,170千円となりました。将来のビジネス拡大を見据え、引き続き人材採用、金融インフラストラクチャの機能拡充にかかる先行投資を行ってまいりました。
この結果、営業損失は542,605千円となりました。
(経常損失)
当連結会計年度において、営業外収益が1,697千円、営業外費用が48,011千円発生し、経常損失は588,919千円となりました。
(当期純損失)
当連結会計年度において、特別利益が26,624千円、特別損失が170,320千円発生し、法人税等合計は70,135千円となりました。
この結果、当期純損失は802,749千円、親会社株主に帰属する当期純損失669,944千円となりました。
2.財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載の通りであります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。 当社グループにおける主な資金需要は、人件費等の運転資金及び設備投資資金であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、運転資金は自己資金を基本としつつ、投資資金は自己資金並びに金融機関からの長期借入及びエクイティファイナンスによる外部からの資金調達についても資金需要の額や用途、当該タイミングにおける金利及び資本コストを比較した上で優先順位を検討して実施することを基本としております。
当社グループは、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、金融インフラストラクチャ事業のパートナー数を、目標とする経営指標として位置づけています。
第8期連結会計年度末時点のパートナー数は9件で、第7期連結会計年度末比+4件となっております。デジタルトランスフォーメーションの必要性が高まる中で、投資運用会社からの投資一任サービスのプラットフォーム導入や、少額短期保険会社及び損害保険会社からのオンライン販売用の基幹システムの導入に関する需要が旺盛となったことで、パートナー数が増加したものと分析しております。
金融インフラストラクチャ事業におけるパートナー数
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループは、これまでインフラストラクチャの安定稼働と業務プロセスの確立を優先し安定的な成長を続けておりました。今後は、様々なニーズに応えられるよう金融インフラストラクチャの機能拡充を図るとともに、大企業向けの事業開発チームを確立し、パートナー数の拡大に取り組んでまいります。
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