業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が引き続き存在している状況に加えて、地政学リスクの上昇により端を発した原材料価格の高騰、為替相場の円安進行等、先行きが不透明な状況となっております。

総務省「令和3年通信利用動向調査」(2022年5月公表)によると、2021年末時点でスマートフォンを保有する世帯の割合は88.6%(前年比1.8%増)と増加し続けております。インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2022」によると、2021年度の電子書籍市場(電子書籍+電子雑誌)規模は5,510億円と推計され、2020年度の4,821億円から689億円(14.3%)増加し、2026年度には8,000億円を超える市場に成長すると予測されています。また、2021年度のマンガアプリ広告収益市場規模は、前年と同額の260億円であるものの、2022年度は270億円に増加すると予測されており、アプリでマンガを楽しむユーザーは、引き続き増加傾向にあります。

一方で、厳しい競争環境と新型コロナウイルスの感染状況の改善に伴うユーザー行動の変化等が、1人当たり課金売上に影響を与えていると認識しております。また、個人情報保護強化による影響や世界経済の停滞及び国内のインフレによる広告市況の悪化等が、1日当たり広告収益の低下をもたらしております。

このような市場環境の中で、主力である「マンガBANG!」のフリーミアムモデルのコーナーにおいて、配信される作品の差別化を図るために、オリジナル作品の創出、出版社作品の先行配信を行うとともに、配信作品の拡充を図るために、株式会社KADOKAWA等の新規取引先との取引を開始しました。また、2022年6月まではユーザー数の増加を重視して広告宣伝費を投下して参りましたが、市場環境等を踏まえて、2022年7月以降は獲得効率を重視し、広告宣伝費を投下して参りました。

以上の結果、当事業年度における売上高は6,547,840千円(前年同期比12.8%減)、営業利益は116,573千円(前年同期比59.4%減)、経常利益は144,132千円(前年同期比50.4%減)、当期純利益は41,243千円(前年同期比77.7%減)となりました。

なお、当社はマンガアプリ事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。

 

(資産の部)

当事業年度末における総資産は2,864,191千円となり、前事業年度末に比べ155,989千円減少いたしました。これは主に、敷金及び保証金が71,277千円増加した一方、現金及び預金が167,898千円、未収還付法人税等が82,306千円減少したことによるものであります。

(負債の部)

当事業年度末における負債合計は822,882千円となり、前事業年度末に比べ147,598千円減少いたしました。これは主に、前受金が30,147千円、未払法人税等が23,204千円増加した一方、未払金が191,545千円減少したことによるものであります。

(純資産の部)

当事業年度末における純資産は2,041,309千円となり、前事業年度末に比べ8,390千円減少いたしました。これは主に、新株予約権が44,665千円、当期純利益の計上により利益剰余金が41,243千円増加した一方、自己株式の取得により103,299千円減少したことによるものであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ167,898千円減少し、1,731,646千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動の結果得られた資金は、57,328千円(前事業年度は224,132千円の収入)となりました。その主な要因は、未払金の減少191,545千円により資金が減少した一方、税引前当期純利益の計上94,132千円、売上債権の減少69,759千円、投資有価証券評価損の計上49,999千円、株式報酬費用の計上44,665千円により資金が増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動の結果使用した資金は、130,301千円(前事業年度は25,887千円の支出)となりました。その主な要因は、敷金及び保証金の差入による支出72,423千円、投資有価証券の取得による支出49,999千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動の結果使用した資金は、94,924千円(前事業年度は7,368千円の収入)となりました。その主な要因は、自己株式の取得による支出103,834千円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当社事業はマンガアプリ事業の単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

事業の名称

当事業年度

(自 2021年10月1日
   至 2022年9月30日)

前年同期比(%)

マンガアプリ事業(千円)

6,547,840

△12.8

合計(千円)

6,547,840

△12.8

 

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
なお、Apple Inc.及びGoogle Inc.に対する販売実績は、当社が同社等を介して行う課金サービスのユーザーに対する利用料の総額であります。

相手先

前事業年度
(自 2020年10月1日
   至 2021年9月30日)

当事業年度

(自 2021年10月1日
   至 2022年9月30日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

Apple Inc.

4,193,233

55.9

3,677,169

56.2

Google Inc.

972,540

13.0

744,005

11.4

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」及び以下に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に係る当事業年度の会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

(繰延税金資産)

当社は、繰延税金資産について、将来減算一時差異の解消時期をスケジューリングし、繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a. 経営成績
(売上高)

主力サービスである「マンガBANG!」において、厳しい競争環境が続くため、第4四半期より広告宣伝方針を獲得件数重視から効率重視に変更しましたが、売上高、MAU(月間アクティブユーザー)はある程度の高水準で維持しつつ、営業利益を確保することができました。

一方で、厳しい競争環境と新型コロナウイルス感染状況によるユーザーの行動変化や国内のインフレによる消費マインドの減退等により、課金ARPU(Average Revenue Per Userの略。1ユーザーあたりの平均課金売上金額)は不安定な状況が続き、低調に推移しました。また、世界経済の停滞、国内のインフレによる広告市況の悪化や、ATT(App Tracking Transparencyの略。iOS14.5で導入)導入によって広告収益単価が下落したことで、一日当たり広告収益の低下をもたらしました。

この結果、当事業年度の売上高は、6,547,840千円(前年同期比12.8%減)となりました。

(売上原価)

売上高が前年同期比において減少したことにより、売上原価も売上高同様、減少しました。

この結果、売上原価は4,202,376千円(前年同期比12.7%減)となりました。

(販売費及び一般管理費)

費用対効果を重視し、効果的な広告宣伝を実施した結果、広告宣伝費は1,778,456千円(前年同期比10.8%減)、ストック・オプションの付与による株式報酬費用は42,794千円(前年同期比12.3%減)及び人員の増加に伴う給料手当は126,169千円(前年同期比21.0%増)計上しております。なお、広告宣伝は、継続的に効果検証を実施し効率化を図っています。

この結果、販売費及び一般管理費合計は、2,228,890千円(前年同期比7.4%減)となりました。

(営業外損益)

営業外収益は、28,198千円となりました。これは主に、為替差益20,780千円によるものです。

営業外費用は、640千円となりました。これは主に、支払手数料535千円によるものです。

(特別損益)

 特別損失は、49,999千円となりました。これは、投資有価証券評価損49,999千円によるものです。

(法人税等)

法人税等(法人税等調整額を含む)は52,889千円(前年同期比49.9%減)となりました。

以上の結果、当事業年度の営業利益は116,573千円(前年同期比59.4%減)、経常利益は144,132千円(前年同期比50.4%減)、当期純利益は41,243千円(前年同期比77.7%減)となりました。

 

 b. 財政状態

当社の財政状態につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

当社キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社は、今後も更なる収益基盤の安定化及び持続的な成長を図るためには、収益源の多様化を実現する必要があると考えており、自社による新規事業の創出及び拡大のみならず、業務提携、M&A等の新たな事業・サービスへの提携・投資を積極的に取り組んでいく方針であります。当社の運転資金需要のうち主なものは、当社サービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費及びサービス開発に係る人員の採用費、人件費であります。投資を目的とした資金需要は、主にM&A等によるものであります。これらの資金需要は自己資金により充当することを基本的な方針としておりますが、多額なM&A等の戦略的投資については、必要に応じて金融機関からの借入を実施いたします。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社は、外部環境の変化に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保することにより経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因を分散、低減し、適切に対応を行って参ります。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社の主力サービスであるマンガアプリ「マンガBANG!」及びオリジナルマンガ制作の成長、拡大と新サービス、新規事業の創出に取り組んで参ります。

 

⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載されている様々な課題に対処し、ユーザーにより良いサービスを継続的に提供していくことが必要であると認識しております。そのため、経営者は、現在の経営環境並びに入手可能な外部環境の変化に関する情報に基づき、迅速かつ最善な経営戦略の立案、経営課題に対する施策の実施に努めております。

 

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