文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、
「私達は 人々の健康に貢献します」
「私達は こころの笑顔を大切にします」
を理念に掲げております。そして、企業活動を通じて理念を実現するために、私達の誓い「T-SMILE」を掲げております。
私達の誓い「T-SMILE」
・Truthful:
誠実で、正直であり続けます。公正な心を持って適正を貫き、人々から喜ばれ、信頼される存在になります。
・Speed:
意思決定、実行、情報共有などを迅速に行います。先見性を持って、変化に俊敏に対応します。
・Mission:
世界中で地域社会の人々の健康に役立つという強い使命感と、その実現への情熱を持ち続けます。
・Idea:
発想力と想像力を駆使して、前例にとらわれない変革にチャレンジします。常に能動的に行動します。
・Linkage:
人や情報と幅広く結びつき、協力します。認め合える相手と切磋琢磨し、お互いを高めます。
・Excellence:
最善の品質を求め、サイエンスを大切にしながら、時代にあった最適の技術でそれをかなえます。
当社は、優れた製品とサービスを創造することによって、人々の健康に貢献します。そして私達の企業活動を通して、患者さんとその家族、医療関係者の皆様、地域社会をはじめとするすべての方々にこころから喜ばれ、求められる企業を目指していきます。ジェネリック医薬品事業をコア事業として、新たな健康関連事業へ展開していきます。
(2) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の普及によって経済活動正常化の動きも見られましたが、感染力の強い変異型ウイルスの影響により新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況です。欧米においては、経済活動の制限が段階的に緩和され、景気の回復傾向は維持されているものの、新変異株の新規感染者数が増大傾向にあることから、依然として先行き不透明な状況が続くと想定されます。また、ウクライナ情勢の緊迫化に伴い、エネルギー価格や原材料価格の高騰による経済活動への影響も懸念されております。
国内ジェネリック医薬品業界では、2017年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017」において、「2020年9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する。」ことが決まり、これを受けて2018年4月の診療報酬改定以降、各種施策が講じられました。さらに2020年4月の診療報酬改定においても、引き続き「後発医薬品やバイオ後続品の使用促進」策が決まり、ジェネリック医薬品の普及が進んだ結果、2021年12月の数量シェアは79.3%(2021年10-12月期 日本ジェネリック製薬協会調べ)となりました。また、2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」では、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保、新目標についての検証、保険者の適正化の取組にも資する医療機関等の別の使用割合を含む実施状況の見える化を早期に実施し、バイオシミラーの医療費適正化効果を踏まえた目標設定の検討、新目標との関係を踏まえた後発医薬品調剤体制加算等の見直しの検討、フォーミュラリの活用等、更なる使用促進を図る。」との言及がありました。
一方、2019年10月と2020年4月に薬価改定が実施され、また、2020年7月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020」を踏まえ、2021年4月にも薬価改定が行われました。このように、2021年度以降は2年に1度の通常の薬価改定に加え、中間年における薬価改定の実施により毎年薬価改定を行うという方針が決定しているため、今後、医薬品業界にとって極めて厳しい状況が続くことが想定されます。
また、昨今の医薬品における品質や安定供給に関する各種問題によりジェネリック医薬品に対する信頼感は低下し、ジェネリック医薬品業界の置かれた環境は厳しさを増しております。
このような状況のもと、当社は信頼性のさらなる向上を行いつつ、当社グループの役員と社員が共通認識を持って、いつの時代でも、どの地域でも、その地域に住んでいる人々に必要とされる会社、必要とされる製品・サービスを提供することができる会社であることを目指します。
当社は、コア事業としての国内外のジェネリック医薬品事業においてこれまで以上に信頼される企業になるための取り組みとして、安定供給体制や品質保証体制の強化・幅広い品揃え・製品総合力No.1の製品づくり等によりジェネリック医薬品事業の進化に尽力します。また、これまでに培った知見や技術の活用だけでなく、新たな技術の獲得やまったく新しい知見や技術との融合を図り、技術イノベーションと製品価値の創出を行うことを通して、健康関連事業においても貢献し必要とされる企業となるために尽力していきます。
そのために、当社は以下の5つの方針に沿って、各課題に取り組んでまいります。
方針1 コア事業としてのジェネリック医薬品事業の進化
「ジェネリック医薬品への信頼を取り戻すための、品質確保・安定確保の徹底と適切な情報発信」「総合ジェネリック医薬品メーカーとして、より信頼され、必要とされる存在となる」ことを課題として認識し、当社がこれまでに注力してきた取り組みである安定供給体制の向上のための「原薬調達」「生産能力向上」「販売体制の最適化」を継続していくことに加え、品質保証体制の強化・幅広い品揃え・製品総合力No.1の製品づくりに取り組みます。特に、昨今では医薬品における品質や安定供給に関する問題が起こる中で、ジェネリック医薬品メーカーとしての安定供給責任を果たすために、また今後のシェア拡大に対応すべく山形工場への設備投資を決定しました。加えて2021年9月27日に関西地区に新たな物流拠点として「関西出荷センター」を開設しました。サプライチェーンマネジメントの視点を重視し、リスクに応じた取り組みを通して安定供給体制の維持・強化を図ってまいります。加えて患者にとって、常に最適な製品を届けたいという思いから、オーソライズド・ジェネリックとして『エルデカルシトールカプセル0.5μg/0.75μg「トーワ」』を2021年12月10日に発売いたしました。
方針2 海外市場での拡大と成長
「世界中の人々の健康に貢献するため、高品質で付加価値のあるジェネリック医薬品を届ける」ことを課題として認識し、Towa Pharma International Holdings, S.L.(以下、「Towa HD」という。)を中心として「欧州・米国での新製品投入を通じた事業の持続的成長」「海外の顕在的及び潜在的ニーズにも応える東和品質の製品開発とその展開」「未進出地域への事業拡大に向けた市場探索」等に取り組むことで、Towa HDを中心として海外市場における国や地域を拡大させつつ、事業規模を成長させていきます。
当社の国内で評価された製品を海外市場へ提供していくことを目指し、海外の国や地域において当社の付加価値製剤に対する潜在的ニーズを探索しつつ、新規市場への進出に向けた調査活動を行っています。海外での販売に関しては、市場性やリスクを考慮しながら現地企業との提携や協力関係の構築等に取り組んでいます。Towa HDを中心に据えつつ、日米欧3極から世界中の患者に高品質で付加価値のあるジェネリック医薬品を提供できるグローバル事業基盤を確立していきます。
方針3 新たな健康関連事業への展開
「健康長寿社会に対応した医療・介護の実現や、医療から未病のケア・予防へシフトする社会に貢献する」ことを課題として認識し、当社の「人々の健康に貢献する」という理念に沿って、当社は新たな技術の獲得及びまったく新しい知見や技術との融合を図りつつ、新しい医療体制に対応した健康に関連する新規事業の創出に取り組みます。
当連結会計年度は2022年3月7日に三生医薬株式会社(以下、「三生医薬」という。)の全株式の取得を完了し、同社を完全子会社化しました。三生医薬が当社グループに加わることで、三生医薬が培ってきた高い技術力や広範な顧客基盤、健康食品関連のノウハウを活用でき、これにより、当社の目指す健康関連事業の多角的な展開が実現され、当社のさらなる企業価値向上につながると考えております。
方針4 技術イノベーションと製品価値の創出
「常に最高の東和品質の製品を提供し、持続的に成長することで社会に貢献する」ことを課題として認識し、これまでも取り組んできた「原薬技術」「製剤化技術」「生産技術」における技術イノベーションの創出に継続して取り組んでいきます。また、既存薬の新たな薬効を発見し、別の治療薬として開発する「ドラッグ・リポジショニング」等のように新たな製品価値の創出にも取り組んでいきます。
方針5 働きがいのある環境づくりと人財育成
「社員一人ひとりにとって働きがいのある会社として、会社と社員が共に成長することで、永続的に存続する企業であり続ける」ことを課題として認識し、個人の成長やキャリアの充実により、社員一人ひとりにとって、働きがいのある会社であり続けることに取り組み、製品づくりへのこだわりや思いが社員に伝承されることで、東和薬品らしさが存続することを目指します。また、社員が成長することで会社の企業基盤が強化され、変化に対応した成長が可能となるように取り組んでいきます。
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