本項目における計画、戦略、見通し及び方針等の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は創業以来、体外診断用医薬品の製造販売会社として「医療への貢献を目指し、医療現場へのサービス向上と充実を目指した経営」に取り組んでまいりました。
世界中を巻き込んだコロナ禍を経て、臨床検査薬業界全体も新たな動きが始まりましたが、当社でも2022年4月に五代目になる社長が誕生し、経営の若返りと共に幅を広げるための体制を築きました。そして従前の技術から選別したものをAI技術と組み合わせる事などで、差別化や個別化の可能性を念頭に研究開発を継続し、医療現場のニーズに応えるべく独創的且つ高品質な製品供給を継続してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は収益面での経営指数を重視しておりますので、売上高を伸ばしながら、かつ継続的な原価低減に努め、営業利益率、経常利益率を高めることで高収益企業として成長し続けてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略、会社の対処すべき課題
(中長期的な会社の経営戦略)
医療業界では、少子高齢化の進行や人口減少に伴う労働力の減少に加え、医療費抑制に向け医療制度等の改革が求められ各医療機関では厳しい経営環境が続いてきました。臨床検査薬業界におきましても、国内検査各分野とも成熟・飽和に達し、市場全体ではほぼ横ばいで推移しています。その中で世界的感染拡大が続く新型コロナウイルス及びその変異株の検査をはじめ、臨床検査の役割と社会貢献は変わりません。
当社は、医療業界の中の体外診断用医薬品製造販売会社として、臨床検査試薬・機器の開発から製造・販売まで一括した業務形態で担っています。臨床検査が占める役割と価値を認識し、医療現場のニーズと市場動向を分析し、独創的な製品開発を実施し、世の中に提供し続けます。生活習慣病等の予防医学領域における早期診断や治療に役立つ臨床検査試薬が希求される中、当社は既存の臨床検査試薬・機器事業の拡充と共に、ユニークな診断薬の開発・製造販売を目指します。また、国内外に事業展開する提携企業各社との協業強化による製品開発及び供給を通じて事業拡大につなげてまいります。
(会社の対処すべき課題)
国内市場が飽和しつつある厳しい環境の下でシェアを獲得するには、生活習慣病の予防医学領域等早期診断や治療に役立つ優れた製品の拡充が必須であります。
新型コロナウイルス感染症拡大による当社経営成績への影響は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①経営成績の状況」に記載のとおり、当事業年度では殆ど認められませんでした。ワクチン接種が進む一方で、新たな変異ウイルスによる感染拡大もあり、依然医療機関への訪問規制や通常検体検査数の減少等が認められましたが、その影響は軽微と予想しています。感染が終息していない現状において、今後も当社経営成績への影響については継続して慎重に見極め、検査薬企業として感染症対策の一翼を担うべく、医療機関に貢献する製品の提供を継続してまいります。
研究開発活動面では、生化学・免疫検査試薬の更なる性能・操作性改良に努め、遺伝子治療等の先端的医療に貢献する検査試薬や、NASBA法等の遺伝子増幅技術を駆使した遺伝子検査試薬の開発などを推進してまいります。
生産活動面におきましては、QSR(米国品質システム規制)に準拠したQMS(国内品質基準)の下、高品質で安定した製造体制を維持し、継続した生産効率改善及び原価低減に努めてまいります。
営業・学術活動面におきましては、コロナ禍で新たに培われたオンライン手法等を活用し、生化学・免疫・輸血検査製品の拡販に注力してまいります。
今後も、総合的に投資効率を高め、各種法令を遵守するとともに、内部統制システムとコンプライアンス体制の強化に努め、収益力の安定と拡大を目標に市場の動向や顧客ニーズを的確に捉えた事業展開を行い、当社の企業活動に関するステークホルダーへの利益還元と継続的な信頼関係を構築し、企業の社会的責任を果たしてまいります。
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