業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスワクチン接種の進展による行動制限の緩和に伴い、持ち直しの動きが見られましたが、変異型ウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞、半導体不足による自動車生産台数の減産、原材料価格の高騰などもあり、先行き不透明な状況で推移いたしました。

 海外経済におきましても、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴うロックダウンやサプライチェーンの混乱、ウクライナ情勢に端を発する地政学的リスクの高まりなど、先行き不透明な状況が今後も続いていくものと思われます。

このような環境の下、当連結会計年度の売上高は482億14百万円(前年同期比2.6%減)となり、営業利益は12億29百万円(同24.1%減)、経常利益は14億49百万円(同23.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億41百万円(同39.3%減)となりました。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ10億32百万円(前連結会計年度末比1.9%)減少し、527億63百万円となりました。

・流動資産

受取手形及び売掛金の減少などの結果、前連結会計年度末と比べ16億7百万円(同4.9%)減少し、312億50百万円となりました。

・固定資産

有形固定資産の取得による増加及び投資有価証券の増加などの結果、前連結会計年度末と比べ5億75百万円(同2.7%)増加し、215億13百万円となりました。

・流動負債

支払手形及び買掛金の減少などの結果、前連結会計年度末と比べ26億76百万円(同19.4%)減少し、111億7百万円となりました。

・固定負債

退職給付に係る負債の減少などの結果、前連結会計年度末と比べ3億71百万円(同10.6%)減少し、31億37百万円となりました。

・純資産

為替換算調整勘定及び利益剰余金の増加などの結果、前連結会計年度末と比べ20億15百万円(同5.5%)増加し、385億20百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の63.0%から67.8%へと4.8ポイント増加となり、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末より60円27銭増加し、1,124円39銭となりました。

 

② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

・売上高

当連結会計年度における売上高は、自動車生産台数の回復により国内での需要が堅調に推移して始まったものの、下期は世界的な半導体不足や物流網の混乱により需要が伸び悩みました。また、合成樹脂事業においては液晶テレビ用途向け製品の原料販売が終了し前年を大きく下回る結果となりました。

このような環境の下、売上高は前年同期比12億84百万円(前年同期比2.6%)減少し、482億14百万円となりました。

・営業利益

営業利益は前年同期比3億90百万円(同24.1%)減少し、12億29百万円となりました。主な減少要因は、コーティング事業における収益性の低下や合成樹脂事業の売上高が減少し収益を押し下げたことによるものです。

・営業外損益

営業外収益は前年同期比66百万円(同17.2%)増加し、4億48百万円となりました。これは主に当期に投資有価証券売却益があったことや持分法による投資利益が増加したことによるものです。

営業外費用は前年同期比1億24百万円(同118.4%)増加し、2億28百万円となりました。これは主に当期に貸倒引当金繰入額があったことによるものです。

・経常利益

上記の結果、経常利益は前年同期比4億48百万円(同23.6%)減少し、14億49百万円となりました。

・親会社株主に帰属する当期純利益

上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比4億79百万円(同39.3%)減少し、7億41百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

・コーティング

 プラスチック用コーティング材(『レクラック』・『フジハード』など)を取扱うコーティング部門におきましては、上期は自動車生産台数の回復等により、主力の自動車向け塗料の需要が堅調に推移いたしましたが、下期に入り、世界的な半導体不足やサプライチェーンの混乱等により自動車生産台数が減少したことにより、需要が急激に悪化いたしました。非自動車分野におきましては、ホビー用塗料の需要は堅調なものの、世界的な物流網の混乱による出荷制限等もあり、販売が低調に推移いたしました。原材料価格高騰の影響を最も受けたセグメントとなりました。

 この結果、売上高は220億30百万円(同17.5%増)となり、営業利益は3億19百万円(同45.0%減)となりました。

・塗料

 建築用塗料を取扱う塗料部門におきましては、一部のユーザーがウッドショックによる木材価格の高騰等を受けて木質系住宅の受注を制限したこと等もあり新築住宅用塗料の販売は前年比で微増となりました。リフォーム用塗料におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によりリフォーム工事件数が減少したこともあり当初計画と比べ需要が低調に推移したものの、前年比では増加の結果となりました。

 この結果、売上高は124億70百万円(同6.8%増)となり、営業利益は7億28百万円(同32.1%増)となりました。

・電子材料

 導電性ペースト材(『ドータイト』)などを取扱う電子材料部門におきましては、スマートフォン向け及びIOT家電向け製品の需要が好調に推移いたしました。一方、パソコン向け製品の需要が低調に推移いたしました。また、車載用製品におきましては半導体不足による生産調整の影響等もあり低調に推移いたしました。

 この結果、売上高は38億54百万円(同4.3%増)となり、営業利益は1億20百万円(同32.2%減)となりました。

・化成品

 『アクリベース』の商品名で販売する機能材料やトナー用レジン、メディカル材料などを取扱う化成品部門におきましては、コピー機やプリンターメーカーがトナーの在庫を積み増す動きもあり、トナー用レジンの需要が堅調に推移いたしました。また、壁紙等に使用されている粘着剤も堅調に推移いたしました。メディカル材料分野におきましては、主力製品の一つであったRI試薬が販売終了となり、売上高は前年を下回りました。

 この結果、売上高は40億52百万円(同18.3%増)となり、営業利益は1億68百万円(同6.3%増)となりました。

・合成樹脂

 子会社藤光樹脂株式会社などが取扱うアクリル樹脂の原材料・加工品の販売におきましては、液晶テレビ用途向け製品の原料販売が終了したことにより、売上高が前年を大きく下回りました。また、飛沫防止関連製品の需要は一定数あったものの低調に推移いたしました。カーエレクトロニクス分野向け製品の売上は微増となりました。

 この結果、売上高は59億3百万円(同50.9%減)となり、営業損失は1億5百万円(前連結会計年度は営業利益1億54百万円)となりました。

 

その他生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。

・生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

コーティング(百万円)

20,178

124.0

塗料(百万円)

4,574

104.5

電子材料(百万円)

3,206

101.9

化成品(百万円)

3,643

117.9

合計(百万円)

31,602

117.5

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

・商品仕入実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

合成樹脂(百万円)

5,967

52.9

合計(百万円)

5,967

52.9

 

・受注実績

 当社グループは、主として見込生産によっていますので、受注ならびに受注残高について特に記載すべき事項はありません。

 

・販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

コーティング(百万円)

22,030

117.5

塗料(百万円)

12,470

106.8

電子材料(百万円)

3,854

104.3

化成品(百万円)

4,052

118.3

合成樹脂(百万円)

5,808

48.6

合計(百万円)

48,214

97.4

 (注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ11億93百万円増加し、129億75百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

・営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払が5億18百万円であったものの、税金等調整前当期純利益14億49百万円や減価償却費14億80百万円などにより、25億83百万円の収入(前連結会計年度は15億94百万円の収入)となりました。

・投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出12億62百万円、無形固定資産の取得による支出48百万円などにより、8億12百万円の支出(前連結会計年度は10億75百万円の支出)となりました。

・財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金により5億9百万円の支出、短期借入金の減少により2億円の支出などがあったため、9億23百万円の支出(前連結会計年度は3億82百万円の支出)となりました。

 

当社グループの運転資金需要のうち主なものは石化原料及び鉱物資源材の購入の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費であり、投資を目的とした資金需要は設備投資と関連する設備維持費用等によるものであります。

当社グループは投機的な取引は行わず、事業運営上必要な流動性と資金の財源を安定的に確保することを基本方針としており、一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用し、短期的な運転資金を銀行借入により調達しております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は31億82百万円となっております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は決算日に計上すべき資産・負債及び収益・費用の額に不確実性がある場合において、入手可能な情報に基づいて合理的な金額を見積る必要があります。見積りは過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っており、前提条件や事業環境等に変化が見られた場合には見積りと将来の実績に乖離が生じることもあります。

当社グループの財政状態及び経営成績に対して、重要な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。

なお、新型コロナウイルス感染症が見積りに及ぼす影響については、依然として収束の見通しはたっていないものの、当社グループの事業活動及び業績への影響は限定的であることから、本連結財務諸表における重要な会計上の判断及び見積りの変更は見込んでおりません。

・固定資産の減損

当社グループでは、固定資産の減損に係る会計基準等に従って減損の兆候判定を行い、兆候があると判断した場合には、将来キャッシュ・フロー等を算定し減損損失の認識・測定を行っています。経営環境や事業の状況の著しい変化等により収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、対象資産に対する減損損失の計上により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

・繰延税金資産

当社グループは現在、一定期間における回収可能性に基づき相当額の繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計上は、予測される将来における課税所得の達成の可否により影響を受けます。将来の課税所得の見積りにあたっては、過去の業績やタックス・プランニング等も考慮しており、将来の収益性に係る判断は市場の動向その他の要因により影響を受けます。これらの状況に変化があった場合、繰延税金資産計上額に対して金額的に重要な評価性引当額を計上する可能性があります。繰延税金資産の回収可能性を見込めない場合には、回収不能と見込まれる金額に対して評価性引当額が計上され、損益に悪影響を与える可能性があります。

・退職給付債務及び退職給付費用

当社グループ従業員の退職給付債務及び退職給付費用は割引率、退職率及び死亡率等、年金数理計算上の基礎率に基づいて算定しております。数理計算上の算定には、割引率や利息の純額等の変数についての一定の仮定に基づく判断が求められますが、その適切性については外部の年金数理人からの助言を得ております。

数理計算上の算定は経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の達成・進捗状況について

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社グループは、資産効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本当期純利益率(ROE)」及び「総資産事業利益率(ROA)」を重要な指標として位置付けております。

当連結会計年度における「自己資本当期純利益率(ROE)」は2.1%、「総資産事業利益率(ROA)」は2.5%でした。引き続きこれらの指標について、目標値を超えるよう取り組んでまいります。

 

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