課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」をビジネステーマに、「人々の暮らしを快適にする情報文化の創造」を存在意義と定めており、技術力、情報力を駆使し、「競争力と独自性を有した世界三大インキメーカーになること」を目標としております。また、新規市場の開拓や既存の事業分野を越えた新規事業の創出など“新たな挑戦”と社内改革の実現を積極的に推進してまいります。さらに、当社グループは世界全体の共通アジェンダとなった“SDGs”にうたわれている、地球環境をはじめとした様々な課題にも取り組み、サステナブルな社会の実現に貢献していきながら、ESG経営を実践してまいります。

 

(2)事業環境認識

近年の当社グループを取り巻く事業環境の主な変化について、次の通り認識しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、オミクロン株が世界的にまん延し現在ピークを迎えている状況にありますが、今後も世界的に一定のコロナの影響は続くと考えております。国内においては少子高齢化の加速による労働力の確保、国内市場の縮小、経済成長の遅れが懸念されます。また、デジタル化がさらに加速し、紙媒体向けの製品(主に印刷情報関連の印刷インキ)の需要が先進国において減少していくことが見込まれるものの、主力のパッケージ関連の印刷インキは、食品、飲料及び衛生用品などの生活必需品の供給を支える事業という観点から、環境配慮型製品をはじめとして需要は中長期的に増加していくものと予想されます。

 

*少子高齢化の進行など人口動態の変化

・労働力人口の減少

・国内市場の縮小

・経済成長の遅れ

 

*国内・海外での市場・競争環境変化

・紙離れによるインキ需要の低迷

・新興国市場における競争の激化

・脱プラスチック等環境対応ニーズの変化と高まり

 

*デジタル化によるバリューチェーンの変化

・デジタル媒体の大幅な増加

・印刷の多様化・カスタマイズ化

 

*環境制約・社会課題への対応

・長期的なサステナビリティ配慮、SDGsに向けた取り組みの重要性の高まり

・資源制約・原料価格高騰リスクの高まり

・ESG投資の影響力増大

 

(3)中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、2021年に長期ビジョンとそれに基づく中期経営計画を策定いたしました。

 

当社は、1896年の創業から今年で126年を迎え、これまで着実に成長してまいりました。一方で、近年はデジタルメディアの急激な普及や気候変動をはじめとした環境対策の必要性がより一層高まるなど、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しており、今後さらに非連続的な変化が起こりうる状況にあります。

 

このような事業環境の変化の中で、当社グループが社会から求められる企業として持続的に成長していくためには、柔軟性を持ち、長期的な視点に立って、将来のあるべき姿と、そこに至る道筋や施策を策定し、常にグループ全体でそれらを共有・推進していくことが重要であります。サステナブルな社会の実現に貢献するため、様々な社会課題の解決に向けた一翼を担いつつ、当社グループのさらなる発展を果たしてまいります。

 

長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』の概要

1.企業理念

ビジネステーマ 『ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造』

存在意義    『人々の暮らしを快適にする情報文化の創造』

 

2.ビジョン

Create and Innovate, Care for the Earth, Color for Life”

~あなたと、つくる、価値ある、あした~

新たな領域への挑戦によって“イノベーション”を生み出し、“地球”にやさしい技術で、“人生”を快適かつ豊かに彩り、世界中に笑顔があふれる未来を創る企業

 

3.戦略の方向性

*地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化

・地球環境と人々の豊かで健康的な生活の向上に貢献し、世界が目指すサステナブルな社会の一翼を担う

・当社マテリアリティに対する各取組方針の実施を通じて、持続可能な社会の実現に貢献

 

*印刷インキ、機能性材料事業の拡大

・主力のパッケージ印刷分野を中心に、より一層の環境経営を推進(印刷インキ)

・社会トレンドを捉えた高付加価値製品をグローバルに展開(機能性材料)

 

*新しい事業領域への挑戦

・4つの注力分野

『環境/バイオケミカル』、『エナジーケミカル』、

『エレクトロニクスケミカル』、『オプトケミカル』

 

4.変革プロジェクト

*グローバル連結経営のさらなる強化

*ステークホルダーとの関係強化

*人材育成の強化・組織風土の改革

 

5.ESG・サステナビリティへの取り組み

重要課題(マテリアリティ)と目指す社会

 

持続可能な地球環境を

持続するための活動

>>>

地球環境を保護し、人々に安全と健康を

 

 

 

安心・安全な製品の供給

 

>>>

快適さ、利便性とともに、循環型社会の実現を

 

 

 

研究開発・技術力の強化

 

>>>

豊かな生活、新しいライフスタイルの創造を

コーポレートガバナンス、

コンプライアンスの強化

>>>

ステークホルダーとの良好な信頼関係を

 

 

 

人権の尊重、

ダイバーシティの推進

>>>

人権、人格、多様性を尊重し、働きやすい労働環境を

 

 

 

『中期経営計画2023(CCC-I )』の概要及び進捗

当社グループの長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』をバックキャスティングし、基盤構築に取り組む最初の3年間として『中期経営計画2023(CCC-I)』(以下、中計)を策定し、1年が経過いたしました。

中計最終期である2023年12月期では、売上高1,950億円、営業利益115億円、経常利益130億円、親会社株主に帰属する当期純利益90億円、ROE10%以上の達成を目標としております。

既存事業においては、グループ全体で環境への配慮を軸としたサステナブルな製品の積極展開を図り、また、各種展示会を通じて、パッケージの未来に向けた様々な提案活動も行っております。

また、戦略的な投資により新規市場への参入も目指す中で、サステナブルマテリアル展に出展し、大気中のCO2回収に取り組むCRRA(一般社団法人炭素回収技術研究機構)との共同研究を紹介いたしました。

さらに2030年のビジョン達成のための変革プロジェクトにおいては、事業活動を通じた社会課題の解決と持続可能な社会の構築の取り組みの一環として「ESG経営支援私募債」を発行いたしました。また、グローバルな事業成長を牽引する人材を育成するための新たな研修制度を制定いたしました。

 

(※)CCC-I :

今中計を長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』の「第一期・フェーズI」とし、長期ビジョンのキャッチフレーズ「 C reate and Innovate, C are for the Earth, C olor for Life」の頭文字からCCC-Iと表記しました。

 

(4)ESG・サステナビリティへの取り組み

当社グループは、長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』における戦略の方向性として、「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」を掲げております。2030年のSDGsの目標達成に向け、取り組むべき5つの重要課題(マテリアリティ)を定め、事業活動を通じた社会課題の解決に取り組んでおります。

 

環境においては、「地球環境を保護し、人々に安全と健康を」を目指す社会とし、温室効果ガス削減に取り組んでおります。2021年には、2030年の当社の日本国内における温室効果ガス(scope1, 2)削減目標を従来目標の2013年度比30%削減から50%削減に引き上げ、ボタニカルインキシリーズをはじめとした環境配慮型製品比率の向上や生産活動における環境負荷の低減を進めてまいりました。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同をいたしました。気候変動問題をはじめとする社会課題の解決に向けて、温室効果ガス削減に向けた取り組みをよりー層充実させていくとともに、TCFDが提言する開示フレームワーク(気候関連のリスク及び機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った情報開示を積極的に進めてまいります。

 

社会においては、「人権、人格、多様性を尊重し、働きやすい労働環境を」を目指す社会とし、国内女性管理職比率15%以上、育児休業取得率100%を2030年の目標に掲げ、様々な取り組みを進めております。ワークライフバランスの推進として、テレワークを導入するなど多様な勤務制度を設け、健康経営を推進し健康経営優良法人2021に認定されるなど働きやすい労働環境の構築を進めてまいりました。また、女性の活躍促進に向け、2022年卒採用にて新卒女性採用比率30%以上を達成いたしました。さらには、人権の尊重として、国連グローバル・コンパクト(UNGC)への署名とグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)への加入もいたしました。これまでサステナビリティ基本方針や倫理行動基準などで記載していた人権に関する内容を、人権方針として明確化いたしました。グローバルに展開する当社グループが、持続的なビジネスを発展させるには、社員そしてサプライチェーンにおける人権尊重は最も重要な要件の一つであります。調達基本方針の制定と合わせ、人権を尊重する責任を果たし、リーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現してまいります。

 

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