(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度における我が国の経済は、人手不足に対応した省力化投資に加え、都市開発や自動車の電動化関連を中心とした設備投資が引き続き底堅い動きを見せるなど、緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、米中貿易摩擦の長期化をはじめ、政治経済の不確実性が継続する中、新型コロナウイルス感染症の蔓延が世界的な脅威として台頭し、需要喪失とサプライチェーンの停滞、金融市場の混乱などが生じた結果、景気の先行き不透明感が急速に増大してまいりました。
このような状況のもと、当社は、独自のソリューションで主に日本の代表的な基幹産業の自動車・重工業・精密機器や電気機器等の設計の礎となるCAD設計から、アプリケーションソフト開発、カスタマイジング、保守運用に至るまで総合エンジニアリングサービスで多様化するお客様のニーズにお応えする事業を推進しております。
当社は、2019年4月1日付で連結子会社であるアンドールシステムズ株式会社を吸収合併したことにより、第1四半期決算において、抱合せ株式消滅差益287,122千円を計上するとともに、当事業年度から非連結での業績開示を行う運びとなりました。また、当事業年度期首より、退職給付債務の算定方法を簡便法から原則法へ変更したことにより、第1四半期決算において、退職給付費用(退職給付債務の計算方法変更による差額費用)として117,031千円を売上原価に、25,126千円を販売費及び一般管理費にそれぞれ計上いたしました。
以上の結果、当事業年度の業績は、売上高は2,890,657千円、営業利益は162,557千円、経常利益は170,493千円、当期純利益は387,072千円となりました。
※参考:2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、売上高3.9%増、営業利益49.0%減、経常利益47.6%減、
当期純利益90.4%増となります。
(当事業年度より、連結財務諸表を作成していないため、前年同期との比較分析は行っておりません。)
セグメントごとの業績は下記のようになっております。
Ⅰ エンジニアリング事業
業務系・制御系・LSI設計・回路設計・機械設計等の豊富な経験を持つ技術者が、ソフトウェア開発からアウトソーシング・技術者派遣まで、多方面にわたる設計サービス分野において、総合エンジニアリングサービスを行っております。
技術者工数の確保により売上高は堅調な推移となったものの、退職給付債務の算定方法変更に伴う人件費増加等の影響により、この事業の売上高は2,167,891千円となり、経常利益は81,838千円となりました。
※参考:2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、売上高2.3%増、経常利益62.6%減となります。
(当事業年度より、連結財務諸表を作成していないため、前年同期との比較分析は行っておりません。)
Ⅱ プロダクツ事業
自社の開発商品であるソフトウェア、附帯するハードウェア機器を販売し、導入・保守・運用・受託開発を行っております。
パッケージソフト開発・販売としては、2次元CADソフト「CADSUPER」ならびに「CADSUPER Lite」、3次元CADシステム「CADSUPER Works」、2.5次元CAMソフト「CAMCORE EX」等のCAD/CAM関連製品を主力製品として取り扱っております。
システム商品販売としては、自社開発製品をベースに他社との協業でのトータルソリューション製品を販売し、お客様のニーズに適合するシステムを提供することによりお客様指向、問題解決指向型の提案営業を行っております。
導入運用サービスとしては、自社製品販売に伴う導入・保守・運用・サポート収入が主体であります。
受託開発としては、自社CADソフトのカスタマイジングを始め、当社の3D技術を活かしたソフトウェア開発を行っております。
消費税増税に伴う駆け込み需要や、設備投資需要の高まりを受け、主に製造業へのCADソフト販売が好調であり、自社製品売上高が伸長したものの、退職給付債務の算定方法変更に伴う人件費増加等の影響により、この事業の売上高は700,766千円となり、経常利益は80,975千円となりました。
※参考:2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、売上高9.5%増、経常利益14.3%減となります。
(当事業年度より、連結財務諸表を作成していないため、前年同期との比較分析は行っておりません。)
Ⅲ 不動産事業
不動産の賃貸料を売上高に計上しております。
不動産稼働率の減少により、この事業の売上高は21,999千円となり、経常利益は7,680千円となりました。
※参考:2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、売上高6.3%減、経常利益35.2%減となります。
(当事業年度より、連結財務諸表を作成していないため、前年同期との比較分析は行っておりません。)
② 財政状態の状況
当事業年度末の総資産は、建物(純額)の減少(22,822千円から7,573千円へ)15,249千円、土地の減少(28,400千円から0円へ)28,400千円、投資有価証券の減少(221,544千円から138,822千円へ)82,721千円等があったものの、現金及び預金の増加(1,241,236千円から2,034,968千円へ)793,731千円、受取手形及び売掛金の増加(376,534千円から389,689千円へ)13,155千円、ソフトウェア仮勘定の増加(3,041千円から15,395千円へ)12,353千円、繰延税金資産の増加(78,659千円から165,112千円へ)86,452千円等により、前事業年度末に比べ688,969千円増加の2,980,111千円となりました。
負債は、買掛金の減少(68,528千円から52,266千円へ)16,262千円、未払金の減少(41,841千円から21,933千円へ)19,908千円等があったものの、未払法人税等の増加(48,601千円から74,017千円へ)25,416千円、未払消費税等の増加(27,628千円から58,432千円へ)30,804千円、賞与引当金の増加(60,190千円から95,045千円へ)34,854千円、前受金の増加(117,610千円から140,079千円へ)22,469千円、退職給付引当金の増加(166,069千円から399,014千円へ)232,944千円等により、前事業年度末に比べ330,503千円増加の910,485千円となりました。
純資産は、配当金の総額15,533千円等があったものの、当期純利益の計上387,072千円により、前事業年度末に比べ358,465千円増加の2,069,625千円となり、自己資本比率は69.4%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、2,034,968千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次の通りであります。なお、資金には連結子会社の合併による現金及び現金同等物の増加182,672千円を含んでおります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当社は、安定した収益確保をベースに、売上債権および棚卸資産の圧縮を行うことを、営業キャッシュ・フロー改善の基本施策としております。当事業年度においては、上記施策に則った経営を行い、手許資金の増加に努めました。その結果、当事業年度において、営業活動によって得られた資金は、339,575千円となりました。
これはたな卸資産の増加13,057千円、仕入債務の減少11,804千円等の減少要因があったものの、税引前当期純利益449,457千円の計上、売上債権の減少37,943千円等の増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により得られた資金は、286,922千円となりました。
これは無形固定資産の取得による支出72,473千円等の減少要因があったものの、有形固定資産の売却による収入285,462千円、投資有価証券の売却による収入74,952千円等の増加要因によるものであります。
当事業年度においては、プロダクツ事業の自社製品開発に係る投資支出が伸長した一方で、不動産事業に係る事業用資産の売却および保有投資有価証券の売却を行ったため、投資活動によるキャッシュ・フローが増加いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、15,437千円となりました。
これは配当金の支払い15,437千円によるものであります。
なお、当社は、前連結会計年度まで連結キャッシュ・フロー計算書を作成しておりましたが、当事業年度からキャッシュ・フロー計算書を作成しているため、前年同期との比較分析は行っておりません。
④生産、受注及び販売の実績
当事業年度の生産実績は、次のとおりであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 当事業年度より、連結財務諸表を作成していないため、前年同期比は記載しておりません。
当事業年度の受注実績は、次のとおりであります。
(注)1 金額は販売金額で表示しており、消費税等は含まれておりません。
2 受託開発に係る受注高および受注残高についてのみ記載しております。
3 当事業年度より、連結財務諸表を作成していないため、前年同期比は記載しておりません。
(注)1 金額は販売金額で表示しており、消費税等は含まれておりません。
2 当事業年度より、連結財務諸表を作成していないため、前年同期比は記載しておりません。
(注) 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は下記のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
■経営成績に関する分析(全社)
当事業年度につきましては、輸送機器関連分野をはじめとした製造業の設備投資や東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備等の公共投資が漸増的に拡大し、製造業向けの各種金型開発や制御系・組み込み系ソフトウェア開発に対する需要が高まった結果、受注環境が継続的に改善し、売上高は2,890,657千円(2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、3.9%増)となりました。一方、第1四半期決算において、連結子会社合併に伴う抱合せ株式消滅差益287,122千円を特別利益として計上し、退職給付債務の算定方法変更による退職給付費用142,158千円の計上を行ったこと等の影響により、営業利益は162,557千円(2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、49.0%減)、経常利益は170,493千円(2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、47.6%減)、当期純利益は387,072千円(2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、90.4%増)となりました。
ちなみに、昨今の新型コロナウイルス感染症の蔓延による上記経営成績等への影響は、極めて軽微な範疇に留まりましたことをここに申し加えます。
なお、当社の経営成績等に重要な影響を与える要因として、製造業の設備投資の動向が挙げられますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、製造業の現下の業績に多大な影響が及んでいることから、今後の設備投資の動向が大いに懸念されるところであります。
■財政状態に関する分析(全社)
当事業年度末の総資産は、連結子会社合併による資産受入や売掛債権回収に伴う現金及び預金の増加等の影響により、前事業年度末に比べ688,969千円増加の2,980,111千円となりました。
負債は、主に退職給付債務の増加等の影響により、前事業年度末に比べ330,503千円増加の910,485千円となりました。
純資産は、主に当期純利益の計上等により、前事業年度末に比べ358,465千円増加の2,069,625千円となり、自己資本比率は69.4%となりました。
なお、会社の運転資金については、社外からの調達はなく、全て自己資金にて賄っております。
■経営成績に関する分析(セグメント)
エンジニアリング事業につきましては、輸送機器関連を中心とした各産業分野における受注環境の改善を背景に、案件毎に適材適所での人員配置に注力し、工数単価の見直しと稼働率向上に努めてまいりました。その結果、この事業の売上高は2,167,891千円(2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、2.3%増)となったものの、退職給付債務の算定方法変更に伴う人件費増加等の影響により、経常利益は81,838千円(2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、62.6%減)となりました。今後は市場ニーズの高いAI・IoTをはじめとした成長分野へリソースを集中させるべく、戦略的体制づくりを進めてまいる所存です。
プロダクツ事業につきましては、設備投資需要の高まりを受け、利益率の高いパッケージソフト販売、および受託売上が堅調に推移し、この事業の売上高は700,766千円(2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、9.5%増)となったものの、退職給付債務の算定方法変更に伴う人件費増加等の影響により、経常利益は80,975千円(2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、14.3%減)となりました。今後は当社が持つコア技術をベースとした提案型ビジネスを創出し、パートナー企業と密接に連携したサポート体制を整えることで、多様化するお客様のニーズにお応えしてまいります。
不動産事業につきましては、賃貸マンションの稼働率低下により、この事業の売上高は21,999千円(2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、6.3%減)となり、経常利益は7,680千円(2019年3月期連結業績に対する前年同期比は、35.2%減)となりました。
なお、事業戦略の見直しに伴い、当事業年度末をもって、当社は不動産事業から撤退いたしました。
■財政状態に関する分析(セグメント)
当事業年度末のエンジニアリング事業に係る総資産は、357,404千円であり、その主な内容は、売掛債権であります。
なお、当事業は、特段の設備投資を必要としない事業形態のため、売掛債権以外の特筆すべき資産は存在いたしません。
当事業年度末のプロダクツ事業に係る総資産は、243,303千円であり、その主な内容は、売掛債権と販売用ソフトウェアであります。
なお、販売用ソフトウェアは、当事業活動を支える上での重要な資産と位置づけております。
当事業年度末の不動産事業に係る総資産は、事業資産を全て売却したため、存在いたしません。
また、総資産のうち、その他セグメント資産の項目に含めた金額は、2,379,402千円であり、その主な内容は、当社の余資運用資金(現金及び投資有価証券)及び本社に係る資産であります。
なお、前事業年度においては、セグメント資産開示を行っておりませんので、前年同期比較に係る指標は記載しておりません。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
■当事業年度におけるキャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当社は、安定した収益確保をベースに、売上債権および棚卸資産の圧縮を行うことを、営業キャッシュ・フロー改善の基本施策としております。当事業年度においては、上記施策に則った経営を行い、手許資金の増加に努めました。その結果、当事業年度において、営業活動によって得られた資金は、339,575千円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により得られた資金は、286,922千円となりました。
これは無形固定資産の取得による支出72,473千円等の減少要因があったものの、有形固定資産の売却による収入285,462千円、投資有価証券の売却による収入74,952千円等の増加要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、15,437千円となりました。
これは配当金の支払い15,437千円によるものであります。
なお、フリー・キャッシュ・フローは、626,497千円となりましたが、事業の成長投資と株主還元等のバランスを考慮しつつ、今後有効に活用してまいる所存です。
■資本の財源及び資金の流動性
資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、巨額の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率、DEレシオ(負債資本倍率)やROEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施いたします。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成にあたり、当社は財務諸表に記載されている資産・負債の額及び偶発債務の開示、並びに収益・費用の額などに影響を与える可能性のある見積り及び前提条件を使用しており、この財務諸表のための重要な会計基準等は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
当社は、たな卸資産の評価、ソフトウェアの償却、繰延税金資産、貸倒引当金、投資の減損、退職給付に係る会計処理の方法の重要な会計方針に関して、見積りや仮定を必要としています。ただし、これらの見積りや仮定は、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する情報は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
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