課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

経営者の認識については、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)経営方針

当社は、「社会や企業の発展も技術開発も、人と人との心のつながりが基本である」との意味をこめた『Heart to Heart』の経営理念にもとづき、日々高度・多様化する顧客の「技術要請」に的確に応えるべく技術系アウトソーシングサービスを行ってまいりました。

今後も、当社の経営資源を顧客と共有することにより、顧客の経営効率化に資するとともに、課題解決に繋がる提案や付加価値の高いサービス提供を行い、当社の事業価値向上に努めてまいります。また、社内では技術者が自律的にキャリアアップしていく仕組みを取り入れ、さらに高度な技術者を育成してまいります。

グループ戦略につきましては、人材の国際的流動化に対応するためのアジアでの事業展開、既存グループ会社の経営基盤の強化はもとより、次世代に向けた強みを創出してまいります。また、技術力を活かした「ものづくり」、社会課題の解決につながる農業・介護分野へ事業を拡大し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、継続的な成長及び収益の向上を実現させるため、「自己資本利益率(ROE)」及び「親会社株主に帰属する当期純利益」を重要な経営指標と考えております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は、2018年7月に第11次5ヵ年計画「新産業革命時代に向けた経営資源の再投資」をスタートし、推進しております。新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とし、急速に進展した働き方改革や、サステナビリティを巡る対応など不確実で変化が激しい時代だからこそ、経営理念に立ち返り、グループ全社員で目標を達成してまいります。


 

 

① アウトソーシング市場における持続可能な競争優位性の創出

当社グループの持続的発展を目的として、各社の事業ドメインを再構築し、グループのスケールメリットを最大化した高付加価値のアウトソーシングサービスを展開してまいりました。2018年より新たにアグリ・アグリテック人材の採用を開始し、グローバル人材は2021年12月末時点で全社員の約1割を占め、技術分野・農業分野を中心に活躍しております。

 

② 投資の拡大による成長の加速と収益基盤の強化

成長産業へと向かう農業関連分野及び人材不足が顕著となっている介護関連分野に対して、新たなモデルのアウトソーシング市場の創出を掲げ、推進しております。農業分野では㈱アルプスアグリキャリアと㈱DONKEYを中心に、介護分野では㈱アルプスケアハートと当社ソフト受託開発部門を中心に両分野への取組みを進めております。また、ものづくり事業についても2020年7月に㈱デジタル・スパイスをグループに加え、事業の強化を進めております。

 

③ 事業環境の変化に対応した人材育成と組織の最適化

新たな取組みを効率的かつ迅速に遂行することを目的として、社内組織の最適化を図ってまいります。ITによる高水準の業務効率化、知的機動力の高い組織づくりに挑むと同時に、ミドルの育成と共に多様な人材が活躍するダイバーシティ企業を目指しております。「2026年3月31日までに管理職に占める女性の割合6.0%」という目標を掲げており、2021年12月末時点で3.9%となっております。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により度重なる緊急事態宣言が発令され、持ち直しの動きはあるものの、回復のペースは鈍化いたしました。足元では、オミクロン株が猛威を振るっており、先行き不透明な状況が続いております。さらに、サプライチェーンの混乱や、原材料価格の動向による下振れリスクについても、十分に注意する必要があります。

このような環境の下、当社グループの中核である無期雇用型技術者派遣事業において、採用・教育・営業の仕組みを抜本的に変革し、高度技術者集団としてのブランドの確立を図るため、「技術革新・環境変化に対応し、顧客から信頼されるパートナーとなる」、「エンゲージメントを高め、次代を担う人材を採用し、育成する」、「柔軟な組織とグループ間のつながりを構築する」の諸施策を推進してまいります。顧客の量的・質的要望に応えるとともに、技術者と顧客の最適な組み合わせによる高付加価値サービスの提供により、企業価値の向上を持続させていくことが重要な課題と認識しております。また、農業や介護関連分野においても既存事業とのシナジーを強化することで、さらなる事業拡大を目指してまいります。

 

当社グループが対処すべき主要な経営課題は、以下のとおりであります。

 

① 採用の強化

当社グループの主要事業である技術者派遣事業においては、顧客からの即戦力かつ高度技術を有する人材の要請が高まっていることから、質の高い多様な人材を確保すべく、中途入社の人数増加や、優秀な新卒社員の獲得に向けた積極的な採用活動の展開を図ってまいります。また、全役職員一体となり連携を活かしたリファラル採用や、オンライン選考といった手法を駆使し、国外を含めた多様な採用チャネルを構築してまいります。

 

② 技術力の強化

当社グループでは、技術者が高い志をもって、自らの技術力を向上させることが企業価値の源泉であるとの思いの下、創業以来、技術者教育には特に力を入れてまいりました。この考えは今後も変わることなく、引き続き高度な技術力と、顧客から信頼される人間力を兼ね備えた社員の育成に努めてまいります。

なかでも、顧客ニーズに特化したカスタマイズ研修、技術者の長期キャリア形成を目的とした、シニア人材を含む年代別キャリア開発研修、次代を担う若手人材向けのマネジメント研修等に取組んでまいります。

さらに、積極的に「チーム派遣」を推進するために、高度な技術力を有するに留まらず、工程管理やマネジメントにも長けた、いわゆる「チームリーダー」を育成すべく、リーダー養成の研修を実施し、市場価値の高い高度技術者を養成してまいります。

また、座学の研修のみならず、ものづくりの現場に携わることも、技術者、とりわけ若手の社員にとっては実践的な技術力を身につけるために必要な経験であるとの認識から、OJTの場を多く設けるとともに、アルプスロボットコンテストや新入社員の技術発表会等により、グループの垣根を超えて「ものづくり」の技術力を高めてまいります。

なお、コロナ禍ではありますが、オンラインや動画などの研修コンテンツを強化し、非対面でも継続できる教育環境を整えております。

 

③ 営業力の強化

当社グループの主要顧客である自動車、半導体、電機メーカーなど大手製造業各社においては、国際競争力強化の必要性から、今後も引き続き、開発設計部門における効率化の流れは継続するものと思われます。その影響により、複数名の技術者をまとめて派遣する「チーム派遣」や、開発工程の一定部分を受託する「プロジェクト受注」への要請は一層の高まりをみせております。このような環境変化に対応すべく、営業部門の強化、拠点体制の見直し、営業と技術者との連携強化を図ることで、「チーム派遣」や「プロジェクト受注」等を積極的に開拓してまいります。

さらに、先端技術を始めとする成長分野における需要が拡大していることから、マーケティング機能や当該分野の人材育成をさらに強化し、案件獲得を図ってまいります。また、「チームアルプス」というビジョンの下、営業担当者のみならず、技術者自身も顧客ニーズへの迅速な対応と付加価値の高いサービス提供を行うことで、高水準の契約単価の実現にも注力してまいります。

 

④ 国際化への対応

中国を始めとするアジア圏における高度経済成長を睨み、上海と台湾、ミャンマーに現地法人を構え、人材育成事業と製造業各社に対するエンジニアリング事業(プラント設備、機械・設備機器等の据付及びメンテナンス)を展開しております。

さらに、現地における人材確保等、当社グループの有する強みを活かし、国内グループ各社と海外現地法人とが緊密な連携を図ることで、製造業各社のアジア戦略にも積極的に対応してまいります。コロナ禍による移動制限があり、人材の移動は制限されますが、オンラインを活用した人材育成は継続しております。

 

⑤ グループ戦略

当社グループでは、アウトソーシングサービス事業の強化はもとより、農業・介護を始めとする新たな事業分野の開拓、ものづくり事業の拡大を推進しております。2020年3月には「㈱DONKEY」を設立し、2020年7月には「㈱デジタル・スパイス」をグループに加え、成長分野における事業の強化を図ってまいりました。

新たに2021年7月1日には、更なる介護事業の拡大を見据え、当社の人材採用・育成ノウハウとIT技術を活かし、充実した介護環境を実現すべく「㈱アルプスケアハート」を設立いたしました。

今後、人材サービスのみならず、これまで培ってきた技術力、ものづくりの強みを融合した事業を展開してまいります。

 

⑥ サステナビリティを巡る取組み

2021年6月11日にコーポレートガバナンス・コードの改訂が実施されました。企業に求められる重要な使命の一つとして、サステナビリティへの対応が存在感を増している中で、当社の中長期的な企業価値の向上を目的として、サステナビリティ基本方針を制定いたしました。

また、取締役会の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置し、具体的な企画・実行・管理を進めてまいります。特に、気候変動に関する取組みは、当社にとってリスクのみならず大きなビジネスチャンスであることを踏まえ、取組みを加速してまいります。

 

⑦ コンプライアンス及びCSR(企業の社会的責任)への取組み

当社グループでは従来「企業倫理憲章」を始めとした社内ルールを制定するとともに、法令・社会倫理規範遵守のための社内体制を整備し、コンプライアンス教育を徹底してまいりました。コンプライアンスは経営の重要課題の一つと認識し、今後も引き続き取組んでまいります。

また、当社は、企業市民としてサステナビリティ基本方針に則り、環境経営の推進や、財団、NPO法人を通じた起業家育成・教育・コミュニティー活動等の社会貢献活動を支援してまいります。

 

⑧ 新型コロナウイルス感染症への取組み

当社グループでは2020年2月に対策本部を設置し、感染症拡大防止に向けた基本対策を徹底してまいりました。在宅勤務、オフピーク通勤やTV会議・社内スタジオの活用など、お客様、従業員の安全に配慮した対策を講じております。

また、オンラインの商談・採用選考・教育を実施し、対面や距離の制約を受けない体制を構築してまいります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得