課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、企業理念で「Daiohsの利潤は、お客さまの満足から生まれるもので、それをさらにお客さまのために、社会のために、そして、私たちのために生かします。」と定めており、お客様、取引先及び株主等のステークホルダーから信頼を得ることによって利潤が生まれ、社会貢献に資する活動をしていくことを基本理念としております。

 

(2)経営戦略等

事業所をターゲットとした「BtoB」、売切りのワンウェイではなく、従業員が直接お客様を訪問して商品・サービスを継続して提供する「継続反復販売」に特化したビジネスを展開することが当社の事業コンセプトになります。

中長期的な経営戦略としては、国内部門は、開発部門の組織を拡充し、新商品、新サービスの開発に取り組んでまいります。また、事業領域の拡大や既存事業とのシナジーが期待できるM&A案件があれば積極的な投資を実施してまいります。米国部門は、2025年3月期までを収益拡大期とし、拠点別の売上高目標を定め自力成長と収益の最大化を図ります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営指標として、前期対比売上伸長率、売上高営業利益率を採用しております。これらを重要な指標として位置づけ、事業の効率化や新規顧客の獲得に注力し、目標の達成に努めてまいります。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

① 国内部門

2020年初頭から始まった新型コロナウイルスの感染拡大と数度にわたり行われた緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置などの影響を受け、日本国内においてもオフィスを取り巻く環境は一変しました。在宅勤務のための環境整備が進んだことで、企業の従業員にとっては必ずしも事業所に出社することが必要では無くなった一方、対面機会の減少により社内のコミュニケーションが阻害されていると考える企業が多数を占めていることが様々な調査で示されています。

このような環境下、オフィスの環境改善を通して従業員間のコミュニケーションを促進するとともに、企業に対するロイヤリティを醸成するニーズは今後一層高まっていくことが見込まれます。当社では数年来注力してまいりました高付加価値のコーヒー提供に加えて、4月に資本業務提携を行った花門フラワーゲート社との協働によるオフィス緑化の空間づくりなど、このニーズに対応するサービスを拡充してまいります。

一方、この環境変化に対応すべく既存顧客とのつながりを活かした販売戦略の強化を推し進めてまいります。

また、足元では資材や燃料コスト高騰への対処が喫緊の課題となっております。従来のエリア戦略を見直し事業所の統合を進めるとともに、これまで蓄積してきた販売管理データの分析・活用を強化し生産性の向上を図ることで、この課題に対処してまいります。

 

② 米国部門

米国においては、多くの企業が在宅勤務制度を積極的に導入しました。加えて、経済活動の規制緩和、あるいは完全撤廃がされた場合においても、オフィス勤務と在宅勤務を併用可能とするハイブリッド型勤務を公表した企業は多いと理解しており、顧客のオフィス内にいる従業員数に応じて売上が変動し得る当社事業にとって影響がある可能性があります。特に、米国都市部では、ハイブリッド型勤務を導入する傾向があります。このような中、弊社では経済正常化後における地域ごとの売上規模を予測しながら、売上規模、あるいは収益水準に沿った適切な支店体制等の構築に努めてまいります。

 

(5)財務報告に係る内部統制・内部管理体制の改善・強化等について

当社グループでは、連結子会社Daiohs U.S.A.,Inc.(以下「米国子会社」という)において、固定資産管理システムと会計システム間に固定資産残高の差異が存在することが判明し、有形固定資産の取得価額、減価償却累計額及び帳簿価額(以下「有形固定資産残高」という)と減損評価結果に疑義が生じたため、これに関する社内調査を実施しました。この調査の過程で、米国子会社において固定資産管理システムと会計システムの突合作業がこれまで行われていなかったこと、両システム間の差異を把握しながらその重要性の認識を欠いていたため当社や監査人に対する報告が行われてこなかったこと、固定資産管理システムの仕様上、過去のデータが参照できないにも関わらずバックアップが保存されてこなかったこと、顧客先に貸し出しているコーヒーブリューワーや浄水サーバー等の資産について、適切な台数管理が一部拠点において行われていなかったこと、等の事象が判明しました。

これらの事象を踏まえて会計監査人である三優監査法人と協議を行った結果、追加的な手続として過去に遡ってシステム処理の突合、修正を行っていく作業とともに有形固定資産実査が必要となりましたため、外部専門家を登用し、可及的速やかに有形固定資産残高の差異原因を分析するとともに会計上の誤謬を特定するための作業を進めることとなりました。

有形固定資産実査において、コーヒーブリューワー等の機器については、販売管理システムに登録されている情報を基に照合作業を行っておりますが、除売却時の入力処理及び機器交換時の変更登録処理が十分に行われていない状況で、当初システムの登録されている内容は精度が高い前提でおりましたが、実査を進めていく中で想定よりも精度が高くないことが判明しました。また、同じ機器でも異なる仕入先から購入すると機器名称が異なることもあり、現場での実査の際に、機器の名前が担当者の認識と異なっていることで混乱が生じております。更に支店間の資産移動が多く、管理会計上の償却費用の移し替えは行っていたものの、固定資産の移動を行っていなかったため、減損評価する上であるべき支店別の有形固定資産残高を期間内に特定することができず、実査については、想定以上に時間を要しております。

以上のことから、米国子会社では、有形固定資産の購入及び移設の記録を基に、2022年3月末時点での有形固定資産残高を算出し、当連結会計年度末の有形固定資産残高を修正しております。しかし、米国子会社では、過去に遡って固定資産管理システムと会計システムとの間の固定資産残高の突合をして修正を行っていく作業や有形固定資産実査が終了しなかったことから、過年度を含めた有形固定資産残高の正確性を十分に検証することができておらず、当連結会計年度の期首有形固定資産残高については修正しておりません。これらの事象は、米国子会社の決算財務報告プロセスに含まれる有形固定資産管理の不備によるものと現時点においては判断しております。なお、調査が未了のため、今後の調査により当連結会計年度末の有形固定資産残高が修正される可能性があります。また、当社の決算財務報告プロセスにおいて米国子会社に対する管理・監督体制が不十分であったものと認識し、開示すべき重要な不備に該当すると評価し、当社内部統制は有効に機能していなかったと判断いたしました。

この事象に関し、2022年3月期の当社グループの連結財務諸表監査における監査意見が限定付適正意見となっており、当社の財務報告に係る内部統制は、開示すべき重要な不備が生じております。

当社グループでは、当該状況を速やかに是正するため、今後も継続して有形固定資産の実査を実施するとともに、過年度を含めた有形固定資産残高の正確性に関する検証を進め、過年度の有価証券報告書及び四半期報告書に修正が生じた場合には、第2四半期報告書の開示までに訂正報告書の提出を行うことを目指してまいります。加えて、米国子会社でのシステム変更や証憑保管の徹底などの関連業務の改善、ならびに、財務報告の重要性を再度認識させるなどの内部統制の強化を並行して進めてまいります。

 

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