当社グループでは、研究開発を戦略的事業の一環として捉え、放送・配信や番組制作の各分野において、技術的優位性を確保し、魅力的なサービスに発展させるため、先進技術の導入に積極的に取り組んでおります。また、これらの活動を通じ、広く ICT 分野の発展に貢献しています。
(メディア・コンテンツ事業)
メディア・コンテンツ事業における研究開発活動は主に、テレビ放送事業を行う㈱フジテレビジョンに係るものであります。当連結会計年度における成果は次の通りであります。
インターネット技術等の技術革新とスマートフォンやタブレット型端末の普及により、動画視聴形態やコンテンツへのニーズが多様化しました。また、データ解析技術、クラウド、AI、5G技術の活用等は、放送業界でも重要性が高まっており、これらの技術の研究開発に、以下の2つを柱として取り組んでおります。
①放送・配信分野におけるビジネスモデルを支える技術についての研究開発
②番組制作分野における付加価値向上と制作効率化を実現する技術についての研究開発
放送・配信分野では、テレビ上での見逃し配信動画視聴の利便性向上を目的とした、放送通信連携技術や、ライブ配信での広告挿入技術や低遅延配信技術の研究開発に取り組んでいます。また、大規模なテレビ視聴データを安全に収集できるシステムを構築し、視聴者ニーズを捉えた番組制作や、マーケティング戦略への活用方法を研究しています。
番組制作分野においては、効率的な人員配置を実現する遠隔制御や系列局とのリソースシェアの可能性を探るため、クラウドと5Gを活用した番組制作方法「CNG(クラウド・ニュース・ギャザリング)」の共同実験を、系列局、放送機器メーカー、通信キャリアと連携して実施しました。また、AI画像認識技術を用いて映像内の人物名を推定するアプリケーション「メタロウ」を開発し、ニュース収録素材へのメタデータ付与業務やFNN選挙特番にて活用し、コンテンツの付加価値向上と制作効率化に寄与するものと考えています。
社外からの評価としては、当連結会計年度において、「災害情報カメラ収録システム“TOREZO”」が、2021年民間放送連盟賞技術部門最優秀賞を受賞しました。本システムは、従来、FNN系列局が個別に運用していた情報カメラの映像を全国で一括管理して収録し、地震発生時には、自動的に地震による揺れ画像を切り出すことで系列局全てが地震映像を即座に送出できるシステムで、地震報道の迅速化を実現、働き方改革、費用削減に貢献したことが評価されました。また、「『超逆境クイズバトル!!99人の壁』リモート収録システム」は、2021年日本民間放送連盟賞技術部門優秀賞、映像情報メディア学会・第48回技術振興賞コンテンツ技術賞を受賞しました。本システムは、コロナ禍により不可能になった100人以上集めてのスタジオ収録の代わりとなる収録形態として、100人で行う早押しクイズ対決に参加者が遠隔で参加できるシステムで、コロナ禍であっても番組収録を継続することに寄与し、新しい番組形態を実現したことが評価されました。
放送分野の発展を目指し、標準化活動にも積極的に取り組んでおります。総務省情報通信審議会やARIB(電波産業会)、A-PAB(放送サービス高度化推進協会)での4K・8K超高精細度テレビジョン放送の標準化や地上デジタル放送の高度化技術の検討、IPTVフォーラムでの放送通信連携技術の標準化、ITU-R(国際電気通信連合 無線通信委員会)での国際標準化等の活動に積極的に参加しています。
今後も研究開発を事業戦略の一環として捉え、継続的に取り組んで参ります。
なお、当連結会計年度の研究開発費は
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