(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症流行のために停止していた経済活動が徐々に再開されたことにより、個人消費及び雇用情勢は持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況が続きました。
このような状況下において、当社グループは、高機能で付加価値の高い新商品・サービスを提供することにこだわり、既存ビジネスによる安定した収益を基盤としつつ、個人向け・法人向けともに売上高の拡大に向けた提案力の強化や、新たな収益の柱となる新商品・サービスの企画、開発に取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は416億76百万円、営業利益は171億66百万円、経常利益は173億16百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は121億65百万円となりました。営業利益、経常利益、当期純利益はいずれも株式上場以来の最高益を更新しました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しているため、2022年3月期に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、対前期増減率は記載しておりません。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご覧ください。
財政状態は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ108億23百万円増加し、862億24百万円となりました。これは現金及び預金が61億44百万円、有価証券が50億円増加したことが主な要因です。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ5億98百万円増加し、149億24百万円となりました。これは前受収益が15億99百万円増加したこと、買掛金が6億12百万円減少したことが主な要因です。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ102億25百万円増加し、713億円となりました。これは利益剰余金が102億52百万円増加したことが主な要因です。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、585億41百万円となり、前連結会計年度末に比べ110億46百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加額は、140億81百万円となりました。税金等調整前当期純利益173億19百万円、減価償却費18億70百万円、法人税等の支払額45億3百万円が主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少額は、20億21百万円となりました。定期預金の払戻による収入49億54百万円、短期的な資金運用を目的とした有価証券の取得と償還による増減で50億円の支出、新商品・サービスのソフトウエア開発に伴う無形固定資産の取得による支出19億46百万円が主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少額は、10億26百万円となりました。配当金の支払額10億26百万円が主な要因です。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績及び受注実績
当社グループは、サブスクリプション方式で商品・サービスを提供している事業によるストックビジネスの割合が増加しており、生産を伴う事業の重要性が乏しくなったため、生産実績及び受注実績の記載を省略しています。
b.販売実績
当社グループは、ソフトウエア事業の単一セグメントであるため、当連結会計年度における各実績は市場別区分により記載しております。
事業の市場別の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
金額(百万円) |
||
個人向け事業 |
32,113 |
- |
法人向け事業 |
9,563 |
- |
合計 |
41,676 |
- |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、売上高が416億76百万円、営業利益は171億66百万円となりました。これは主に、当連結会計年度及びそれ以前に提供を開始した個人向け・法人向けの新商品・サービスによるものです。特に個人向けソフトウエアや、クラウドサービスの導入が順調に進みました。
当社はソフトウエア関連事業の単一セグメントでありますが、当連結会計年度の概況を、個人向け・法人向けに分類して説明します。
(個人向け事業)
日本語ワープロソフト「一太郎」等のパッケージソフトウエアや、「ATOK Passport」「スマイルゼミ」等のクラウドサービスを提供し、ECサイト「Just MyShop」も運営しております。
タブレットで学ぶ通信教育「スマイルゼミ」では、「幼児コース」「小学生コース」において、幼児から中学レベルまで学年を超えて先取りやさかのぼりができ、学力の体幹(コア)を鍛える「無学年学習[コアトレ]」と、タブレットを通して他のスマイルゼミ会員と競い合いながら学習ができる「みんトレ」の機能強化を図りました。
「ATOK Passport」は、iOSに対応し、プラットフォームを問わず4つのOS「Windows、macOS、Android、iOS」で使えるよう強化しました。また、「一太郎」は、ATOK40周年記念版として「ATOK Passport」を新搭載した、「一太郎2022」を発売しました。
(法人向け事業)
各市場向けに最適化したソリューションを提供しております。
民間企業向けには、営業支援クラウドサービス「JUST.SFA」、オールインワンBIソリューション「Actionista!」、ノンプログラミングWebデータベース「UnitBase」等を提供しております。
定量調査のセルフ型ネットリサーチ「Fastask」、定性調査のチャットインタビューサービス「Sprint」は、非対面で調査が完了するサービスとして好評を得ました。
また、教育市場向けには、GIGAスクール構想における一人一台のタブレットPC活用に適した小中学校向け学習クラウド「スマイルネクスト」の提供を開始しました。
この結果、個人向け事業の売上高は321億13百万円、法人向け事業は95億63百万円となりました。
また、サブスクリプション方式で商品・サービスを提供している事業によるストックビジネスの売上高は310億92百万円、全社売上高に占める割合は74.6%になりました。
財政状態に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、新型コロナウイルス感染拡大に関する影響も含め、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループは、市場の急激な変化に対応できる資金の流動性を維持するために内部留保の充実を図り、事業運営上必要な資金を安定的に確保することを基本方針としております。
内部留保については、財務の健全性を確保し、既存事業の収益基盤の強化・拡充や新規事業の開発投資の財源として有効に活用してまいります。また、事業拡大に向けたM&Aの可能性も追求してまいります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は585億41百万円で、有利子負債はありません。
また、流動性を確保するため、取引金融機関と10億円の当座貸越契約を締結しておりますが、その全額が借入未実行残高であります。
これらにより現時点で当社グループの事業活動を円滑に維持して行く上で十分な流動性を確保しており、将来の資金需要に対しても不足が生じる懸念は少ないと判断しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、引当金の計上等、一部に将来の合理的な見積りが求められているものもあります。これらの見積りは当社グループにおける過去の実績・現状・将来計画を考慮し、合理的と考えられる事項に基づき判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。新型コロナウイルス感染症について、収束時期を見通すことが依然困難な状況にあるものの、当社グループの翌連結会計年度以降の固定資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性等の評価の影響は限定的なものと仮定しており、本連結財務諸表における重要な会計上の判断及び見積りの変更は見込んでおりません。
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