業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の状況

 当連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)における世界経済は、年間を通じて新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の抑制の中、推移いたしました。ワクチン接種が促進される中、経済の再開による景気回復期待から米国株が過去最高値を記録するなど株式市場が活況を帯びた一方、世界的なインフレの進行や感染再拡大の可能性等もあり、景気の先行きが懸念されます。

 わが国経済におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が徐々に緩和される中でこのところ持ち直しの動きがみられましたが、今後も予断を許さない状況に加えて上記世界経済の影響もあり、景気は依然として厳しい状況が続くと見込まれます。

 情報産業につきましても、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大影響を受け、国内外問わずリモートワークやオンライン教育、またデジタルトランスフォーメーション(DX)の需要が後押しとなり、2022年の世界におけるIT支出額は4兆5,000億ドル増加の昨年対比5.1%増の伸長が見込まれています。ビジネス向けソフトウェアに至っては、今後もオフィスや自宅、また別の場所でと複雑さを増すハイブリッドな働き方への対応が続くことから、クラウドの利用増やSaaSへのシフトを背景に11.0%の成長が予測されております。 

 セキュリティ業界におきましては、引き続き国家機関等を狙ったサイバー攻撃、企業の機密情報の漏洩の被害、暗号資産の流出等をはじめとする特定の企業や組織を狙う標的型攻撃が数多く見られました。工場等の制御系システムを含むIoT環境を狙ったものや、中でも暴露型の二重脅迫を行うランサムウェアの脅威が目立った他、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延を利用したフィッシング詐欺やリモートミーティングシステムを悪用したマルウェア、VPN機器の脆弱性を狙ったサイバー攻撃等も横行しました。このような背景を受け、従来のような各端末の防御や、ネットワーク環境下を各領域に分けた境界線によって守る境界防御対策だけではもはや十分な対策と言えない状況に変化してきており、侵入を前提とした脅威の可視化や深い分析による事後対策も含む対応等の需要が拡大しております。そのような脅威の変化の中、法人・個人を問わず急速に変化する生活様式に応じ、今後も一層セキュリティ意識が問われる風潮が高まっていくものと思われます。

 このような環境下、当社グループの経営状況は、以下のようなものでありました。

 

 日本地域につきましては、企業向けビジネス及び個人向けビジネス共に好調でした。特に個人向けビジネスはコロナ禍での在宅勤務やオンライン教育の需要を背景に引き続き携帯電話ショップでの販売が好調を維持し、同地域の売上を牽引しました。また、企業向けビジネスにおいて、ネットワークセキュリティは低調だったもののエンドポイントセキュリティやクラウドセキュリティが伸長しました。その結果、同地域の売上高は76,612百万円(前年同期比6.5%増)と増収となりました。

 北米地域につきましては、企業向けビジネスにおいてSaaSビジネスが大きく伸長するなど回復傾向にあり、クラウドセキュリティが大きく伸長し増収に転じました。その結果、同地域の売上高は36,531百万円(前年同期比3.5%増)と増収となりました。

 欧州地域につきましては、企業向けビジネスにおいてはエンドポイントセキュリティ、クラウドセキュリティを中心に、またサポートビジネスも伸長するなど全般的に伸張しました。加えて円安の影響もあり、その結果、同地域の売上高は34,833百万円(前年同期比12.9%増)と二桁増収となりました。
 アジア・パシフィック地域につきましては、企業向けビジネスにおいてエンドポイントセキュリティやクラウドセキュリティを中心に伸長を見せ、サポートビジネスも好調でした。地域的には台湾やシンガポールが同地域の売上を牽引し好調でした。加えて円安の影響を受け、その結果、同地域の売上高は36,309百万円(前年同期比17.0%増)と二桁増収となりました。

 中南米地域につきましては、企業向けビジネスにおいてクラウドセキュリティが大きく伸長し、加えてネットワークセキュリティ、エンドポイントセキュリティも好調でした。その結果、同地域の売上高は6,071百万円(前年同期比23.2%増)と二桁増収となり全地域において最も高く伸長しました。

 その結果、当社グループ全体の当連結会計年度における売上高は190,359百万円(前年同期比9.4%増)となり 、全地域で増収となりました。

 

 一方費用につきましては、のれん償却費が大きく減少したことに加えて、前年度に発生したソフトウェア資産の一括修正の反動など大きなコスト減少要因もありましたが、円安影響も大きく受けた人件費の大幅増やSaaSビジネスの増加に伴うクラウド利用コスト、携帯電話ショップでの個人向けビジネスの好調に伴った外注費が増加したこと等により、売上原価並びに販売費及び一般管理費の合計費用は146,718百万円(前年同期比9.0%増)と増加となり、当連結会計年度の営業利益は 43,641百万円(前年同期比10.6%増)と増益となりました。

 

 また、期初予想数値に対しては、全地域概ね想定通りの推移となり、グループ全体では想定した為替レートに対し円安の効果もあって若干上振れの売上高となりました。

 一方、営業利益につきましては、費用面において、実質的にはクラウドコスト等を中心に想定より低かったものの、想定為替レートに対し円安だったことから、人件費を中心に全般的にコストが想定よりも上回りました。しかしながら売上高の増分でコストの円安効果の多くを吸収でき、その結果、営業利益は期初予想を上回る結果となりました。

 

 当連結会計年度の経常利益は為替差損が減少したこと等により、44,501百万円(前年同期比11.7%増)と増益となり、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は主に関係会社株式売却益等により、38,367百万円(前年同期比42.6%増)と増益となりました。

 

 当社が重要な経営指標として意識しているPre-GAAP(繰延収益考慮前売上高)ベースの営業利益額は57,790百万円となり、前年同期に比べ11,936百万円増加(前年同期比26.0%増)となりました。これは、Pre-GAAPの伸長が、今後のSaaSビジネス強化の為のクラウド利用コストを含む売上原価並びに販売費及び一般管理費の合計費用の増加以上に大きかったことによるものです。

 

(2) 財政状態の状況

 当連結会計年度末の現金及び預金の残高は197,729百万円となり、前連結会計年度末に比べ41,989百万円増加いたしました。

 投資有価証券が大幅に減少した一方、現金及び預金並びに有価証券が大きく増加したこと等により、当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ43,756百万円増加の420,457百万円となりました。
 当連結会計年度末の負債は主に流動負債におけるその他が減少したものの、繰延収益が大幅に増加したことにより前連結会計年度末に比べ11,683百万円増加の199,023百万円となりました。
 当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金や為替換算調整勘定の大幅な増加等により、前連結会計年度末に比べ32,073百万円増加の221,434百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して957百万円収入が増加して55,267百万円のプラスとなりました。これは主に、繰延収益が増加したことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して8,352百万円収入が増加して2,575百万円のプラスとなりました。これは主に、有価証券・投資有価証券の売却・償還による収入が増加したことによるものであります。 

 また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して4,696百万円支出が減少し、16,445百万円のマイナスとなりました。これは主に、自己株式の取得による支出が減少したことによるものであります。

 これらの増減に現金及び現金同等物に係る換算差額を加えた結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物は225,681百万円となり、前連結会計年度に比べ51,518百万円増加しました。

 

 

(4) 流動性と資金の源泉

当社グループの短期的な資金の主たる源泉は営業活動から得られる現金及び現金同等物です。現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得る現金及び現金同等物は今後12ヶ月間に必要な運転資金、資本的支出をまかなうのに十分であると考えます。

当連結会計年度末における現金及び預金、有価証券の合計額は256,802百万円でありました。現金及び預金は、米ドル、ユーロ等の外国通貨及び円貨からなり、有価証券は信用度の高い取引金融機関の債券等からなります。

なお、当連結会計年度末において流動負債及び固定負債に計上される繰延収益は154,098百万円であり、これらの繰延収益は契約期間に応じて翌連結会計年度以降、収益として認識される見込みです。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、財政状態及び経営成績に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。当社はこの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(6) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

金額が些少であること、生産活動のための製造過程を保持していないこと等により、記載を省略しております。

 

② 受注実績

  受注実績につきましては、金額的重要性が極めて低いため、その記載を省略しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)
(百万円)

前連結会計年度比(%)

日本

76,612

6.5

北米

36,531

3.5

欧州

34,833

12.9

アジア・パシフィック

36,309

17.0

中南米

6,071

23.2

合計

190,359

9.4

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める     相手先がないため、記載はありません。

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

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