業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度における国内自動車流通市場は依然として世界的な半導体不足等により、新車登録台数(軽自動車含む)は4,215千台(前期比9.5%減)となりました。

中古車登録台数(軽自動車含む)は、新車の減産による販売台数減の影響で、下取りにより発生する中古車が減少したことなどから、6,566千台(前期比4.9%減)となりました。((一社)日本自動車販売協会連合会、(一社)全国軽自動車協会連合会調べ)

また、中古車需要に大きく影響を及ぼす中古車輸出は、新型コロナウイルス感染症発生前とほぼ同水準まで回復し、輸出台数は1,222千台(前期比17.3%増)となりました。(財務省貿易統計調べ)

オートオークション市場における出品台数は6,786千台(前期比4.1%減)、成約台数は4,671千台(前期比0.9%増)、成約率は68.8%(前期実績65.4%)となりました。((株)ユーストカー調べ)

このような経営環境の中、USSグループの当連結会計年度における経営成績は、売上高81,482百万円(前期比8.8%増)、営業利益41,574百万円(前期比14.8%増)、経常利益42,374百万円(前期比14.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益29,745百万円(前期比639.5%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

オートオークション

オートオークションの出品台数は2,731千台(前期比2.7%増)、成約台数は1,787千台(前期比6.3%増)、成約率は65.4%(前期実績63.2%)となりました。

オートオークションにおける売上高は、取扱台数が増加したことに加え、成約率の上昇などにより増加しました。

営業費用については、のれん償却額や減価償却費の減少などにより減少しました。

この結果、オートオークションのセグメントは、外部顧客に対する売上高64,858百万円(前期比6.2%増)、 営業利益40,217百万円(前期比13.4%増)となりました。

 

中古自動車等買取販売

中古自動車買取専門店「ラビット」は、オークション相場が高水準で推移したことにより増収となったものの、同業他社との買取価格競争による買取相場の上昇や、買取台数の減少により増収減益となりました。

事故現状車買取販売事業は、高額車両の取扱いが増加したことにより増収となったものの、販売台数の減少により増収減益となりました。

この結果、中古自動車等買取販売のセグメントは、外部顧客に対する売上高9,300百万円(前期比7.6%増)、営業利益136百万円(前期比49.8%減)となりました。

 

その他

リサイクル事業は、金属スクラップ相場が高値圏で推移したことによる売上高および粗利益の増加に加え、解体工事の取扱いが増加したことなどから増収増益となりました。

この結果、その他のセグメントは、外部顧客に対する売上高7,323百万円(前期比41.4%増)、営業利益1,200百万円(前期比200.1%増)となりました。

 

財政状態の分析状況は次のとおりであります。

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は229,354百万円となり、前連結会計年度末と比較して18,654百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が11,610百万円、オークション貸勘定が7,976百万円増加したことによるものです。

(負債)

負債合計は46,880百万円となり、前連結会計年度末と比較して9,704百万円増加しました。これは主に、オークション借勘定が9,425百万円増加したことによるものです。

(純資産)

純資産合計は182,473百万円となり、前連結会計年度末と比較して8,949百万円増加しました。これは主に、自己株式の取得などにより7,603百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益29,745百万円に対し、配当金を14,218百万円支払ったことにより利益剰余金が15,527百万円増加したことによるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して10,610百万円増加し、75,480百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は36,630百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益43,874百万円(前期比188.3%増)、法人税等の支払額13,363百万円(前期比39.9%増)によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は1,339百万円となりました。これは主に、関係会社株式の売却による収入1,670百万円(前期実績0百万円)、有形固定資産の取得による支出1,127百万円(前期比78.5%減)、定期預金の純増加額1,000百万円(前期実績-百万円)によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は24,680百万円となりました。これは主に、配当金の支払額14,218百万円(前期比1.0%減)、自己株式の取得による支出7,973百万円(前期比715.1%増)によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当連結会計年度における実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(a) オートオークション

(1) オートオークションの実績

区分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減率(%)

出品台数(台)

2,661,084

2,731,669

2.7

成約台数(台)

1,680,810

1,787,302

6.3

成約率(%)

63.2

65.4

成約車両金額(百万円)

1,291,292

1,625,732

25.9

開催回数(回)

879

876

0.3

(注)成約車両金額は、オートオークションによる成約(落札)車両取扱高であり、車両代金(消費税等を含まず)の総額であります。

 

(2) 登録会員数

(単位:社)

 

区分

前連結会計年度末

(2021年3月31日現在)

当連結会計年度末

(2022年3月31日現在)

増減率(%)

現車オートオークション登録会員数

48,058

48,362

0.6

衛星TV情報サービス登録会員数

2,197

2,081

5.3

インターネット情報サービス登録会員数

32,538

33,359

2.5

 

(3) 1台当たり手数料の実績

(単位:円)

 

区分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減率(%)

出品手数料

5,348

5,593

4.6

成約手数料

8,436

8,491

0.7

落札手数料

12,841

12,924

0.6

(注)1.上表における各事項の記載金額には、消費税等を含めておりません。

2.出品手数料および成約手数料につきましては、大口出品会員に対する手数料割戻制度を有しており、割戻後の金額を記載しております。

3.上記手数料につきましては、連結相殺前の数値をもとに算出しております。

 

(4) JBAバイクオークションの実績

区分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減率(%)

出品台数(台)

119,796

125,000

4.3

成約台数(台)

108,101

109,030

0.9

成約率(%)

90.2

87.2

開催回数(回)

98

98

0.0

 

(5) 販売(営業収益)の実績

① 種類別販売(営業収益)の実績

(単位:百万円)

 

区分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減率(%)

出品手数料

14,151

15,198

7.4

成約手数料

14,088

15,088

7.1

落札手数料

21,573

23,076

7.0

バイクオークション手数料

863

888

2.9

商品売上高

1,456

1,491

2.4

その他の営業収入

8,914

9,113

2.2

合計

61,048

64,858

6.2

(注)1.上表における各事項の記載金額には、消費税等を含めておりません。

2.バイクオークション手数料は、株式会社ジャパンバイクオークションが運営するバイクオークションの手数料であります。

 

 

② 会場別販売(営業収益)の実績

(単位:百万円)

 

区分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減率(%)

名古屋会場

8,900

9,407

5.7

九州会場

3,566

4,010

12.4

福岡会場

697

644

7.6

東京会場

13,405

14,741

10.0

岡山会場

1,303

1,326

1.7

静岡会場

1,817

2,061

13.5

札幌会場

2,673

2,712

1.5

埼玉会場

769

865

12.4

群馬会場

953

1,014

6.3

東北会場

971

1,102

13.5

大阪会場

3,573

3,626

1.5

横浜会場

3,399

3,560

4.7

R-名古屋会場

2,330

2,213

5.0

神戸会場

1,493

1,763

18.1

北陸会場

342

376

9.6

新潟会場

713

818

14.7

JAA

1,251

1,226

2.0

HAA神戸 (注)2

3,842

4,213

9.7

物流サービス

378

348

8.0

衛星TV情報サービス

1,215

1,110

8.6

インターネット情報サービス

6,136

6,394

4.2

金融サービス

286

259

9.6

バイクオークション

1,023

1,059

3.5

合計

61,048

64,858

6.2

(注)1.上表における各事項の記載金額には、消費税等を含めておりません。

2.HAA神戸には四国会場の営業収益を含めております。

 

(b) 中古自動車等買取販売

(1) 中古自動車買取店舗数

(単位:店舗)

 

区分

前連結会計年度末

(2021年3月31日現在)

当連結会計年度末

(2022年3月31日現在)

増減率(%)

直営店

15

15

0.0

フランチャイズ店

128

129

0.8

合計

143

144

0.7

 

(2) 種類別販売(営業収益)の実績

(単位:百万円)

 

区分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減率(%)

中古自動車買取販売

4,947

5,296

7.1

事故現状車買取販売

3,699

4,004

8.2

合計

8,646

9,300

7.6

(注)上表における各事項の記載金額には、消費税等を含めておりません。

(c) その他

種類別販売(営業収益)の実績

(単位:百万円)

 

区分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減率(%)

リサイクル事業

4,829

7,238

49.9

中古自動車の輸出手続代行サービス

263

その他

87

85

2.3

合計

5,180

7,323

41.4

(注)上表における各事項の記載金額には、消費税等を含めておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点によるUSSグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、連結財務諸表に基づいて分析したものであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針および見積り

USSグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、決算日における資産・負債の報告数値、各連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定の設定を行っております。主にのれん、貸倒引当金、退職給付に係る負債、繰延税金資産等に対して、継続して評価を行っており、これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果と異なる場合があります。

なお、USSグループは新型コロナウイルス感染症の影響が一定期間続くものとして、会計上の見積りおよび仮定の設定を検討しておりますが、現時点において重要な影響を与えるものではないと判断しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響は不確定要素が多く、今後の状況の変化によっては、将来における連結財務諸表において重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

当社は、国内オートオークション市場におけるシェアの向上および会員向けサービスの拡充による競争力強化の目的から、2022年3月にHAA神戸において駐車場用地を拡大したほか、名古屋会場およびHAA神戸においてオークションシステム機器の入替えを実施いたしました。

世界的な半導体不足等による新車登録台数の減少などにより、オートオークション市場全体の出品台数が前年を下回る中、会員の利便性向上を図るなど会員向けサービスの強化を進めたことにより、USSグループのオートオークションの出品台数は2,731千台(前期比2.7%増)、成約率は65.4%(前期実績63.2%)と前年を上回る結果となりました。また、リサイクル事業において金属スクラップ相場が高値圏で推移したこと、および解体工事の取扱いが増加したことなどから、USSグループの当連結会計年度の売上高は、前期と比較して6,607百万円増加し、81,482百万円(前期比8.8%増)となりました。

売上原価は、前期と比較して2,368百万円増加し、30,710百万円(前期比8.4%増)となりました。増加した主な要因は、中古自動車等買取販売において同業他社との買取価格競争により買取相場が上昇したことによる仕入単価の上昇のほか、リサイクル事業において金属スクラップ相場が高値圏で推移したことによる材料仕入単価の上昇、および解体工事の取扱いが増加したことによるものです。

販売費及び一般管理費は、前期と比較して1,108百万円減少し、9,197百万円(前期比10.8%減)となりました。減少した主な要因は、のれん償却額および減価償却費が減少したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前期と比較して5,347百万円増加し、41,574百万円(前期比14.8%増)となりました。

営業外収益は、不動産賃貸料743百万円などにより984百万円、営業外費用は185百万円となりました。

特別利益は、関係会社株式売却益1,627百万円などにより1,650百万円、特別損失は149百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比較して25,723百万円増加し、29,745百万円(前期比639.5%増)となりました。

 

USSグループの資本の財源および資金の流動性につきましては、次のとおりです。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して10,610百万円増加し、75,480百万円となりました。これは、営業活動により得られた資金36,630百万円に対して、有形固定資産の取得など投資活動により支出した資金1,339百万円、配当金の支払いおよび自己株式の取得など財務活動により支出した資金24,680百万円によるものであります。

なお、USSグループは、必要な運転資金および設備投資資金について自己資金または銀行借入により調達するものとし、当連結会計年度末における有利子負債残高は2,828百万円であります。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりです。

当連結会計年度の業績は、2021年11月8日に公表した業績予想に対して、売上高は3,882百万円の増加(5.0%増)、営業利益は3,174百万円の増加(8.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,245百万円の増加(12.2%増)となりました。この主な要因は以下のとおりです。

売上高は、国内オートオークション市場において新車登録台数減少の影響により出品台数が減少する中、オートオークションにおいてトップシェアである競争優位性を活かして、良質な中古車の出品を誘致する営業政策により、出品台数が予想より51千台増加し、成約台数も予想より67千台増加したことから予想を上回りました。

営業利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、オートオークションにおいて売上高が増加したことに加え、リサイクル事業において鉄スクラップ相場が高値圏で推移したことにより売上高および粗利益が増加したことから、予想を上回りました。

当社の目標とする経営指標である自己資本当期純利益率(ROE)は予想を上回る16.9%となりましたが、今後もROEについては中期的に15%以上の水準を目指してまいります。

 

 

 

2022年3月期

(実績)

2022年3月期

(予想)

増減

増減率(%)

出品台数(台)

2,731,669

2,680,000

51,669

1.9

成約台数(台)

1,787,302

1,720,000

67,302

3.9

成約率

65.4%

64.2%

1.2ポイント増

売上高(百万円)

81,482

77,600

3,882

5.0

営業利益(百万円)

41,574

38,400

3,174

8.3

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

29,745

26,500

3,245

12.2

自己資本当期純利益率(ROE)

16.9%

14.9%

2.0ポイント増

(注)2022年3月期(予想)は2021年11月8日に発表した予想であります。

 

セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識ならびに分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

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