業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績等の状況

当連結会計年度における我が国経済は、雇用及び所得環境の改善が進み緩やかな回復が続いていたものの、米中貿易摩擦や消費増税などの影響により、景気は踊り場にさしかかりつつありました。さらに、今年に入ってからは新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、あらゆる経済活動が停滞を余儀なくされております。

そのような状況の中、当社グループの当連結会計年度の売上高は、第2四半期まで販売が堅調に推移していたものの、10月以降は特に建設関連事業において低調な推移となりました。これは主に、10月に日本列島に上陸した台風19号が、極めて広い地域に河川の氾濫や堤防の決壊などの大きな被害をもたらしたことから、主要顧客である土木建設業者様が災害復旧に追われたり、予定していた公共工事の発注が延期になったりしたことによる影響と考えております。この結果、当連結会計年度の売上高は、前年同期に比して8.5%増加し6,487百万円となりました。

コスト面では、現在、集中的に商品開発を進めており、当連結会計年度においても研究開発を積極的に進めてまいりました。昨年5月には、ソフトウェア受託開発会社である株式会社ラグザイアを子会社化し、グループの商品開発力の拡充を図りました。併せて組織体制充実のため積極的な採用を進めており人件費及びその関連費用が増加しております。この結果、経常利益は前年同期に比して16.7%減少し600百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に比して20.6%減少し395百万円となりました。

 

セグメント別の業績を示すと、次の通りであります。なお、2019年1月に生産性向上コンサルティング事業を株式会社ビーイングコンサルティングに分社化したことに伴い、第1四半期連結会計期間より、当社グループの経営管理体制を見直しました。これにより、従来「建設関連事業」に含まれていた「生産性向上コンサルティング事業」を独立した報告セグメントといたしました。

①  建設関連事業

建設関連事業につきましては、第2四半期まで堅調であった主力商品である土木工事積算システム『Gaia(ガイア)10』の販売が、10月以降低調な推移となりました。これは主に、10月に日本列島に上陸した台風19号が、極めて広い地域に河川の氾濫や堤防の決壊などの大きな被害をもたらしたことから、主要顧客である土木建設業者様が災害復旧に追われたり、予定していた公共工事の発注が延期になったりしたことによる影響と考えております。今年に入り販売動向に持ち直しの動きが見られていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、期の前半のような力強さには至っておりません。

この結果、当連結会計年度の売上高は4,472百万円、セグメント利益は346百万円となりました。

 

②  設備関連事業

設備関連事業につきましては、主力商品であるCADソフトウェアの販売が堅調であったことに加えて、設備業向け業務管理ソフト『要~KANAME~』の販売も順調に拡大しております。また、設備業経営者に寄り添い、共に課題の解決を目指すコーチング・サポートを将来の事業の柱とすべく商品開発に取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は1,770百万円、セグメント利益は285百万円となりました。

 

③  生産性向上コンサルティング事業

生産性向上コンサルティング事業につきましては、昨年1月の分社化以降、コンサルティング・ファームとしてのブランド確立と体制構築に取り組んでおります。当連結会計年度においては、コンサルタントの採用を進めるとともに、コンサルティング・ノウハウ向上のための教育投資を充実させ、より多くのコンサルティング案件に対応できるよう組織体制の構築を進めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は244百万円となりました。利益面では、人材採用費用並びに教育投資が先行したことにより、セグメント損失0百万円となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは14百万円の増加(前連結会計年度は1,107百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益594百万円の計上などの収入、売上債権の増加額116百万円、その他の支出134百万円、法人税等の支払額386百万円などによる支出があったことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは364百万円の減少(前連結会計年度は462百万円の増加)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出104百万円(純額)、敷金及び保証金の差入による支出67百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出109百万円などがあったことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは231百万円の減少(前連結会計年度は78百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払いによる支出179百万円、新規連結子会社における長期借入金の繰上返済52百万円によるものです。

これらの結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて581百万円減少し、3,785百万円となりました。

 

(3) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

建設関連事業

3,189,812

設備関連事業

158,102

480.9

生産性向上コンサルティング事業

66,952

合計

3,414,868

16.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は販売金額によっております。

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

4 報告セグメントの変更を行っており、前連結会計年度の生産高を変更後の区分で集計することが困難であることから、建設関連事業及び生産性向上コンサルティング事業に関しては、前年同期比を記載しておりません。

 

② 受注実績

受注実績につきましては、金額的重要性が低いため記載を省略しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

建設関連事業

4,472,054

設備関連事業

1,770,391

8.6

生産性向上コンサルティング事業

244,620

合計

6,487,066

8.5

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3 報告セグメントの変更を行っており、前連結会計年度の生産高を変更後の区分で集計することが困難であることから、建設関連事業及び生産性向上コンサルティング事業に関しては、前年同期比を記載しておりません。

 

 

(4) 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、昨年5月に株式会社ラグザイアを子会社化したことに伴い、のれんが151百万円増加しました。また、受取手形及び売掛金が142百万円、保証金を含むその他の投資その他の資産が118百万円それぞれ増加し、現金及び預金が477百万円減少したことなどから、前連結会計年度末に比べて27百万円増加し、7,952百万円となりました。

(負債)

負債は、前受収益が64百万円増加し、未払金が70百万円、未払法人税等が192百万円それぞれ減少したことなどから、前連結会計年度末に比べて205百万円減少し、4,028百万円となりました。

(純資産)

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により395百万円、自己株式の処分により13百万円それぞれ増加し、配当により180百万円減少したことなどから、前連結会計年度末に比べて232百万円増加し、3,923百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末より2.8ポイント上昇し、49.3%となりました。

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)経営成績の分析
(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比して8.5%増加し6,487百万円となりました。報告セグメント毎の売上高構成割合は、建設関連事業68.9%、設備関連事業27.3%、生産性向上コンサルティング事業3.8%となりました。当連結会計年度から生産性向上コンサルティング事業を独立した報告セグメントといたしましたので、構成割合の変化を数値で示せませんが、おおむね前連結会計年度から大きな変動はありませんでした。

当社グループでは、特定の事業に偏ることなく、複数の事業にリスクを分散させることが必要であると考えており、中長期的に建設関連事業への依存度を下げていきたいと考えています。そのためには、設備関連事業及び生産性向上コンサルティング事業の成長力をさらに引き上げる必要があります。また、他事業分野への進出についても検討を進めてまいります。

 

(売上総利益率)

当連結会計年度における売上総利益率は、前連結会計年度に比して2.8ポイント低下し75.1%となりました。その要因は主に、建設関連事業の原価率が増加している事によるものであります。

建設関連事業においては、新商品開発及び商品力向上のため開発投資を積極化していることから製造原価が増加しております。商品開発を進める現時点では、コストの増加はやむを得ないと考えておりますが、将来的には開発の効率化及び商品維持コストの低減が必要と考えております。

 

 

(売上高営業利益率)

当社グループは、ニッチ市場において高いシェアを確保し、付加価値の高いビジネスを展開することをことを経営の基本戦略としており、売上高営業利益率に関しては、15%以上を目標としております。

当連結会計年度における売上高営業利益率は、前連結会計年度の11.6%から2.4ポイント減少し、9.2%となりました。セグメント別の利益率は、建設関連事業が7.7%(前連結会計年度は11.9%)、設備関連事業が16.1%(前連結会計年度は12.4%)、生産性向上コンサルティング事業は、セグメント損失となりました。

建設関連事業においては、製品開発投資を積極的に行っていることから、研究開発費及び製造原価が増加しており、目標とする売上高営業利益率に届いておりません。これらの先行投資により、より競争力のある商品群を市場に投入することで、市場シェアを拡大し、売上の増大、売上高営業利益率の向上につなげてまいります。

設備関連事業は、当連結会計年度に目標とする売上高営業利益率を上回りました。引き続き設備業者様のニーズに寄り添う商品力とサポート力を磨くことで、収益性を維持しつつ事業規模の拡大を目指してまいります。

生産性向上コンサルティング事業においては、オリジナル・ソフトウェアを活用したコンサルティング・サービスを基本としております。コンサルティング・サービス終了後もソフトウェアを継続して利用していただく事で、クライアント様においては生産性の改善が維持継続されるとともに、当社グループにおいてはソフトウェア利用に伴う収益が継続いたします。質の高いコンサルティング・サービスの提供と併せて、ソフトウェアを継続的に利用いただけるよう取り組みを進め、収益性の向上に努めてまいります。

 

(b)財政状態の分析

財政状態の分析については、「1.経営成績等の状況の概要(4)財政状態の分析」もご覧ください。

 
(運転資金の状況について)

当社グループの運転資金需要は、開発投資資金並びに、販売費及び一般管理費等の営業費用が主であります。資金調達面では、当社グループは無借金経営であり当連結会計年度末において有利子負債はございませんが、相当額の前受収益並びに長期前受収益を有しております。

当社グループでは、ソフトウェアをリース会社を経由して販売することで、販売時点においてソフトウェアの対価に加えて、向こう5~6年間に必要となるサービスの対価を含めた額を回収しております。将来サービスの対価部分は、前受収益並びに長期前受収益として負債の部に計上し、期間の経過とともに売上高に計上しております。これにより、顧客から前受収益並びに長期前受収益として運転資金を調達しつつ、商品開発投資を行い事業を推し進めるビジネス・モデルを構築しております。

 

(内部留保資金及び株主還元について)

当社グループは、当期末時点で4,107百万円の現金及び預金を有しております。これら現金及び預金については、事業拡大のための投資に用いる他、将来の事業展開に支障のない範囲で積極的に株主に還元する方針をとっております。

当連結会計年度においては、グループの商品開発力を強化する目的で株式会社ラグザイアを子会社化いたしました。また、連結配当性向は前連結会計年度において36.1%、当連結会計年度において39.7%となっております。

 

(c)キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 

(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたり、当社グループは期末日における資産及び負債、会計期間における収益及び費用に影響を及ぼすような見積りを行う場合があります。これらの見積りについて、当社グループは過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積り根拠となる仮定あるいは条件等の変化により、見積り内容が実際の結果と異なる可能性があります。

なお、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性がある主な見積りとして、以下の会計処理があります。

 

(a)ソフトウェアの会計処理

当社グループは、開発したソフトウェアのうち、将来にわたって収益獲得または費用削減が見込まれる等資産性が高いと判断したソフトウェアについて、開発に要した労務費等の一部を費用計上せず、ソフトウエアとして無形固定資産に計上しております。当該資産性の判断に際して、当社グループは可能な限り客観的かつ入念に回収可能性等を評価いたしますが、見積り特有の不確実性があるため、当該資産に追加的な損失が発生する可能性があります。

 

(b)貸倒引当金

当社グループは、債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率による計算額を、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案して回収不能見込額を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加的な損失が発生する可能性があります。

 

(c)賞与引当金

従業員に対する賞与支給に充てるため、支給見込額に基づき計上しておりますが、当社グループの支給対象期間の業績等の状況等により、実際の支給額が引当額を超える可能性があります。

 

(d)繰延税金資産

当社グループは、連結貸借対照表上の資産・負債の計上額と課税所得の計算上の資産・負債との一時差異に関して法定実効税率を用いて繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。また、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的に見積っておりますが、将来の課税所得が予想を下回った場合は、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。

 

(e)のれん

当社グループは、のれんについてその効果の発現する期間を見積もり、その期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画を基に毎期検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。

 

(3)新型コロナウイルス感染症の影響について

当社グループの主要な顧客である建設業界においても、特定警戒都道府県を中心に工事を中断する動きが見られます。また、世界的なサプライチェーンの混乱により、住宅設備資材の調達に支障が出るなどの影響がでております。生産性向上コンサルティング事業においては、コンサルティング先の事業所がテレワークや自宅待機などに移行し、通常通りの操業が望めないことから、予定していた契約が延期されるなど具体的な影響が出始めております。

今後においては、新型コロナウイルス感染症により、当社グループの業績に影響が及ぶことは確実と予想されますが、現時点ではその影響期間や影響範囲を見積もることが困難です。したがって、前述の重要な会計上の見積り等においては、新型コロナウイルス感染症による影響を考慮しておりません。

 

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