当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の拡大により緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発令される等、経済活動に大きな制約を受けました。その後、新型コロナ第5波に対する緊急事態宣言の解除や感染者の減少もあり経済活動は徐々に正常化に向かうものの、新たな変異株の出現や一部商品供給制約によるサプライチェーンの混乱など、国内景気は先行き不透明な状況が続きました。
このような経済状況にあって、IT投資分野では企業のデジタル化への対応などIT投資需要は底堅く推移したものの、国内景気の先行き不透明感が続く中、慎重な姿勢が見られました 。
以上のような環境において当社グループは、「DXとドキュメントソリューションでお客様に寄り添い、お客様と共に成長する」を2021年度のスローガンに掲げ、オンラインによるミーティングやデモンストレーション・セミナー等を活用し、加えて感染の予防に配慮しながらの訪問活動も組み合わせることでお客様接点の確保に努めました。しかしながら新型コロナによる影響の長期化に伴い、ソリューション提案を中心に商談の延期・長期化に加え、新規顧客向け活動に影響を受けました。そのような状況の中、営業活動においてはDX推進に関する課題やニーズの気づきの場を提供するとともに、オフィスにおけるデジタル化への移行に向け具体的で分かりやすい提案を心掛け、ドキュメントの電子化や契約の電子化の需要の掘り起こしに努め、生産性向上、競争力強化やコスト削減を目的としたお客様のデジタル化への支援を引き続き行いました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、8,518億94百万円(前年同期比1.9%増)となりました。利益につきましては、営業利益558億27百万円(前年同期比0.9%減)、経常利益575億67百万円(前年同期比0.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益399億27百万円(前年同期比1.6%増)となりました。
(システムインテグレーション事業)
コンサルティングからシステム設計・開発、搬入設置工事、ネットワーク構築まで最適なシステムを提供するシステムインテグレーション事業では、パソコンの販売台数の減少や一部商品供給不足の影響を受け、売上高は5,236億9百万円(前年同期比0.6%減)となりました。
(サービス&サポート事業)
サプライ供給、ハード&ソフト保守、テレフォンサポート、アウトソーシングサービス等により導入システムや企業活動をトータルにサポートするサービス&サポート事業では、オフィスサプライ通信販売事業「たのめーる」の売上高を新型コロナの影響がなかった前々年同期間に比べ着実に伸ばしました。また、サポート事業「たよれーる(*1)」については、MNS(*2)等の保守サービスが堅調に推移したことで、保守等全体の売上高を伸ばしました。結果、当事業全体の売上高は3,282億84百万円(前年同期比6.0%増)と過去最高となりました。
*1 たよれーる=お客様の情報システムや企業活動全般をサポートする事業ブランド。
*2 MNS=マネージドネットワークサービスのこと。サーバーや通信機器、セキュリティやバックアップといったオフィスのIT環境をお客様に代わってネットワーク越しに運用・管理するサービス。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における資産は4,862億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ149億62百万円増加しました。負債は1,844億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ67億76百万円減少しました。純資産は3,017億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ217億38百万円増加しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ267億58百万円増加し、2,057億46百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動から得られた資金は578億73百万円となり、前連結会計年度に比べ253億77百万円増加いたしました。これは主に、「たな卸資産の増減額」が減少に転じたことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は91億60百万円となり、前連結会計年度に比べ4億43百万円増加いたしました。これは主に、「有形固定資産の取得による支出」が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は219億57百万円となり、前連結会計年度に比べ9億68百万円増加いたしました。これは主に、「配当金の支払額」が増加したことによるものです。
また、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ249億33百万円増加し、487億13百万円となりました。
当社グループの主たる事業は、情報システムの構築から稼働までを行う「システムインテグレーション事業」とシステム稼働後のサポート等を行う「サービス&サポート事業」であります。これらは顧客の注文に応じてサービス及びサポートを提供するものであり受注形態も多岐にわたっております。このため数量の把握をはじめ生産概念の意義が薄く、生産実績を把握することは困難でありますので、記載を省略しております。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は仕入価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの生産業務の内容は、ハードウエア及びソフトウエアの保守メンテナンスといったサポート業務が主なものであり、個別受注生産の占める割合が少ないため、受注実績の記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載されているとおりであります。また、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
なお、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成に影響を及ぼす可能性があると考えております。
収益の認識
a.商品
当社グループの売上高は、商品を出荷した時点で計上しております。
当社グループは通常、顧客の商品の仕様や納期・納品場所の決定に関与し、メーカー又はメーカー指定の販売代理店の中から仕入先を選定し、顧客に納品しております。
取引によっては最終顧客に商品が提供されるまでに、複数の企業を経由するものの、商品現物は仕入先から自社を経由せず直送されるものがあります。そのような取引については個別に取引実態を把握し、取引自体の実在性を確かめたうえで商流における自社の役割を特定し、それに応じて収益を総額または純額で計上しております。
b.役務
当社グループは、顧客のニーズを把握し、顧客の抱える様々な経営課題をワンストップで解決するために最適なソリューションを提供し、検収又は期間の経過に応じて収益を計上しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
(売上の状況)
当連結会計年度における当社グループの売上高は、前連結会計年度に比べ155億70百万円増加し、8,518億94百万円(前連結会計年度比1.9%増)となりました。セグメント別では、システムインテグレーション事業の売上高は5,236億9百万円(前連結会計年度比0.6%減)、サービス&サポート事業の売上高は3,282億84百万円(前連結会計年度比6.0%増)となりました。
(損益の状況)
利益につきましては、営業利益558億27百万円(前連結会計年度比0.9%減)、経常利益575億67百万円(前連結会計年度比0.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益399億27百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。
売上及び損益の状況については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。
b. 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における資産は4,862億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ149億62百万円増加しました。
流動資産は、「現金及び預金」が増加したことなどにより、4,010億34百万円と前連結会計年度末に比べ95億10百万円増加しました。固定資産は、852億19百万円と前連結会計年度末に比べ54億51百万円増加しました。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は1,844億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ67億76百万円減少しました。
流動負債は、「支払手形及び買掛金」が減少したことなどにより、1,702億82百万円と前連結会計年度末に比べ65億57百万円減少しました。固定負債は、141億98百万円と前連結会計年度末に比べ2億18百万円減少しました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は、「利益剰余金」が増加したことなどにより、3,017億74百万円と前連結会計年度末に比べ217億38百万円増加しました。
この結果、自己資本比率は61.4%となり、前連結会計年度末より2.6ポイント向上いたしました。
c. キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は、下記のとおりであります。
自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率: 有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
d. 資本の財源、資金の流動性に係る情報
当社グループの主要な資金需要は、事業活動における運転資金及び設備資金等であります。これらの資金需要につきましては、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っております。
手許の運転資金につきましては、一部の子会社において当社のキャッシュマネージメントシステム(CMS)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、当社において一元管理し、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。
なお、重要な設備投資の予定はありません。
e. 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、安定的な事業拡大を通じて企業価値を継続的に向上していくことを経営目標の一つとしております。そのため事業の収益力を示す営業利益、営業利益率、売上高、売上高伸長率、営業キャッシュ・フローを中長期的な経営指標と位置付けております。当連結会計年度における売上高は前連結会計年度に比べ155億70百万円増加し、8,518億94百万円となりました。また、営業利益は前連結会計年度に比べ4億81百万円減少し、558億27百万円(前連結会計年度比0.9%減)となりました。その結果、売上高伸長率については1.9%(前連結会計年度比7.6ポイント増)となり、営業利益率については6.6%(前連結会計年度比0.1ポイント減)となりました。営業キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ253億77百万円増加し、578億73百万円(前連結会計年度比78.1%増)となりました。当社グループは、今後もこれらの経営指標を継続的に向上できるよう努めてまいります。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しております。
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